障害者雇用の問題が近年注目されていますが、障害者雇用に対してどうすればいいかわからない企業も数多くあるのではないでしょうか。
各企業によってさまざまな取り組みがなされていると思いますが、その中で今回はリモートワークを活用して障害がある方の活躍の場を広げている、DMM.comビジネスクリエーション部にお話を伺いました。
障害がある方がリモートワークを通じてどのような活躍をしているのか。ぜひ最後までご覧ください。
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DMM.comビジネスクリエーション部とは
DMM.comに19年前に入社し、当時はデジタルコンテンツ、いわゆる動画や作品のサンプル画像を用意するような業務をやっておりました。 その後、異動となり社長室にて各部の監査の補佐をしていました。 その時に、弊社の 障害者雇用率が達成してないという課題があり 、私がプロジェクトに参加して 、新たに障害者雇用部門を立ち上げることになりました。 そこから部長を務めて今10年目になっております。 現在はDMM.comだけではなく、DMMグループの障害者雇用率も管理しておりまして、73名の体制でやらせていただいているという状況になります。
経歴としましては、もともとDMM.comで、デザイン部というところに所属しておりました。今、7年目になるんですけど、2018年にビジネスクリエーション部へ異動したという状態です。
障害者雇用専門の部署として2015年2月に設立しました。 本来、雇用は人事部が採用して、各部署に配属させるというやり方をしてると思いますが、私たちの場合は、障害者の方の採用から雇用管理、業務まで一貫してやっています。
※数字は2025年3月1日時点
他の特徴としてはリモートワークですね。コミュニケーション方法として、メールやチームやビジネス向けチャットツール(slack)、ビデオ通話(ZOOM)でコミュニケーションをとっています。それに関連して出社義務なしという特徴にもつながっています。
リモートワークを始めたきっかけ
精神障がいや発達障がいのある方にとって、職場での人間関係は特に努力が必要な部分です。上司との関係を築くのはもちろん、チームに馴染むためには、同僚との雑談を通じて仲良くなる努力が必要になる場合があります。 そういう部分がリモートワーク ではないので、余計な対人関係のトラブルもありませんし、職場定着につながるだろうという利点があるかなと思い、リモートワーク を導入しました。
DMMの障害者雇用における業務内容
他には会員の入退管理や、サービスをリリースした時のページチェックや検証の業務などを行っております。
障害がある方が指名されることも
求められる人物像
勤務態度については、私たちから指示するよりも、自ら積極的に行動できる方を求めています。具体的には、自分で状況を発信し、何がどうなっているのかをきちんと説明できる能力が必須となります。
また、リモートワークだと例えばですが、サボってしまうみたいな話もあると思うんですが、しっかりと責任を持って、自分の担当する業務をきちんと しっかりと遂行できる方を求めています。
技術面についてですが、以前は知識が全くない方へのリモートでの教育は困難でした。しかし、コロナ禍以降リモートワークが普及したことで、基礎知識のある方が増え、教育に関する課題は少しずつ解消されてきています。
現状、デザイナーに関して言うと、私たちの部署が受託している業務のレベルも上がってきていることもあり、過去にデザイナー経験があったり、どこかに勤めていなくても、フリーランスなどで何かしら業務を行ったことが ある方じゃないと、採用水準に入らなくなってきてるなっていうところはあり ます。
デザイナーに関しても、体調を崩して、その後、障害者雇用という枠で復帰してきた方が多いですね。
ビジネスクリエーション部の支援体制
管理者は業務を受けるために間に入るわけなんですが、他の事業部から依頼業務の要件を管理者が聞いて、マニュアルなども充実させ、障害のある方に教育指導や品質担保を行っています。 具体例として、今活躍している自閉症の社員がいます。この方は、言葉遣いやチーム連携、マルチタスクでのスケジュール管理が苦手で、マニュアルにないイレギュラーな事態には自己判断が難しいという特徴があります。 そこで、管理者側では、詳細なマニュアルを作成したり、イレギュラーな事態が発生した際は必ず管理者に確認するよう促したりといったサポートをしています。
この方の場合はチーム連携が苦手でしたが、ソロプレイヤーとしては非常に優秀な方なので、現在は、専門性を活かしてソロプレイヤーとして活躍しています。適材適所で個別の具体的なサポートを行っています。
障害のある方がいかに成長して いくのかという話で、まず新人の時は、業務に対しては常に確認が必要という状況で、ダブルチェックや管理者のチェックを挟みます。その後、最初だけチェックして、その後は抜き取りチェック程度に段階的に軽減していくようなやり方にしています。 入社から2年目に突入したときには、管理者がチェックしなくてもいいような状態にする。その時には業務を一任できる。そういう方になっていただきたいなと思っているので、ここに向けて目標を立てています。
どちらになるかはその人次第かなというところです。現在、管理寄りの人材が不足しているため、ゼネラリスト志向で管理業務に関心のある方が増えてくれると大変助かります。 一方で、スペシャリストとしては、先ほどお話ししたデザイナーのように、名指しで指名されるほどの高い専門性を目指してほしいと考えています。 スペシャリストの育成については、業務の効率性に着目しています。例えば、同じ作業でもスピードに差がある場合、早い人が「どうして早いのか」を共有してもらうことで、全体のスキルアップに繋げています。 具体的に、こういうふうにやってるんだよっていうことを実践してもらったり、あるいはツールを紹介してもらったりしてます。他の業務でも通じる場合はチーム単位でも共有しますし、すべての人が知った方がいいということであれば、横断して広げるっていうことをしてます。
障害がある方の活躍例
課題としては、ちょっと浮き沈みがあるので、月曜日に欠勤するいう特徴がありました。 職場からのサポートとしては、1つ目に複数人で行う業務についてもらうということ。2つ目に管理者がしっかりと、どのくらいの業務進捗になっているかを確認できるような状況にしておくことです。 この方は協調性があり、いろんな調整業務も得意な方でした。 また、一般的に難しいとされる複数の業務を継続してこなすマルチタスク能力も持ち合わせていました。
というのも、本人が望んでない配慮もあったりしますので、配慮する前に本人と相談します。合理的配慮という、厚生労働省が定めている配慮指針があるんですけども、そこに基づきながら、本人の課題に対して、どういう配慮をすればいいのかっていうのを話し合います。 その後も定期的に、この配慮を続けていきますか? どうですか?といった話もしてます。途中でもうその配慮は要りませんっていう方もいらっしゃるので、そういう段階を踏んでいるような形ですね。
今後の展望と当事者に向けて
実は「日本一を掲げている」という目標があります。これは、私たちが掲げているミッション・ビジョン・バリューの中でも、特にビジョンの部分で「日本一、事業に貢献している障害者雇用を目指す」と明言しています。 そのために現在、「事業に貢献している日本一とは何か?」という指標づくりを進めています。今はまだ、その順位や位置づけを数値化するのは難しいですが、少しずつ形になってきており、将来的には外部にも発信していきたいと考えています。 この「日本一」にこだわっている理由は、「障害のある方は決して会社のお荷物ではない」ということを社会に伝えたいからです。むしろ戦力になるということを、私たち自身の実績を通して証明したい。そのために、このような指標づくりをしています。 また、この目標を達成 していくためには支援機関との連携が非常に重要だと考えています。障がい者の方が職場に定着し、最大限に能力を発揮するには、支援機関の専門的なサポートが欠かせません。 たとえば、IT化が進む中でパソコンスキルの水準がどんどん高くなっています。私たちはこの業界で10年以上活動してきましたが、実際に業務のレベルも年々上がっていると感じています。 だからこそ、就労移行支援機関などでも、企業の現場で通用するレベルのパソコンスキル教育を進めてほしいと思っています。 さらに、単にパソコン操作ができるだけでなく、自立して課題を解決できる力も身につけてほしい。それが、これからの障害者雇用に求められる力だと思っています。 また、私たちの課題の1つとして、デザイナー人材の確保があります。現状、デザイナーを育てられる就労移行支援機関はまだ少ないと感じています。都心部には一部ありますが、地方ではほとんど見かけません。今後、そこにも支援の視点を広げてもらえたらうれしいです。 実際、DMMでもデザインの需要は非常に伸びています。これはDMMだけではなく、他の企業でも同様の流れがあるはずです。 多くの企業が広告などにデザインを活用し始めており、障害のある方が活躍できる場が確実に存在しています。そのことを、もっといろいろな企業に知ってほしいですし、「デザイナーを育てても、就職先がない」という現実を変えるためにも、私たちの成功事例を他の企業にも共有していきたいと考えています。 そして支援機関の皆さんにも、デザイナーという職種を見据えた人材育成にぜひ取り組んでいただきたい、というのが私たちの願いです。
終わりに
コロナ禍で注目を浴びたリモートワーク。 いち早くリモートワークの利点に気付いて取り入れてきたDMM.comさんの先見の明によって、障害があっても活躍できる場所ができたことに希望を持った方も多いのではないでしょうか。
障害者雇用は、数字のために進めていくのではなく、企業と障害者がお互いにメリットがある関係が広がってほしいですね。 最後までお読みいただきありがとうございました。
DMM.comの障害者雇用採用に興味がある方へ
DMM.comでは、障害のある方が自分らしく働ける環境づくりを進めています。ビジネスクリエーション部では、リモートワーク中心の多様な働き方と、個別に配慮されたサポート体制を用意しています。
▶ 障害者雇用の採用情報はこちら
DMM公式採用ページ(障害者雇用)
→「在宅勤務可」や「デザイン系」など、職種も多様です。
▶ 活動の詳細はこちら
ビジネスクリエーション部 公式サイト
→ 働く人の声や、業務紹介、取り組みの紹介などを掲載中です。

久田 淳吾

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