障害のある方の将来に不安を抱えている方がたくさんいると思います。
特別支援学校の教員をしていて、相談などにのっている中で、
- 親がいなくなった時に障害のある子どもは一人で生活できるか心配
- 自分で暮らせるように練習させるところが欲しい
- 障害が比較的軽いので、施設入所はさせられない
などと特別支援学校を卒業した子供の親が不安に思っていることがたくさんあります。
その中で今回は、障害のある人が集団生活をしながら、自分で日常生活に必要な知識や技能を身に付けていくことができる「障害者のグループホーム」について書いていきます。
この仕組みを知っていることによって、親なき後の問題を解決する1つの選択肢にもなりますので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
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障害者のグループホームとは
障害のある人が、日常生活を送るうえで必要な支援や介護を受けながら共同生活を営むことができる住居です。
グループホームで暮らす人に対しては、
- 入浴
- 食事
- 排せつ
- 介護の相談
- その他日常生活に必要な支援
を受けることができます。
このグループホームのサービスは「共同生活援助」といわれ、【障害者総合支援法】に定められている【障害福祉サービス】の一つです。
障害者が入居できるグループホームの種類
障害者のグループホームには3種類あります。
- 介護サービス包括型
- 外部サービス利用型
- 日中活動サービス支援型
の3つです。
詳しくは次の項目で一つずつ説明していきます。
介護サービス包括型
介護サービス包括型は、生活支援員や世話役の人が食事や入浴、排せつ等の介護サービスを提供します。
主に夜間や休日に共同生活をしている家で、利用者は相談、入浴、排せつ、または食事の介護その他日常生活に必要な支援を受けることができます。
入居できる障害者
介護サービス包括型に入居できる障害者は、
- 身体障害者
(※65歳未満の者又は65歳に達する日の前日までに障害福祉サービスもしくは、これに準ずるものを利用したことがある者に限られます。) - 知的障害者
- 精神障害者
- 難病患者
以上の方が対象となります。
サービスの内容
介護サービス包括型の主なサービス内容は、
- 入浴、排せつ、食事等の支援
- 日常生活、社会生活に必要な相談や助言
- 調理、洗濯、掃除等の家事の支援
- 就労先やその他の機関への連絡
- その他日常生活に必要な支援
以上のようなサービスを受けることができます。
外部サービス利用型
外部サービス利用型は、事業所の従業員は基本的に家事や相談などの日常生活に必要な支援のみを行います。
その他の介護に関しては、事業所が委託契約をしている指定居宅介護事業者が介護サービスを提供します。
利用者は、介護と相談では別の事業所から支援を受けることになります。
利用者としては、事業者が増えるだけで、サービスの内容は介護サービス包括型とほぼ変わりはありません。
入居できる障害者
外部サービス利用型に入居できる障害者は、
- 身体障害者
(※65歳未満の者又は65歳に達する日の前日までに障害福祉サービスもしくは、これに準ずるものを利用したことがある者に限られます。) - 知的障害者
- 精神障害者
- 難病患者
以上の方が対象となります。
サービスの内容
外部サービス利用型のサービス内容は、
- 日常生活、社会生活に必要な相談や助言
- 調理、洗濯、掃除等の家事の支援
- 就労先やその他の機関への連絡
- その他日常生活に必要な支援
グループホームの運営者から受けることができるサービスは以上です。
※入浴、排せつ、食事等の支援については、事業所が提携している介護事業者から支援を受けることになります。
日中活動サービス支援型
日中活動サービス支援型は、障害者の重度化・高齢化に対応していくために平成30年に新設された新しいグループホームの一つです。
24時間の支援を目的とし、生活支援員、世話人等が配置されています。
短期入所の併設が必要になってきますので、緊急の一時的な宿泊も基本的にすることが可能です。
そして、
- 日常生活の支援
- 相談
- 介護
など幅広い支援を受けることができます。
入居できる障害者
日中活動サービス支援型に入居できる障害者は、
- 身体障害者
(※65歳未満の者又は65歳に達する日の前日までに障害福祉サービスもしくは、これに準ずるものを利用したことがある者に限られます。) - 知的障害者
- 精神障害者
- 難病患者
※ただし、日中活動サービス支援型は重度の障害者を対象として作られたグループホームですので、「常時介護が必要な方」が入居することができます。
以上の方が対象となります。
サービスの内容
日中活動サービス支援型のサービス内容は、
- 入浴、排せつ、食事等の支援
- 日常生活、社会生活に必要な相談や助言
- 調理、洗濯、掃除等の家事の支援
- 就労先やその他の機関への連絡
- その他日常生活に必要な支援
以上のようなサービスを受けることができます。
これらが障害者のグループホームの種類となっております。
グループホームの種類
- 介護サービス包括型
- 外部サービス利用型
- 日中活動サービス支援型
入居条件に当てはまる障害者
障害者のグループホームにも入居するための条件がありますので、障害がある方全員がグループホームに入れるわけではありません。
条件は、障害者総合支援法に定められている障害者に該当する人のみ利用することができます。
障害者とは、以下に当てはまる方です。
- 18歳以上の知的障害者(知的障害者福祉法)
- 18歳以上の身体障害者(身体障害者福祉法第4条)
- ※身体障害者の場合は65歳未満の方、または65歳に達する前日までに障害福祉サービス、障害福祉サービスに準ずるサービスを利用したことがある人のみが対象
- 18歳以上の精神障害者(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条)
- 18歳以上の難病(治療方法が確立されていない疾患、その他の特殊な疾患で厚生労働省が定める程度)
- ※基本的にグループホームは、どの障害があったとしても、18歳以上の方が対象となります。
入居する際に必要なことについて
グループホームを利用するために、必ずやらなければいけないことがあります。
グループホーム利用
- 市区町村による障害支援区分判定
- サービスを利用するにあたっての給付決定
- 「障害福祉サービス受給者証」を取得する
グループホームは、障害者総合支援法による障害福祉サービスの一つですので、サービスを受けるために上記の3つは必ず必要となります。
障害者のグループホームの入居費用について
障害者のグループホームを利用する費用についても詳しく説明していきます。
費用の面で関わってくる
- 利用料
- 自己負担となるもの
- 家賃補助制度
について1つずつお伝えしていきます。
利用料について
グループホームは、障害者総合支援法に定められているサービスですので、入居者は原則、福祉サービス利用料の1割を負担します。
ただし、利用料はグループホームの入居者の人数によって変わります。
ただし、すべてが1割負担というわけではありませんので、注意して下さい。
自己負担となるものは次の項目で挙げます。
自己負担となるもの
障害者のグループホームにおいて、自己負担となるものは、主に以下の4つです。
- グループホームの家賃
- 水道光熱費
- 食費
- その他かかるもの(新聞、町内会費等)
などは自己負担となります。
家賃補助制度について
グループホームの利用者には、家賃を補助してくれる制度があります。
家賃補助制度を利用できる人は、「生活保護」、「市町村民税非課税世帯」です。
上記の2つ該当している人は事前に申請しておくことで、上限1万円の助成を受けることができます。
(1万円未満の場合には、実費相当分が支給されます。)
※自治体によっては異なることもありますので、入居するところで確認をしてください。
障害者のグループホームまとめ
障害者のグループホームは、なんとなく理解できましたか?
障害者のグループホームは、「障害のある人が地域において共同して自立した生活を営むことができるように支援を行う」ことを目的として設立されています。
障害のある方は、急に一人暮らしをしたり、環境が変わったりすることは人一倍、大きなストレスを感じます。
その前の段階として、「支援があれば親元を離れて生活できそうだ!」や「一人暮らしをする前に家事や食事の支援をしてほしい!」ということで、チャレンジできる場所でもあります。
例え、家事や洗濯等に失敗したとしても世話人やスタッフが教えてくれるはずです。
早い段階から経験を積む
たくさん失敗して、たくさん学び、たくさんのことができるようになることで、人生が豊になるはずです。
親からするとグループホームや施設と聞くと「子供を手放すみたいで嫌だ」「子供を見捨てたみたい」と感じる方も多くいると思います。
しかし、グループホームは先ほども述べたように自立に向けた訓練の場所ですので、「まだ自立には早かった」や「今はまだ難しい」と思えばいつでも家に帰ってくることができるところです。
いつでも帰ることができる場所(家族)がある段階で、チャレンジさせてあげ、子供の自立を促して下さい。
そして、人生は、たくさんの壁にぶつかり、逃げ出したくなることも数多くあるはずです。
低い壁なら登らせる勇気、高すぎる壁なら手を引かせることも必要な時があります。
子供と関わることは大変だと思いますが、無理をせず、楽しい子育てをして下さい。そして、辛くなる前に周りに助けを求めて下さい。
助けてくれる人は必ずいるはずです。
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