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解離性障害者を雇う人や接する人に知ってほしいこと・注意点まとめ~症状別の対策

精神障害者さんの雇用が日本で増えている中、解離性障害を抱えている人を雇用するケースも多くなってくる可能性が高くなってきます。

 

今回は、そんな人が現れた時、スムーズに対応できるだけでなく、解離性障害を抱えている人と少しでもいい関係が築けるように、解離性障害を抱えている私が、考えられるアドバイスを記事に詰め込みました。

 

正直、解離性障害はとてもツラい症状です。そんな病気を抱えながら生きている人を支えたいという人はぜひ、このまま読み進めていってください。

 

解離性障害の主な3つの症状をご紹介し、それぞれの対処法を辛さと共に紹介していきます。また、絶対にしてはいけない注意点もお伝えしますので、解離性障害の方を雇用する際や接する際に参考にしていただければ幸いです。

解離性障害の当事者として

この記事は、解離性障害の中でも「解離性転換障害・解離性健忘」を抱えながら、学校へ通い続けてきた、私の経験や病院の先生などに聞いた話などを元に執筆していきます。

 

解離性障害というのは、人それぞれ症状が異なります。加えて、私はすべての症状を経験したことがないため「自分の経験に基づく、考えられる・起こりえる」と感じた事を執筆していきます。症状別に書いている内容が、その人に必ず当てはまるとは保証できないことをご了承ください。

解離性障害とは

まずはじめに、解離性障害とは「トラウマなど、認識することで心に大きな傷を負うことを防止する処置のような症状です。」例えば、

 

  • 目の前で家族が車に引かれて亡くなってしまう
  • 集団から性的暴行を受けた
  • 家族に命に関わるような暴力を受けた

 

このような「過去のトラウマなどがよみがえることで、心が耐えられなくなってしまうことを、なんとしても防止するための緊急措置」が解離性障害の症状となります。

 

また、恐怖やストレスなどがきっかけとなり、解離性障害の症状が発症します。この症状には、様々な症状があり、どのような形で自分の心を守るのかは人によって異なります。

 

ですので、3つの症状別に解離性障害を抱えている人への配慮をお伝えしていきます。

 

主な解離性障害の症状

  • 解離性同一障害
  • 解離性転換障害
  • 解離性健忘

解離性同一障害

解離性同一障害とは、いわゆる、二重人格・多重人格の症状です。思い出すだけで心が耐えられなくなるような記憶が、何らかの形で蘇りそうになった際に、強制的に別の人格に変わることで、心を守ろうとする症状といったイメージです。

 

解離性同一障害を抱えている人には、以下のような配慮が必要だと考えられます。この症状を説明する際の設定は、以下のとおり。

 

設定Aさん:「本来の人格」

Bさん:「二人目の人格」

 

異なる人格をしっかりと把握する

解離性同一障害は、別の人格に変わることで、心を守る症状ですが、会社で解離性同一障害の人を雇う際には、その人の「異なる人格を正確に把握する必要がある」と考えられます。

 

例えば、突然AさんからBさんに人格が変わった際に「記憶が引き継がれるのか?」という点を把握する必要があります。Bさんが、Aさんの別の人格だと自覚ができており、Aさんの記憶が引き継がれるのであれば、人格が変わったとしても業務をそのまま続けられるかもしれません。

 

ですが、人格が変わった際に、一時的に記憶が飛ぶ。あるいはAさん、Bさんの記憶がそれぞれ異なる場合は、注意が必要です。なぜなら、Aさんが途中までやっていた業務をBさんは知らないからです。

 

また、Aさんに納期のある仕事を任せていた際に、Bさんに切り替われば、Bさんはそのお仕事は知りません。このような場合、AさんでもBさんでもできる、単純作業などを任せたほうがいいと考えられます。

 

仮にそれぞれの人格で記憶が異なる場合でも、同じ単純作業であれば、AさんBさんがそれぞれ覚えてしまえば、こなせる可能性が生まれます。

 

長時間一人にさせない

 

これは私の過去の経験に基づき考えられることです。私は、後に説明する解離性転換障害を抱えています。私は学生時代に学校が終わり、駐輪場へ歩いていく際に、突然倒れてしまいました。

 

その時はテスト前で補習があり、周りは暗く、学校に残っている人もあまり多くありませんでした。私は駐輪場で倒れたまま動けず、人が来るまでずっと駐輪場で寝たきりになっていたんです。

 

幸い、別の人が見つけてくれて、保健室に運んでもらえましたが、人が来なかったら私はどうなっていたかわかりませんでした。この点から考えられるのは、一人で移動している際に、突然人格が変わった時に危険が生じるということです。

 

実際に私の経験から判断すると

例えば、倉庫に物を取りに行く際に、突然人格が変わってしまえば、Bさんは目が覚めた瞬間、見覚えのない倉庫の目の前にいることになるでしょう。

 

おそらく、これだけでもとても怖いと思います。もちろん、何をしていいのか分からなくなると思います。この時、BさんにAさんの記憶が引き継がれなければ、一人でどこかへ行ってしまうかもしれません。

 

このようなことを防止するためには、一人で出かけた際に、長時間帰ってこないと感じたときはすぐに、探しに行く。あるいは、必ず付き添うといった対応を心がけるといいと思います。

異なる人格を把握し適切なコミュニケーションを取る

上記の例は、あくまでも私が考えられる一例にすぎません。解離性同一障害の人と上手に付き合っていくコツはおそらく、異なる人格ごとに、いろんなことを理解してもらうということだと思います。

 

上の倉庫の例の場合、突然、倉庫の目の前でBさんに変わったのを従業員の誰かが見たとしましょう。その時「もし、突然どこにいるか分からなくなったら、Bさんは○○(事務所)に行けば大丈夫だよ。」と教えてあげましょう。

 

そうすれば今後、突然Bさんに人格が変わった時、Bさんの記憶には、「分からなくなったら○○(事務所)へ行く」という1つの記憶が残る可能性があります。それだけで、突然の緊急時のトラブルを防止することが可能になります。

 

突然、人格が変わったBさんは、何もわからない状態です。ですので、Bさんにも、いろんなことを教えてあげることで「AさんとBさんそれぞれに、仕事を覚え、慣れてもらうように努める必要があると考えられます。」

 

解離性同一障害の辛さ

これは、突然記憶喪失になってしまったことのある私の経験から考えられる内容です。記憶が失われたまま、突然倉庫の目の前にいる。これは「体は大人だけど、記憶がない赤ちゃんが、突然どこかもわからない外に放り出されている状態と似ていることだと思います。」

 

つまり、突然人格が変わってしまったBさんは、とても恐ろしいんです。あなたも、記憶が失われ、目が覚めたら見覚えのない倉庫の目の前にいて、覚えている人が誰もいない、記憶がないという状況だったらとてつもなく怖いことが想像できると思います。

 

解離性同一障害は、このような非現実的ともいえる突然のトラブルに襲われながら、社会人として生き、二つの人格と向き合いながら生きていくということです。

 

人格がAさんに戻った時、Bさんの記憶が引き継がれれば、まだマシかもしれません。ですが、Bさんの記憶が引き継がれないのであれば、人格が変わるたびに、記憶が抜け、会社や家で何が起こったのか分からない恐怖を毎回体感し、記憶が無くなっても、生きていくために手探りで努力を続けなければいけません。

 

この症状を背負って生きていくことが、どれだけ大変なのか、少しでもわかってあげてください。

 

解離性転換障害

2つ目にご紹介する症状の解離性転換障害は、思い出してはいけない記憶を「思い出してはいけない!と、何らかの形に転換する症状です。」これは、私の例ですが、私が解離性障害を起こすと以下のような症状が現れます。

 

  • 突然意識が落ちる・衰弱する
  • 体の一部・半身などが動かなくなる

 

また、以下が転換障害に含まれるか、正確にはわかりませんが、このような症状も私は起こります。

 

  • 体に激痛が走る
  • 涙が出るほどの頭痛に襲われる
  • 一時的な失語症

 

つまり、「思い出してはいけない!」と感じるショックを、体の痛みなどに「転換」することで自分の心を守ろうとしているのです。

 

 

siki
解離性転換障害を抱えている人は、基本的に「休みたい時に休ませてあげれば、だいたいの問題は解決する」

 

 

と私は思っています。

 

私は解離性障害を抱え、まだこの症状との向き合い方が分からなかった時、授業中に突然、体の半身が動かなくなった時など、無理に保健室へ行こうとしていました。

 

体の半身が動かないのに、無理に立ち上がり、周りの生徒たちに机をどけてもらって両側から二人に肩を借りながら教室を出ていました。ですが「体が動かないなら、動かさなきゃいいじゃん。」という結論を出し、授業中に

 

siki
先生!休みます!

 

と言って休んでいました。

 

解離性転換障害を初めて抱えた人は突然、体が動かなくなってしまうことに驚くと思いますが「慌てずに、その場で休ませてあげれば、私の経験からしてほとんどの場合は大丈夫です。」

絶対に体と心臓を冷やさせるな!!!

 

解離性障害で動けなくなった人に「絶対にやってはいけないことがあります。」それは「体と心臓を冷やしてしまうこと。」これは「下手をすれば死にます。」

 

私が死にかけた実体験を1つご紹介します。

 

コンビニで心臓が止まった話

昔、私はコンビニで働いていました。ある日、お仕事中に体調が悪くなり、裏で休んでいた時の話です。

 

私はロッカーに背中を預けて、意識が落ちそうな朦朧(もうろう)としている状態で休んでいました。体に力が入らず、倒れてしまった時、私はうつぶせで倒れてしまったんです。

 

その時は夏で、かなり冷たい冷房が効いているうえ、私はTシャツ一枚しか着ていませんでした。床はとてもキンキンに冷えていました。私は、冷たすぎる冷房に冷やされながら、キンキンに冷えた床に心臓を押し当てたまま動くことができませんでした。

 

あくまでも私の話ですが「解離性転換障害は、精神の負担を肉体に転換する症状です。」ひどく衰弱した場合は、心臓から全身に血を流せなくなるほど衰弱します。

 

 

siki
私は、一時的に心臓が止まっていたんです。

 

 

私は、その状態で心臓と体を永遠に冷やし続けてしまいました。しばらくしてオーナーがやってきて、私を叩いて起こしてくれた時、心臓が止まってたと言っていました。

 

コンビニで働いている皆さんは、私の事を理解してくれていますので、解離性転換障害で、気を失う、体が動かなくなれば、裏手で休ませてあげればいいと対処法を知っています。起き上がれない、返事もできない、ただ寝ているだけの私を見た周りの人は「いつものように休んでいると思っていたのです。」

 

このときは、解離性転換障害で、意識が弱って、まともに動く事もしゃべることもできない私は「死にそう」と伝える事ができなかったのです。目の前に従業員が来た時に、死に物狂いで寒いと伝えようとしてもしゃべることができず、ただ休んでいると思われながら目の前を去った時は、死を悟りました。

 

私はこの症状で、何回か死にかけました。これは、私の体験から書いているものであり、すべての人がそうなのかはわかりませんが、解離性転換障害は心と体が凄く疲弊します。ですので、以下のようなことが無いよう、気を配ってあげることが大切だと思います。

 

絶対にしてはいけないこと

このような経験から、以下の2つのことは絶対にしてはいけないことだということを学びました。

 

  • 絶対にうつぶせで寝かせてはいけない「特に冷たい床に心臓を当ててはいけない」
  • 体を冷やしすぎてはいけない

 

また、舌根が落ちないようにすることも大切です。意識が朦朧としていて横になっている時、気をしっかり持たなければ、舌根が落ちて呼吸が苦しくなっていました。

 

そんな時、私はバッグを枕にしたり、顔を横に向けて対策をしていました。こうすれば絶対に大丈夫だと保証することはもちろんできませんが、車の免許を取得する際に習う「回復体位」にしてあげると安全かもしれません。

 

解離性健忘(けんぼう)

解離性健忘は、いわゆる記憶喪失です。思い出してしまえば、心がつぶれてしまうといった時に、記憶を消すことで、心への致命的なダメージを回避する、最終防衛手段のようなものだと、私は思っています。

 

私が経験した記憶喪失

解離性健忘で記憶を失った場合、記憶が戻るのか・戻らないのかなどは、その人の症状で異なってきます。私も学校のレクリエーションの時に突然、担任の先生以外の記憶を失い、周りにいる人や家族が分かりませんでした。

 

親が迎えに来た時、私は「先生、この人についていけばいいんですか?」と、もうわけが分からない状態で、親の車に乗り、家に帰った経験があります。おそらく、このとき失った記憶は、人と街の記憶でした。

 

つまり、リンゴ、車といった当たり前の事は覚えていますが、自分の周りの人、住んでいる街の事がさっぱりわからず、異世界に転生したような感じです。当時の私は、もう記憶が完全に戻らないかもしれないと思いました。

 

それなら、いつまでも学校を休んではいけないと、ぼんやりと記憶が回復してきた段階で、学校に行くことを決めたのです。学校に行って、私はおかしな感覚に襲われました。

 

人の記憶が無くなっているのに、クラスの人達を見た瞬間「なぜか自分は、この人たちを知っているというわけの分からない状況に陥ってしまったのです。」

 

言葉で説明することは難しいのですが、話したこともない、その人との思い出も何一つないのに、なぜか目の前の人を知っているといった感覚です。

 

私は、クラスの人達に心配をかけないよう、自分が記憶を失っている事を理解していたので、友達感覚で話して、あなたの事が実はさっぱりわからないという事実を隠していました。そのあと、数日して「なんとなく」といった感覚から、少しづつ記憶は戻っていきました。

異変に気付いたら優しく対応してあげてください

siki
記憶喪失を経験した時、私はすごく怖かったです。

 

「私は誰?ここはどこ?」と言うセリフは、もはやネタにしか聞こえないかもしれませんが、記憶を失った私が本当に心の中で口にした言葉です。

 

記憶がなくなり、自分がなぜここにいるのか、周りにいる人が誰なのかもわからないまま「いきなり、しっかりしろ!」と怒鳴られては、もうどうしていいか分からなくなってしまいます。記憶を失った人にとっては、家族や友人も初対面なんです。

 

このようになった場合は、落ち着いて、何の記憶が残っているのかを把握し、優しく対応してあげることを心がけるといいかもしれません。また、万が一その人が一人暮らしをしているのであれば、実家の人に来てもらうといった対応をしてもらったほうがいいでしょう。

 

まとめ

いかがでしょうか?解離性障害の症状別に、配慮の方法をお伝えさせていただきました。

 

解離性障害を抱えている人は、症状も抱えている苦しみも人それぞれ違います。そのため、仕事中に体調を崩した時、どのように対処してあげればいいのか、緊急時はどうしたらいいのかといった事を付き合いながら把握していくことが大切です。

 

あくまでも個人的な意見ですが、解離性障害は「とても体力が消耗し、心と体が疲弊します。」精神がすり減り、酷い時には血液がまともに流れなくなるほど体力が疲弊する症状ですので、仕事がうまくいかない時に、怠けていると否定しないであげてください。

 

解離性障害の方を雇用するときだけでなく、周りにこのような症状を抱えている方がいらっしゃいましたら、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

 

私も当事者として、いろいろな経験をしてきましたので、何かご不明点や不安な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

 

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障害者フリーランス siki

学生時代に解離性障害という病気なり、パソコンで生活する道を模索しているsikiと申します。就職が難しく、障害者年金も取れなかった私が、自立して生きていくためには1日にわずかに働ける時間を使って、家の中で生活費が稼げる人間になること。不安や悩みを抱えている人の相談に乗ったり、病気や障害を抱えている人の自立支援を行っています。悩んでいる人は是非、私のTwitterのDMでご相談ください。→sikiのTwitter


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コメント

    • みぃさん
    • 2023/05/02

    私も解離性障害を持っています。
    内容を読んでとても共感しました。
    この病は理解してもらいにくいもので
    一人で悩んだ時期もありました。
    この世の中には解離性障害を持ちながら
    強く生きようとする人たちがいるんだと…
    自分は1人ではないんだと思いました。
    同じような症状が記載されており
    同じだ!と思いながら読ませてもらいました。

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