Sカレという、実際に商品化を目指す大学ゼミ対抗のインターカレッジ。
プレゼン大会の「社会課題を解決する印刷製品」というテーマで優勝された商品が「聴覚障害者」にまつわる商品ということで、今回インタビューをさせていただくことになりました。
お好きなところからお読みください
和歌山大学経済学部・柳ゼミの学生『ライクアス』
今回インタビューさせて頂くのは、和歌山大学の経済学部の柳先生のゼミの
- 馬籠莉央さん
- 上内真尋さん
- 吉村圭祐さん
『ライクアス』といチームで活動なさっている3名です。
改めましてよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
私たちは、和歌山大学の経済学部の柳先生のゼミナールに所属しています。
ゼミの活動としてはSカレ(studentイノベーションカレッジ)という全国の大学が参加する商品企画大会に参加することを通じて、マーケティングや商品企画を実践的に学んでいこうっていうゼミナールになっています。
聴覚障害者にまつわる社会課題を解決する
商品化の権利を獲得しましたので、現在は各テーマの1位同士のチームで次の総合優勝に向けて活動に励んでおります。
聴覚障害者のコミュニケーションツール「ノートラブ」
はい、では簡単に商品の概要を説明させていただきます。
商品の名前は、コミュニケーションを円滑にする筆談具”ノートラブル”となっております。
ノートとトラブルがNOという事でそれをかけてノートラブルという名前になっています。
コンセプトが、指して、書いて、思いよ届け コミュニケーションを円滑にする筆談具。接客業を行う方をターゲットにしています。
ノートラブルの使い方
表紙をめくった1ページ目と2ページ目が指差しシートになっておりまして、もう一度めくった3ページ目の方がホワイトボードになっています。
指さしシートの作り方ですが、まず指さしシート自体が元々白紙の状態になってます。
それぞれのお店によって使うフレーズや言葉が違ってくると思いますので、そのお店内でよく使う言葉を職場の皆さんで話し合って書き込んでいただきます。
2枚目のシートの一番最後の行がピンク色になっています。
こちらには店員さんからだけではなく、お客様からも感謝の気持ちを伝えられるような仕組みがあればと思い、感謝を伝える言葉を記入して、両社が幸せな気持ちになるという工夫もしております。
そしてそれぞれの指差しシート2枚を記入した後に、枠になっている指さしシートはシールになっているので記入後に貼り付ける形になっております。
ノートラブルの特徴
こちらの製品の特長としましては、印刷製品ならではの良さというものがありまして、まず卓上カレンダー形式で自立するので、レジや窓口に起きやすく、目につきやすいという特徴があります。
紙に書いて伝わるので、文字による温かさというのも感じることが出来るのも良さだと考えております。
ノートラブルの独自性
そしてこの商品の最大の特徴である独自性というところなんですけども、指さしシートの内容を職場の皆で話し合って決めるということです。 耳の聞こえない方を思うきっかけが生まれるというのが、この商品の最も大切な独自性となっています。
ノートラブルについてのQ&A
このノートラブルはどのタイミングでお客さんは書くんですか?並んでいるときに書くって感じですかね?
指さしシートはあらかじめ記入しているので、机などに置いていただいて、もしお客様側から筆談したいというご要望があれば、指差しでまずはコミュニケーションを取ってもらって、注文するときに書くというイメージです。
はい。指差しと指差しだけでは対応できない複雑な会話の場合は、ホワイトボードで筆談をしていただくという形になっています。
商品の特徴については理解させていただきました。
ちなみにこの商品をなんで作ろうと思ったんですか?
商品開発のキッカケに迫る
まず社会課題をどうするか?っていうところから商品開発が始まったんですけど、元々は大きな社会課題に目を向けていたんです。
聴覚障害がある方との接客での後悔から
メニューを指差しだったりジェスチャーで伝えきれなかったりしたりして、お客様が不快な思いをしたんじゃないかって後悔した思いがあったんです。 それをチームメンバーに共有したところ、他のメンバーもカフェでアルバイトをしていて同じような経験があるということが分かりました。
そこで改めて考えた時、あまり目を向けられていない社会課題だと思い、この筆談具だったり聴覚障害分野っていう社会課題を解決したいという思いになっていきました。
開発にあたっての苦労
そこで、和歌山県の聴覚障害者協会さんにご連絡させていただきました。
思ったよりも自分たちが関わろうとしている社会課題がすごくアプローチが難しいと感じました。 それが一番大変だったことかなと思います。
やってみてよかった!新たな発見
それこそSカレって活動を通していないと、なかなか耳の聞こえない方が普段どんな生活をされているかだったり、どんなコミュニケーションを取っているかっていう事を考えたことが無かったんですね。
でも、Sカレの活動をしていく中で、例えばヘルプマークをつけているが居たら、その方は周りからはあまり分からないですけど、何か困っていることがあるのかなって視点が生まれたり。
それこそバイト中にその経験があってから常にメモ帳を持ち歩いて、何かお手伝いできることがないかなって意識が芽生えたり、今までの自分の意識とか視点よりもすごく広がったのかなっていう風に思います。
たくさんの人に支えられた
そうですね。
あとは、まだ商品化が決定していない段階で「まだ商品化していないんですけど、これ実証実験したいんです。商品化したら取り扱ってください」っていう無茶なお願いでも、すごく支えてくださる方が多くて、色々な方に支えられて私たちの取り組みができたのだなと思いました。
はい。その結果コンテストも優勝出来たのだなと思っています。
自分達が本気で取り組んでいけば沢山の方々が支えて下さるんだよって知ってよかった思っています。
障害がある方への心境の変化
例えば駅で白杖持っている方が居たら道案内しようとか考えが浮かんだりすると思うんですけど、安易に声をかけても良いのかな?って。
聴覚障害をお持ちの何人かとお話させていただいたんですが、例えばカフェや飲食店に行ったとき、「私は聞こえないので、筆談お願いします」って最初からお願いされている方もいれば「必要最低限のコミュニケーション」の方もいらっしゃったので。
はい。本当に人それぞれ思いだったり、こうしてほしいって考え方が違うので、この活動を通じてお手伝いしたいなって気持ちは大きく芽生えました。
一方で、どうお手伝いしていけばいいかって切り口というか方法も多様ですし、その方に合わせて行かないといけないんだなって凄く感じました。
聴覚障害がある方からの反響
逆にこの商品を実証実験とかもされたと思いますが、当事者の方とお店の方両方の出た意見をお聞きしたいんですけれども、当事者の方から使ってみての感想とか声ってありましたか?
あとは、「情報っていうのは紙に書いて伝えるっていうのが最も確実で安心」というのも当事者の方がおっしゃっていたので、その特徴もちゃんといかせた商品になったのがいいなって思いました。
お店側からの反響
他にも耳が聞こえない方へのどういった配慮をすればいいかを考えるいい機会になったという意見です。
ノートラブルの実際の声から改善
その意見を聞いてもっとこうしよう!という改善点も浮かんでくることがあると思いますが、その点はなにかありましたか?
ホワイトボードの大きさを変えた方がいいって意見だったり、指差しシートがもっと多い方が私の所ではやりやすいって意見だったり、色々意見をいただいたので、どこでも使っていただけるその中間点のサイズを改良できてよかったかなと思います。
断られてしまうことも
そうですね、何件かありました。まず電話で概要をお伝えするのが難しいので、その時点で忙しいのでって断られることもありました。
でもありがたいで事に10団体、今年増えまして28ヶ所ほどになっております。本当にありがたいです。
取り扱いが決定した場所
聴覚障害の世界を体験するイベント
このイベントは和歌山市の地酒Bar「水辺座」様にて店員とお客様との注文を全て無言で行うというイベントでした。
はい。
聴覚に頼ることなくコミュニケーションを行うことの難しさを疑似体験し、商品改良に活かすことを目的にイベントを開催しました。
シリーズ展開も視野に
はい。既にシリーズ化しているものがあります。
- 海外の方向けのノートラブル
- コミュニケーション用のノートラブル
- 病院で使うノートラブル
などです。
へえ、海外の方向けというのは、これから海外からの観光客が戻ってくることが予想されますから、かなり使えそうですね。
誰もがコミュニケーションを円滑に
一番の目標っていうのが、このノートラブルっていうのを使っていただいて誰もがコミュニケーション円滑になって思いを届けられる社会を実現したいのが最終目標です。
それを実現するために、まずはこのノートラブルという物を知っていただくというのが一番大事だと思っているので、今は結構、和歌山県を中心に活動しているんですが、今後はクラウドファンディング等を通して和歌山から全国にノートラブルの認知を広めて、全国的に誰もが思いを繋げられる社会を実現したいのが私たちの大きな今後の目標となっております。
クラウドファンディングを通じて広めたい
クラウドファンディングだったり実証実験だったり注力していますので、支えていただけたら嬉しいです。
クラウドファンディング
ライクアスの学生たちが、耳の聞こえる人と聞こえない人とのコミュニケーションが円滑に行われていない社会課題を解決するためのクラウドファンディング。
「ノートラブル」を製造し、より多くの人たちに届けられるように。
学生たちの挑戦を一緒に応援していければ嬉しい限りです。
クラウドファンディングの詳細は下記になります。
聞こえる人と聞こえない人の架け橋になる! 大学生による筆談具開発プロジェクト
ライクアスの活動については、Facebookにて発信されております。
日野信輔
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