自分を現実とかけ離れた像でとらえ、例えば、科学者になってノーベル賞をとる、お金持ちになるなどの夢はあなたを苦しめていませんか?(もちろん、夢を持つことは良いことです)。
その夢があなたのためになっていて、エネルギーと前向きさの源泉なら良いのですが、その夢はただの執着であり、合理的な理由のないこだわりに過ぎず、あなたをがんじがらめにしていたら要注意です。
そこで今回は、等身大の自分の課題と向き合うことにより、メンタルを安定させる7つのマインドセットについて、僕の経験談を踏まえ、お伝えしていきます。
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「等身大の自分」を自己像にするメンタルへの影響
「等身大の自分」「平凡な人間」の自己像を持った時、視界はクリアになり、頭はクールになります。偉大な自分にどれほどの価値があるでしょう。
そう自分で認めてあげてください。
僕が「平凡な人間」を自己像にすることをオススメする理由には、メンタルが安定するからなんです。
例えば、メンタル的な影響として、
- 妄想にとりつかれなくなる
- 気分の起伏がおさまる
- 冷静になる
- 素の自分でいられて楽になる
- 余裕が生まれる
といった効果を実感しています。これに関しては、1つずつ説明していきますね。
妄想にとりつかれなくなる
まずはじめに「平凡な人間」と自分をとらえることによって、僕はとても心が安定し、心地よい状態になります。
逆に、自分が「すごい人間」だと思っている時は、妄想気味で、注意力が散漫になります。できもしないことを始めて、後が困ることになるのはそんなときです。暴力的になったり、ハイテンションになったりすることにもつながります。
逆に卑小に自分を捉えている時は、自分を誰かが責めているように感じたり、不安や抑うつ的になってしまいます。
気分の起伏がおさまる
2つ目は、気分の起伏がおさまるということ。
「平凡な人間」と自分をとらえられる自分は正気であり、まともな評価を自分に与えていると思います。気分の上がり下がりの起伏を少なくする効果が「平凡な人間」としての自己像にはあります。
「平凡な人間」と自分をとらえられるとき、穏やかな自分でいられます。
冷静になる
そして3つ目ですが、上記のような時、自分はとても冷静でいられます。妄想が少ない、クールな自分でいられるんです。状況を冷静に判断し、ダメなことはダメだととらえられます。
冷静でいることで、日常生活に混乱や破綻が少なくなります。できることには意欲的に挑戦し、できないことにはリスクを考えるようになられます。
素の自分でいられて楽になる
4つ目は、「平凡な人間」と自分を認めることで、素の自分でいられると感じています。けっして、「平凡な人間」と自分を考えることは卑屈になることではないと思っています。
そして、等身大の自分と向き合えるように感じるようになりました。
余裕が生まれる
5つ目として、等身大の自分と向き合うことで、余裕が生まれます。エベレストを登る時、山を見ずに、自分と向き合うように。
誇大妄想から解き放たれ、着実に自分の問題を解決していけるようになります。
以上5つが僕が感じる「平凡な人間」を自己像にすると生まれる、メンタルへの影響となります。
本物の自分と向き合うことが精神治療を助ける
僕の場合、メンタル的にもいい影響があるだけでなく、実際に治療の助けにもなりました。
病気から癒された人には、「一種の落ち着き」があります。くだらない騒ぎには加わらず、静かな生活を守ります。
僕が精神治療をしていく中で、実際に感じたことや気づいたことをまとめましたので、参考にしていただければ幸いです。
偉大な自分じゃなくてもOK
精神治療、精神保健福祉の場では、「等身大の課題」に向き合うことがとても重要に感じています。妄想にとりつかれ、「偉大な自分」にこだわり続ける人は、なかなか治療やリハビリが前に進まない傾向にあると思います。
それは、「やりたいこと」を治療者やリハビリ支援者がとりあげることとは真反対にあります。当事者が、「真の自分」に出会い、「本当に」やりたいことと向き合う瞬間を得る営みだと考えています。
等身大のあなたで素晴らしい
「偉大な自分」に取り憑かれている人ほど、等身大の自分を認めてあげられず、自己評価が低い傾向にあると思われます。等身大の自分を受けれいられた時、どこか「スッと」とした素朴で素敵な自分になれるのだと思います。
「平凡な人間」であるから、後世に名を残すことも、権力や大資産を持ったり、スターにならなくてもいいのです。
悪い時の自己像に陥るメンタルへの影響
今度は逆に、悪い時の自己像も把握しておく必要があります。
モテる自分
これは「恋愛妄想」と呼ばれるものです。現実とかけはなれた妄想によって、自分がモテている、恋愛していると妄想しています。
悲劇の自分
「被害妄想」と呼ばれるものです。私見では「真面目」すぎるときになってしまいます。
「頑張ろう! 頑張ろう!」と思うあまり、自分に鞭打ちすぎ、それが病的な緊張になって、自分で自分を責めているのに、誰かに責められているような気分になってしまっています。
偉い自分
「誇大妄想」です。「平凡な人間」と自分をとらえているときは正気なときです。誇大妄想の厄介な点は、興奮している時は良いのですが、その時の現実からかけ離れた行動により後で困ることです。
関係ある自分
自分にはまったく関係ないものが自分に関係していると妄想し、その妄想から逃れられなくなっている状況を「関係妄想」と呼びます。人間は、人と人の間で「物語」を紡ぎながら生きていると思います。
しかし、その解釈の仕方が異常で病的なのです。自分を全体のなかの一部とうまく感じられていないのかもしれません。
このように悪いときの自己像には、このようなメンタルへの影響が出てしまうのです。
メンタルを安定させる7つのマインドセット
「等身大の自分」こそ価値ある人間です。それは当たり前のことで泣き、当たり前のことで怒り、当たり前のことで笑う人間です。そんなナチュラルな人間が最近、少なくなりました。
「平凡な人間」であることは何よりも難しく、何よりも価値があることなのです。
でも、いきなり「平凡な人間になれ」と言っても難しいかと思います。
かく云うわたしも、病気になる前は上に行くことだけが人生でした。進学校で、野球部で、学級委員もつとめていました。受験をし、トップクラスの会社に入社しようと思っていました。
それは静かで、健康的で、明るい人生です。ゆっくりとなにかを考えたり、感受性の羽を伸ばすことができます。
そんな経験を踏まえ、僕が「平凡な人間」であることを自覚して、メンタルが安定した7つのマインドセットをお伝えしていきますので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
お金以外の世界観で生きる
まず最初にお伝えしたいことは、お金はものとものを交換するためのツールに過ぎません。紙切れが神様のような絶対的な有利さを持ってしまっているのです。ー生活ができればいいのですー。
価値とはお金以外のところにあります。自然も、友達との会話も、多くの芸術を楽しむ機会も、お金ではありません。静かな思考も、面白いひらめきも。
ネットショップでコーヒー豆を購入し、ミルで挽いて飲んでいます。一杯数十円で飲めます。これもわたしの心の健康法の一つです。
人との繋がりに生きる
2つ目は、一人でいるときは孤独で、自分を責めたり、不安がっていても、人と一緒にいれば、その人も「同じ人間」なのです。一人で悩んでいたのがバカバカしくなるでしょう。
そのなかでの泣き、笑いこそ、強い強い薬なのです。
自分のできることから始める
3つ目は、世界ではあまりにも大きすぎる問題が起こっています。そのなかでの葛藤や不安を一人で抱え込むのは当たり前です。
「Think Globally,Act Locally(シンク・グローバリー、アクト・ローカリー)」という言葉があります。これは 「地球規模で考え、足元から行動せよ」という意味。
その巨大な問題を自分の力ですべてを解決しようと思うのではなく、自分のできることから進めていけば、とても生きやすくなるでしょう。
自分のすぐ近くにあるものを大切にしてみるのがオススメです。
本当に欲しいものを知る
4つ目は、欲に溺れず、自分が本当に欲しいものとはなんでしょうか?一度考えてみる時間を取ってみることをオススメします。
生活費が稼げるだけの働きがいのある仕事と、静かに考え事のできる自由。
生きているのが嫌になるような人間関係の苦しみのない空間です。
マインドフルネス・ウォーキング
最後は、歩くことについて。
メモ帳を持って、思いついたことをメモします。その姿が近所でも有名になっています。
運動とメンタルについては、精神科の看護師の大塚先生も説明してくださっております。
富や名声への執着を手放す
権力も有名人になることも本当に必要でなのでしょうか?なにか生活に関係あるのでしょうか?もっと現実のなかから、静かで確実な幸せを得る人生のほうが実りがあるのではないでしょうか。
そんなものに執着したおかげで、たくさんの幸せを失っていませんか?
リラックスして、現実を生きる
妄想に囚われなくなると、リラックスして、笑えるようになります。笑うことは、高い精神的な状態です。「冗談」をいうことができるのは、「現実的」の延長にあると思います。
以上「平凡な人間」になるための7つのマインドセットをお伝えさせていただきました。
ポイント
- お金以外の世界観で生きる
- 人との繋がりに生きる
- 自分のできることから始める
- 本当に欲しいものを知る
- マインドフルネス・ウォーキング
- 富や名声への執着を手放す
- リラックスして、現実を生きる
メンタルを安定させるマインドセットまとめ
「平凡な人間」を自己像とすることで、本当にメンタルが安定するようになりました。「平凡な人間」と自分を捉えられることは、治療が深化している証拠だと感じます。ちっぽけな自分でも、重装備の自分でもなく。
例えば、〇〇高校には入学できなかったけれど、第二志望の△△高校には入学できた、など、必ずしも、トップのみが人生ではありません。どんな学校、会社、仕事にも、さらに上のレベルがあります。東京大学もオックスフォード大から見れば……
自分の上はいるし、自分の下もいる。ただ、自分は自分の人生を一生懸命生きている。なるべく自分に「似合う」人生になるようにしようと思う。それでいいのではないでしょうか?
普通の日常こそ最高に楽しい!
小さな幸せをぜひたくさん見つけてください。
夏目作弥
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