この記事では、当事者である私(精神疾患)が言葉の裏にある意味や含蓄や皮肉にとても敏感であることについて研究した結果を綴りたいと思います。べてるの家の当事者研究を目標に、Webで研究発表をしてみたいと思います。
べてるの家では、精神疾病は人それぞれ個性があるのだという価値観に立ち、それぞれが自分の症状について研究しています。
そこで見えてきた、皮肉と被害妄想・関係妄想について、お伝えしていきます。
べてるの家とは、1984年に設立された北海道にある精神障害等をかかえた当事者の地域活動拠点である。就労継続支援B型、生活介護、訪問看護ステーション、ヘルパーステーション、グループホーム等を運営しており、居住者にとっては生活共同体であり職場であり、ケアの場である。
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皮肉はコミュニケーションですか?
含蓄、あるいは皮肉は疲れている人がよく使う気がしています。忙しかったりすると、ついイライラしてしまい皮肉めいたことを言ってしまったりしませんか?
そういうことは誰にでもあることだと思います。
皮肉を言うのが好きな方もいますよね?
そういうコミュニケーションも楽しく感じる気質の方なら問題はないのですが、精神疾患を患っている人や治ったけど過去に患っていたことがある人は、苦手な方が多いです。
皮肉っぽく話をする人にとても敏感に反応してしまいがち。
普段通り皮肉もコミュニケーションのうち、と思って話しているとそういう人には負担が大きく、体調悪化の原因に繋がりかねません。
心が弱っている状態の方や、発達しょうがいなどの影響で皮肉を皮肉だと思わなかったり、ジョークをそのまま受け止めて傷ついてしまう人もいるでしょう。
なので、もしそういう方と話す機会があるのなら、丁寧に分かりやすく皮肉っぽくない話し方を気を付けましょう。
ユーモアを交えて話すと、より安心感を与えるでしょう。
目を見て伝える大切さ
患者さんの中には、自分以外の第三者に言っている言葉が自分に向けられているかのように感じてしまうことがあります。
- 少し遠くにいる人に声をかけている時
- 複数人で話している時
- 誰かが話しているように話している時(抱っこしている赤ちゃんや犬など)
こんな時、誰に言われているか一瞬分からなくなって混乱してしまうことがあるのです。
しばらくすると理解することもありますが、悪口などの場合は「あの子バカだよねぇ」などと別のだれかを名指しされていたとしても「自分に言われている」と不安になってしまうことが多いです。
そのため疲れやすく、傷つきやすいので誰かの悪口を言うのはやめましょう。
話をするなら、できれば一対一が好ましいかも知れません。
仕事の話をするなどの場合も、複数人いるところで目を合わせずに「ああして、こうして。じゃあ、よろしく」ではなく、その人自身に向かって頼むと良いと思います。
なるべくなら「○○さん、お願いね」と指名してあげると解りやすいと思います。
被害妄想の根底を見てみる
被害妄想の奥底には、このような言葉の弊害が存在しています。それは言葉の綾による勘違いかも知れませんが、誰にでも容易に起こりうることです。
精神を病んだことのある人にとっては、それが人より少し多いだけのことです。
精神病でない人はそういう状況になった時【どっちか分からない】というカテゴリーに入れた後【多分妄想だろう】と片付けることが出来ます。
調子の良い時は、僕もそういうふうに処理できることがあります。
だけど【どっちか分からない】という状態のままだと苦しくなるし、それが出来ないととても辛くなります。
【妄想だろう】というカテゴリーに行かなかった思考はしばらく悩みをもたらし、苦しさを与えた後、更に別の【妄想ではない。嫌われている】というカテゴリーに移行してしまうことがあるのです。
そうすると、自分に自信がなくなり、周りを信じることが出来ず、自分自身を傷つけるようにもなってしまいかねません。
【妄想だろう】と思い、本当にそうだろうかなど悩んだりせず、どっちか分からないのだからうやむやにする。
そして、それを忘れてしまう。それが精神が安定している状況なのだと僕は思います。
皮肉と被害妄想と関係妄想の関係
精神疾病の方は、皮肉でないことを皮肉と捉えてしまい被害妄想や関係妄想に陥ってしまいます。被害妄想や関係妄想の奥深いところに、「皮肉」という言葉の不思議が隠れていると当事者は分析します。
もしかしたら、それは本当に皮肉かもしれないし、話している人の無意識が反映されているのかもしれません。しかし、「皮肉かもしれないなあ」「どちらか分からないけれどまあいいや」。
そして時には皮肉で言い返すのではなく、「被害」と受け止めたり、その人との関係性を不自然に想像してしまうことが、病気の裏にある気がします。
そのため、いろいろな意味がとれる言葉は避けた方が良いと思います。日本語は一つの言葉でいろいろな意味に取れる言語なので、わかりずらい言葉ではなく、どこの言葉がどこの言葉を修飾しているかなどに留意して、捉え方が一つになるような話し方をするのがコツです。
皮肉や悪口は言わないで
精神を病んだことのある方、あるいは現段階で病んでいる方は、病気のために傷つきやすくなっているのだと思います。
病気の前は、傷つかなかったささいな言葉でも、深く傷つくことがあります。
”精神疾病を持っている人” にはどちらにでも取れる言葉や皮肉は言わず、分かりやすい言葉を選んでいただけると嬉しいと思います。
日本語は一つの言葉で色々な意味があるから、聞く方も言う方も難しいかも知れませんが……。
落ち着いて考えてみるということ
闘病中の方は、聞き流すことができるようになるととても生きやすくなると思います。
聞き流すということは我慢することではありません。
言われた言葉を真に受けず、客観視してみましょう。
客観視を身に着けるには、行動を日記に書いてみるといいかも知れません。
最初は自分の感情を羅列するだけになるかも知れませんが、書いていくうちに「どうして自分がそう思ったのか」が解ってくるようになると、他人がなぜそう言ったのかがわかるようになるかも知れません。
離れた後は「嫌なことを言われた!」と囚われず、他の作業をするなどして注意をそちらへそらしましょう。
そしてその後はそのことを思い出さない努力をしてみましょう。
記憶は思い起こしたり、考えたりしてしまうほど定着してしまうものです。
嫌な気分になったら、即座に他のことをしてしまいましょう!
精神疾患の方と話す際に気をつけること
精神疾患を患っている方は、とても言葉に敏感であり自分が精神病を患っていることにコンプレックスを感じています。
ここまで読んでいただいたように、少しの言葉遣いで深く悩んだり傷ついたりしやすいでのす。
彼らと話す時は、わかりやすい言葉で、ゆっくりと丁寧に話してあげてください。
皮肉や含みのある言葉は使わないほうがいいでしょう。
また、誰かの悪口も言わないようにしてください。以前の記事でも詳しくご紹介いたしましたが、子供扱いすることは逆効果です。
▼参考▼
精神障害の当事者が語る!「障害者扱いをする」という第二の差別に注意
きちんと一人の人間として尊厳を持って接してあげて欲しいです。
上から目線で「してあげている」ように接したり、過保護になって「かわいそう」と接するのも避けると良いとおもいます。
時間をかけて新しい温かい関係が築けることを願っています。
患者さんの面倒を見ている方は、一人で悩まず家族会などに出て同じ悩みを持っている人と話すこともオススメします。
夏目作弥
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