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ソーシャルグッドの取り組みをプレゼン|新企画マネーのシマウマに迫る

資金調達を目的に支援者へプレゼンする『社会課題解決型ピッチイベント【マネーのシマウマ】』が、2021年5月21日(金)YouTubeとFacebookを通じてLive配信イベント開催されました。

 

ソーシャルグッド領域で社会の中で困難や障害と感じる出来事を解決するための取り組みをフィードバックする地域中小企業に向けた応援企画です。

 

うぇるさーる
今回は3名の志願者たちが、自身の立ち上げたプランを、資金調達のプロ”シマウマ”や視聴者の方に向けたプレゼンをライブ配信でお送りします。

 

社会貢献をしながら持続的な運営をしていきたいという方にとって、参考になる企画ですので、レポートさせていただきます!

マネーのシマウマとは

マネーのシマウマの『シマウマ』とは、利益と社会貢献の2つの課題を両立させ、持続性を大切にする企業や個人の概念のことを表します。

 

それに反して、利益と企業規模を重点において一攫千金を狙う『ユニコーン企業』と対比され『ゼブラ企業』として世界から徐々に注目されています。

資金調達のプロ3名の紹介

今回登場するシマウマは、社会貢献分野で活躍するプロの資金調達の方たちです。

左から順に中村 斎藤 粟井

◆渋谷区議会員
中村豪志 氏

◆株式会社N.S.S.I designs
代表取締役 齋藤悠太 氏

◆クラウドファンディングコーディネーター
粟井悠太 氏

 

そして3名の志願者はこちら↓

  • ココトモハウス giogio さん
  • JET BOOK 作戦 山内ゆな さん
  • e PARA 加藤大貴 さん(司会と兼任)

 

それぞれどんな思いで立ち上げたのか。そして志願者たちのバックグラウンドには何があったのか気になるところを掘り下げていきます。

 

うぇるさーる
将来性や価値に共感してもらい支援金を得る為にしている取組みなどを5分間のプレゼンで伝えていきます。では順番に、紹介していきます。

 

当日の動画アーカイブはこちら。

ココトモハウスとは

ココトモハウスとは、悩みから夢まで話せるコミュニティスペースの運営をしています。いわゆるソーシャルグッド(Social Good)です。

 

地域コミュニティを作り、世の中に良い循環をもたらす活動の一環です。

 

主な活動は年齢性別問わず、悩みや夢をみんなで集まって話す機会を作り自分の存在価値を実感してもらうことです。

 

2015年に悩み相談サイト”ココトモ”のメンバーがアイデアを出して設立した会社で、5年間で4000名以上の利用者実績があります。

 

設立当初、代々木でスペースを構えるものの、取り壊しをきっかけにレンタルハウスやオンラインで活動してきました。

 

そして、現在はたくさんの人からの支援を受け、再び代々木にスペースを確保する事ができ新たな取り組みをスタートをさせているところです。

ココトモハウスgiogioさんのバックグラウンド

まず一人目の志願者は、ココトモハウス三代目管理人のgiogioさん。

 

giogioさんは、20代の頃ギャンブル依存症で借金を抱え、誰にも悩みを話せずに孤独だったとおっしゃっておりました。

 

その当時は、友人に会うと自分のことが恥ずかしいと思うようになり、いつしか人との関わりを避けるようになっていたそうです。

 

そんな時にココトモハウスの存在を知り、勇気を出して足を運んでみると、そこにいた人たちが自分自身の悩みを打ち明け合っていたのをみて、ここなら自分を受け入れてくれるのではないかと思ったそうです。

 

始めはココトモハウスの利用者だったgiogioさんですが、ある時『スタッフにならない?』と声をかけてもらったのがキッカケで現在管理人を任されています。

 

うぇるさーる
自分がここで救われたように、悩みを抱えている人を救いたいという想いで取り組んでいるようです。

想い描く未来の姿

『悩みから夢まで話せる東京の居場所を復活させたい!』

 

その結果として『生きづらいと感じている人が、生きやすいと感じられる社会になれば、世界がもっと豊かになる』と語るgiogioさん。

 

就労支援の活動は社会にもありますが、私生活を支援してくれる場所があまり無いと感じているようです。

 

うぇるさーる
giogioさんは社会から孤独になった人を元気付け、自分の存在価値を感じて一歩踏み出せる場所を作りたいとおっしゃておりました。

 

ココトモハウスの参加者の声

実際にココトモハウスの声を聞いてみましょう。

 

参加者の声

  • こんな私を受け入れて欲しいという想いを受け止めてくれるココトモハウスが大好き
  • 色んな年代の人とも話せて、もう一つの安心できる家みたい
  • 人見知り、ビビり、緊張しいな私ですが、ハウスに来るといつの間にかたくさんお話している自分にいつも驚いています。

 

ココトモハウス公式の紹介動画でも参加者の貴重な声がありますので、どうぞ。

運営費は?

入場料は、何時間でも一律1,000円で運営しています。

 

障害者や働いていない人も気軽に来れるように設定しているそうです。

 

うぇるさーる
月130名ほど訪れるので売上として130万ほどあっても、実際に家賃等の支払いでギリギリの運営状態・・・とのことです。

 

ココトモハウスの課題

生きやすいと感じている人に、生きづらいと感じている現状が伝わりにくいのが課題に感じているそうです。

 

その為にまず、居場所がないと感じている人にココトモハウスの存在を知ってもらう必要があると考えているそうです。

 

シマウマからの質問Q&A

ー中村氏ー

 

Q:今後話す場所の確保をどうやっていく予定?

A:誰でも気軽に来れるように入場料を¥1,000に設定しているので、何か新しいサービスを提供してお金を取ることはしたくないんですよね。

 

Q:代々木にした理由は?

A:アクセス面を考えて選びました。苦手な人もいるので渋谷や新宿は避けました。あと、創業した場所でもあるからです。

 

ー斎藤氏ー

 

Q:人が集まって話せる所は他にもあるが、ココトモハウスの魅力は?

A:悩みを抱えた同士が集まっているので話しやすい空間です。

 

Q:ココトモハウスの存在はみんな何で知った?

A:ネットで検索するとSEOで“引きこもり””生きづらい”でココトモハウスがヒットします。

 

Q:問題を抱えた人同士でトラブルが起きた場合の対処は?

A:人と繋がるということは良い面もあるけど、時にはぶつかる事もあるんだということも含めて感じてもらいたいと思っています。

 

ー粟井氏ー

 

Q:共感性を生みやすい事業なのに支援が伸びていないのは、認知不足?or 認知している人に思いが届き切れていない?

A:集まる場所として親しまれてはいるけど、利用者に社会課題を解決するまでのインパクトがないのかもしれないです。『社会』と一括りしてしまうと大きすぎるのではないかと葛藤しています。

 

うぇるさーる
自分の辛い経験を活かして行動していることから、共感性が生まれやすいのでしょう。就労支援ではなく私生活の支援できっかけ作りをしているのが素晴らしいです。

 

シマウマからのアイデア

シマウマからの工夫やアイデアについて紹介します。

 

  • 自分の経験を電波させることが重要で、その為の仕掛けとして行政と結びつくの一つの手段。
  • 「生きやすい」「生きづらい」という表現は変えた方がより伝わりやすい。
  • 代々木にある事に意味があるのであれば、まずは地域の人に向けてアプローチをして支援を求めると良い。

 

JET BOOK 作戦とは

 

児童養護施設の人をたくさんの人に知ってもらい、人生で出会った最高の一冊を施設に送ってもらうという取り組みをしています。

 

例えば100冊の本が集まれば、『送ってくれた本の数だけ応援してくれている人がいるんだよ!』と目に見えてわかるように願いを込めています。

 

うぇるさーる
子供たちに頼れる人は、児童施設にいるスタッフだけではないことを知ってもらいたいという想いがあるようです。

 

山内ゆなさんのバックグラウンド

続いて二人目の志願者は、大学一年生の山内ゆなさん。山内さん自身も2歳〜18歳まで施設で育ったそうです。

 

小中学生の頃は自分と同じ環境の子が近くにいたこともあって、施設で育っている事に対して違和感を感じたことはなかったそうです。

 

しかし、高校生の時に出会った友達に、施設で暮らしている事を話したら『聞いてごめんね、大変そうだけど頑張ってね』って言われた山内さん。

 

周りからのイメージは、暗くて悲しいと思われていることを初めて実感したそう。

 

うぇるさーる
施設にいる友達にその事を話したら、みんな施設であることを周りに隠して生きづらい想いをしていることがわかったそうです。

思い描く未来の姿

児童養護施設の子供たちが、抵抗なく児童養護施設出身である事を言える社会にしたい。

 

自分自身が施設にいた頃、何かを体験する機会が少なかったので、好きなコトや、やりたいコトを見つけて挑戦できる環境を作りたいとおっしゃっていました。

きっかけ

児童養護施設だと個人情報の保護の関係や、ネット環境が揃っていないことで、情報収集の手段が本と新聞がメインになるそうです。

 

山内さん自身も携帯電話を初めて持ったのが高校二年生の時だったとか。

 

情報が手に入らないことで、自分だけが知らなくて友達の輪に入れなかった事もあるとおっしゃっていました。

 

そんな時に小学生の女の子から『本を読みたいから教科書貸して』と言われて、教科書でさえ貴重な読み物になっているんだなと感じたそうです。

 

そこで、児童養護施設を広めること、本を集めることを同時に出来るのではないかと思いJET BOOK作戦を始めました。

 

うぇるさーる
情報を得られなかったことでチャンスを逃してしまった経験があるからこそ、施設の子どもたちがいろいろな情報に触れ、新しいことを発見していける機会を作りたいと思うようになったそうですよ。

【事例】子供たちの反応

 

 

実際にあった事例として、パイロットの方が送ってくれた本を読んだ男の子が『パイロットの人が勧めてくれた本だから読む!』と本に興味を持ってくれたようです。

 

その後もその男の子は『パイロットの人が好きな作家さんの本を全部読みたい!』と言って図書館に通っていたそうです。

 

うぇるさーる
なんだかほっこりするエピソードですよね!

シマウマからの質問Q&A

ー粟井氏ー

 

Q:協力者とどういう所で出会っている?

A:主にTwitter やFacebookで拡散しています。

後は クラブハウスに行ってみたり、自分が繋がりたいと思う人がいればその人のオンラインサロンに入ることもあります。

 

ー斎藤氏ー

 

Q:施設にいる7割くらいの子が虐待を受けているそうですが今後の計画はある?

A:施設の子が大人になった時に、今度は自分が自分の子に虐待をしてしまう連鎖が起きているので、それを減らしていきたいです。
虐待する親が全て悪いと責めるのではなく、そうなる前に周りに助けを求めやすい環境が必要だと思っています。

その為に、施設にいるうちから自分には頼れる人がいるという事を本を通じて知ってもらいたいです。

 

ー中村氏ー

 

Q:実際に本を受け取った子供たちの反応は?

A:友達同士で本の感想を言い合ったり薦めあったりしていました。

職員の人にも本の話をきっかけに会話が増えていました。

 

Q:現在約600程の施設があるが、全施設にこの企画をできるように目指すのか継続性についてはどう考えている?

A:中には本がたくさんある施設や、外とのコミュニティを持っている施設もあってお断りされる事もあるんです。

なので今は100施設を目標にしています。

その為の取り組みとしては、ワークショップの開催を考えているところです。

2つの施設の子供たちと支援者の方を集めて色んな体験をさせたいです。

そして、必ず自分のオススメの本を一冊持ってきて、違う施設の子と交換して帰ってもらうようにして繋がりを広げていきたいと考えています。

 

シマウマからアイデア

ー中村氏ー

 

本を送ってくれた人に子供たちからメッセージを送れたらお互い幸せですね。

 

うぇるさーる
本で人を繋ぐという価値観が新しいですね。応援メンバーには、プロゴルファーの東尾理子さんや、エッセイストの犬山紙子さんがいるようです。

 

ePARA とは

eスポーツを通じて、障害者が自分らしく・やりがいをもって社会参加する支援です。

 

主な取組みとしては、バリアフリーのeスポーツ大会「ePARA」を主催しています。

 

バリアフリーeスポーツとは「年齢・性別・時間・場所・障害の有無を問わず参加できる環境の下行われるeスポーツ」の事を言います。

加藤大貴さんのバックグラウンド

加藤大貴さんは、国家公務員で裁判所書記官として安定した生活を送っていたそうです。

 

しかし、福祉の仕事、品川区社協議会と職を転々とした末、現在の株式会社ePARAを設立という異色の経歴を持っています。

 

さらにNPO市民貢献支援協会の理事長も兼任し、障害者と認知症高齢者の法律上の支援を行う成年後見という活動もしているそうです。

 

うぇるさーる
公務員の頃のように安定した収入ではない為、お小遣いも40%減らされてしまったそうです…。

想い描く未来の姿

地域、年齢、性別、障害の有無の壁を打ち破るバリアフリーeスポーツカフェを作りたいとおっしゃっておりました。

 

その結果として、全ての人が生きがいを感じお互い尊重し合える場所を創る。障害者への先入観をなくしたいと語る加藤さん。

 

うぇるさーる
成年後見の仕事で障害者の方と接した時に、障害者の方と話してみたら意外にもゲームの話や恋バナなど健常者と変わらない話で盛り上がって自分が勝手に先入観を持っていたんだなと思ったそうです。

ePARA誕生のきっかけ

eスポーツの市場拡大に伴い、イベントを企画したところ、都内に障害者が利用できる施設がなかったことが背景にあるようです。

 

都内の施設を11ヶ所回ってみたそうですが、エレベーターや多目的トイレがなかったり設備が不十分でなかなか見つからず…。

 

ようやく条件が揃った施設を見つけるも、費用の面で叶わず、会場探しにかなり苦戦したそうですよ。

 

そこで思いついたカラオケの1室を借りて、何とか開催する事ができたみたいです。

 

そんなこともあり、もっと障害者も利用しやすいスポーツ施設の必要性を感じたといいます。

eスポーツカフェが求める施設の条件とは?

eスポーツカフェの会場選びには3つの条件が必要だそうです。

    • バリアフリー
    • eスポーツイベントが対応できるか
    • 配信環境

 

1,バリアフリー

会場設備としてエレベーターや多目的トイレは必須で、休憩できる個室があるとより良いとのこと。

 

2,eスポーツイベントが対応出来るか

  • 大型ディスプレイを搬入できる広さなのか、音響・照明設備が整っているか、そしてネット回線が通っているかです。

この条件が全て揃っていないと難しいそうです。

 

3,配信環境
放送プラットフォームやビデオカメラなど、放送が出来るような配信設備があると使いやすいとのこと。

そして仲間と一緒に体験できるように高スペックPCがあると理想です。

 

 

施設の運用費は以下のように考えているそうです。

  • 昼の部:フリースペース(原則無料)

⇒障害者の方や低所得の人が楽しめるように出来る限り無料で使っていただけるようにしたい

 

  • 夜の部:eスポーツイベント(有料)

⇒社会人の人向けにチケット制で販売して収益を得られるようにしたい

シマウマからの質問Q&A

ー粟井氏ー

Q:すでに目標額達成しているが、次はなにを目指している?

A:イベントをやる回数を増やしたい

 

ー中村氏ー

Q:今回求めている資金は、常設しているカフェを継続する為の資金?それともイベント開催の資金?

A:両方です。
カラオケ施設の一室を週2,3回借りてカフェ的な機能を設けたイベント開催を考えています。

なので、場所代とカフェの両方に費用を当てたいと思っています。

予約制のカフェをつくる
(予約制にすることで障害者の方の対応を準備ができる)

シマウマからアイデア

ー中村氏ー

  • 場所を貸してくれる不動産の人にアピールすると良い
  • バリアアフリーに対しては、全ての条件が揃わなくても工夫次第で対応出来る

例えば、多目的トイレがないなら、ある場所まで誘導したり誰かのサポートでクリアする事もあるはず。

 

うぇるさーる
自分がどれを支えたいか見つけるのも難しそうです。

 

ソーシャルグッドの取り組み事例から学ぼう

いかがでしょうか?

 

  1. ココトモハウス
  2. JET BOOK作戦
  3. ePARA

 

今回参加してくれた3名の方の熱い思いが伝わってきましたね。

 

自分自身の過去の辛かった経験を乗り越えて、誰かを救いたいという想いから始まったソーシャルグッド

 

そしてそれを実現するための行動力に心を打たれる人も多いのではないでしょうか?

 

今の時代、SDGsも国連が掲げており、ただ単に売上だけを求める活動というより、社会貢献をしながら利益を上げていく取り組みが重要視されてきます。

 

ぜひ今回のようなソーシャルグッドの取り組み事例を参考にして、あなたの活動にも取り入れてみてはいかがでしょうか?

 

マネーのシマウマは、次回7月に開催予定です。ぜひ楽しみにしていてください!

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ウェルサーチ 障害者・編集チーム

Welsearchの障害者・編集チーム。障害を持ったさまざまな方がリアルの日常や施設・職場での体験を発信しております。障害者の生活や考えはどのようなものなのか?感じ取っていただければ幸いです。


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