2018年11月に、 舞台「セールスマンの死」を初日に観劇してきました。
なんと、最前列の中央ブロックの席(D列が最前列です)。休憩15分含めて、3時間15分(長い・・・最近の舞台は長くなる傾向があります(疲)。
主役は、座長(一般的に主役の俳優を言います)の風間杜夫さん含めて、4名です。2018年10月からの日本テレビ系ドラマ「獣になれない私たち」通称 「けもなれ」で、ヒロイン新垣結衣さんのパワハラ社長役の山内圭哉(やまうちたかや)さんが演じてます。
主役4名ってだけで少人数で演技するの疲れるのに、3時間超というだけで、観客でさえ疲れるのに・・・内容が重いし、主役全員人生に疲れていて、情緒不安定でヒステリック・・・山内圭哉さんは、連続ドラマとの並行出演・・・俳優さんの負担たるや、想像を絶します。
重いストーリーで、しかも、私事で恐縮ですが、現在、父と数週間口きいてない・・・人生最大の親子関係危機です。感情移入するわ・・・最初の休憩で帰ろうかと思ったぐらい、観ているの辛かった。
しかし、後半から、だんだん登場人物の性格と生立ちがわかってきて、悪い人はいないことがわかってきて、俳優の演技力を存分に堪能できる芝居と感じましたので、「発達障害(ADHDとアスペルガーのハーフ」)という視点から『セールスマンの死』についての感想やレビューを作成してみることにしました。
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「セールスマンの死」のあらすじ
舞台は、1950年代頃のアメリカの田舎。若い頃は、優秀な営業マン(最近はセールスマンって言わないよね)だった60歳過ぎの主人公ウィリー・ローマン(風間杜夫)。
現在は売れない営業マンで、リストラ対象?! まだ家のローンも残っているのに!奥様のリンダ(片平なぎさ)は、夫ウィリーを尊敬し、愛し、献身的に支えている。30歳過ぎて、自立していない息子二人(耳が痛い)。
- 長男:ビフ(山内圭哉)
- 次男:ハッピー(菅原永二)
二人息子が学生の頃の事件がきっかけで、父親とは疎遠になっている。家を建てて、息子達が立派な社会人になって…ウィリーは、営業こそが、夢を叶える職業だと信じていたのに…仕事も夢も全部間違っていたと気付いて、苦しんでいる。
久しぶりに、息子二人が帰ってきた。息子二人は、父との関係修復に、一人前の社会人になるために、久しぶりに帰宅した…
というあらすじです。
原題 『Death of a Salesman』
「セールスマンの死」の公式サイトは、こちらから見れます。→セールスマンの死
「セールスマンの死」の公演動画も記載しておきますが、熱量が半端ないです。
神奈川芸術劇場 KAATについて
会場は、横浜みなとみらいにある神奈川芸術劇場 。通称「KAAT」という場所です。
神奈川芸術劇場 通称KAATは、横浜のみなとみらいにある劇場です。みなとみらい線の日本大通り駅が最寄り駅ですね。
大桟橋が近くて、時間があれば、写真を撮りまくります。
横浜中華街が近いので、最近は観劇前後に利用しています。
「セールスマンの死」について
『セールスマンの死』という作品は、アメリカの劇作家 アーサー・ミラー Arthur Millerの代表作です。
アーサー・ミラーの作品は、「るつぼ」原題:The Crucibleが、2016年に渋谷の東急文化村のシアターコクーンで、堤真一さん主演で上演されたことがあります。アーサー・ミラーは、3回結婚経験があって、女優マリリン・モンローと結婚していたこともあるようです。
演出家 長塚圭史さんについて
長塚圭史さんは、早稲田大学在学中から、阿佐ヶ谷スパイダースという演劇ユニットを立ち上げ、昨年から、劇団になりました。「セールスマンの死」では、阿佐ヶ谷スパイダースの伊達暁さんが、ウィリーの上司役で出演されています。
「セールスマンの死」では、演出家ですが、劇作家、俳優としても活躍されています。
長塚圭史さんと言えば、イギリスの劇作家マーティン・マクドナー Martin McDonaghです。マーティン・マクドナー脚本の長編映画「スリービルボード」原題: Three Bikkboards Outside Edding, Missouriが2018年に日本で公開されて、話題になりました。
マーティン・マクドナーの御両親は、アイルランド出身なのですが、アイルランドの悲劇をブラック・ユーモアに書きます。人間って、究極に悲しい時って、泣かないで、笑っちゃうんです。
日本では、マーティン・マクドナー脚本の舞台は、ほとんど長塚圭史さんが演出されているのではないでしょうか?
「ピローマン」 The Pillowman、「ウィー・トーマス」原題:THE LIEUTENANT OF INISHMORE、最近では、2018年に「ハングマン」HANGMENを演出されています。
長塚圭史さんが書く戯曲も、ブラック・ユーモアなんです。特に長塚圭史さんがイギリス留学する前は、ブラックな話ばかり…イギリス留学後は、いろんなタイプの話を扱うようになりましたが、ブラック・ユーモアな作品も、相変わらず天下一品です。
マイ・ロックンロール・スター
私生活では、お父様は、俳優の長塚京三さんです。
長塚圭史さんが作・演出された「マイ・ロックンロール・スター」MY ROCK’N ROLL STARでは、長塚京三さんが主演されています。
「マイ・ロックンロール・スター」のサイトがまだ掲載されていますね。
お父様に顔は似ていませんね。顔は、お母様似でしょうか?
背が高いとこは、お父様似ですね。目は細くて、背が高くて、細くて、猫背で…
ご自身で演出・出演される時には、気の弱そうな、情けない男性を演じることが多いです。
写真が…カッコいいオーラが半端ないんですよ。手足が長くて、背が高いからかな?それとも、才能が溢れ出ている?
ラストショウ
長塚圭史さん作・演出の「ラストショウ」LAST SHOWの長塚圭史さんのポスター写真が好きなんです。かっこいいんです。「ラストショウ」には、風間杜夫さんが出演されていますね。
奥様は、女優の常盤貴子さんです。実力派演劇家族!!
長塚圭史さんは、文化庁の新進芸術家海外留学制度で、イギリス留学の経験がありますね。日本国も認める演劇人です。演劇に関する賞を多数受賞されていています。
受賞歴
- 2002年 第17回高崎映画祭最優秀新人男優賞:石川寛監督「tokyo.sora」
- 2004年 第4回朝日舞台芸術賞:「はたらくおとこ」作・演出、「ピローマン」演出
- 2004年 第55回芸術選奨文部科学大臣新人賞:「はたらくおとこ」作・演出、「ピローマン」演出
- 2005年 第13回読売演劇大賞優秀作品賞:「LAST SHOW」作・演出
- 2006年 第14回読売演劇大賞優秀演出家賞:「ウィー・トーマス」演出
『セールスマンの死』について、長塚圭史さんのコメントが公開されているので、どうぞ。
名優 風間杜夫さんについて
風間杜夫さんと言えば、映画「蒲田行進曲」とテレビドラマ「スチュワーデス物語」でしょう。子役から俳優を始められています。
伝説の作・演出家である、つかこうへいさん主催のつかこうへい事務所の看板俳優さんでした。
映画「蒲田行進曲」はつかこうへいさん原作で、この映画で、風間杜夫さんの名前が有名になります。
つかこうへいさん没後2015年に、つかこうへい作の舞台「熱海殺人事件」に風間杜夫さんが主演されていたので、観に行きました。
演出は、劇団☆新感線の演出家いのうえひでのりさん。
いのうえひでのりさんは、つかこうへいさんの大ファンで、劇団☆新幹線の旗揚げ公演が「熱海殺人事件」だったそうです。
風間杜夫さんは、青いアイシャドーを塗った、刑事さん・・・
公式サイトは削除されていましたが、当時の舞台動画ありました。
風間杜夫さんとセールスマンの死
風間杜夫さんと平田満さんは、つかこうへいさん演出された時のオリジナルキャストに加えて、元宝塚歌劇団雪組トップ娘役かつつかこうへいさんの実の娘の愛原実花さん 中尾明慶さんの4名が出演です。
出演
- 風間杜夫
- 平田満さん
- 愛原実花さん
- 中尾明慶さん
「セールスマンの死」でも、つかこうへいさんに鍛えられた、テンションの高さは健在ですね。
「セールスマンの死」についての風間杜夫さんのコメントです。
テレビドラマ「スチュワーデス物語」では、主役の堀ちえみさんの教官役で、大人気!
今やスチュワーデスという言葉はなくなって、「CAさん」という言葉になりますかね。
最近はテレビやドラマでは、ほとんど見かけないので、舞台俳優さんです。
落語や一人芝居もライフワークをしてなさっていて、69歳現在でもバリバリの俳優さんです。
最近では、ヒステリックな頑固親父役が多いですね。不倫したくなるようなロマンスグレー役もやって欲しい。
怪優? 山内圭哉さんについて
前述にもありますが、2018年10月からの日本テレビ系ドラマ「獣になれない私たち」通称 「けもなれ」で、ヒロイン新垣結衣さんのパワハラ社長役の山内圭哉(やまうちたかや)さんが演じてます。
「獣になれない私たち」の公式サイト
並行しているなんて・・・凄い!しかも、キャラが全く異なる役ですし。
山内圭哉さんは、よしもとクリエイティブエイジェンシー所属の俳優・ミュージシャンです。『wat mayhem』等でのバンド活動もしています。「Piper」というユニットに所属してます。
俳優としては、子役からやっているらしいです。顔は非常に美しいですね。
中島らもさん(2004年没)主催のし笑殺群団リリパットアーミーに所属されていました。
今でも、中島らもさんを師匠と呼ばれています。
2018年現在、47歳ですが、「セールスマンの死」では、18-34歳を演じてます。
学生の時に、アメフト選手になりそこねて、34歳現在でも、刑務所入ったり、時給1ドルだったり・・・自信がないしょぼくれた役です。
山内圭哉さんとセールスマンの死
「セールスマンの死」について山内圭哉さんのコメントです。
普段は、スキンヘッドで弁髪(キン肉マンのラーメンマンみたいな髪型)です。
本公演では、かつらかぶってますね。
コテコテの関西人です!
喜劇の舞台では、アドリブ満載で、共演者の顔を突然(愛ある)平手打ちとか・・・
どちらかというと、素のキャラクターは「けもなれ」でのパワハラ社長さんの方が近いと思います。スキンヘッドのままだしね。
芸術監督は、演出家・俳優の白井晃
芸術監督は、演出家・俳優の白井晃さんです。白井晃さんが、2014年にアーティスティック・スーパーバイザー(芸術参与)、2016年に芸術監督に就任されてから、年々、益々、面白い舞台をやってくれるようになりました。
立命館大学から、演劇をやるために、早稲田大学に編入(演劇人は早稲田大学出身多いです)。
かつては、『劇団 遊◎機械/全自動シアター』を主催してました(2002年に解散)。
最近は、俳優として演じることは少なくて、演出家として活躍されていることが多いです。
芸術性が高い作品が多いですね。
俳優としても、大好きなので、個人的には俳優活動を年に数回はやって頂きたい。演出家として、受賞歴多です。
受賞歴
- 平成6年度文化庁芸術祭賞:遊◎機械/全自動シアター
- 第9回読売演劇大賞優秀演出家賞(2002年):遊◎機械/全自動シアター「食卓の木の下で」「ムーン・パレス」「ラ・ヴィータ」
- 第13回湯浅芳子賞翻訳・脚色部門(2005年):「偶然の音楽」の脚色
- WOWOW presents 「勝手に演劇大賞2013」作品賞・演出家賞:「音楽劇ヴォイツェック」
- WOWOW presents「勝手に演劇大賞2015」 作品賞・演出家賞:「No.9-不滅の旋律-」
舞台「セールスマンの死」の勝手な感想レビュー
さて、やっと本題に移ります(笑
この『セールスマンの死』2018年の舞台を見て、概要や感想を私の主観でお伝えしていきます。
『主人公ウィリーは、統合失調症と思われます。
風間杜夫さんは、劇中ほとんどを、幻覚と演技してます。
幻覚場面
- 長男ビフが、高校時代にアメリカンフットボールの花形選手で、大学にアメフト推薦が決まっていた、家族が最も幸せだった頃
- アラスカやアフリカでダイアモンド鉱山を掘り当てたウィリーの兄(村田雄浩)
この2つの場面が繰り返し、繰り返し・・・
望めば何もかもかなう、自分は全ての人に好かれている…と思い込んでいる。
しかし、アメフトのやり過ぎで、数学を赤点に。
夏休みに、サマースクール(たぶん、夏休みの補講)を受講すれば、単位を落とさなかったんだけど・・・
動揺して、父ウィリーの出張先まで行ったら、お父さんの知りたくない一面をみちゃって・・・
ショックで、サマースクールには出席せず・・・
高校を卒業できず・・・
そして、アメフトも挫折…=人生の挫折へ…
人生挫折後
その後、どんな仕事をしても長続きせず(アメフトしかやってこなかったからね~)
農場の住み込みは、そこそこ続いていたみたいだけど(肉体労働だからかな?)
学生の時からある、盗癖で、前科あり・・・家族には言えず、音信不通ということになっていた。時給1ドルの能力しかないと自信がなくなっている(食べれていたんだから良いじゃん!)。
よくよく観ていると、現実から逃げず、受け入れようと努力しているのは、お母さんリンダとビフだけなんですよね。
現実を受け入れている時点で、ビフはポンコツではないと、個人的に思うけど。現実(フィクションです。完全に感情移入している)は、うまく行かない。とても切ないです。
ビフの弟のハッピー(あだ名です)は、お父さんが最近統合失調症(あくまで疑い)のストレスで、定職にはつかず、女性をとっかえひっかえ。何度も「俺、結婚するよ」と台詞があるけど、嘘だな・・・次男らしい、「嘘も方便」ができる要領の良さはあるのにね。
完全に現実逃避…
ウィリーは、若い頃は、敏腕営業マンということになってますが、単に、景気が良かっただけだと思う。
私が薬剤師だったころのエピソードと比較して
私自身、バブル崩壊直後、製薬メーカーでMR(医薬情報担当者)をやっていました。製薬メーカーは、収益が良いので、すぐにはバブル崩壊の影響を受けなかったのですが…
私が新入社員の頃に、役職についていた方々は、なぜ課長?以前に、社会人をよく続けてられるな?と思う非常識な方ばかりで…
- アポイントに遅刻する
- 顧客と面談中に居眠りする
………
アンビリーバブルです。
で、60歳過ぎて、お兄さんみたいに冒険家みたいになりたかったとか、過去の栄光にすがる。
ご近所のウィリーのお友達であるチャーリー(ベテランの方の大谷亮介さん)の方が頭良くない?みたいな感じだけど、堅実に仕事をして余裕がある。せっかく、チャーリーが雇ってくれるって言ってんのに・・・断るし。
プライドが高過ぎる…
ちなみに、ビフの取り巻き(ビフは相手にしていなかった)で、ビフが数学が赤点だった時に助けてくれようとした(結局、卒業できなかったので、未遂)チャーリーの息子バーナード(加藤啓)は、裁判官だか弁護士だか。
・・・
とんでもなく成功しちゃっている。
ローマン家の高過ぎるプライドを逆なでするのよね~。バーナードは良い人なのに。まだ、家のローンが残っているのに、「歩合制→商品売れてないから、無給じゃない?」って、悲し過ぎる。
奥さんのリンダが、良い人過ぎて泣ける。ちょっと重いけど。60歳過ぎても、無給でも、病気でヒステリックでも、夫を尊敬し、愛し、家を守。妻の鏡ですね。
最後、一番常識人で、かつ、かわいそうなのは、リンダでしたね。
といったところが、パンフレットを読まないで私の観点から見た『セールスマンの死』のレビューや感想になります。
『セールスマンの死』については、本やDVDなどもございますので、気になった方は、こちらをご覧になってみるのもいいと思います。
編集後記
いかがでしたでしょうか?
舞台『セールスマンの死』を好き勝手レビューや感想を吐き出してきましたが(笑
と強く思いましたね。ちなみに岡田沙織さんの本はこちらです。
本当に、登場人物が「あなたは何も悪くない」を読んじゃったら、普遍的な名戯曲にならなくなっちゃうんだけどさ!
完全に、私の中で、フィクションと現実が一緒になった・・・素晴らしい、戯曲と演技力でした。
こんな感じで今後も「発達障害(ADHDとアスペルガーのハーフ」)という視点から趣味のことなど、いろいろとレビューをしていければと思います。
「こんなことが知りたい」などございましたら、いつでもお問い合わせからご相談ください。
薬剤師 しまちゃん(発達障害)
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