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コスプレで届ける笑顔と元気──日本コスプレ委員会の地域貢献活動

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白地のスライドに「コスプレで届ける笑顔と元気 日本コスプレ委員会の地域貢献活動」という文字と、オレンジ色のロゴが配置されている。 コスプレを通じた前向きな地域活動の想いが伝わるビジュアル。

「コスプレで福祉」と聞くと、ピンとこない方も多いかもしれません。

 

ですが、東日本大震災をきっかけに立ち上がった日本コスプレ委員会は、10年以上にわたって全国に「楽しい」を届ける活動を続けてきました。

 

障害があってもなくても誰でも参加できるイベント、子どもたちの笑顔、そして地域との信頼関係。

今回は2代目代表理事の西垣さんに、活動への想いをお聞きしました。

コスプレイベントで届ける笑顔

オレンジ色のシンボルマークとともに、「一般社団法人 日本コスプレ委員会(JAPAN COSPLAY COMMITTEE)」と記されたロゴ。 コスプレ文化を社会につなぐ、公式性と信頼感のあるデザイン。

――日本コスプレ委員会の設立経緯を教えてください。

 

西垣さん(以下敬称略) 

東日本大震災が起きた時、「自分たちにできることは何だろう?」「コスプレを通じて日本を元気にできないか?」という想いから、初代代表が立ち上げました。

コスプレイベント会社が震災のために方向転換したわけではなく、震災をきっかけに「コスプレで日本を元気に!」とゼロから始めた団体です。 

自分たちが好きなことで何か人の役に立ちたい!、という想いが原点ですね。

 

――普段はどのような活動を?

 

西垣 

主に関西を中心に愛知県、石川県などで活動しており、 今年(2025年)の6月には千葉県の商業施設でもイベントをさせていただきました。

収益の一部は義援金として積み立てており、有事の際に寄付したり、社会貢献活動に役立てています。 

お客様には普通にイベントへ参加してもらい楽しんでいただくだけなのですが、それが結果として社会貢献にもつながっています。

 

――震災後は実際にどのような活動をされたのですか?

 

西垣

東日本大震災のときは、宮城県石巻市へ訪問しました。児童施設を訪れて子どもたちと交流したり、石ノ森萬画館などを訪問したり、石巻市市長に表敬訪問させていただいたりしました。

またその際、私たちの活動の様子を現地のご担当者様やボランティアの皆様たちがさらに広げてくださったことで、全国各地の様々な地域や団体様とご縁をいただくことができました。

 

関西エリアはもとより、東京・千葉・石川・愛知・三重・大分などに活動が広がったのです。

 

福祉の取り組みについても、石巻市などへの義援金の寄付をはじめ、

小児病棟や児童福祉施設などでのイベント開催にも広がっていきました。

 

――地域貢献として具体的にはどのようなことを?

 

西垣 

地域のイベントやお祭りにお声がけいただいてコスプレイベントを開催したり、小学生以下の子ども向けコスプレ体験会を開催したりしています。

毎年行われている大阪府のお祭りでは、「去年もあったから今年もやってるかな」と楽しみに来てくれる子どもが沢山いて。子どもたちがわーっと走ってきて「お着替えする!」と言いながらいつも盛り上がっています(笑)。

 

 子どもたちのうれしそうな姿を見ると、やって良かったなと感じますね。

 

――施設訪問での反応はいかがでしたか?

 

西垣 

初代代表が活動していた頃は、病気のお子さんが療養する施設などを訪問していました。

 訪問先の子どもたちには「TVでみてる〇〇が来た!」「アニメの〇〇だ!」と、すごく喜んでいただけて。

ワークショップでは、簡単なダンスをコスプレイヤーと子供たちが一緒に踊ったり、記念撮影などをしていました。 

 

子どもたちだけでなく、職員さんや親御さんも一緒になって楽しんでくださり、親御さんたちからは「こんなに笑っているところを久しぶりに見た」と感謝のお言葉をいただきました。「毎年来てください」というありがたい声もいただきましたね。

 

日本コスプレ委員会は、子どもたちの 笑顔をたくさんもらってきた団体なのだと改めて思います。

コロナ禍以降、さまざまな感染症のリスクを懸念して、そうした施設への訪問は一時中止していますが、地域のイベントでは引き続き、子どもたちに笑顔を届ける活動を続けています。

 

ジュン
イベントの収益を義援金として積み立てる仕組みや、子ども向け体験会など、「楽しむことがそのまま社会貢献になる」という発想がとても印象的でした。

施設訪問で「こんなに笑っているところを久しぶりに見た」という言葉、これが活動の意義を物語っていますよね。

誰でも参加できる場づくり

屋外イベントのテントに、子ども向けのコスプレ体験コーナーが並んでいる。 衣装や小道具が整えられ、楽しそうな雰囲気が伝わってくる。

――障害のある方がイベントに参加されることはありますか?

 

西垣 

あります。

身体的な障害のある方のご参加は多くはないのですが、最近では大阪府で開催したイベントに、車椅子で介助が必要なお客様が参加されました。 

 

私たちが主催するイベントでは、障害の有無で区別することはまったくありません。 

コスプレが好きな方なら誰でもご参加いただけるイベント運営を心がけております。

ただしスタッフが介助するのは限界がありますので、介助が必要な方には介助者の同伴をお願いしています。それ以外に特別な制限は設けていません。

 

――障害者向けのイベントではないけれど、誰でも参加できると。

 

西垣 

そうですね。「障害のある方向け」と打ち出しているわけではないのですが、気軽にご参加いただけているかなと感じています。 

障害があるからといって「参加をご遠慮ください」ということは、まったくありません。

ヘルプマークをお持ちの方もイベントに来られますし、そこでいろいろな知り合いができて、つながりを持てている様子を見ると嬉しくなります。

 

 性別も年齢も障害も関係なく、みんなで楽しめる。来たら顔見知りがいる、お友達がいる。

そこでお話をしたり記念撮影をしたり。 それがコスプレイベントの良さだと思います。

 

――「良かった」と感じる瞬間は?

 

西垣 

「楽しかった!」「また来たいです!」と直接言っていただけるのが一番嬉しいですね。

 

先日のイベントにご参加いただいた 車椅子の方も、イベントをすごく楽しみにしていたと直接お声をいただいて、この仕事をしていて本当に良かったなと思いました。

イベント終了後はみんな笑顔で帰っていきます。その笑顔を直接見られるのが、私個人としては一番嬉しいです。

 

一人で参加される方も最近は多いのですが、巡回中に会場を見ていると、いつの間にかお友達ができている。

その微笑ましい光景が、運営スタッフたちの頑張る糧にもなっています。

 

――コスプレと福祉、最初は結びつかないイメージもありますが。

 

西垣 

私もここで活動する前は「どういうことなんだろう?」と思っていました。 

 

はじめにも申し上げたとおり、日本コスプレ委員会のイベント収益の一部は、義援金として積み立てており、有事の際に寄付したり、社会貢献活動などに役立てたりしています。コスプレイヤーの皆様が当委員会のイベントに「参加する」だけで、「楽しむ」だけで、社会貢献や地域貢献につながるスキームです。入社当初に「なんて意義のある活動団体なんだ!」と感動した覚えがあります。

 

福祉というと、病院や介護施設という騒いだり楽しんだりしてはいけないイメージがありますよね。 でも、「楽しい」が福祉になることもある。

 

福祉の固定観念にとらわれず、コスプレを通じて私たちにできる「楽しい」ことをしていく、そして必要としてくれる方たちのお役に立てれば、それは意義のあることだと思うのです。

 

ジュン
「障害者向けイベント」ではなく「誰でも参加できるイベント」という姿勢が、とても自然体で素敵だなと思いました。

特別な配慮を強調するのではなく、「コスプレが好きなら誰でも」というシンプルな考え方。それが結果的に、誰もが居心地よく過ごせる場を生み出しているんですね。

地域との信頼関係を築いて

夜の街中で、コスプレ姿の3人が立て看板の前に並び、笑顔でポーズを取っている。 行き交う人の中で、楽しさと表現する喜びが自然に伝わってくる一場面。

――コスプレに対する偏見はありましたか?

 

西垣 

設立から10年が過ぎましたが、当初は否定的なご意見やよろしくない偏ったイメージが多かったですね。

 「メイド服とかミニスカートのお姉ちゃんがいっぱい来るんでしょ」「ハレンチな格好をする人たちの集まりに、なぜうちが場所を貸さないといけないんだ」という声もあり、施設を借りるのに苦労したと初代代表から聞いています。

 

――確かに、今でもネットなどでコスプレ特集というと、コスプレをした美人のお姉さんというイメージが強いですよね。

そういう偏見は当時もっと強かったと思います。その辺りどのように克服しましたか?

 

西垣 

とにかく地道にやってきました。私たち運営スタッフもそうですが、コスプレイヤーの皆様にもご協力いただきながら、ルールを守るのはもちろんのこと、施設を大切にご利用いただいたり、一般の方たちとも譲り合ってご使用いただいたりと。

 

そうした積み重ねで「楽しそうに撮影を楽しむ方たちだな」「行儀がいいんだね」という声も増えて。「コスプレイベント」をうちでもやって欲しいといったお問い合わせが増えてきました。

 

私がここで働き始めた当初は、

 一般の方から「派手な方たちがいる」とクレームが来ることもあったのですが、今では逆に「次いつやるの?」と聞いていただけるようになりました。 

それが地道にやっていて嬉しいことの一つですね。

 

――コスプレイヤー自身の振る舞いも大きかったのでは?

 

西垣 

それも大変大きいかと思います。 

一般の方から声をかけられたときに邪険にするのではなく、活動目的を自ら説明して、交流を図ってくれます。写真を求められれば、それにも応えてくれるコスプレイヤーもいます。 

 

参加してくれるコスプレイヤーの皆様のおかげで、地域との信頼関係ができてきたのだと思います。 

 

地元の方たちが受け入れてくださったのもすごく嬉しいですし、コスプレイヤー自身が交流を図ってくれているのが一番大きいですね。

 

――今は行政からもお声がけがあるのですか?

 

西垣 

そうですね。

今やっと「社会貢献も地域貢献も色々やっている団体なんだよ」と口コミをいただいて、行政関係の方々とお仕事をさせていただいています。

 

これからも地域の方との交流、施設の方との交流、お客様との交流、その「人と人の和」を大事にしていきたいです。

 

小さなことでも、一つ一つ積み重ねていくことで、地域の人たちの笑顔につながっていく。 

しかも、コスプレイベントを開催することで、参加する人たちが「この地域にはこんな施設があるんだ」と知っていただけるきっかけにもなります。 

以降、イベントがなくてもそこに足を運んでいただける。そのような流れができれば、地域振興にもつながっていくと確信しております。

 

――鬼滅の刃など、アニメの人気も追い風ですか?

 

西垣 

鬼滅の刃はすごく人気があって、幼稚園児から高校生以上まで幅広く見られているアニメですね。

イベントスタッフに鬼滅のコスプレをしている人がいると、子どもがすごい勢いで走り寄ってきて「炭治郎!」「煉獄さん!」と言いながら話しかけてくるんです。 

お父さん、お母さんも知っているから、そこで親子のコミュニケーションが生まれたりして、そのきっかけになれたのも嬉しいですね。

地域振興にとっても、親子にとっても、やはりアニメの影響力は大きいなと感じます。

 

ジュン
「コスプレイヤーの皆様にもご協力いただきながら、ルールを守る」

という地道な努力が、10年かけて偏見を克服してきた原動力だったんですね。クレームから「次いつやるの?」への変化は、コスプレイヤーさんと地域の方々が互いに歩み寄った結果なのだと思います。人の和を大事にする姿勢が伝わってきました。

これからの展望とメッセージ

商店街の通りで、若者が笑顔でチラシを差し出し、買い物客が受け取っている。 人と人が言葉を交わしながらつながる、あたたかな地域のひとこま。

――今後はどのような活動を考えていますか?

 

西垣 

一つ目は、10年で積み上げてきたものを土台にして、地域一帯をコスプレイベント会場にするような大きなイベントを、年に一回でも開催できたらいいなと思っています。それも大人だけが楽しむイベントではなく、親子で一緒に楽しめるイベントをしたいですね。 

子どもたちがコスプレイヤーと一緒の衣装を着て撮影したり、世代の垣根を無くした交流の場を作っていきたいですね。

二つ目は、インバウンド向けのコスプレイベントを行いたいです。特に、海外のコスプレ未経験の方達に日本のコスプレを体験してもらえたら楽しいかと思います。

三つ目は、小児病棟や老人ホームなどの施設への訪問です。地域を盛り上げていくのも大事なのですが、小さなお子さまやご老人たちを笑顔にしたい、元気を分けてあげれる活動をどんどん広げていきたいと思っております。

 

「コスプレで日本を元気にする」が委員会発足時の「想い」です。大きいことを言うのは簡単ですが、実現するには地域や施設の方々のご理解・ご協力が必要不可欠です。

その為に、まずは地域に根付いた小さな活動を大切にし、社会に、そして日本全体を元気にしていけるよう、邁進していきたいと思います。

 

――最後に、読者へメッセージをお願いします。

 

西垣 

コスプレは「変身できる」ことが魅力だと思っています。

いつもの自分とは違う「自分」に出会える。

憧れの「自分」になれる、これこそがコスプレの面白さです。

 

私たちのイベントでは、障害のある方でも参加できますし、お子さん向けのコスプレ体験会があるイベントもありますので、興味があればぜひお越しください。

お客様もスタッフもみんなで楽しいイベントにしましょう!

 

ジュン
「大きなことは簡単に言えるけど、まず地域の理解・協力が必要不可欠」という西垣さんの言葉が心に残りました。小さな積み重ねが信頼を生んで、その信頼があってこそ次のステップに進める。地域一帯を巻き込んだ大規模イベントの構想は、10年の活動があってこその夢なんですね。実現する日が楽しみです。

編集後記

今回の取材は、私自身がコスプレカメラマンとして活動していることがきっかけでした。

福祉の仕事にも関わる中で「コスプレで福祉」という言葉を見つけて、興味を持って日本コスプレ委員会に連絡を取ったんです。

 

正直なところ、取材前は「福祉といえば病院や介護施設」というイメージが強くて。大きな支援活動や専門的なケアこそが福祉だと、どこかで思い込んでいた部分がありました。

 

でも、西垣さんの話を聞いて、その考えが変わりました。

 

「楽しい」が福祉になる。小さな積み重ねが地域の笑顔につながる。

福祉って「こうでなければならない」なんてなくて、もっと自由で、もっと身近なものなのかもしれませんね。

 

コスプレイベントに参加して、笑顔で帰っていく人たち。

車椅子でも、ヘルプマークを持っていても、誰でも楽しめる場所がある。

 

それは特別なことではなくて、ただ「コスプレが好きな人なら誰でも」という当たり前の姿勢から生まれているんです。

 

大きなことをしなくてもいい。好きなことを続けながら、少しずつ信頼を積み重ねていく。

その先に、地域との共存や社会貢献がある。今回の取材で、そんなことを教えてもらった気がします。

団体概要

  • 団体名: 一般社団法人 日本コスプレ委員会(Japan Cosplay Committee, JPCC)
  • 創業: 2011年5月2日
  • 法人設立: 2014年5月12日
  • 所在地: 大阪市北区曽根崎新地2-3-13
  • 主な活動:
    • コスプレイベントの主催(関西中心に全国各地で開催)
    • イベント収益の一部を災害復興義援金・福祉基金として拠出
    • 地域商店街・観光協会等と連携した地域活性化支援
    • 子ども向けコスプレ体験会・親子交流イベントの開催
    • 児童福祉施設・小児病棟への訪問活動
  • 公式サイト: https://jpcc.or.jp

 

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久田 淳吾

発達障害(ADHD・ASD)と吃音を抱える40代男性。今まで発達障害の事は知らずに生きてきたが、友人の話を聞いて自分にも当てはまる事が多すぎる事を実感し、病院にて診断を受けると見事に発達障害との認定を受ける。自分に何ができるかと考えた時、趣味の写真でプロの先生に話を聞く機会があり、吃音が強く出ていたことに気がついた先生が『君は吃音持ちだね。だったら吃音の方の気持ちがわかるはず。それを活かして吃音の方の気持ちがわかるカメラマンになったらどうか』という言葉を思い出し、発達障害者として同じ気持ち、舞台に立てる人間として趣味のカメラ、動画編集技術を活かして情報発信をする事を決意。


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