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視覚障害者が嬉しいと感じる移動時のサポート方法|当事者がエピソードを語る

  • 最終更新日:

生まれつき目の見えない私にとって、移動というのは大きな大きな悩みの種。

 

「見えなくて困ることは何ですか?」と聞かれたら、何より先に「移動」を挙げます。

 

一人で外を歩くのって、本当に大変なんですよね。家から1歩出れば、そこはもう危険がいっぱいの世界。

 

どんな試練が待ち受けているかわかりません。

 

菜深子
そこで、この記事では、視覚障害者の移動サポート方法(手引き)について、私のこれまでの体験から解説します。

 

基本的な誘導方法、嬉しいと感じるサポートや配慮のポイントを紹介していきますので、参考にしていただければ幸いです。

視覚障害者の手引き誘導の基本

私は、白杖を持って一人で外出することは実はよくあります。

 

危険を回避するための訓練は子どもの頃からしっかり受けていますが、だからといって安心はできません。

 

慣れている場所であっても、迷子になることは日常茶飯事

 

菜深子
(これは私が方向音痴を極めているせいというのも大きいですが……)

 

工事が始まるなどして環境が少しでも変わるとうまく対応できず、パニック状態です。

 

そんな私にとって、移動のサポートをしてくださる方々の存在はとてもありがたいもの。

 

ヘルパーさんや家族や友人、駅員さんや店員さん、道で声をかけてくださる親切な方々。

 

これまでどれだけの方に助けていただいたことでしょう。感謝感謝の日々です

 

でも、中には私を見かけて手伝いたいと思ったものの、どうしたら良いか分からなくて中々声をかけられなかったという方もいらっしゃいました。

 

そこで、簡単な説明になりますが、まずは視覚障害者に対する手引きの方法をお伝えします。

1:白状を持つ手の反対側に立つ

介助者は、視覚障害者が白杖を持つ手の反対側に立ってください。多くの場合左側になります。

 

ただそれだと危険な場合もありますし、その逆のほうが歩きやすいという方もいらっしゃるかと思います。そのときの状況や相手の希望に合わせて判断してください。

 

視覚障害者の手引き方法

2:声をかける

「手引きしますね」などと声をかけて、ひじの少し上を持ってもらうようにしてください。背の高さによっては肩などを持ってもらうのでも問題ありません。

 

ここで気を付けていただきたいポイント。白杖を持って引っ張ったり後ろから押したりというのは不安につながるのでNGです。

 

3:視覚障害者の半歩前を歩く

介助者は視覚障害者の半歩前を歩いてください。またその際には周囲の安全を確かめ、二人分の幅を十分確保してください。歩く速さは人それぞれですし、状況によっても変わってくると思います。

 

お互いが歩きやすいように調整してください。

 

4:変化を伝える

路面の変化(段差や坂道など)があるときにはそのことを知らせてください。階段がある場合は、「上り階段です」「階段はここまでです」などの声掛けがあると安心できます。

 

上りなのか下りなのかここ重要です。

 

視覚障害者への声かけ

 

以上の基本を押さえていただければOKです。

 

次は、嬉しいと感じる配慮についてお話させていただきます。個人的な意見になりますが、特に嬉しいと感じる配慮のポイントについてになります。

 

視覚障害者が嬉しかった移動サポート

数年前、手引きしてもらいながら歩いていたときのこと。

 

「床屋さんの看板が回ってるのが見えますよ」と教えてもらったんです。

 

私はそれを聞いて疑問に思いました。

 

菜深子
え、看板が回ってるの?どういうこと?

 

そう、床屋さんの看板がどんなものであるか、全然知らなかったんです。

 

赤・白・青、三色の縞模様だということも、そのとき初めて知りました。

 

床屋の看板

 

多くの方にとっては当たり前のように見ているものかもしれませんが、私にとっては大きな発見。手引きしてくださる方に周囲の情報を伝えてもらうって大事だな、と強く感じた出来事でした。

 

周りの景色はどんな感じなのか。どんなものが見えるのか。全盲の私が一人で歩くとそういったことはなかなかわからないものです。

 

  • 触覚
  • 聴覚
  • 嗅覚

 

を総動員してキャッチしようとするものの、得られる情報は限られています

 

「何かいいにおいがするなあ、美味しいお店が近くにあるに違いない」と食欲センサーが反応することはよくあるのですが、においの元がどこなのかは突き止められない

 

残念だなあ……と思いながら通り過ぎるしかありません。

 

だから手引きしていただいたときには、その方の目に写ったものを共有していただけるとすごく嬉しいんです。

 

「和菓子のお店がありますよ、美味しそうなダイフク売ってます」とか、「きれいな花が咲いてますよ、ちょっと触ってみますか?」とか。そんなふうに教えていただくとワクワクします。いいものとの出会いにつながるわけです。

 

誰と歩くかによって違うものが見える

どんなものが目に映って、それをどんな言葉で表現するのか。

 

そこは人によって違うと思います。

 

また私の興味のあるものと、手引きしてくださる方の興味のあるものは全然違うかもしれません。

 

菜深子
でも、そこがまた面白いところなんですよね。

 

お花が好きな方ならお花のことをしっかり教えてくれるし、花より団子派の方なら食べ物の情報をたくさん伝えてくれる。

 

誰と歩くかによって同じ場所でも違うものが見えるんです。

 

よく知っているはずの道でも、説明してもらいながら歩くと新鮮です。

 

それに、「こういうものが好きなんだ」とその人のことがよくわかるというのも重要なポイント。関係性を深めるきっかけになります。

 

菜深子
ちなみに私は食べるのが大好きなので、飲食店情報を聞くと耳がダンボになります。

 

皆様、もし私と歩いてくださる機会があればそういう情報多めでお願いします(笑)

 

美味しそうなお菓子

 

手引きはマニュアル通りではない関わり

菜深子
手引きしてもらっているとき、私はあれこれ雑談するのが好きです。会話が盛り上がると嬉しくなります。

 

でも、誰もがそうだというわけではありません

 

歩いているときには歩くことに集中したいから話しかけないでほしい、という人もいます。同じ視覚障害者でも、同じ全盲でも、考え方や感じ方は一人一人違うんですね。

 

どんなサポートを必要としているのか。それはもちろん人それぞれ。

 

そのときの状況や気分、相手との関係性によって変わってくる場合もあります。

 

サポートの仕方として大体の決まりはありますが、正解はありません

 

大切なのはマニュアル通りにこなすことではなく、お互いにとって心地よい方法を選ぶこと。今何を求めているのか、じっくり希望を聞いていただければ嬉しいです。

 

菜深子
実は私の場合、全盲歴が長いこともあり、マニュアルからはかなりかけ離れた対応をしてもらっています。

 

例えば、母親などと一緒に歩くとき。

 

正直あまり丁寧にサポートしてくれている感じはないんです。

 

「ここから登り階段」のような説明は、ほとんどしてくれません。

 

その上けっこう速足でスタスタ歩くので、「わあ、階段あったのか」と驚くこともしばしば。それでも不思議なことに怖い思いをしたことはないし、大きなけがをしたこともありません。

 

菜深子
これ、サポートの仕方として正しいわけではないかもしれませんが、私にとってはちょうどいい。安心して一緒に歩けるんですよね。こういう手引きの形もありだと思います。

 

寄り添い歩く親子

 

最後に視覚障害の当事者として一番伝えたいこと

ここまで手引きに関して嬉しいと感じる配慮を中心に書いてきましたが、私が何よりお伝えしたいのは、

 

菜深子
気楽な感じでお願いします。

 

ということです。

 

「うまくできるかな」と不安を感じられることもあるかもしれませんが、「ちゃんと支援しなきゃ」などとはあまり考えすぎなくていいんじゃないかな、と思うんです。

 

私としては、「ちょっと一緒に歩いてみようかな」くらいの感覚を持っていただけたら心地よい気がします。

 

私の母も、そんな雰囲気です。

 

「助けよう」というよりも、「一緒に歩こう」という感じが伝わってきます。

 

菜深子
もちろんもう30年以上一緒に歩いているわけですから「慣れ」という部分も大きいのだろうとは思いますが、母の持つこういう感覚ってすごく好きなんです。

 

私も、ただ助けていただくというのではなく、一緒に楽しもうという気持ちをいつも持っていたいと考えています

 

私には知らないことがまだまだたくさんあるのだろうと思います。でも私の世界は、手引きしてくださる方のおかげでどんどん広がっています。

 

この記事に興味を持ってくださった皆様、ここまでお読みいただきまして本当にありがとうございました。


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岡山出身、大阪在住の先天性全盲です。夫と二人で暮らしています。趣味は読書とぼーっとすることです。ゆるくマイペースな性格で、基本的に頑張らないタイプですが、「書くことで世界を変えたい」という熱い思いを持って活動中です。ブログやYouTubeで、全盲女子のリアルな日常を発信しています。またひそかに小説家を目指していたりもします。大学時代に社会福祉を学びました。障害を持つ当事者として、社会福祉士として(現場で働いたことはないのですが)、お役に立てるような記事が書ければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。


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