2017年9月10日(日)に東京ミッドタウンにて行われた「LIVES東京」という福祉イベントにて、ダイアログ・イン・ザ・ダーク代表の志村真介氏が基調講演をされておりましたので、その内容をシェアいたします。
LIVES東京では、さまざまな福祉企業が出展されていたり、安倍昭恵夫人や障害当事者の方のプレゼンなど、とても魅力のあるイベントでした。
時間の関係上、最後までいることができませんでしたが、ダイアログ・イン・ザ・ダーク代表の志村真介氏の基調講演を聞くことができ、その内容が素晴らしかったので、こちらでもシェアしていきます。
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志村真介氏プロフィール
名前 | 志村 真介(しむら しんすけ) |
生年 | 1962年生まれ |
最終学歴 | 関西学院大学商学部卒 |
由来 | 1999年からダイアログ・イン・ザ・ダークの日本開催を主宰 |
もともとダイアログ・イン・ザ・ダークは、1988年にドイツで始まりました。
代表の志村真介氏は、1993年に日経新聞で、博物館を真っ暗闇にして、暗い世界を体感する展覧会がウィーンで開催されているという記事を拝見したのが、きっかけだそうです。
日本も物質的な豊かさは充実され、これからは目に見えないものに価値を置く時代がくるだろうと思い、日本でもダイアログ・イン・ザ・ダークを始めました。
ダイアログ・イン・ザ・ダークについて、よく知らないという方は、下記の動画を参考にしてみてください。
【ダイアログインザダーク闇を歩く】
ダイアログインザダーク代表の講演会に参加してみて
LIVES東京の会場は、六本木にある東京ミッドタウン。福祉のイベントですが、たくさんの一般客がいらっしゃっていました。
外も車椅子バスケのイベントもされており、かなり盛り上がってました!
中の雰囲気は、こんな感じ。
著名人による講演だけじゃなくて、様々な企業さんが出展されておりました。
最新のテクノロジーを使ったツールやアプリなどもあって、ヒントをいただきました。
さてさて、では本題の志村真介氏による講演会の内容をシェアしていきます。
時代は「共存」へ
まず最初に語られていたのは、時代の変遷について。昔は、障害者といったら、外にもまともに歩くことができず、隔離されていることが多かったです。
つまり、障害者と健常者が別れていた時代でした。しかし。今は、「統合」の時代。障害者も健常者も一緒に協力して生きていく時代です。「共存する時代」ですね。
みんな一緒。一緒に楽しもうというのが重要視されています。バリアフリーの風潮も高まっており、車椅子が入れるところも増えてきてますね。ここで有名な名言を紹介されておりました。
「私達が唯一の学ぶ方法は遭遇にある」
by, Martin Buber
ユダヤ系の哲学者「マルティン・ブーバー氏」の言葉です。ネットで気軽に繋がることができる時代ですが、その分、関係が希薄になってしまいがちです。
関わりの消えた国、日本。日本人は今幸せなのでしょうか?と問われていました。そのような世の中だからこそ、リアルの関係がとても大切になってくるとおっしゃっていました。
ダイアログインザダーク共通のテーマ
ダイアログ・イン・ザ・ダークさんは、世界で42カ国に展開しているのですが、すべての国で共通認識となっているテーマ(コンセプト)があるみたいです。そのテーマとは、
- どこまでも真っ暗(1日いても慣れることのない真っ暗闇)
- チームで体験する(8〜10人以内)
- 案内人は視覚障害者
ということ。けっこう勘違いされている方も多いみたいですが、このイベントは、「視覚障害の疑似体験ではない」とのことです。
どういった認識なのかというと、「視覚障害者とともによりよい社会へ変革する対話型エンターテイメント」となっているのです。
常識とは何なのか?
通常、生きている上でほとんどの人は、「健常者が視覚障害者を助ける」という常識があるかと思います。でも、ダイアログ・イン・ザ・ダークは、逆転の発想をされております。
「視覚障害者が健常者を助け、一緒に楽しむ」ということ。ダイアログ・イン・ザ・ダークでは、目が見えないことが雇用条件だそうです。
だから、目を使わない経験が豊かな全盲の方が有利になるんです。現状、日本では、弱視の方もそうですが、全盲の方ですと、ほとんど仕事の提供ができていないです。
この現状を打破しているのが、ダイアログ・イン・ザ・ダークさんなのです。
障害を能力に変える
ところで、障害者の平均賃金をあなたはご存知でしょうか?B型のみですと、約15000円。最低賃金で雇用するA型もいれたらおよそ4万円ほどなのが、日本の現状となっております。
障害者の平均年収や月収については、こちらの記事で詳しくお伝えしておりますので、参考にしてみてください。
ダイアログ・イン・ザ・ダークでは、障害者の収入にも貢献されており、
- 目を使うスタッフ
- 目を使わないスタッフ
時給は、同じ値段だそうです。このことによって何ができるようになるのかと言いますと、障害者でも「年金受給者から納税者へなることができる」ということなのです。これは本当に大きな出来事ですよね。
〇〇だから…と思っていたらチャンス!
また、志村氏は講演の中でこんなことも話されておりました。例えば、
- こどもだから…
- 大人だから…
と聞くと、後ろにはマイナスの言葉が続いちゃいますよね。「子どもだから○○できない…」といったように。でも、これも逆転の発想です。たった2文字をつけるだけで、その人の個性や魅力が目に入ってくるようになってくるのです。
その2文字とは、「こそ」です。この「こそ」という2文字を入れるだけで、まったく違ったポジティブな発想ができるようになるのです。
- こどもだから「こそ」…
- 大人だから「こそ」…
「大人だからこそ○○ができます!」といったように考えてみると、自然と長所が見えてくるのです。この考えは、特に障害者や生きづらさを抱えている方は、ぜひ参考にしていただきたいです。
目が見えないから「こそ」、できる仕事でお客様に価値を提供しているビジネス。それが、ダイアログ・イン・ザ・ダークさんです。この逆転の発想から生まれたものだったのです。
ダイアログインザダークの取り組み例
ここで少し話は、変わりますが、あなたは子どもたちが孤独を感じている1位の国をご存知でしょうか?
…
…
…
なんと日本がダントツ1位なんです。以下のグラフを見てください。
自分は孤独だと感じる子どもの割合
出典:07年度の国連児童基金(ユニセフ)イノチェンティ研究センター
これだけ豊かな経済成長をしているのに、子どもたちは寂しいと感じている現状です。そこで、ダイアログ・イン・ザ・ダークさんは関わりを重要視しようと、いろいろなところでイベントを提供されております。
例えば、佐賀県は平姓28年〜年間1000名以上が学校の授業でダイアログ・イン・ザ・ダークを取り入れました。渋谷区もオリパラの教育でダイアログ・イン・ザ・ダークを取り入れてきております。
思春期の時期にこういうことを経験すると、「人は対等なんだ」ということが体験からわかってくるみたいです。例えば、
「車の通っている音の方向性で分かるよ!」などといった会話が出てきます。このような経験から、当たり前と思っていることが当たり前じゃないということも感じ取ることができます。
関わることによって、みんなで成長していっている。そんな取り組みをされております。
ダイアログインザダークのミッション
ダイアログ・イン・ザ・ダークさんは、今後どのようなことを考えていくのか?それも発表されておりました。
それは、「ソーシャル・キャピタル」。これはどういうことかと言いますと、社会関係性資本の増大を重要視していくとのことです。
そのために、人が優しくつながっていくイベントを開催していくとのことです。
ダイアログインザ・ダークの次なる挑戦
視覚障害者だけでなく、他の障害、高齢者まで考えていらっしゃいました。
- 見えない:視覚障害者
- 聞こえない:聴覚障害者
- 歳を重ねる:後期高齢者
これも先ほどと同じ考えで、ネガティブと考えられていることを逆転の発想で展開していくということです。すでに「ダイアログ・イン・サイレンス」を2017年8月に開催されました。
これは通常の音声を使わずに、コミュニケーションをするイベント。こんな感じでやっているみたいです。
音は一切ないので、パフォーマンスは、手や表情などになります。手や表情で遊べるエンターテインメントです。
なぜ今立ち上げたか?
なぜ今、このような事業を立ち上げたかの理由も述べておりました。それは、「それぞれの国から来た人たちにウェルカムできる表情をみんなができるように!」という想いがあったからとのことです。
相手に合わせるのではなく、お互い異なる文化・関係が融合していけるように。そうおっしゃっておりました。
編集後記
いかがでしたでしょうか?ダイアログ・イン・ザ・ダークさんについては、以前から知っておりましたが、こんなに深くお話を聞いたのは初めてでした。
志村さんがおっしゃっていた「逆転の発想」。これは本当に重要だと思います。ダイアログ・イン・ザ・ダークさんは、これからもどんどん新しい取り組みをされていく予定ですので、自分もいろいろと学ばせていただきます。
やはりまだまだ「障害者が働くことは難しい」と思っている方がほとんどです。障害者だからこそできるもの。そこを意識して、自分も障害者の働き方でしたり、障害者が世の中に価値を提供できるものというのをより一層考えていこうと思いました。
障害者でも価値を提供することはできます。さらに、そこにアンテナを張って、過ごしていきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。あなたのご意見や感想などもぜひお聞かせいただけますと幸いです。
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日野信輔
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