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デンマークのエグモントホイスコーレンとは?障害者と健常者が共に学ぶ学校の全貌に迫る!

デンマークに障害者と健常者が一緒に学ぶ学校があることを知ってますか?

 

まさしく、障害がある人もない人も誰もが平等に当たり前の生活ができる社会を実現させるというノーマリゼーションの考え方が当たり前になっている環境です。

 

ウェルサーチでは、以前もご紹介しましたが、自立できる障害者を増やしていくため、

 

  • 重度身体障害者
  • 福祉、医療従事者
  • 家族
  • 支援者

 

のチームで幸福度トップ3のデンマークへ行き、世界トップレベルの福祉を日本へ持ち帰るジャパン・ノーマリゼーション・プロジェクト「OTAGAISAMA」というプロジェクトを株式会社LIFEクリエイト、八ヶ岳環境福祉デザイン室と一緒に企画しております。

 

このプロジェクトで、デンマークにある障害者と健常者が一緒に学ぶエグモント・ホイスコーレンという全寮制の学校へ視察に行ってきました。

 

日本では、まだまだ共生社会が一般的ではないので、イメージしづらいと思いますので、「エグモント・ホイスコーレン」とはいったいどんな環境で障害者と健常者が一緒に学んでいるのかに迫っていきましょう。

 

この記事では、障害者も健常者も関係なく、まさしくノーマリゼーション・共生社会という文化がどんなものなのかを知ることができます。

そもそもフォルケホイスコーレンとは

まずフォルケホイスコーレンとは、17歳半以上なら

 

  • 国籍
  • 年齢
  • 学歴
  • 宗教

 

といったものが関係なく、誰でも入れるデンマーク発祥の全寮制の学校です。デンマークには約70校、北欧だと300校以上もある学校です。

 

学校(フォルケホイスコーレン)によって、たとえば福祉、音楽、多国籍、政治、アート、スポーツなど学べる内容や特色も異なるのも特徴の1つです。どのホイスコーレにも共通していることは、民主主義的な考えを育て、知の欲求を満たすための学校ということです。

フォルケホイスコーレンの特徴

授業は大学のように選択式となっており、自分の好きなことを学べます。驚いたことに、基本的に試験や単位などはないんです。なので、自発的に好きなことを学ぶ学校ということですね。

 

日野
デンマークの教員から直接聞きましたが、試験などがあると、それが目的になってしまう。

 

あくまでも自分で学ぶようにこのような形式を取っているとのことです。

 

対話と共生というテーマで、テキストよりも対話を通じた学びを重要視し、教師と学生が平等な関係の中で、相互に学び合う環境。そして、いろいろな国から、異なる背景をもった人たちが共に暮らし、共に学ぶ学校です。

 

また全寮制であるため、授業外でも学生や教師が生活の多くの時間を共にする。

 

1ヶ月〜1年とコースはいろいろありますが、だいたい4ヶ月〜6ヶ月のコースで、上記のようなカテゴリで学校ごとに複数のコースがあり、教科もホイスコーレンごとに多岐にわたります。

 

日野
授業参加も自発的なので、もちろん中には、サボる人もいるみたいです。

 

学費の負担も一部のみ

ホイスコーレンは、政府から思想的には独立している私立学校ですが、デンマーク政府の助成を受けているので、国籍を問わず、学生は学費の負担は一部のみ。

 

しかも、全寮制なので、生活費や食費も含まれるという高待遇な学校です。さすが幸福度NO.1の国ですね。

 

日野
ちなみにデンマークでは、教師はいろいろな職を経験した方がなる職業とのこと。

 

十分な人生経験をしていない22歳で教師になれる日本の仕組みにビックリされていました。

 

ホイスコーレンまとめ

  • 17歳半以上なら国籍など問わず誰でも入れる全寮制の学校
  • 「対話と共生」がテーマ
  • ホイスコーレンごとに特色が違う
  • 助成を受けているので、学費が安い

 

障害者と健常者が一緒に学ぶエグモント・ホイスコーレンとは

このようにホイスコーレンとは、誰もが入れる学校ということで、まさしく誰もが当たり前の生活というノーマリゼーションの考えが組み込まれていますね。

 

そこで今回、OTAGAISAMAプロジェクトで訪問させていただいたホイスコーレは、エグモント・ホイスコーレンです。ここは、福祉にフォーカスをあてたところで、障害者と健常者が共に学ぶ特色のホイスコーレなんです。

 

エグモント・ホイスコーレンの設立は1956年。デンマークの全国肢体不自由者の会(現Dansk Handcap Forbund =身体障害者の全国会)によって、身体障害者のみの学校として始まりました。1970年から、障害者と健常者をわけずに一緒に学ぶ方式をスタートし、現在に至ります。

 

 

生徒の構成としては、

 

  • 1/3が障害者(約80名ほど)
  • 2/3がアシスタント

 

となっている学校。

 

障害者の方たちは、パーソナルアシスタント制度に沿った仕組みを使って、健常者の学生をアシスタントとして雇う流れとなっております。このアシスタントは、クラスメイトとして一緒に学びながら、彼らの身の回りの介護や買物・旅行などの同行支援をしたりします。

 

驚いたことに日本では資格がないとできないヘルパーですが、パーソナルアシスタント制度は、無資格でもできるので、ほぼ素人です。しかも、日本では医療行為とされている摘便や排尿までアシスタントがするとおっしゃっていました。

 

日野
仕事をしながら、学校で学ぶことができるので、人気があるとのこと!

エグモント・ホイスコーレンの特徴

エグモントホイスコーレンは、他のホイスコーレンと比べて人数がかなり多いです。ホイスコーレンは少人数制となっているところが多いのですが、エグモントホイスコーレンは、2019年10月に視察させていただいた時には、214人以上の生徒がいるとおっしゃっていました。

 

その中で、日本留学生は7人。福祉をメインで学びに来ている人も多いですが、留学している理由もバラバラで、まったく福祉とは関わったことがない方も多かったですが、デンマークへ来てから障害理解がかなり広まったとおっしゃっていました。

 

障害者も健常者も一緒に学ぶということもあり、学校内の設備もケアも整備されてます。世界の障害者や支援者が留学にもくるホイスコーレとなっております。

 

まだまだ日本では、障害者と健常者が一緒になにかをするということが、一般的ではありませんが、エグモント・ホイスコーレンでは当たり前に共生社会が実現されているのです。

 

聞けば聞くほど、ノーマリゼーションの概念が当たり前の文化となっていることがわかります。

 

日野
実際にデンマーク渡航してみて感じたことは、障害とか関係なく、みんなが一緒に学び、一緒にお酒を飲み、一緒に食事をしており、まさしくノーマリゼーションの世界でした!

 

 

むしろ誰が障害者なのか健常者なのかがわからない

エグモント・ホイスコーレンで生活をしていても、誰が障害者なのか健常者なのかが気になりませんでした。(もちろん車椅子など外見でわかる場合は、別ですが)

 

パニックになっている人もいれば、自閉症っぽい人もいましたが、それをみんな気にしていない様子。

 

いろいろと視察させていただいて、キーワードは対話でした。

 

なぜなら、デンマークの基本概念として、障害があるなしに関わらず「相手のことはわからない」ということ。

 

「対話」を重要視しているので、話していく中で、この人は何がNGでどういった特性を持っているんだなということをわかっていくスタイル。

 

日野
だから、パーソナルアシスタント制度でアシスタントが無資格の素人でも成り立っているのだなと実感!

 

エグモント・ホイスコーレンの施設や環境については、こちらの記事で詳しくお伝えしているので、参考にしてみてください。

 

エグモント・ホイスコーレンの教員がコーディネート

そして今回、OTAGAISAMAプロジェクトのデンマーク渡航で、現地コーディネーターを担っていただいたのが、エグモント・ホイスコーレンの臨時教員である片岡豊氏です。

 

片岡氏プロフィール
1949年東京生まれ。1968年以来、デンマーク在住。国立オーフス大学人文学部思想史学科(学士)&哲学学科・組織倫理(修士)卒。1989年にDSSA(デンマーク社会研究協会)を設立し、デンマークの医療、福祉、教育事情を日本に紹介する活動を行なっている。同時に1997年より障害者と健常者が共同生活をしながら学ぶ成人学校エグモント・ホイスコーレンの教員として教鞭を執る(2014年に定年引退し、現在は非常勤勤務)。

2015年—2017年オープンダイアローグネットワーク・ジャパン(ODNJP)の共同代表、2017年9月以降、NPO法人ダイアローグ実践研究所理事として、北欧におけるダイアローグ実践を日本に紹介する活動を行なっている。

 

視察初日に、片岡氏からみっちり学んでいる様子

 

片岡氏の多大なる協力のもと、今回ご紹介したエグモント・ホイスコーレンだけでなく、

 

  • パーソナルアシスタント派遣組織『LOBPA』
  • 補助器具リサイクルセンター
  • パーソナルアシスタント利用者であり、エグモント・ホイスコーレンの先生宅
  • 市立の普通小中学校『Skovbakke skolen』
  • ヘルパー養成学校『SOSU』
  • 障がい者雇用率90%以上の企業『Huset Venture』
  • デンマークの「24時間介助制度」を勝ち取ったエーベルト・クロー氏が立ち上げた筋ジストロフィー協会
  • バリアフリー視察!オーフスの街

 

など、デンマークの障害福祉に関連する場所をコーディネートしていただきました。これらについても、別の記事でご紹介していきますので、お楽しみに。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?ノーマリゼーション発祥のデンマークということだけあって、障害者と健常者が一緒に学ぶエグモント・ホイスコーレンという全寮制の学校があることをご紹介しました。

 

エグモント・ホイスコーレン

  • 障害者と健常者が一緒に学ぶ学校
  • 2/3が障害者
  • 健常者はアシスタントを雇って一緒に学ぶ
  • 障害者の留学生も受け入れている

 

このように、お手本のような共生社会が実現されているホイスコーレです。施設内のバリアフリー環境も充実しておりましたので、これに関しては別途、お伝えします。

 

このOTAGAISAMAプロジェクトの代表は、重度身体障害者で車椅子ユーザーであり、株式会社LIFEクリエイト代表の山口和宏さんです。

 

以前の記事で、重度身体障害者でも自立した生活をしている山口さんの生活をご紹介しておりますので、重度身体障害者の方が、どのようにしたら自立した生活を送ることができるのかの参考にしていただければ幸いです。

 

一緒に創っていきませんか?

ジャパン・ノーマリゼーション・プロジェクト “OTAGAISAMA”のFacebookグループでは、

 

  • メンバー同士の情報交換
  • デンマークの情報で知りたいこと
  • 日本の福祉の良い点や問題点

 

など、皆さんとやり取りしながら企画を進めています。こちらのグループにて、皆さんの意見をいただきながら、みんなでプログラムを創り上げていこうといったものだからです。

 

もちろん参加は無料ですので、ぜひこちらのグループでも情報交換できれば幸いです。(もちろん情報を得るだけの参加でも大歓迎です)

 

 

デンマーク渡航では、最先端の福祉を学び取り、日本版のノーマリゼーションOTAGAISAMA文化を作っていきます。そして、真のユニバーサル社会を実現できるように動いていきます。

 

ぜひ一緒に作り上げていきたい方がいらっしゃいましたら、Facebookグループに参加したり、お気軽にお問い合わせください。

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