一般就労の難しい障害や難病のある方が、雇用契約を結んだ上で一定の支援がある職場で働くサービスであるA型事業所。
今回は、そのA型事業所に勤めながら好きなイラスト活動で活躍している竹ちょさんにインタビューをさせていただきました。
障害で苦労しながら活動し、様々な賞を取られている経緯なども聞かせてもらいたいと思います。
竹ちょさんのエピソードにも迫ってみました。
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障害者アーティスト 竹ちょさん紹介
竹ちょ
障害者アーティスト兼就労継続支援A型事業所を利用しているパート従業員です。
幼い頃から絵を描くのが大好きで、小学生の時はマンガイラストクラブとコーラス部、中学生の時は美術部に所属して、世界児童画展や下野教育美術展、栃木市教育祭ポスターなどを受賞しました。
小さな頃からイラストが好きだったとのことで、積み重ねを感じます。
高校生の時は、私立高校の美術デザイン科に在籍していたものの、高校3年の時に中退、その後別の通信制高校へ編入学して卒業しました。
通信制高校を卒業した後は製造業の会社に就職して、勤務しながら少年誌やアニメ雑誌の読者ページへイラスト投稿を続けていたんですよね。
2003年・2005年・2011年に週刊少年チャンピオンの読者投稿レースで3回優勝しました。
2016年に発達障害と診断される
2015年に19年間勤務を続けていた会社が廃業して失業しました。
別の製造業の会社へ再就職するものの2か月で退職してうつ病を患い、2016年にメンタルクリニックを受診して発達障害と診断されて、精神障害者保健福祉手帳2級を取得しました。
また2018年に、月刊アニメディアの読者ページで第169代殿堂人になり、月刊アニメディア2018年12月号の読者ページ「アニメアイ」に、私が依頼を受けて描いた扉絵が掲載されました。
障害者アートで多くの賞を受賞
2019年から、就労継続支援A型事業所での障がい者アートの創作活動を開始。
2020年にSOMPOパラリンアートカップ2019で、損保ジャパン日本興亜賞・栃木県賞を受賞して、宇都宮市の損保ジャパン日本興亜・栃木支店での受賞式へ出席して、下野新聞に掲載されました。
私が持参したタブレットパソコンを使って障害者アートのイラストコンペへの応募や、障がい者アート協会「アートの輪」へのイラスト出品、事業所の支援員を通じてクライアントから依頼されたイラストの制作を続けています。
また趣味でSNSを通じてアニメや漫画作品のファンアートを投稿したり、アニメ雑誌の読者ページへイラスト投稿を続けています。
岩下の新生姜の大ファンで、岩下の新生姜ミュージアムに2017年と2018年に寄贈した私のイラストが展示されています。
竹ちょさんの発達障害について
小中学生の頃は、よく忘れ物を繰り返したり、同級生と待ち合わせの約束をしたことをうっかり忘れたりしていました。
と言われ続けていました。 容姿を気にするあまり目を細めたり、目を合わせない様に下をうつむき続けていたら、今度は教師たちから「ニヤニヤするんじゃない!」と注意されてひどくなっちゃいまして。 当時の担任教師から国立病院の精神科への通院を勧められました。
服薬とカウンセリングを受けながら通学を続けていましたが、眠気が強いなど薬の副作用が強かったり、なかなかクラスの同級生たちとなじめずに孤立してしまいまして。
医師とケンカし通院をやめた過去
電車内や学校内での私へのかげ口も止まず、不登校を繰り返す様になり、高校3年の時に中退しました。
竹ちょさんの学生時代当時ですと、発達障害という言葉もほとんど浸透なされていなかったと思います。
再就職した別の製造工場でも、機械の操作がなかなか覚えられなくて、上司から「他の人よりも覚えるのが遅い」と指摘されて、わずか2か月で追い払われる様に退職しました。
当時相談していた栃木市社会福祉協議会の支援員さんからの勧めで、2016年にメンタルクリニックを受診しました。
大人の発達障害を知る
自分にも思い当たる所があると感じたんですよね。
そしてハローワークの勧めで、現在勤めている就労継続支援A型事業所へ就職して、現在も働きながら通院を続けています。
でも発達障害と診断された後は、自分の特性を知ることで自分自身の頑張りが足りないことが原因じゃないんだと安堵して、心が救われました。
そこはやはり発達障害だと分かった事が助けになったのがよろしかったと思います。
障害者就労事業所での活動
私が持参したタブレットパソコンを使って、
- 障害者アートのイラストコンペへの応募や
- 障がい者アート協会「アートの輪」やパラリンアートのサイトへのイラスト出品
- 事業所の支援員さんを通じてクライアントから依頼されたイラストの制作
を続けています。
作業所にもよるかと思いますが、やはり何か出来る事があるのは強味ですね。
- キャラクター
- 風景画
- ファンタジー画
- 動物
を主に描いてサイトへ出品して公開しています。
これだけ描けるのにはやはり好きという力と、日ごろの練習の成果が出ているのだなと
などのイラスト制作依頼の実績があります。
イラスト活動について
お仕事以外でも色々描かれているのですか?
それは自分の気持ちや夢、希望や願いを誰にも束縛されずに絵で自由に表現できるからです。
そんな中、私が私立高校の美術デザイン科でカレーライスの雑誌広告を描く授業を受けている時に、美術デザイン科長を務めていた教師から言われた一言が忘れられません。
「カレーに旗は立てないぞ」
私はカレーライスのご飯に旗を立てて、明るくて楽しい雰囲気を演出して描いていましたが、この教師の一言を受けて、まるで私自身を全否定されたみたいでショッキングでした。
それは私が高校中退する遠因にもなりました。
あの時臆病で抗えなかった私は、あれ以来、多様性を認めず一方的な差別や偏見だけで表現する自由を束縛して私自身を否定する者たちに抗い続けるために、そして自分が自分そのままであり続けられる様に、イラストを描き続けています。
多様性という言葉は今溢れていますが、しっかり表現して表してこそですね。
これからも、社会で孤立している人々を元気づけて励ますことができるイラストを、描き続けます。
他の障害者の方へのメッセージ
それでも趣味でずっとイラストを描き続けられたのは、自分だけは自分自身を見捨てたくない、自分だけは自分自身の味方であり続けたいという信念があったからだと思います。
でも、ありったけの勇気を振り絞って地元の社会福祉協議会へSOSを出したら、様々な方々のご協力を得て、私が発達障害者であることを知ることができたんです。
そこから障害者就労を通じて、一度は絶たれたイラストのお仕事の夢を再び掴むことができました。
だからこそ勇気を出してSOSを出す必要がありますね。
自分自身を見捨てなくて良かったと感謝しています。
社会から取り残されて孤立している障害者の方々は少なくないと思いますが、どうか自分自身を見捨てないで、自分自身を好きでいて下さい。
そして私みたいに勇気を出して社会福祉協議会など周りへ助けを求めれば、必ず道は開かれるはずです。
インタビューを終えて
障害者アーティストとして活動を日々続けている竹ちょさん。
障害者だからと言って、すべてをあきらめるのではなく、自分の好きをしっかり追及して、やりたいことを目指していく。
イラストからもその熱意がとても伝わりますし、今回お話を聞かせていただき、辛い事は辛いとはっきり発信したうえで、やりたい事をしっかりと伝えていく。それがとても大事だと感じさせられました。
竹ちょさんのこれからの活動応援しております。
竹ちょさん作品の追記
にて日本バスケットボール選手会賞に入賞されました。おめでとうございます。
障害者アーティストの竹ちょさん
Twitter:https://twitter.com/takecho1
久田 淳吾
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