こんにちは。発達障がい、アスペルガー当事者の宮本です。
今回は、発達障がい者の自立について触れようと思います。結論から申し上げますと、残念ながら発達障がい者が諭吉先生を入手するほど稼いで自立することは、けっこう大変ということです。
まずは一般的に発達障がい者が一般的にどのような日常を送っているかに触れ、自立する上での課題やどのくらいお金がかかったり、どのくらい収入があるのかを説明します。
そして、発達障がい当事者の私が考える「発達障がい者が働きやすい就労システム」についても延べていきます。ぜひ自立する上で嬉しい制度がありましたら、妄想でもかまいませんので、教えていただければ幸いです。
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発達障がい者が日中活動する7つの施設
まず発達障がい者が自立する上で重要な選択肢となってくる日中活動する施設について、お伝えしていきます。主に以下の7つとなっております。
1.デイケア
2.入院
3.就労移行支援
4.B型作業所
5.A型作業所
6.障がい者就労(オープン就労)
7.地域活動支援センター
1つずつ私の感想も踏まえて、概要をお伝えしていきます。
デイケア
実際に私も1年半ほど、通っていたことがあるデイケア。
主に日中活動になれるための学校のような場所で、精神の安定や生活リズムの改善が目的です。ちなみに、お昼寝ができる部屋もある。ランチが出るが、あまりおいしくないケースもある印象です。
お金はどうなるの?
1日1,000円ぐらい障がい者の人が払います。芸能界に例えると、レッスンに近いかもしれないですね。
ただし、1,000円というのは自立支援医療という割引制度を使った場合なので、書類を忘れると10,000円になる可能性もあるので、ご注意ください。
ちなみに私は、デイケアには2か所いった事があります。1回目の方は美術の勉強をしたり、喫茶店の運営をやったり、体育館でスポーツをやったりしました。
2回目の方は、イベントを企画したり、体操をしたり、グラウンドを借りてフットサルをやったりしました。動物園や美術館に行ったこともありますね。
2.入院
場所にもよりますが、1日の行動を病院内で制限される。私のケースの場合、精神が限界になったため人に危害を加える恐れがあると判断され強制入院させられました。
最初の3日間くらいは、鉄格子のある部屋に監禁されました。その後、4人部屋が10個ぐらいある病院内で行動を制限。なお、電子機器の使用は禁止されており、携帯なども没収されてしまいました。
通信手段は公衆電話と手紙のみ。不服申し立てができるシステムもありましたが、審査が厳しいようなので、諦めました。
入浴は週3日で、毎日入ることはできませんでした。時々レクリエーション活動があり、映画鑑賞や塗り絵やカラオケなどをやっていた。
身内などがお小遣いを入金すると、それに応じて決められた時間におやつやカップラーメンなどを買うことが許されました。
ただ、共同生活をすると盗難のリスクがけっこうあって、おやつやテレホンカードやコインランドリーカードを盗まれる事案もあったみたいです。
お金はどのくらいかかったのか?
両親が立て替えていたようですが、私の場合、月20万かかったそうです。おこずかいの件もあるので、恐らく22万位の支払いが発生したと思います。
あまりに支出が多かったので、両親が入院費を払いきれず、1年半で退院となりましたが、薬の関係でてんかんの疑いをかけられ車の免許を没収されました。
服薬をやめることが免許回収の条件だが、今の状態だと薬はやめることができないでしょう。
3.就労移行支援
一番、通っている人が多いのが、この就労移行支援事業所。ここは、日中活動に慣れるために作業訓練をしたり、資格の勉強をすることができる場所もあります。
私の住んでいる地域にも多いですが、やはり仕事をする訓練は大変なので、私は使っていません。使うための条件として、障害者手帳か受給者証が必要なので、他の施設と並行利用が難しいという欠点があります。
お金はもらえるの?
もらえません。事業所によっては、交通費を出してくれるケースがあります。
無料で利用できますが、相性の良い就労移行支援に通っていないと、時間の無駄になります。就労移行支援事業所の訓練を通じて、資格が取れるところは、比較的おすすめです。
4.就労継続支援B型作業所
企業などで雇用契約を結んで働くことが難しい障害者や難病の方が、軽作業などの就労訓練ができるところ。
就労移行支援に近いですが、お小遣い程度の「工賃」というミニボーナスのようなものがもらえます。
平均的な工賃は?
厚生労働省のリサーチでは、2017年度のB型事業所の平均給料は、月15,603円となっていました。時給に換算すると、205円です。
掃除などの奉仕活動をすると、400円ぐらいになるケースもあります。一見つかったほうがいい気しますが、やはりこれでも一般的な家賃相場を考慮すると到底たりません。
私の主観的には、本当に好きなことができる作業所なら行ってもいいと思います。
5.就労継続支援A型作業所
今の段階では一般企業で働くことが難しい65歳未満の方に、雇用契約を結んで、職員などによる支援がある職場で働くことができるところ。ですので、最低賃金が保証された作業所ということになります。
ただ、障がい者が最低賃金以上の収入を想定をしているケースが多く、よほど知名度が高い作業所でないと運営は非常に難しいというのをよく聞きます。
私の通っている作業所は最初A型でしたが、余りにも経営が難しいという事でB型に移行しました。ただ、そこでも最低賃金は保障されています。
平均的な給料は?
厚生労働省のリサーチでは、2017年度のA型事業所の平均給料は、月74,085円となっています。時給に換算すると、818円ですね。
参考:平成29年度工賃実績
6.障がい者就労(オープン就労)
企業は規模によって障がい者を雇う義務があることをご存じでしょうか?
障がい者雇用義務がある会社は、45.5人に1人という計算。だいたい100人従業員がいたら、障がい者を2人雇う必要があるということになります。
なぜ大手の会社は障がい者を雇わなければならないのか
障がい者雇用促進法により決まっています。調べた限りでは、平成20年と平成25年、平成30年とだいたい5年スパンで変更がありました。
障害者雇用について詳しくは、こちらの記事で教員の柳澤さんが説明しておりますので、参考にしてみてください。
7.地域活動支援センター
個人的にはここが一番気に入っていて現在仕事のかたわら、時々行っているところ。
仕事をするわけではないが、特に金銭も要求されないです。予約制ではありますが、相談にのってもくれます。
たまたま場所が良かっただけなのかどうかはよく解らないですが、プロのイラストレーターさんの絵を見ていたら、ある程度自分でも描けるようになったのが嬉しかったです。
また、カードゲームを100種類ぐらい知っている人がいて、試しにパーティゲームについて教えてもらったら、すごく面白そうな遊びを教えてもらいました。
以上が一般の発達障がい者が通う施設となります。
発達障がい者が通所する施設1.デイケア
2.入院
3.就労移行支援
4.B型作業所
5.A型作業所
6.障がい者就労(オープン就労)
7.地域活動支援センター
発達障がいの私が感じる発達障がい者就労の問題点
発達障がいの当事者である私が思うに、現行の障がい者就労は、そもそも見落としをしている点があると感じています。私の主観的には、法律自体が発達障がい者の特性に合っていない法律だと考えられます。
発達障がい者は、基本的に自分のこだわりのために行動しますが、そもそも働かせるのが難しい人や、自分の目的のために働きたいという人が多いイメージです。
基本的に大企業の中に入って駒になっても、喜ばない人の方が多いのではないでしょうか。
無理に障がい者を働かせても、彼らは気まぐれな場合もありますから、最悪の場合バイトテロのような社会的信用を損ねる行為に至るかもしれません。
私が体験した障害者雇用
私はバイトテロではなく、会社の情報管理のいい加減さに怒って内部告発をしましたが、あまり私自身を守ってくれなかったことに行政には正直失望しながら生きてきました。
発達障がい者が何のために働くのかを尊重した仕事選びができる仕組みを考えないと、結局は誰も得をしないような状態になります。
発達障がいを雇用する上で具体的に改善するとすれば?
発達障がい(アスペルガー)の私が考える具体的な改善策は、
- 福利厚生をシンプルにする
- 特技の発表の場を作る
- 仕事という敷居を作らない
- クエスト制やプロジェクト制を好む
- 9時〜17時の勤務は時代遅れ
の5つです。こちらも私の体験をもとに1つずつ説明していきます。
福利厚生をシンプルに
福利厚生はシンプルにしたほうがいいかもしれません。そもそもやりたいことなどのためにお金を使いたがる傾向があるので、会社に勝手に決められても困るんですよね。
田舎に住んでいる場合、住宅手当などは喜ぶかもしれませんが、あまり複雑な福利厚生をつけるより、素直に給料に反映したほうが良いでしょうね。
あえてそれでもやるのであれば、本人のオーダーを直接仲介してあげるのがいいと思います。
あくまでも個人的な意見ですが。
特技の発表の場を作る
私自身も正直興味があるので、たまには何かサプライズが欲しいと考えているケースもあります。
できる限り仕事とは別に、本人の希望を聞いてあげる方法があったら嬉しいですね。
仕事という敷居を作らない
そもそも仕事は彼らにとっての生きがいではない可能性が高いです。
無理に仕事という敷居を作らず、遊びたい時は素直に遊ばせるぐらいの会社があると嬉しいですね。ヒーローものや戦隊ものなどへのあこがれが強い人などは、よほどぴったりな求人が見つからない限り、趣味の方を優先すると思われます。
クエスト制やプロジェクト制を好む
発達障がい者は、自分のやりたいことができれば、むしろボランティアでもやりたがるくらいの方が多いです。1箇所で働くというより、柔軟に働けるシステムがあると嬉しいですね。
そこで私が思うに、ゲームのクエスト制という単発の仕事を意識した雇用形態もあっていいなと思います。
例えば、掲示板のようなところに管理者に仕事の内容を貼ってもらい、好きなことを仕事としてやってもらうのはおもしろそうです。民間ではやっているが、これも恐らく法整備が追い付いていないので、まず国が視察する必要がありそうですね。
ある程度、会社から柔軟に動けるシステムで人脈を増やした方が、彼らの能力の向上にはいいでしょう。ただ、対人関係は苦手な人も多いので、そこは相談しながら決める必要がありそうです。
映画やゲーム会社などでは、プロジェクト制の仕事なども浸透しているが、こうしたシステムをもう少し一般の企業にも当てはめてよい時代なのかもしれないですね。
働く時間は9時から17時は時代遅れ
ハローワークの求人を見るとどうしても9時から17時に働くことを想定された求人が多いですが、そもそも9時〜17時の雇用形態を望んでいないんです。
有事の際の対策さえ考えてあるなら、あとは好きにやらせても良いのではないでしょうか?
フレックスタイム制や在宅勤務が普及すれば、余計な通勤ラッシュがさけれるだけでなく、私たちも働きやすいですね。
以上5つが、発達障がいアスペルガーの私が考えるシステムです。
発達障がいが働きやすい環境
- 福利厚生をシンプルにする
- 特技の発表の場を作る
- 仕事という敷居を作らない
- クエスト制やプロジェクト制を好む
- 9時〜17時の勤務は時代遅れ
結局、発達障がい者とは、どんな傾向なのか?
自分の好きなことにまっすぐな人が多いです。私は絵が好きなので、基本的に好きなクリエイターを追っかけることが人生の大半の趣味です。
社会的地位には興味はありますが、無理をしてまでやるのは何か違う気がするので、リラックスしながら仕事に対してもまじめに取り組みたいです。
でも段々時代は変わってきていますので、未来に期待したいですね。
発達障がい者に対する注意点まとめ
とにかく発達障がい者を精神的に圧迫しても無意味です。特にご両親の皆様方は生活に困窮している場合であっても、金銭の要求だけはぜったいにやめてあげてください。
私は何とか大丈夫でしたが、中には悪い事をしてでもお金を集めてしまう人もいるかもしれません。
とにかく自分の好きなことに没頭させて、余裕があればお金は自由に使わせないと、本来の能力は発揮できないと思われます。
あとは、何の根拠もないのに怒るのだけは絶対に避けましょう。たぶん倍返しにされて返ってきます。
注意点まとめ
- 金銭の要求はしないほうがいい
- 自分の好きなことに没頭させる
- 根拠もなく怒らない
宮本清久
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