TV制作の会社を経営しながら、「障害者と健常者が一緒に暮らす」がコンセプトの川崎市にあるシェアハウス「MAZARIBA」を運営されている内田勉さん。福祉の専門家や当事者が発信するWebメディア「Welsearch(ウェルサーチ)」の編集長である日野。
『ウェルトーーク!』とは、この2人による、一般的な福祉の支援とは、ちょっと違った福祉のアウトサイダーの2人が提供するによる参加者も一体なって進めていくトークライブです。
2019年3月3日(日)に、「ウェルトーーク!」の第3回目を開催しました。この記事では、YouTubeでライブ配信した動画だけでなく、トークライブの書き起こしをしております。当日、見れなかった、参加できなかったという方も見れる・読めるようにしました。
第3回目のゲストは、介護福祉士として現場で支援をされているだけでなく、介護教員としても活躍されている坂元さんをお呼びして、「介護」について、多くの質問をさせていただきました。
長くなってしまいましたので、2つの記事でご紹介してまして、今回は最初の記事です。最初の記事では、坂元さんの自己紹介から、高齢と障害の介護の違い・介護と支援の違いや介護の歴史など、介護にまつわる情報をたっぷり話していただきました。
こういうことって意外と知らない方も多いのではないでしょうか?このような介護の本質を知ることによって、これから介護に携わる人も現在すでに介護に携わっている人も「介護の仕事のやりがい」に繋がってくるでしょう。ぜひ介護の原点を見つめ直し、今後の介護に生かしていただければ幸いです。
お好きなところからお読みください
ウェルトーーク!vol.3
「ウェルトーーク〜vol.3」では、ゲストをお呼びいたしました。20年以上も介護職に携わっており、介護福祉士としてだけでなく、教員としても介護関係のセミナーや講師をされている「坂元 英之」さんです。
坂元 英之(さかもと ひでゆき)さん
プロフィール
介護の仕事に就いて 24年目。介護老人福祉施設にて介護福祉士として従事しながら介護職員初任者研修、介護福祉士実務者研修、介護福祉士受験対策等の講師をしている。介護教員。「利用者さんが思う、これからの過ごしたい生活とはどのようなもの?」「今の僕は社会資源の一つとして何ができる?」をキーワードとして関東地方を中心に全国で活動している。いくつかのセミナー、勉強会のスタッフとしても活動している。 DJとしても活動しており主にHOUSE、Abstract、AmbientをPLAYしている。
まず最初に「ウェルトーーク〜vol.3」の動画になります。聴覚障害者の方や動画よりも文章の方がいいという方のために、書き起こしの文章もありますので、お好きな方でご覧になっていただければ幸いです。
第3回目の動画になります。
ウェルトーークとは?
本業はTVディレクターで、ニュース番組とかを作っているのですけど、その合間をぬって、こういう障害者と健常者が一緒に住むシェアハウスの運営を、2018年11月から始めています。ただいま入居者募集中なので、よろしくお願いします。
もし質問とかあれば、随時ばんばん投げていただいて構いませんので。
では、さっそくゲストですね。
なぜ介護職を選んだのか?
そもそもなぜ介護職を選んだのか?という質問。自己紹介の深堀じゃないですけど、なんで介護を始めたんですか?
例えば、レクリエーションを一緒にしていたりとか、お祭りに対しての支援などをボランティアでやっていたんですが、それの延長上で子どもたちと、例えばキャンプだったりとか、野外活動とかを通して、何か活動ができないかな?ということを思って専門学校に行きました。
専門学校に行った時に資格として、「レクリエーションインストラクター」を取得しました。他の介護の学校では、介護福祉士と一緒に取得できるような時代だったんですけど、うちの学校では特にレクエクリエーションにすごく力を入れている学校だったんです。
でも、うちの学校は教育と福祉に特に力を入れていて、他の学科であれば例えば介護福祉士。あとは当時だとヘルパー1級と言う資格や心理の資格があったので、カウンセラーなどを目指す人もいました。
色んなところがあったんですが、就職するのに特別養護老人ホームなどの老人ホーム系の就職。あとは病院がほとんどだったんですよね。98%ぐらいは、そういうところの求人ばかりでした。
バブル崩壊で余暇活動の需要がなくなった
「もうそんな余暇に時間を使っている時間はない!」って。
ただ、僕自身がどうしても人と関わる職業をしたいというのがずっとあったんです。機械相手ではなくて、特に人を相手にした職業につきたいと思っていました。
ちょうど学校自体も福祉の学校だったので、介護というところに入ってみようかな?というのがキッカケでした。
普通に利用者さんを生活支援や介護をしてきて、自宅に帰るというのが、それが普通の1日の生活ですね。
介護教員になった経緯は?
障害関係、福祉関係の魅力発信の1つとして、その参考に教えていただければ幸いです。というものでした。
そうした時に、僕が元々レクリエーションやキャンプの方の指導員を目指していたという話をする機会があったんです。介護でも資格の教員や講師はできるんだよという話を聞いたんですよね。
その人が「今度新しく横浜にキャンパスを作るんだけど、もし興味あるんだったらやってみないか?」という話をいただいて。今「初任者研修」という昔で言うとヘルパー2級の資格ですが、講師となると介護福祉士を取得して、福祉施設で3年間しっかり働いたという経験があれば、講師には一応なれる要件にはなります。
一応要件としては満たしていたので、話し合いをしてやってみますか?という形で今に至るということです。
講師と現場の比率は?
介護福祉士として、特別養護老人ホームで働いている方が多いかなということですね。現場で働いているということです。
高齢と障害の介護の違いは?
まず、そこから知っていっていただくといいかな?と思います。「WHO(世界保健機関)」が高齢者をきちんと全世界共通の規定しておりまして、高齢者と言われるのは65歳以上なんです。
いろんな障害がありますが、障害を持っている中で、自分で何か職業ついて、お金を稼がないと人間は生きていけないと言うところ。日本では、その部分があると思うので。
職業をしながらの支援か・老後の生活の支援か
- 仕事(就職)ができるようになる
- きちんと1人で生活をできるようになる
というところまで、すべてを含んで「介護」というところになってくるのだと僕は思うのですね。
高齢者というところになると、一応65歳以上です。今は日本の中で言うと、全日本の人口が働くというようになると、雇用の年齢が伸びたり、その設定をなくしてきたり、というところはありますが、今でも基本的には60歳が定年という企業が多いですよね。
でも、年金だけでは暮らせない人がたくさんいるというのは現実です。では、それ以降どういう風にしたら仕事ができるのか?というところがあると思います。
でも、基本的に日本の考え方で言うと、65歳以上は年金で暮らすから、65歳になってからどういうような生活設計を今後組むか?ということをどういう風に支援していくのかというのが、介護としてはある。
65歳以上の高齢者の方に場合に関しては、今後年金の中で、そこから自分の死が来るまでどのような生活をしていくために、どういうような支援が必要なのか?というのをしていくのが介護というところかなと思います。
高齢と障害の介護の違い
- 高齢者:65歳以上で、自分が死ぬまでどのような生活をするのかの介護
- 障害者:最終的には就職(自立)を見据えた生活の介護
介護というと、例えばお風呂やトイレの介助とか、そういったイメージでしたが、生活全般をサポートする?
懇親会の風景
介護は生活全般・生命の部分までをサポート
障害者の事で言えば、法律で言うと障害者の「総合支援法」。介護で言えば、「介護保険法案」の前文で必ず言われているのが、「尊厳の保持」という言葉が使われているんです。
今までは、すごく専門的な事になってしまうかもしれないのですが、社会福祉法及び介護福祉士法という法律があるのですが、それが今おっしゃられたような、
- 入浴
- 排泄
- 食事
- その他の介護
というようなところで前文というのは作られていたのですね。
なので、基本的には衣食住の部分がまず、人間が最低限生きていく部分を介助なり、介護で守っていければいいよという言い方にも読み取れたのです。
ただ、それが尊厳の保持という言葉に変わったのが、2007年です。2007年以前は、そういう部分がずっと日本としては残っていたというのが現実なのかな?というところであります。
人を介して命を護るのが介護
人を介して命を護るというのが、介護の基本の言葉になってくるので。では、命だけを護ればいいのかというと、そういうことではなくて、ということですよね。
その人らしく生活ができる。その人らしく生きていくことができるということを、支援できることが、今求められている介護なのではないかな?と思うのですよね。
こういう感じにしてもらってもいいですか?3つでお願いします!
介護の歴史から考える
今まで介護は何かというと。認知症をお持ちの方とか、障害をお持ちの方は、昔からいらっしゃったわけですよね。全部その人たちを集団で見ればいいじゃん?という感じだったのですよね。
なので、未だに昔から建っている施設、田舎だったりとかは、人目につかないところにしか建てられていなかった。要は、高齢者でも、昔、認知症という形が理解できなかったから「キチガイ」というような言い方をした。ごめんなさいね。アレですが。
そのような言い方で、例えばそういう人たちをみんな集めて、集団で見ればいいでしょう、と。1人1人ではなくて、1つの認知症の人たちの集まりというような形で見ていたと。
それを今の形でいうと、1人1人きちんとその人に合った形での支援にする必要があるよね?という形に変わったということですね。
介護と支援の違いは?
【参加者】
介護と支援の違いってなんですか?
【参加者】
介助は生命まではいかないということでしょうか?
介護と支援の違い
- 介護:人を介して命を護る(生命まで考える)
- 支援(=介助):人を介して助ける(トイレ・お風呂など)
介護福祉士とサービス介助士
【参加者】
介護福祉士よりかは、サービス介助士は軽いということ…?
「人を介して助ける」というところなので。その人のできないところを支援する。できないところを支援します、助けますよというニュアンスなのかな?と僕は思うのですが、すごく言葉としては難しいですね。
あれはお客さんに、触ってはいけないみたいですね。鉄道の駅員さんなどのサービス介助士が、触っての介助はしてはいけないと聞いた覚えがあります。相手が触るのは良いのですが。自分自身が触って介助をするのはダメみたい。
【参加者】
国家資格ではないですよね?
でも、いろんな大手企業さんは、取っているところが多いですね。
タクシーにも介護の資格が有効
それはなぜかというと、病院での送迎とかで行った時に、例えばタクシーに乗っていて、病院の車いすに移動してもらう。移乗してもらう時に、資格を持っていないと、身体に触れられないんですって。やっぱりきちんと資格を持っている人ではないと。
もしくは、資格を持っている人が助手席に乗っていればいいそうです。見てみる人がいて、「こういう風にすればいいんですよ」という指導をする人がいればできるらしいんです。
でも、そういう理由でタクシーの運転手さんとかも、資格を取りに来られているというのは実際に受講生さんでいらっしゃったりしますね。
最後に
第3回目の『ウェルトーーク!』は、いかがでしたでしょうか?介護教員をされているので、介護について普段あまり考えない部分まで、かなり詳しく語っていただけました。
高齢の介護と障害の介護の違いは、65歳以上のこれから死ぬまでの生活の介護が高齢者。就職や自立を目指した生活の介護が障害者。といった違いがありました。
そして、介護と支援の違いは、「人を介して命を護る」という命の部分まで考えるのが介護。逆に支援(=介助)は、「人を介して助ける」といった違いがある。介護と介助は、言葉は似ているけど、意味合いは違ってくるのですね。
2つ目の記事では、これから介護職で働きたい人へ知っておくべきポイントや、親の介護をするにあたって知っておくべきポイントや終活について、とても役に立つことを語っていただきました。
では、第2回目の続きは、こちらからどうぞ。
一緒にパーソナリティーをしている内田さんが運営しているシェアハウス。川崎市にある障害者も健常者も一緒に住める「MAZARIBA」も随時、見学は無料で受け付けております。福祉とはかけ離れたテレビ業界で活動されており、少し違った目線から障害者福祉のことを知ることもできるでしょう。
そして、第4回も『ウェルトーーク!』を開催する予定です。4回目もYouTubeやFacebookのライブ配信をしていきますので、遠方の方でも参加することが可能です。次回のゲストは、日本初となる障害者が障害者の起業支援・生活支援をしているNPO法人BPKS-JAPANの理事長 野田徹さんです。
詳細はこちらからどうぞ。
→ ウェルトーーク!
『ウェルトーーク!』も皆さんと一緒に作り上げていきたいと思っておりますので、「こういうトークが聞きたい」・「○○さんとのトークライブが聞きたい」といったご要望がありましたら、お問い合わせからいつでもリクエストしてください。
日野信輔
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