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すべての瞬間が心に響く映画『ケイコ 目を澄ませて』字幕・音声ガイド付きで上映中!

リングサイドに腰をかける主人公

第72回ベルリン国際映画祭エンカウンターズ部門に出品された三宅唱監督の最新作。

 

『ケイコ 目を澄ませて』をご覧になったでしょうか?

 

ベルリン国際映画祭でも「すべての瞬間が心に響く」「間違いなく一見の価値あり」と絶賛され、その後も数多くの国際映画祭で上映中のこの映画、何が凄いって……。

 

うぇるさーる
情緒感が凄いんです!

 

予告編を見ただけでも、ぐっと心が揺れそうになる。

 

「逃げたい」でも「逃げたくない」苦しみ、迷いながらも立ち向かっていこうともする、そんな姿を岸井ゆきのさんが見事に演じておられます。

 

そして、更に注目なのはバリアフリー映画化されたということです!

 

うぇるさーる
しかもなんと、初日からなんです!

 

初日からバリアフリー映画化されるのは結構珍しいことなんですよ。

 

※バリアフリー映画とは、音声ガイドと字幕に対応することで、より多くの人が映画を楽しむことができる映画のことです。

 

なので、今回は映画『ケイコ 目を澄ませて』について詳しくご紹介させて頂きます!

『ケイコ 目を澄ませて』のあらすじ

主人公・ケイコは、嘘がつけず愛想笑いが苦手な性格。

 

生まれつきの聴覚障害で、両耳とも聞こえない。

 

再開発が進む下町の一角にある小さなボクシングジムで日々鍛錬を重ねる彼女は、プロボクサーとしてリングに立ち続ける。

 

母からは「いつまで続けるつもりなの?」と心配され、言葉にできない想いが心の中に溜まっていく。

 

「一度、お休みしたいです」と書き留めた会長宛ての手紙を出せずにいたある日、ジムが閉鎖されることを知り、ケイコの心が動き出す――。

 

※公式サイトより引用。

 

耳が聞こえない代わりに、じっと<目を澄ませて>闘うケイコの姿を、秀でた才能を持つ主人公としてではなく、不安や迷い、喜びや情熱など様々な感情の間で揺れ動きながらも、一歩ずつ確実に歩みを進める等身大の一人の女性として描き、彼女の心のざわめき、迷いやひたむきさ、そして美しさ。

 

うぇるさーる
全てを内包した彼女の瞳を見つめているうちに、自然と涙が込み上げてくるに違いありません。

 

『ケイコ 目を澄ませて』予告編

 

キャスト

公式サイトによると、ケイコを演じた岸井ゆきのさんは、厳しいトレーニングを重ねて撮影に臨みました。

 

今回の取り組みについて「劇中で友人役を演じたろうの役者の方々が、あの作品は字幕が付いていない、あの映画は字幕が付いているから観たと仰っているのを聞いて、自分がそこに目を向けられていなかったということをこの作品に関わるまでは気付けなかった」

 

(公開初日から字幕付きで上映されることが)これからもやっていくべきことだろうし、いろんな方に、本作を、ケイコという人を知ってもらえることができるのはとても嬉しいです」と胸の内を明かしています。

 

シャドーボクシングをする主人公

 

本作にケイコの友人役として出演しており、自身もろう者である長井恵里さんは、

 

バリアフリー字幕によって、ケイコの日常のなかにあふれている音を知り、想像をかきたてる場面がたくさんありました

 

「また、聴覚障害者が登場する作品は「可哀想」を連想する描き方だったり、キャラクターよりも聴覚障害にフォーカスされることが多かったりするのですが、本作ではただただ、そこにケイコが存在していました

 

「(当事者性は切り離して)ごく普通にひとりの人間として悩み、葛藤する、リアルなケイコを演じられた岸井ゆきのさんの超越した演技に心が揺さぶられました。多くの方に見て頂きたい」と語っています。

 

うぇるさーる
確かに、その通りなんですよね。

 

障害者が登場する作品は長井さんが仰るような描き方をされることが多いです。

 

しかし、この映画はごく普通にひとりの人間として葛藤している姿が描かれているんですね。そこがひとつ、国際映画祭で賞賛された理由なのかなと私は思いました。

 

そして、ケイコの実直さを誰よりも認め見守るジムの会長に、日本映画界を牽引する三浦友和さん。三浦誠己さん、松浦慎一郎さん、佐藤緋美さん、中島ひろ子さん、仙道敦子さんなど実力派キャストが脇を固めています。

 

うぇるさーる
そこも魅力のひとつ!

 

河原で座る監督と主人公

 

驚き!劇伴が使われていない!

普段映画やドラマを見ていると、そのシーンに合わせた音楽が流れてきますよね。

 

内容に合っていれば一層ロマンチックになったり、一層泣けたり、怖くなったりします。

 

でも、合ってなければ最悪。魅力が半減したりしちゃうこの効果。

 

うぇるさーる
何て言うかご存知ですか?

 

これは、劇伴というらしいです。

 

この劇半、驚くことに本作には使われていないんです!

 

環境音のみで構成されているのが大きな特徴で、冒頭で書いた情緒感というのはこれによって引き起こされているのではないかと個人的には思っています。

 

その方針について三宅監督は、

 

うぇるさーる
「聴者が音を消して鑑賞したとしても、物語の理解やエモーションの伝達が損なわれないような演出やカット割を模索していました。

 

なるべく音声情報や音楽に頼らずに語ろうという事です。劇伴は大抵の場合、観客の感情を誘導する働きがあり、聴者とろう者の受け取る情報に違いが出るので、それはなるべく避けるという方針を事前に立てていました」

 

と語っています。

 

ろう者の方がどのように映画を鑑賞しているのか、それが少し分かる気がする。そんな取り組みを映画で行う。それって、すごく素敵なことですよね。

 

男性とテーブルに座り話す主人公

 

公開初日からバリアフリー上映!

『ケイコ 目を澄ませて』では、日本語字幕付き上映が実施されました。

まだ上映中の劇場については、下記をご覧ください。

 

『ケイコ 目を澄ませて』上映中の劇場

 

 

また、バリアフリー音声ガイドとバリアフリー日本語字幕は「UDCast(ユーディーキャスト)」方式と「HELLO! MOVIE(ハロームービー) 」方式の両方を採用している。

 

HELLO! MOVIEは、視聴覚障害のある方が映画館にスマホやスマートグラスを持ち込み、専用アプリを起動することで、対応している映画の字幕と音声ガイドを楽しめる無料アプリ。一部の映画館ではスマートグラスの貸出サービス「字幕メガネ」を実施しています。

 

UDCast(ユーディーキャスト)は視覚障がい・聴覚障がいのある方も、映画館や劇場などで楽しめるアプリで、映画・映像・放送等の「音声」をスマートフォン等の携帯端末のマイクが拾うことで、その端末を通じて、字幕や手話の表示、音声ガイド再生等を行うことのできます。こちらも無料アプリとなっています。

 

UDCastアプリロゴUDCast

 

 

 

『ケイコ 目を澄ませて』は全国公開中です!

詳細な上映スケジュールについては、劇場及び映画公式サイト等をチェックしましょう!

 

▼公式サイト▼
公式サイト

 

▼公式Twitter▼

まとめ~バリアフリー映画に興味を持たれた方へ~

いかがでしたでしょうか?

 

『ケイコ 目を澄まして』一度見てみたくなりませんでしたか?

 

うぇるさーる
私は予告編を見た時点で、ああ、もう観たい!と思いました。

 

岸井さんの表情が素晴らしいし、誰だって逃げたいと思うことはある。でも逃げたくない、諦めたくないという思いも同時にあったりする。

 

迷い、葛藤する中でケイコはどんな決断をし、どう立ち向かうのだろうか。

 

ケイコは耳が全く聞こえず、ゴングやレフェリーの声もセコンドの声も聞こえない。でも、プロのボクサーでした。彼女はどう迷い、どう克服してきたのだろうか。

 

障害だから、健常だから、ではなく、ひとりの人間としての生き様を観てみたくなりました。

 

女性に話している主人公

 

うぇるさーる
また、バリアフリー映画というものにも興味を持っていただける人が増えればいいなと思います。

 

今作にもある音情報・音楽情報の文字化、バリアフリー字幕。これらは、音の変化によって感情が高ぶったり変化することを狙った演出を文字で表現します。

 

例えば、現実にも激しい雷が落ちて、ほんの一瞬だけ無音になる瞬間ってありますよね。

 

そんな時に、あえて字幕に「無音」と書かないことで情緒感を持たせる。

 

そんな技術もバリアフリー映画の見どころの一つではないかなと思います。字幕ならではの良さってありますよね。

 

うぇるさーる
バリアフリー映画を配給している会社、Palabra株式会社様に以前取材をしたことがあるのでご興味を持たれた方はそちらも是非ご一読ください。

 

▼参考▼

バリアフリー映画を当たり前のものに|パラブラ代表の山上庄子さんインタビュー

 

 

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ウェルサーチ 障害者・編集チーム

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