あなたは、自閉症スペクトラム障害(自閉症スペクトラム症)という言葉は聞いたことはありますか??
以前までは、
- 「アスペルガー症候群」
- 「広汎性発達障害」
などに分けられて別の障害と解釈されていました。
しかし、ここ最近では、別の障害として捉えるのではなく、同じような一つの障害として考えるようになってきたことから包括して、「自閉症スペクトラム障害」といわれるようになってきました。
このようなこともあり、自閉症スペクトラム障害について、正しく理解されていることがまだ少ないことから、今回は自閉症スペクトラム障害の特徴から日本における人数、支援方法まで分かりやすく書いていきます。
自閉症児を持つ親御さんや周囲の支援者の方にお伝えしたいメッセージも込めておりますので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
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自閉症スペクトラム障害と診断されている人数
自閉症スペクトラムは、女性よりも男性に多い障害といわれ、その割合は女性の約2~4倍程です。
生活に支障があり、医療的・福祉的なサポートが必要な人数として、20~50人に1人が診断されています。
以前までは、広汎性発達障害、アスペルガー症候群などは別の障害と考えられていたため、今回の人数は増えているはずです。
もちろんこの中には、診断を受けていない方は含まれていません。
ただ、診断をされていないだけで、困難さを抱えている人(いわゆるグレーゾーンの方)を考えると、より人数は増えててくると思います。
自閉症スペクトラム障害(ASD)とは
自閉症スペクトラムは簡単にいうと、「対人関係が苦手」や「強いこだわりがある」などの特徴がある発達障害の一つです。
英語では、(Autism Spectrum Disorder:ASD)と呼ばれています。
最近では、1歳半頃に指摘されることもあるそうです。
この障害をイギリスの精神科医であるローナ・ウイングは、
- 社会性の障害
- 社会的コミュニケーションの障害
- 社会的イマジネーションの障害
の3つの障害と定義しました。
この3つについては、次の項目で一つずつ説明していきます。
1:社会性の障害
社会性障害とは、他社と関わりをもつことが基本的に困難なことです。
例えば、集団に合わせながら行動していくことが苦手、他の人と交流することに関心がない、他社と交流をとることが困難などがあげられます。
この社会性の障害は全く成長しないわけではなく、ゆっくりと発達していきます。
何事にもチャレンジし、経験させていくことで発達していきます。
2:社会的コミュニケーションの障害
他者とコミュニケーションをとることが基本的に困難な方です。
先ずは、他者とコミュニケーションをとるためには、
- バーバルコミュニケーション(言語的コミュニケーション)
- ノンバーバルコミュニケーション(非言語的コミュニケーション)
の両方を読み取り、感じ取ることが大切になってきます。
しかし、自閉症スペクトラム障害の方は、相手の表情を読み取ることが苦手で、自分のことを一方的に話をしたり、言葉をそのまま繰り返したりしてしまうことがあります。
そして、難しい言葉を使うこともありますが、その言葉を理解して使用していない場合もあります。
会話をする場合には、言葉のみを読み取り、意味を理解できていないことも多々あります。
自閉症スペクトラムの方と関わる場合には、分かりやすい表情で、かつ、簡単な言葉で説明していくと相手が理解しやすくなります。
自閉症スペクトラムの方とのコミュニケーションについては、サポートひろがり代表の山田由美子さんが、詳しく解説してくれていますので、参考にしてみてください。
3:社会的イマジネーションの障害
こだわりがあるということは、イマジネーションの欠如といわれています。
変化することをかなり恐れ、嫌います。
経験したことがないことを想像することが苦手なので、見通しを持つことが難しい場合が多くあります。
そのため、安定したいということから、いつもと同じパターン・同じ行動をしがちになります。
同じ行動をとろうとしている時に例えば急に予定を変更することで、見通しが持ちにくくなり、パニックを起こすことがあります。なるべく、相手の安定のために意思を尊重させてあげることが必要になってきます。
ただ、日常を送っていると、急に予定を変更しなければならない時もたくさんあると思います。
その場合にはなるべく早めに分かりやすく、伝えてあげてください。
本人が納得することで、スムーズに動いてくれることもありますので、イライラせず、本人との駆け引きを楽しむことが大切なのかもしれません。
パニックになってしまった際の対処法についても、サポートひろがり代表の山田由美子さんが、詳しく解説してくれていますので、参考にしてみてください。
自閉症スペクトラムは環境や親の責任なのか?
以前は親の子育てや環境が悪いといわれていた時代はありました。
自閉症スペクトラムは、脳機能の障害です。
特に親御さんの方たちにお伝えしたいことは、
関係ありません!
ということです。
脳機能に障害があることで、理解することに少し時間がかかり、イメージをすることが少し苦手です。
そんな彼ら彼女らの特性を理解してあげて下さい。
相手の特性を理解することで、ゆっくりですが関わられる側も関わる側も必ず成長していきます。
自閉症スペクトラムの方の成長はゆっくりですので、時間はかかりますが根気強く関わって下さい。
自閉症スペクトラムと疑われる子供たちの特徴
自閉症スペクトラムの子供たちの特徴をまとめておきますので、参考にしてください。
自閉症の子供の特徴
(1)名前を読んでも振り向かない。
(2)ひとり言が多い。
(3)言われた言葉をそのまま繰り返す。
(4)こだわりが強い
(5)食べ物の好き嫌いが強い。
(6)視線が合わない。
(7)表情が乏しい。
(8)触られることを嫌がる。
上記8つが、自閉症スペクトラムの特徴です。
ただ、以上の項目に当てはまるからといって、全てが障害というわけではありません。
子どもが生まれ、心配の場合には医師や専門家に相談してください。
自閉症スペクトラムの当事者の周りの方へ
自閉症スペクトラムの障害は、脳機能の障害から興奮して大きな声を出してしまったり、パニックになったりしてしまうことがあります。
それは、自分の中で予定が変わってしまった場合や納得できなった場合など、様々なことが考えられます。
しかし、自分で納得したり、見通しを持つことができたりした場合には、自然と落ち着いてくることが多いです。
冷ややかな視線を送る
というのではなく、
難しいかもしれませんが、
暖かい視線を送って
あげてください。
自閉症スペクトラムの方は、周りの視線をとても敏感に感じとります。
冷ややかな視線を感じることで、他者とコミュニケーションをとることに距離をおいてしまうこともあります。
周りの方はどうか暖かい視線を送り、救いの手を少し伸ばし、たすけあえる関係を作ってあげて下さい。
自閉症児を持つ家族や当事者の方へ
周りの人に迷惑をかけないように、なるべく他者と関わらないようする等、最初から生きづらさを感じている方は多いと思います。
今は少しずつ障害の理解も深まりつつありますが、まだまだ差別的に思う方、良くは思わない方もいるとは思います。
しかし、障害のことを受け入れてくれる人は必ずいます。
人達と一緒になって、
子供の時から多くのことを
経験させてあげてください。
将来、見通しをもちやすくなり、本人にとって生きやすい人生になるかもしれません。
当事者と関わっていくことは苦労が多く、大変です。
一人で悩み、抱え込まずに理解してくれる方に相談しながら、たすけあえる関係性を作り、様々な人に協力してもらうことが必要です。
相談できる人や団体がない場合は、いつでも下記お問い合わせからご相談ください。
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