障害者雇用の「課題と希望」をeスポーツで解決・実現するオンラインイベント「バリアフリースポーツePARA2020」が2020年5月31日(日)に開催されました。
Welsearch(ウェルサーチ)でも事前から告知などさせていただきましたが、今回の大会もかなり盛り上がりました。
今回は、一般参加の大会だけでなく、障害者雇用やリモートワークについての第一線で活躍なさっている方々とのパネルディスカッションも企画されております。
障害者も健常者も関係なく楽しめるだけでなく、バリアフリーeスポーツの可能性が見えた今回のePARA2020。
障害者雇用をテーマにしたeスポーツ大会とは、いったいどのような大会だったのか、1日の全貌を公開します。
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バリアフリーeスポーツ『ePARA2020』とは
ePARAとは、流行りに乗っかったeスポーツではなく、障害者雇用の促進と支援を目的とした今までになかったeスポーツ団体です。
そして今回の大会は、バリアフリーの視点を取り入れ、完全オンラインのイベントにした「バリアフリー eスポーツ『 ePARA2020』」。
コミュニケーション支援・会話の見える化アプリ「UDトーク」も利用し、リアルタイム字幕で誰もが参加しやすいような大会になりました。
バリアフリー eスポーツとは
バリアフリーeスポーツとは、eスポーツを通じて、「障害者がその個性に応じて活躍できる社会」を実現したいという想いがあります。
障害があってもなくても関係なく、オンラインでコミュニケーショ ンができ、障害者に自分らしく働ける機会を提供することを目的としているeスポーツです。
そんなePARAが開催した今回のバリアフリーeスポーツは、3部構成になっています。
ePARA2020
- オンラインパネルディスカッション
- ぷよぷよeスポーツエキシビジョンマッチ
- ブロスタ大会
今回のバリアフリーeスポーツ大会では、いったいどのようなストーリーが生まれたのか?
一部始終をレポートにして、お伝えしていきます。
ちなみに、当日のオンライン配信は、全編こちらで見ることができます。
第1部:オンラインパネルディスカッション
第1部は、それぞれの分野で活躍なさっている方々の話が聞けるオンラインでのパネルディスカッションです。(動画では、13分50秒あたりから)
テーマ
- リモートワークと障害者雇用
- バリアフリー eスポーツの可能性
リモートワークと障害者雇用
まず1つ目のテーマは、『リモートワークと障害者雇用』について。
パネリストは、以下の方々。
パネリスト
- セガサミービジネスサポート株式会社 代表取締役社長 一木裕佳 氏
- グリービジネスオペレーションズ株式会社 代表取締役社長 福田智史 氏
- ビーウィズ株式会社 執行役員 伊東雅彦 氏
- モデレーター:ePARA代表 加藤大貴
実際にリモートワークはどんなことをしてる?
まず最初に、発達障害のある方々が働きやすい環境を整えているグリービジネスオペレーションズさん。(本社は、ゲームやインターネット事業をしているGREEさん)
コロナで外出自粛になる前から、もともと本社の業務をZOOMなどを利用して、リモートワークをされていたので、この状況でもスムーズに対応されておりました。
福田氏
実際に行っている仕事は、
- リリース前のスマートフォンゲームのデバック(バグの原因を探して取り除く作業)
- QA(Quality Assurance):品質保証
- データ入力
- 請求書の作成
などを行っているとのこと。
コロナの影響でGREEグループでも、電子化が進んでいるので、支障なく仕事ができているとおっしゃっておりました。
とても気になりましたが、これに関しても福田さんが話していただけておりました。
今だと、パソコンもスマートフォンもVPN接続ができるので、これに繋いでいないと作業できない状況にしているとおっしゃっておりました。
メンバー同士で話し合いながらやらなきゃいけないものは、ZOOMで画面共有しながら進めたりして、工夫されているとのことです。
※VPN接続:インターネット上で、特定の人のみが利用できるようにする仕組み
前回のeスポーツ大会で就職した人たちは?
ePARA2019の出場者で実際に、ビーウィズに入社された方々はどのような仕事をしているのか?について、実際にビーウィズ代表の伊藤氏にお話をお伺いしております。
伊東氏
ビーウィズさんでは、実業団みたいなイメージで働いており、eスポーツだけでなく、オフィスワークを覚えてもらっているとのことです。
彼らの夢は、「プロプレイヤーになりたい!」という想いがある。一方で、バリアフリーeスポーツで活躍できる場を作り、まだ才能を眠らせてしまっている方々に背中を見せて、eスポーツプレイヤーを増やしていきたい。
と語る伊東氏。
ビーウィズでは、リモートワークに伴って、
- チャットツールの利用
- TwitterのDM
- ZOOMでミーティング
をしたりして仕事を進めています。
リモートワークになって、全社でコミュニケーションが希薄になってしまっているので、社内でeスポーツ大会をしようとも企画しているとおっしゃっておりました。
働き方改革で社内でもリモートワークを進めている
グループ全体で200名以上の障害者を雇用しているセガサミービジネスサポート株式会社の一木裕佳氏。
一木氏
リモートワークが当たり前になっていく中で、障害者にとっても働く領域は広がると思っているので、新しい仕事もどんどん開拓していきたい。
eスポーツ自体も力を入れている分野の1つで、障害者雇用だけでなく、社内のコミュニケーションツールにもeスポーツを導入していこうと企画している。
と語る一木氏。
また、働き方改革も進めており、障害者だけでなく、誰もが働きやすい環境の一環でリモートワークは、その1つとのこと。
次のテーマは、バリアフリーeスポーツが今後、どのような可能性が広がっていくのかについて、最前線で活躍されている方々からの貴重なご意見が聞けます。
バリアフリー eスポーツの可能性
2つ目のテーマは、『バリアフリー eスポーツの可能性』について。
これは気になるところです。
パネリスト
- 株式会社プレイブレーン 代表取締役社長 マイク・シタール 氏
- 株式会社NTTe-Sports 取締役副社長 影澤潤一 氏
- 一般社団法人ソーシャルインクルージョン世田谷 代表理事 望月雅之 氏
- モデレーター:ePARA代表 加藤大貴
withコロナ時代の追い風になる?
2020年5月6日に「YouTube Live『eスポーツ寺子屋』」を開催された一般社団法人ソーシャルインクルージョン世田谷 代表理事 望月雅之 氏。
望月氏
コロナの影響で外出自粛になり、リモートワークが一般的になった今、技術的なことだけでなく、メンタル的な部分だったりとか、いろいろな就労制度が健常者にも役に立つことが逆にわかった。
と語る望月氏。
eスポーツの今後は、withコロナ時代に追い風になってくるのではないか?ともおっしゃっておりました。
eスポーツと障害者雇用について
株式会社NTTe-Sports 取締役副社長 影澤潤一 氏。
ePARA自体が障害者雇用をテーマにしたeスポーツだが、人事担当者の方が見て、率直な意見を答えていただきました。
影澤氏
ひとくくりに、eスポーツをやっている障害がある方々を雇用に結びつけるのは難しいところがある。
でも、ルールを理解することや、コミュニケーションツールを通じてできるというのは、障害の有無関係なく、就労において必要なスキル。
と語る影澤氏。
実際に、グループ内で障害があるなしにeスポーツを使った部活的な取り組みもしている。
プロが見るeスポーツとバリアフリーの関係
日本最大規模のリーグを運営されている株式会社プレイブレーン 代表取締役社長 マイク・シタール 氏に、eスポーツとバリアフリーの関係について答えていただきました。
マイク氏
弊社もリモートワークを実際に行ったが、思ったよりうまくできた。プレイもできるし、仕事もできるので、会社に来る必要がないことがわかった。
こういった背景からもeスポーツはwithコロナ時代でも十分、可能性がある分野。
と語るマイク氏。
第2部:ぷよぷよeスポーツエキシビジョンマッチ
さて、第二部はいよいよeスポーツが始まります。(動画では、1時間21分ごろから)
最初のゲームは、「ぷよぷよeスポーツ」です。
第1部パネルディスカッションの登壇者の
- 株式会社プレイブレーン 代表取締役社長 マイク・シタール 氏
- 株式会社NTTe-Sports 取締役副社長 影澤潤一 氏
- セガサミービジネスサポート株式会社 代表取締役社長 一木裕佳 氏
- ePARA代表 加藤大貴氏
ら4名によるエキシビジョンマッチとなります。
ぷよぷよeスポーツのルール
ルールは、下記の通り。
白熱した対戦が繰り広げられてます
途中経過は、上記のようになっておりますが、経営者同士の戦いは、果たして誰が勝利したのでしょうか?
普段とは違った面白さを体感することができます。
第3部:ブロスタ大会
ラストの第3部は、いよいよ一般参加者による「ブロスタ大会」。(動画では、1時間59分あたりから)
ブロスタとは?
まず最初に、初心者の方もいらっしゃるかと思いますので、ブロスタの簡単な説明からお伝えしていきましょう。
3分間の時間制限で
- 3vs.3のチーム戦
- バトルロイヤル(生き残りをかけたサバイバル戦)
などのゲームモードで楽しむことができるゲームです。
ブロスタ大会のルール
今回のブロスタ大会のルールは下記の通り。
予選からの流れはこのようになっています。
※同点者が出た場合は、タイブレーカーとして同点者のみ再度バトルロイヤルを実施
使用マップ
使用するマップは以下の通り。予選と準決勝・決勝で使用するマップが異なります。
対戦スタート
と思いましたが、実況の岸大河氏による解説により、見ているだけでも理解しながら楽しむことができました!
決勝のワンシーン
白熱で、かなり戦略的な対戦が繰り広げられておりました!
バリアフリーeスポーツePARA編集後記
いかがでしょうか?
- オンラインのパネルディスカッション
- ぷよぷよeスポーツ大会
- ブロスタ大会
と、最前線の話が聞けただけでなく、すべて違った面白さを体感することができたバリアフリーeスポーツePARA2020。
乙武洋匡氏らが参加された2019年の前回とは、また違った気づきや楽しみ方があったのではないでしょうか?
前回のレポートはこちらにあります。
eスポーツの今後の可能性も垣間見えましたし、これから障害者も外出できない方も関係なく、新たな活躍の場が広まっていくことになりそうで、今からとても楽しみです。
今後もePARAのサイトで、プレイレポートだったりも発信されていきますので、そちらでも楽しむことができます。
2020年6月10日21時〜イベントがありますので、ぜひ楽しみにしていてください。
ePARAのサイトはこちらからご覧いただけます。
次回のイベントも今回とは違った楽しみ方がありそうで、とても期待してます。
日野信輔
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