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障害の壁を乗り越え対等に楽しむカードゲーム「タッチャレ」制作|南山大学川北ゼミインタビュー

  • 最終更新日:
障害があってもなくても対等に楽しめるカードゲーム

目が見えない方の娯楽というと、限られた物だけと想像してしまいます。

目が見える方と見えない方が何も壁を感じずに対等に遊べる娯楽がないのか?

 

目の見えない叔父とのエピソードから、障害を持つ方でも対等に遊べるカードゲーム「タッチャレ」を制作し、コンテストで商品化を進めている南山大学川北ゼミの皆様に今回は話を伺いました。

 

タッチャレを制作するにあたっての苦労や、障害を持つ方との関わりなどさまざまな面でお話を伺いましたので、ぜひ最後までご覧ください。

川北ゼミの活動

ジュン
まずは皆様の自己紹介をお願いいたします。

 

田中さん
南山大学川北ゼミ経学部経営学科3年、田中なつ子と申します

 

市川さん
南山大学花川北ゼミ、市川雄大と申します。よろしくお願いします

 

中山さん
南山大学川北ゼミ、中山絵里加です。よろしくお願いします

 

川北ゼミメンバー

 

ジュン
ありがとうございます。それでは、皆様の所属する川北ゼミについての紹介をお願いいたします。

 

市川さん
私たち南山大学川北ゼミは、前期は奈良県にある金魚ミュージアムという所との産学連携を通じて、施設の認知拡大やイベント企画などの活動を行ってきました。

 

後期では、今回私たちが参加させていただいた、Sカレ(Student Iovation College)に参加し、前期の活動を活かして私たちの制作している「タッチャレ」の商品化の権利を得るために活動してきました。

 

ジュン
活動的には、社会課題を解決するという活動をなされていると伺っておりますが、どのような社会課題に対して活動しているのでしょうか?

 

市川さん
私たちは、目の見えない人と見える人の(間に存在する)壁を社会課題とさせていただております。

 

活動のきっかけとしては、私の叔父が目が見えないという実体験があり、小さい頃に叔父と遊べなかったという経験から活動を初めました。

 

活動する中、愛知県にある視覚障害者団体さくらんぼの会というところにお邪魔させて頂いてお話を伺ったところ、私たちは視覚障害者と接したことがないので、どう接してしていいかわからない、失礼なことをしていないか不安というようなことを活動を通して感じました。

 

ジュン
障害のある方とない方の感じ方や課題は確かになかなか実感できませんからね。

 

市川さん
その経験から、見える人と見えない人との壁を感じました。そして、その壁を払拭するために私たちは今回カードゲームを制作いたしました。

 

ジュン
後ほど詳しく伺いますが、カードゲーム「タッチャレ」の制作を含めてさまざまな壁を乗り越えるのが主な活動ということですね。

 

市川さん
はい、そうですね。

 

Sカレと「タッチャレ」について

Sカレ

ジュン
それでは、今回応募なされましたSカレ(Student Iovation College)とはどのようなものなのでしょうか?

 

中山さん
SカレはStudent Iovation Colleの略で、31大学36ゼミ、531名の3年生がゼミ対抗で行うビジネスコンテストになります。

 

コンテストは8テーマに分かれて商品企画をした後Facebookで公開し、いいねの支持を集めて商品化を目指すコンテストです。

 

10月2日に「秋カン」という大会がオンラインで開催され、そこではどのような物をやるかという事で争い、その後12月に本大会である「冬カン」が行われました。

 

ジュン
多くの大学のゼミが集まる、規模の大きな大会なのですね。

 

中山さん
冬カンでは商品化の権利を争うことになり、テーマごとに優勝したものを次の秋カンにて販売実績などを発表する形になります。

 

ジュン
川北ゼミとして、その中の一つのテーマで申し込んだ訳ですね。

 

中山さん
私たちは8テーマの中で、社会課題を解決する印刷製品というテーマで応募させていただました。

 

ジュン
その社会課題を解決する印刷製品が「タッチャレ」ということですね。タッチャレについて詳しい説明をお願いいたします。

 

田中さん
今回Sカレに応募した「タッチャレ」の商品概要ですが、タッチャレは視覚ではなく触覚を用いて遊ぶカードゲームになります。

 

ジュン
視覚ではなく触覚ですか。

 

田中さん
視覚を必要としないので、見える方と見えない方両者の有利不利がなく対等の立場で遊ぶことができます。

 

見える方見えない方両者が障害の壁を感じずに、楽しく気軽に交流できるカードゲームを開発することにより、見える人と見えない人の相互理解と関係構築を促進することを目的としています。

 

ジュン
たしかにカードゲームに関しても従来のものであればどうしても目の見える方が有利になって、なかなか対等な立場で遊ぶというのは難しいですからね。今までもさまざまな壁を感じられたかと思いますが。

 

田中さん
私たちの企画は、目の見えない叔父のエピソードから発案したものなのですが、タッチャレを開発するにあたって、私たちも初めてリアルに視覚障害をお持ちの方と関わらせていただくことになります。

 

実際に関わる前に思っていたのは、私たち見える側と当たり前の事が異なるので、私たちが当たり前だと思う言動によって見えない方を不快にさせてしまうのではないかという不安がその時ありました。

 

ジュン
障害のある方との接し方は確かに迷いそうですね。

 

田中さん
そのような部分があって、思うように接することができなかったんですが、視覚障害がある方から話を聞くと、障害があるからといって気遣われたり、特別扱いされるのは嫌なので普通に接して欲しいとのお話がありました。

 

そのお話から、見える人と見えない人との思いに違いがあるのかなっていうのを感じました。

 

ジュン
そういう部分も接してみないとわからないことですね。

 

タッチャレ開発について

タッチャレを作ろうと思ったきっかけ

ジュン
最初に少しお話しいただきましたが、あらためて商品を作ろうと思ったきっかけや、何故カードゲームにしたのかなど詳しくお願いいたします。

 

市川さん
作ろうと思ったキッカケですが、最初の方にお話しさせていただいたように、私の叔父と遊べなかったっていう経験からですね。

 

カードゲームにした理由としては、既存の視覚障害者の方と一緒に遊ぶゲームを調べたところ、点字トランプや点字UNOなど点字がついたものが多くありました。

 

点字に関して調べたところ、最初私たちは視覚障害者が全員読めるものだと思っていました。ですが、実際は視覚障害者の方でも10%位しか読めないという状況です。

 

ジュン
10%ですか。かなり少ないですね。

 

市川さん
そういう状況を知って、点字を使わないでも遊べるものが作りたいという思いからカードゲームという形を提案させていただきました。

 

ジュン
点字の普及率を考えると、たしかに既存の商品ではみなさん楽しむことは難しいということですね。

 

タッチャレ開発で大変だったこと

ジュン
タッチャレ開発には色々経緯があったかと思いますが、開発で大変なことはどんなことがありましたか?

 

市川さん
タッチャレを作るにあたって大変だったことは、私たちは視覚障害者の方と交流をする機会が少なかったので、視覚障害者の方と接するっていう部分で不安を感じていました。

 

私たちがタッチャレの試作品を持って視覚障害者の方と一緒に遊んだのですが、ゲームを始める前は少し壁と言うか緊張してたのもあって、なかなか接しづらかった部分がありました。

 

ジュン
どう対応していいかわからないと不安な部分はわかります。

 

市川さん
ですが交流を通じて少しずつですが仲良くなり壁が取り払われていきました。

 

田中さん
他に大変だった部分ですが、タッチャレのプロトタイプを制作した際、私たちの立場では視覚障害者の方でも分かりやすくて楽しく遊べるツールとして開発しました。

 

ですが実際に障害を持つ方に試していただいたら、ちょっと使いづらいなとか、このプロトタイプでは触っただけではカードがわからないといったリアルな意見をいただき、見えるという立場から見えない人のことを勝手に想像して、こういうものがいいんじゃないかって作り上げるよりは、見えない人と実際に関わってその人たちの生の声を聞いて商品を作り上げていくことが大切だなっていうことを学びました。

 

タッチャレ開発で嬉しかったこと

ジュン
障害がある方はこのような感じなのだろうかという予想とリアルとのギャップですね。障害のある方とのやりとりを何度もなされたかと思いますが、制作にはどの程度期間がかかりましたか? 

 

田中さん
制作期間に関しては、最終的な形態になるまでに約3か月くらいかかりました。2022年の9月から活動を始めて、12月の冬カンまでに最終形態に持っていった感じになります。

 

ジュン
3か月の間、視覚障害のある方の意見を聞きながら何度も作り直した感じですね。

 

田中さん
そうですね、視覚障害者の方と交流しながら改良点をいただき、なんども改良版を制作してはまた試してもらうという形を繰り返していきました。

 

ジュン
なんども改良するのは大変だったかと思いますが、だからこその完成度になったわけですね。

 

ジュン
それでは、良かったことはどんなことがありますか?

市川さん
商品を作って良かった事としては、商品を開発するにあたって、訪問させていただいた視覚障害者の団体さくらんぼさんと、岡崎盲学校さん。そこで作品を試してもらったのですが、ゲームを始まる前と終わった後ですごい交流が深められたところが良かったことです。

 

タッチャレの特徴

タッチャレ

ジュン
では、実際タッチャレがどのような物か紹介をお願いいたします。

 

田中さん
通常のトランプが1から13までの数字と、ハート、スペード、クローバー、ダイヤと4つのマークを用いるのに対して、タッチャレはマークの代わりとして、フワフワ、ザラザラ、ツルツル、ギザギザの4種類の手触りと、丸、三角、四角、バツという4つの形を用いています。

 

この形の部分が印刷加工によりカードの表面に浮き立っていて、その浮き立っている部分にふわふわなどの触覚のシートを貼り付けています。

 

それによって触っただけでカードの作りを判別できる仕組みです。

 

ジュン
本当にカードを見なくても簡単に判別できそうですね。

 

田中さん
特に視覚障害をお持ちの方は、指先の感覚が優れている方が多いので試した中では間違えることはほとんどなかったです。

 

ジュン
視覚に頼らずとも問題なくプレイできますね。視覚的な意味でいうと、マークの部分は赤で統一されていますね。これには何か意味がありますか?

 

田中さん
初期段階ではつるつるはオレンジ、ふわふわは赤にするなどしていたのですが、実際に試した所、色の違いによってカードが判別できるという部分で、見える人にとって有利に働くのではないかいう意見をいただき、その後全てのてざわり、形に関係なく全ての色を同じ赤に統一しました。

 

ジュン
目の見える方と見えない方、同じ土俵に立てることを重要視なされていますね。

 

田中さん
目の見える方が見た目だけで判断しようとするとほぼ間違える。ツルツルだと思ったけど実はザラザラだったという感じで、目の見える見えないは関係なくなりますね。

 

ジュン
障害あるなしの壁をなくすという気持ちがとても伝わりますね。その辺りかなり意識した感じですか?

 

田中さん
見える人と見えない人との壁をなくして同じ条件、同じ楽しさを共有して対等に遊ぶ。それが私たちのコンセプトだったので、有利不利をなくすというのは一番気を付けたポイントであります。

 

ジュン
対等に遊ぶというのが本当に重要に感じますね。

 

タッチャレの使い方

ジュン
それでは、実際のタッチャレの使い方についてご説明お願いします。

 

田中さん
現在、タッチャレを使って遊べるゲームが3種類あります。その3種類のゲームとして、

 

  • ババ抜き
  • カルテット
  • ぶたのしっぽ

 

と、既存のトランプにもあるゲームなのですが、目が見えなくても同じように楽しむことができます。

 

タッチャレ遊び方

 

ジュン
現状3種類で、今後もっと増えていく可能性も十分にありそうですね。

 

田中さん
最初は1つのゲームのみで商品を企画発表したのですが、そこから冬カンに向けて自分達で考えたり、障害のある方に実際に試していただいたりして、2つゲームが増えて3つという形になりました。

 

これから、また商品開発を進めていく上でさまざまな方に試していただいてする過程で増やして行こうと考えています。

 

ジュン
詳しい遊び方などは現在Facebookに発表されていらっしゃるものですね。

 

田中さん
はい、Facebookで発表しています。補足資料の中に説明があります。

 

視覚障害がある方たちと接してみて

ジュン
タッチャレ制作をするに当たって、障害を持つ方との交流を深められたと思いますが、実際に当事者の方と関わる前と関わった後で考え方の変化などはありましたか?

 

田中さん
関わる前でいえば、不安がありました。見える方と見えない方の当たり前が異なるから、自分の何気ない言動が相手を傷つけてしまったり、壁を作ってしまうんじゃないかという怖い気持ちが特に強かったです。

 

後は視覚障害を持つ方に対して私たちができる限りのサポートをしなくてはいけないという気持ちが強くて、すごく気を遣っていました。

 

ですがタッチャレを通して遊ぶことによって感じたのが、本当に私たちと何も変わらないんだってことでした。タッチャレを使ってゲームをしていると、視覚障害があることを本当に感じずに、ただただ一緒に遊んで楽しいなとか、話していて楽しいなということを一番感じました。

 

後は障害があるからっていって、気遣ったり助けてもらいたいわけじゃなく、自分でできることはやりたいし、できればそうしたいとおっしゃってたことがとても印象的でした。

 

ジュン
障害者だからといって、違う存在ではないということですね。

 

田中さん
見える側の私たちが勝手に、障害があると言うことを重く捉えてたと実感させられました。この交流がなかったら、ずっとこういう気持ちを無意識に持ち続けたんじゃないかなと思います。

 

ジュン
もちろん障害をお持ちの方に対して何かしらの配慮は必要ではありますが、そればかりに目を向けるのではなく、同じ一人の人間として接していくことも重要ですね。

 

視覚障害がある当事者からの反響

ジュン
タッチャレを色々と当事者に遊んでいただいたかと思いますが、さまざまな反響もあったかと思います。その辺りをお聞かせいただければと思います。

 

田中さん
タッチャレで遊んでいただいた時、本当に触っただけでわかるということにすごい喜んで頂けたり、商品化したら一緒に遊びたいっていうお声をたくさん頂きました。

 

そして一番印象に残ってるのが、視覚障害をお持ちの女性の方からもらったお言葉で、「見える世界で生きている人が、見えない人が不便を感じないものを考えてくれたのが本当に嬉しい」ということ。

 

あと、「障害がある私が助けてもらってできることと、自分自身で出来る事っていうのは本当に全然違って、タッチャレを使うことによって自分でできることがまたひとつ増えて嬉しい」と言っていただけてそれが私には印象的で、タッチャレを作って良かったなと思いました。

 

ジュン
まさに、タッチャレによって見える人と見えない人の壁が取り払われた感じですね。

 

世界の視覚障害がある方たちが遊べるように

ジュン
タッチャレの今後なども含めて、今後の目標はどんなものがありますか?

 

中山さん
今後の目標としては、タッチャレを日本だけではなく世界に発信したいと考えております。視覚障害者の方は、日本だけでも約30万人、世界の視覚障害者は約2億人います。

 

本当に言葉も分からない幼い子供とか、言語の異なる外国人の方とかなど世界の総人口79億人誰もが遊べる楽しめるゲームにしたいと考えてます。

 

そのためには外国語の説明を作ったりと色々やること大変だと思うのですが、そういう風にしていきたいと考えています。

 

ジュン
タッチャレの意義を考えると、言語も障害もきっと乗り越えられますね。

 

市川さん
目標としてはもう一つありまして、現在タッチャレに使われているマークの色は赤色なのですが、この色を白にして視覚障害者と見える方がより有利不利なく遊べるような形に近づけていきたいと考えています。

ジュン
今のタッチャレが完成ではなく、今後もっと進化していく形ですね。

 

障害の有無関係なく楽しめる社会に

ジュン
では最後に、この記事を読んでくださる方へメッセージをお願いします。

 

田中さん
この企画をするまでは、自分も視覚障害をお持ちの方と交流したことは一切なかったんですけれども、タッチャレを通じて交流することによって見えない人の世界を初めて知って、視覚障害を持っている持っていないに関わらず、一緒に交流を持てるということはすごい楽しいと感じました。

 

その経験から、もっと障害の有無に関係なくたくさんの人が関われる、見える側の世界の人にそのことをもっと知っていってもらえたら嬉しいなと思います

市川さん
私の叔父が目が見えなくて、娯楽と言うと音楽を聴いたり位だといってたのでこの商品が商品化したらおじさんと一緒に遊んで楽しめたらなと思っています。

 

中山さん
タッチャレを買っていただいて、タッチャレでたくさんの人が色んな壁をなくせる世界を目指したいと思います。

 

ジュン
ありがとうございました。

 

インタビューを終えて

「タッチャレ」を制作した南山大学川北ゼミの皆様にお話を伺いました。

 

目の見えない方との交流を元に、対等に楽しめるツールとして大きな存在である「タッチャレ」。そして、障害があってもそれを特別なものと捉えるのではなく、あくまで対等の立場であることの大切さをかんじました。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

Facebook:Sカレ2022 印刷チーム 南山大学川北ゼミ

 

 

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ジュン

発達障害(ADHD・ASD)と吃音を抱える40代男性。今まで発達障害の事は知らずに生きてきたが、友人の話を聞いて自分にも当てはまる事が多すぎる事を実感し、病院にて診断を受けると見事に発達障害との認定を受ける。自分に何ができるかと考えた時、趣味の写真でプロの先生に話を聞く機会があり、吃音が強く出ていたことに気がついた先生が『君は吃音持ちだね。だったら吃音の方の気持ちがわかるはず。それを活かして吃音の方の気持ちがわかるカメラマンになったらどうか』という言葉を思い出し、発達障害者として同じ気持ち、舞台に立てる人間として趣味のカメラ、動画編集技術を活かして情報発信をする事を決意。


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  1. 板屋さん2

コメント

    • 渡辺聡
    • 2023/11/11

    はじめまして。タッチャレは、どうやったら購入できますか?授業等で活用してみたいです。知ったときにはクラウドファンディングは終わっておりました。残念。

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