TV制作の会社を経営しながら、「障害者と健常者が一緒に暮らす」がコンセプトの川崎市にあるシェアハウス「MAZARIBA」を運営されている内田勉さん。福祉の専門家や当事者が発信するWebメディア「Welsearch(ウェルサーチ)」の編集長である日野。
『ウェルトーーク!』とは、一般的な福祉の支援とは、ちょっと違った福祉のアウトサイダーの2人が提供するによる参加者も一体なって進めていくトークライブです。
2018年12月27日に記念すべき「ウェルトーーク!」の第一回目が開催されました。この記事では、YouTubeでライブ配信した動画だけでなく、書き起こしをしております。当日、見れなかった、参加できなかったという方も見れるようにしました。
今回は、第1回目ということで、2人の事業内容についてなどの自己紹介から始まり、某有名な24時間ぶっ通しで配信する番組についてのこともTV業界に携わっている人の観点からも語っていただきました。
障害者も住める住宅としてシェアハウスを運営していますが、いったいどのようなシェアハウスなのでしょうか?
お好きなところからお読みください
ウェルトーーク!vol.1
まず最初に「ウェルトーーク〜vol.1」の動画になります。聴覚障害者の方や動画よりも文章の方がいいという方のために、書き起こしの文章もありますので、お好きな方でご覧になっていただければ幸いです。
凝り固まった福祉とは違った目線から、トークライブをしたら面白いなって思ったのがキッカケですね。
先月の終わりぐらいですよね。話をして「やりましょう!」って感じで。
それを形にするのが自分の役目かなと思っています。一緒になって良い方向に、福祉を持っていければと思っています。
では、日野さんまず自己紹介からいきましょうか
ウェルサーチ編集長:日野の自己紹介
知ってもらうだけだと意味がないので、そこからしっかりとマッチングできるようなところまでしているサイトを運営しております。宜しくお願いします。
次は、内田さんも軽く自己紹介をお願いします。
障害者と健常者が一緒に住める「MAZARIBA」内田さんの自己紹介
あとはホームページの制作と、シェアハウスを5軒運営しています。今、ここ収録場所になっている川崎市の「MAZARIBA」というシェアハウス形式の住宅なんですが、これが5軒目のシェアハウスです。
ここだけ新しく始めたコンセプトで、「障害を持っている人と持っていない人が一緒に住む」というものをやったときに、色々どうやったらいいかな?と相談しているうちに、日野さんと知り合って。
むしろ家にいなくても、そのチャットに入っていれば、家の出来事が分かるのでありがたいぐらい。そういう勢いです。
TV業界から障害者も住めるシェアハウスに携わったキッカケ
で、何歳くらいの人ですか?ってな感じがあって。その中で「ちょっと耳が聞こえない人ですが、大丈夫ですか?」という質問があったんです。何かそれ困りますかね?
正直にそれは何か困るんですか?と聞いたら、「障害者というだけで、入居を断る大家さんはいっぱいいるんですよ」と言ってました。
そこで話が頓挫しちゃうというケースが多いかもしれないですね。
何かあった時、例えばゴミ出しが適当だった時に大家さんから電話したい、と。でも、入居者の人が聴覚障害で耳が聞こえないと電話できない。
それメールしようよって話じゃないですか?(笑
結局なんでもダメなんです。そういう話に今なっていて、それはなんかよくないというか。それがの障害者も住めるシェアハウスをするようになったキッカケですね。
そうこうしているうちに、たまたま、うちのシェアハウスに住んでいた女性が足の癌になって、片足切っちゃったんです。今は義足で、遊びに来てくれたり、アドバイスくれたりして協力してくれる人なのですが。
ちょうどその人がうちのシェアハウスに住んでいる時に足を切っちゃって、その人がうちのシェアハウス戻ってきたいって言われた時に、戻ってくる家が欲しいってことになったんですよね。
障害者も健常者も住めるシェアハウスとは
【参加者からの質問】
質問です。例えば、車椅子の方が入居したいと言った時にエレベーターはあるのでしょうか?
「MAZARIBA」は障害者と健常者が住めるということですが、バリアフリー住宅じゃないんですよね。残念ながら。階段もあるし、段差もある。
車椅子の人が入居していただいてもいいんですが、階段を自分でズルズル引きずる感じで移動するのが苦じゃなければ別にいいかな。という感じです。
まずはバリアフリーとか整っていなくても使えるような方々が入居する形にはなりますね。では、入居できる方としては、主にどういった方とかですかね?
なんでここバリアフリーじゃない住宅を借りたのかというと、僕よく言うのですが、僕たちはエベレストに登る必要はないと。高尾山でいいと。
もちろんバリアフリーの物件だったらいいですよ。でも、それなりにお金もかかるし、そういう人が入ってきた時に一緒に暮らすノウハウみたいなものも必要なんですよね。まだ最初の段階なので、1人で自立できる人が最初の対象ですね。
別に支援はそんなに考えていなくて、住みたい人が住める住宅になればいい。あまりそういうハードルとか、頑張らなきゃとかということは、考えてないんですよね。
福祉のイベントを盛り上げるコツ
こういった「MAZARIBA」ということで色んな人が住めるシェアハウスですが、立地としても川崎市の中でも、あまりいいところじゃないじゃないですか、お世辞じゃないですが(笑)
こういうトークライブも、「こういう記事書いて、みんなに訴えかけていこうよ!」というやり方もあると思うのですが、こうやって話して、みんなに聞いてもらって、その場で意見を聞いて、まとめた方がいいじゃん、っていう感じですね。
今はネットでの情報発信がメインになっちゃっていますけれども、こういったリアルの場をどんどん作っていければなとは思っていますね。
だから、例えばこれもトークライブだけではなく、この後に交流会をする。トークライブだけやると言うとそのために行くのかよってあるのですが、ちょっとご飯のついでに、聞いたついでにちょっと一杯飲めるとか。
それで楽しいなら良いんじゃないのかなという。そういうのをいっぱいやる中でたまにはすごい意識高い何かをしてもいいだろうし。まず場を楽しくするというのが最初ですよね。
一番盛り上がったイベントは?
2階から流しそうめんの何が良いかというと、凄く角度が急なとこですね。だから、すごく速い勢いで難しいというのと、あとちょっと竹の節があるんです。ちょっとの段差があってもぴゅーっと麺が跳ねるんです。ぴゅーって飛んで。これは一番盛り上がりました。
ウェルサーチで1番反響があったものは?
その記事がはてぶとかでもすごく盛り上がって。はてなブックマークというのがあるのですが、そこで300ぐらいシェアがあり、1日で2万PVくらいいきましたね。1記事だけで。
例えば、1工程1円にもならないような仕事をしている。そういうのを頑張ってやっても、時給100円いかないんじゃないですか。そういうのを請負っちゃうんですよね。
施設の人は支援のプロだけれど、商売に関しては全くなので、仕事の取り方が分からない。そういった現状は障害者だから単価が低くてもやってくれる雰囲気をだしちゃっているのかな?と思いますけど。
だから、今いろんな外部の人たちと連携して、工賃アップも施策を進めているんですよ。工賃単価10倍計画と名付けているんですが。
今やっている作業と変わらずに単価を上げていくシステムなので、利用者が新しい作業を覚えなくてもいいような形で進めていっておりますけどね。
ウェルサーチではどういう記事が多いか?
要は職業訓練校みたいなところもあるんですが、そういったところに実際に行ってみて思ったこととか。当事者の体験談みたいなことを発信してもらったりしてます。
専門家の方にはそれこそ知識は凄くあります。例えば、視覚障害者の方の接し方だったり、専門的なところで行くと、障害者雇用するためにはどういった制度があるのか?特別支援学校を卒業したらどういった職業に就いている人が多いのか?
あとは、障害者年金系や障害者が入れるような保険のことについてだったり。
だから、障害者年金とか、障害者手帳を持ってない人とかも意外と多いんですよ。
あとは、意外と障害者手帳のメリットの部分も知らない。いろんな公共施設が半額とか無料で行けたりするんです。そういったものも有効活用できていないということが多いですね。
ウェルサーチを始めたキッカケは?
すごく良いことをやっている人が多いのですが、マネタイズができてない。要は、お金を生み出せてないから継続ができてないところがすごく多いんですよ。
補助金はいっぱい貰っているんだけれども、売上の部分はほぼ無いという団体がやっぱり多くて。まずは、いい活動をしている団体を知ってもらわなきゃ意味ないなと思って。こういったメディアを通して、検索したらすぐ出てくるような。
SNSとかでも目に留まるような活動というのをどんどんうちでも紹介していますし、色んな人に知ってもらいたいなというのは思っていました。
【視聴者のコメント】
傷病手当金について教えてもらいました。
そういう傷病手当というのがあることを知っておくだけでも、気持ち的にかなり変わってきますよね。収入的な部分では。
うちのメディアのコンセプトとしては、みんなで作り上げていくサイトにしているんですよ。TwitterとかSNSとかで色んな意見もらったりとかするんで、それを記事にしたりとか、あとはこういった場で生まれるアイデアだったりとか、トーク内容だったりとかを記事にしたりしています。
だから、いろんな人が発信できる場。こういうサイトってなかったんですよね。すべて自社のサービス誘導へまとめちゃうというものばかり。でも、うちは発信してもらう代わりに、集客は全部うちがやりますという形でサイト内でもご紹介しているんですよ。
いろんな全国のつながりも増えてきているので、そういった人たちとかサービスとか福祉のリソースをどんどん紹介して、横のつながりというのを広げていっていますね。
会場に来ていただいた参加者の皆さん
海外には障害者や福祉専門のテレビ番組がある?
視聴率は見ているだけなので、そこから次のアクションが起きているかどうかというのが分かりにくいんです。次のアクションこうなっていますよね、が分かれば、マーケティングにも役立ちますし、どれだけ深く刺さったかという指標があると良いなあと。
何となくネットで話題とか、ハッシュタグでどのくらい呟かれているとかで何となくは分かりますよね。
若い人は見るものがいっぱいあるので、テレビを見ない人が多いんですよ。
【参加者からの質問】
もっと細くてもいいから、全年齢向けじゃなくて絞ったのが良いかなと思います。
そこで実験的なことをしていたんですが、最近はそこアニメかショッピングくらいしかやっていないですね。最近はあまりチャレンジしないんですよね。
昔は危ない番組とかいっぱいあったんですが、夜も録画で残っちゃうので、危ない事できないんですよ。
福祉関係のテレビ番組ってあるけど、日本は専門のチャンネルがない。やっぱりそれも視聴率とかに関わってくるからですかね?
24時間やっているのは、また違う仕組みだと思うのですが、日本はそういう仕組みがないですよね。そういう仕組みちょっとで作ったほうがいいかな。
例えば、人口比率で行くと、障害を持った人が5%ぐらいいるとしたら、全放送時間の5%はそういう番組にしなさいとか。そういう法律を作った方が僕はいいと思います。時間は深夜になるかもしれないですが。
何か見たい番組ありますか?福祉関係でこういった番組あったらいいなって。
24時間テレビは業界の人から見たらどうなの?
【参加者】
福祉だと24時間テレビが絶対出てくると思うんですが、あれは障害者と健常者に溝があるような感じがしています。そこの溝はもうちょっと近く行けないのかな、と。Twitterとかで意見を見ていても、ちょっと距離が遠いという感じが多かったので。
ただ視聴率か分からないですが、そこから感動だったり、あとはジャニーズとかの有名人とコラボしてやっていく方向に変わっていったというのは聞いたことはあります。テレビ関係者からしてどうですか?
内容で言うと、まず見てもらうというのは大前提であります。あれだけ一生懸命に媚を売った企画をガンガン並べてどうだ、見るだろうという内容でやっても、やっぱり視聴10%ちょっとしかいかないんですよ。
NHKのハートネットTVの視聴率はちょっと分からないですが、おそらく数%ですよね。あんな数字を出したら間違いなくその年で24時間テレビは終わります。
だから終わってもいいと考えるか、続いた方が良いと考えるかというのがまず大前提であって、それから内容をどう深めるかというのは、継続的な検討課題であります。
で、その内容が深まっていかないというのは、やっぱり国民性が反映されてしまうので、国民の問題なのかな、と。もちろん丸投げする訳じゃない。
テレビ関係者の努力もちろん必要なんですが、基本的には見られないと番組は終わるというシンプルな方程式なので。会社が売り上げをあげないと潰れちゃうのと全く一緒なんですよね。
福祉に固まっちゃう人がすごく多いんですよ。福祉系だけを対象にしたイベントをやったり。だから、うちはいかに一般の人、福祉と関係ない人を巻き込んでいくかを重要視しています。
そういった目線から言わせてみれば、ああいった形でもいいのかなと思いますね。そこからも議論が生まれている訳じゃないですか。理解関心を持ってもらえる1つの手段としては、自分はいいのかなと思いますけどね。
すごく議論は深まって、これはこうした方がいいなという風に世の中全体が動いていくと、テレビ作る方も変わっていくので。
つまり、たまたま行ったら障害者がいたというのが自分はベストだと思っています。何かしら偏見じゃないですが、そういうものを持っている方は多いので。実際に会ってみたら、「あーこんなもんか」みたいになる。
最後に
記念すべき第1回目の『ウェルトーーク!』はいかがでしたでしょうか?今回は2人の事業のことがメインでしたが、一般的な福祉とは、ちょっと違ったトークが聞けたかと思います。現地で参加していただいた方とは、お鍋を食べながら交流したり、川崎の工場夜景を見たりもしました。
ちなみに、川崎市にある障害者も健常者も一緒に住める「MAZARIBA」も随時、見学は無料で受け付けております。テレビ業界で活動されている方なので、少し違った目線から障害者福祉のことを知ることもできますよ。
このような感じで、定期的に『ウェルトーーク!』は開催していく予定です。YouTubeやFacebookのライブ配信もやっていきます。また、次回からは、福祉で活躍されている方をゲストとして、お呼びしていきますので、お楽しみにしていてください。
『ウェルトーーク!』も皆さんと一緒に作り上げていきたいと思っておりますので、「こういうトークが聞きたい」・「○○さんとのトークライブが聞きたい」といったご要望がありましたら、お問い合わせからいつでもリクエストしてください。
日野信輔
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