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先進企業の障害者雇用における取り組みと7つの工夫!最先端のマネジメントを紹介

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以前の記事でもご紹介しましたが、世界の先進企業が非定型発達者の障害者雇用における取り組みを書ききれなかったので、新たにまとめます。

 

「Harvard Business Review」2017年11月号、『「出る杭」を伸ばす組織』の特集にて、自閉症やADHDなどの人材を活かす先進企業の事例が紹介されていました。以前の記事では、ニューロダイバーシティ(脳の多様性)」という概念を持った世界の先進企業の事例をご紹介しました。

 

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  • 自閉症
  • ADHD
  • 統合運動障害
  • 失語症
  • 計算障害

 

など、いわゆる非定型発達者の才能を導き出した事例をお伝えしました。今回はその続きとして、実際に障害者を雇用するにあたってどのような工夫をしていけばいいのかを先進企業の事例を元に紹介していきます。世界の先進企業が障害者雇用で取り組んでいる7つの工夫とはいったい何なのでしょうか?

先進企業の障害者雇用における取り組みや7つの工夫

ニューロダイバーシティ(脳の多様性)いう概念を持って、自閉症者などの雇用に力を入れている先進企業が多くなってきているということはお伝えしました。

 

特にテクノロジー業界では、変わり者を採用してきたという歴史があります。『自閉症の世界』の著者である、スティーブ・シルバーマン氏は、

 

シリコンバレーのような地では、自閉症の割合はきわめて高い。

 

と指摘もされています。

 

スティーブ・シルバーマン氏

 

同氏は、いわゆるオタク変人と言われている人の多くは、診断がされていないだけで、自閉症に該当する可能性が高いという仮説もたてております。近年では、少数の先進的企業が、このような傾向を正式に取り入れ、事業に活かそうとしております。

 

デンマークのスペシャリステルネ社は、非定型発達者の評価、訓練、管理するための面接に頼らない方法を考察し、改良する流れを取っています。そこで今回は、先進企業が非定型発達者の人材を最大限活用するために実際に行っているプログラムに関して、7つの工夫をご紹介します。

 

1:ソーシャルパートナーと手を組む

企業の人事やマネージャーは、業務に関しては博識で能力が高いが、障害者と関わったことがない人が多く、障害者の特性や支援の方法などを知らないことが多いです。しかし、非定型発達者の方たちは、支援が必要なケースが多々あります。

 

この溝を埋めるためにニューロダイバーシティを取り入れている先進企業は、ソーシャルパートナーと提携して改善しています。ちなみに、ソーシャルパートナーとは、障害者の就労を支援する行政や自治体、事業所などのことを指します。

 

そうすることによって、非定型発達者が最大の能力を発揮できるような環境にして、障害者雇用をしている企業が増えてきています。

 

2:従来とは違った評価をする

多くの企業は、面接やヒアリングによって、評価をしているかと思います。しかし、それでは非定型発達者の方は正当に評価されない可能性があります。なぜなら、コミュニケーションが苦手な方が多いからです。

 

この課題を解決するためにデンマークのスペシャリステルネ社は、ハングアウトという制度を設けました。これは何かというと、半日程度の和やかな集まりです。

 

その中で工夫している点は、非定型発達者の採用候補者にとって、打ち解けた雰囲気の中で企業のマネージャーに自分の能力を示す機会にしているところです。最後には、候補者の中から数人が引き続き、2〜6週間に及ぶ評価や訓練の対象に選ばれることになります。

 

期間は企業ごとに異なります。

 

この期間に彼らは、レゴ・マインドストームのロボット組み立てキットやプログラミングキットを用いて、最初は個人単位にプロジェクトを体験します。その後、グループ単位のプロジェクトを体験するという流れ。

 

その過程でプロジェクトは、次第に実務に近い性質にしていく工夫をしています。評価期間を伸ばすと、候補者の能力が表に出てきたという結果が出ています。積極的にインターンシップ制度を導入している企業も多くなってきていると紹介されておりました。

 

【スウェーデンの障害者雇用】

 

3:他の従業員に研修を施す

やはり障害についての理解がないと、実際に雇用するのは難しいです。そこで、ささやかな短期研修を行うと、新しく同僚になる人物がどのような人かが少しずつわかってきます。

 

つまり、どのような配慮を必要とし、どういった点で変わった印象をあたえるかを従業員に理解してもらえる機会が多くなるということです。

 

さらには、マネージャーにはもう少し手厚い研修を行い、プログラム対象者を支援する人や組織、制度についての情報を提供する工夫をされています。

 

4:マネジメントするためのシステムを作る

新たに入社してくる人材のために、簡単なサポート制度を用意しています。実際の具体例を見てみましょう。SAPでは、それぞれ職場とプライベートを対象とした、2つの支援サークルを設けています。職場の支援サークルを構成するのは、

 

  • チームのマネージャー
  • バディ
  • 職と暮らしの技能のコーチ
  • 仕事の関する相談相手

 

などが担っています。バディは同僚の中から選ばれ、日々の業務仕事量の管理、優先順位付けなどを助ける。職と暮らしの技能のコーチは、通常はソーシャルパートナーが務めています。

 

このような支援サークルを設けることで、仕事のことだけでなく、プライベートでどのようなことをしているのかなど知ることもできます。その人に合った支援をすることができるので、より一層、能力を発揮できる環境を作ることができるようになります。

 

5:キャリア・マネジメント手法を工夫する

非定型発達者にも長期のキャリアパスが必要となってきます。そのために、非定型発達者の雇用に伴う特殊性を考慮しながら、継続的な評価と育成をどう行っていくかを、真剣に考える必要があります。

 

マネージャーは、プログラム対象者を他の従業員と同じ業績評価の対象としながらも、その仕組みの枠内で個別の目標を設定する必要があります。非定型発達者が満たすべき要求は、他の従業員より多くなります。

 

なぜなら、同じ任務を与えられた人々に一律に期待される業績目標に加えて、プログラムの目標も達成しなければいけないからです。

 

 

6:採用方法のプログラムを拡大する

SAPは、非定型発達者の比率を2020年までに従業員の1%にするという構想を発表しました。この目標値は、全人口に占める自閉症者の比率におよそ一致するものです。また、マイクロソフト、HPEなどの企業が支援プログラムの拡大に勤めています。

 

実際に雇用してみると、

 

彼らは当初、「ソフトウェア試験のような同じことを繰り返すタイプの業務に最も適している」と想定されていました。

 

しかし、ふたを空けてみると、多種多様な業務において、付加価値を生み出しています。

 

と語っています。具体的には、

 

  • 製品管理
  • 人事サービス
  • コンサルタント
  • 顧客サポート

 

などで成果をあげています。特に、最後の2つは自閉症者には社交術を必要とする仕事は無理であるという仮説を覆していると話題を呼んでおります。

7:支援プログラムを慣例化する

こういった成功例を受けて、一部の企業では

 

通常の人事プロセスは、優れた人材をはじき出しているのではないか?

 

と考えるようになりました。こうした企業が目標として掲げているのは、社内の通常の人事プロセスを非定型発達者に優しいものにして、最終的にはニューロダイバーシティプログラムを廃止することです

 

【発達障害者の驚異的な絵の才能】

 

編集後記

いかがでしたでしょうか?世界の先進企業がニューロダイバーシティという考えのもと、障害者雇用でこのような取り組みや工夫をされているという事実があります。まとめましょう。

 

先進企業の障害者雇用 

  • ソーシャルパートナーと手を組む
  • 従来とは違った評価をする
  • 他の従業員に研修を施す
  • マネジメントするためのシステムを作る
  • キャリア・マネジメント手法を工夫する
  • 採用方法のプログラムを拡大する
  • 支援プログラムを慣例化する

 

 

上記が世界の先進企業における障害者雇用の7つの取組みになります。こうした先進企業が非定型発達者を雇用する際の課題なども「Harvard Business Review」では、紹介されていましたので、別記事にてご紹介していきます。

 

先進企業の事例については、以前の記事でご紹介しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

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障害者雇用では法定雇用率の水増し問題などもありましたが、そのようなマイナス的なニュースではなく、今後、ますますこういった考えが広がり、障害者雇用が当たり前の世の中になっていくことを願います。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。あなたのご意見や感想などもぜひお聞かせいただけますと幸いです。

 

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日野信輔

日野信輔

株式会社Nextwel代表取締役。Welsearch編集長。ソーシャルビジネスに特化したWebマーケター。障害者プロデュース・福祉事業所やNPOの伴奏支援などしております。得意分野:工賃アップ/障害者の仕事づくり/集客。詳しいプロフィールはこちら→日野信輔


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