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アサーション入門~障害で悩む人がコミュニケーションしやすくなるために~

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「自分は周りの人と違うのではないか……」と悩んだことはありますか?

 

これを書いている私は発達障害(ASD)があり不器用です。会話がギクシャクし、仕事もミスを連発して、ドツボにはまったときもありました。

 

そのような私が人との違いを受け入れて、人と通じやすくなったのは、アサーションを心がけるようになってからです。

 

アサーションとは、自分も相手も大切にする表現方法です。

一言でいえば「私もOK、あなたもOK」。自分も相手も、どちらも肯定する精神があります。

 

ここでは障害があって、コミュニケーションが難しいと感じている方に向けて、アサーションを紹介いたします。

アサーションを発達障害を例に説明すると…

私もそうなのですが、発達障害のある人は同時並行作業が苦手な傾向があると思います。

 

たとえば、マシンガントークな上司の指示を、ひたすらメモに取るなど。当事者にとっては、ピンチに立たされる状況ですよね。

あなたなら上司に、どのような態度を取りますか?

3つのパターンを挙げるので、自分はどれに当てはまるか考えてみてください。

 

上司が早口のとき、どうする?(1)「メモを取るのが苦手なんだけれど……」と、ひとりで悶々とする。

(2)「そんなに早口で話さないでください!」と、一方的に上司を責める。

(3)「指示をメモしたいので、ゆっくり話していただけるとありがたいです……」と、上司にお願いしてみる。

 

(1)上司の話を聞き流すだけでは、自分がしんどいですよね。

(2)自分はよくても、上司がムッとする可能性があります。

(3)自分がメモを取りたいという気持ちも尊重しているし、上司がゆっくり話すかどうかという意志も尊重しています。

 

(3)の言葉遣いや態度がアサーションです。

(1)のように自分を押し込め過ぎず、(2)のように自分を押し出し過ぎず、自分と相手の黄金バランスをめざすのがポイントです。

 

まほ

いきなり黄金バランスをめざさなくても、少しずつで大丈夫です。

 

アイ・メッセージは自分を伝えやすく、相手にも配慮しやすい。

「アサーションが大切なのね。

でも、どうすれば実践できるの?」

 

そんなあなたに向けて、アサーションの第一歩として、アイ・メッセージを紹介します。

 

アイ・メッセージ

アイ・メッセージとは、「私」を主語にして伝える方法です。

 

「私は」と、言葉の頭でいちいち言わなくても大丈夫。自分を主軸にすることで、自分の思いを素直に伝えやすくなります。

 

GOOD!(私は)大声で注意されると、つらいです。

(私は)仕事を手伝ってもらえると、うれしいです。

(私は)早めに連絡いただけると、安心します。

 

アイ・メッセージを発することで、実は相手にも配慮できます。どのように反応するかは、相手におまかせしているからです。

 

私は初めてアイ・メッセージを知ったとき、

「自己主張を相手に押し付けることにはならないの?」と疑問に感じていました。

でも、逆なんですよね。自己主張することによって、かえって相手は自由気ままにできます。

 

ユー・メッセージ

 

ユー・メッセージとは、「あなた」を主語にして伝える方法です。

 

BAD…(あなたは)「大声で注意しないで!」

(あなたは)「手伝わないとダメ!」

(あなたは)「何で早く連絡しないの!?」

 

これらのユー・メッセージは受け入れがたいですよね。痛々しいし、逃げ場もないです。

 

ユー・メッセージは、自分の感情を伝えているようで、実は伝えられていません。相手のことばかり発言して、肝心の自分の気持ちがおざなりになっているからです。

 

まほ

アイ・メッセージとユー・メッセージ。

どちらが心が通いやすいかと言えば……言わずもがなですよね。

 

障害で悩む人がアサーションを身に付ける意味

障害のある人がアサーションを学ぶのは、とても意味があるのではないかと私は思っています。

障害ゆえに、どうしても大多数の人とは違う悩みを抱えてしまう可能性があるからです。

 

私には発達障害の特性(マルチタスクが苦手、聴覚過敏、等々)があります。

仕事の手が止まりそうになることも、しばしばです。

 

「電話で相手が何を言っているのか分からない……」

「隣の人のおしゃべりが気になる……」

「今日中に3つも仕事を終わらせるなんて無理!」

 

「人と違って何でこんな些細なことで……」と、悩みに悩むこともありました。

それでも周りから配慮を得やすいのは、アサーションを身に付けているからでしょうか。

 

「あなたの話を理解したいので、ゆっくり話していただけると助かります」

「仕事に集中したいから、静かにしてもらえるとうれしいです」

「残業になりそうなので、仕事の1つは明日行ってもいいですか?」

 

こんな風に、自分の状況や気持ちを伝えることで、相手がいい方向に動いてくれることが多いです。

 

もちろん、アサーションは万能ではありません。思い通りにならないこともあります。

とはいえ、自分の気持ちを大切にして、相手に一言伝えるだけでも、心の負担が軽くなるのではないでしょうか。

 

まほ

自分を大切にすると、相手からも自分を大切にされやすくなります。

 

アサーションまとめ

 

アサーションについて紹介しました。

 

アサーションとは、自分も相手も大切にする表現方法です。アイ・メッセージを会話や文章を書くときに取り入れてみることで、お互いの心が通いやすくなると思います。

 

アサーションの考え方と手法は、1950年代にアメリカで生まれました。

人種差別や男女差別で苦しんでいた人たちが、自己主張しやすくなるための方法として、広まった歴史があります。

 

だから、自分とは異なる人とコミュケーションしやすくなる方法として、効果的なのかもしれませんね。

 

「私は私のまま」「あなたはあなたのまま」「みんな違って、みんないい」のだと思います。

 

 

合理的配慮についての記事を書いています。

もしよかったら、ご覧くださいね。

↓↓↓

合理的配慮はわがまま?障がい者が配慮を求めやすくなる3つの心構え

 

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2014年に発達障がいの診断を受けて、現在は障がい者雇用で働いています。好きなことは文章の読み書き。苦手なことは計算と器用に立ち回ること。得意・不得意の凹凸が大きすぎて、生きづらさを感じることもありますが、自分や社会との心地良い関係を模索中です。旧PN:あすか。 著書『発達障害の私がほっと楽になるコミュニケーション: 自分らしく働ける話し方 』(Kindle)※ウェルサーチ関係者のご協力のもと、出版させていただきました。


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