今回は障害児を持つ親御さんの無料コミュニティ・ほっとサロンの勉強会で、カナダ在住自閉症児のママ【マーセラス朱美さん】をゲストとしてお呼びさせていただきました。
海外の障害者教育に対する考え方とは?子供の平等とは?
朱美さんには、カナダの療育とインクルーシブ教育について語っていただきましたので、ぜひ最後までご覧ください。ぜひ「行動」の後押しができると幸いです。
お好きなところからお読みください
マーセラス朱美さんプロフィール
マーセラス朱美さん
昭和46年生まれ、岩手県大船渡市出身、岩手県立大学宮古短期大学部卒業。短大在籍中一年間休学、イギリスのロンドンへ語学留学、留学をきっかけに海外生活に可能性を見出し短大卒業後そのままカナダへ移住。2児の母、長男自閉症。障害児の子育てを通してカナダの多様性社会での気づき、そしてインクルーシブ社会の素晴らしさを改めて学ぶ。現在は、インクルーシブ環境で得た自分の体験、事例等、様々なSNSで発信。
この記事の内容は動画でも視聴できますので、お好きな方でご覧ください。
カナダのインクルーシブ教育を発信するキッカケ
インクルーシブ教育にたくさんの可能性を見出している一方で大きな違和感というか懸念を抱いている方々がたくさんいらっしゃったこと。
カナダのインクルーシブ教育とは
障害があるないに執着せず、すべての子供たちが同じ環境で同じ学びを得れることが前提とされているんです。
子供が平等に学ぶ権利を尊重している教育システムだと思います。
健常者も恩恵を得られることも
『【海外のインクルーシブ教育】カナダのインクルーシブ教育を自閉症児の親が解説』
あなたは、インクルーシブ、インクルージョンという言葉を聞いた時に何を思い浮かべますか?仲間はずれにしない。みんな一緒に。障害のある子供達も健常な子供たちと一緒に学ぶ環境? 2017年カナダのブリティッシュコロンビア州で開催されたインクルーシブ教育サミットでは、インクルージョンは障害のある子供達だけのものではないっとうたわれています。 Inclusion is not just about kids with disabilities. It’s about the whole stream of student diversity出典:https://inclusionbc.org/wp-content/uploads/2018/11/... 【海外のインクルーシブ教育】カナダのインクルーシブ教育を自閉症児の親が解説 - WelSearch ウェルサーチ|福祉の専門家や当事者たちが発信する福祉情報サイト |
多文化主義なんですよね。だからか多様性のある教育が一般的なんです。
最初から組み込んだプログラムを教えるのではなく、個人のニーズをとらえ、そこからプログラムを生み出していく。 この言葉を聞いたときに私が思ったことが、カナダのインクルーシブ教育はこれだと!
与えられたものをそのまま教え込むのではなく、個人個人の生徒の個性を見て、そこから教育を進めていく。先生たちが試行錯誤して。
カナダの学校では療育が当たり前
応用行動分析学なんですけど、普通のクラスの中でも使われているんです。それが療育とは思っていない。
ABAについては、過去の動画で黒氏さんが子育てに絡めて語っていただきました。
少し変わった面白い教育
普通の感情の時は緑色グリーンゾーンですけど、怒りが沸き上がって仕方ない時は赤のレッドゾーン。
ちょっとおかしな気持ちは黄色を使う。
僕は今ブルーゾーンだから落ち付いているんだとかね。
後は一日のスケジュールが黒板に貼られていたりとか、教室の中に授業で疲れたときとか、ストレスを感じたときとか隠れ家を置いている先生とかも居るんですよ。
年齢がバラバラで学べるカナダ教育
2学年ずつ、3年生4年生、4年生と5年生が一緒に学べるクラスが当たり前に存在しているんですね。
カナダの小学生は1クラス大体22~28人くらいで回しています。
カナダの校長先生から聞いた【生徒中心】の教育
だから教育も同じように、違う年代の子が一緒に学べる環境を作って進めていくのがいいんじゃないかって考え方なんですね。
校長先生のお話を聞いたときに、これが多様性教育だと思いました。
でも、これは先生に対しても逆に当てはまるところがあって、カナダの学校には教科書がないんですよ
教科書がないカナダの教育
だからもう持って帰ってくるとしたら、うちの小学校の場合なんですけど、学校で習ったプリントとか図書館で借りてきた本とかそれぐらいですね。
タスク制ではないカナダの教育
でも進級とかは大丈夫なんですか?
見聞を広げる可能性
行く前にみんなでアフリカの子供たちを救おうという感じでファンドレイジングもして、アフリカ頑張ってね!とみんなで送り出しました。
学校で授業を詰め込むよりも、本当に学校側も先生も自由でリラックスして授業が受けられるんですよね。
日本にもある!学生のボランティア↓
教育の中に競争がないということ
勉強ができるから目立つとか、勉強ができないから目立つとかがそうゆうことが全くない。
子供たちの中にも比べて競うっていう名がないので、自分基準のペースで勉強ができる環境かなと思います。
「なんでそんなことする必要あるの?」みたいな。
それぞれそのお子さんの特性に沿って進めるのが、教師としてのプロフェッショナルだと仰っていました。インクルーシブ教育とはそれだと思います。
トライ&エラーの大切さ
先生も人なので育った環境の強みもありますし、弱みもあります。
もちろんそれはリスクもあると思うし、例えば先生によっては、新米の先生で全然教えることが出来なくて、子供たちが学びたくても学べない環境が生じてしまう事があると思います。
そういうトライ&エラーを重ねていくことで先生も勉強して成長していくのができると思うし、やる気も出ると思います。
日本とは違う!カナダの福祉制度
子供の名前でアカウントが作られて、アカウントは親が管理するんですが、お金は子供のために使って下さいと振り分けられるんです。
自閉症児の子育てをして10年くらいになるんですけど、この助成金のおかげで療育で、自分でお金を払ったことは実はないです。
『カナダの障害児サポート事情を自閉症児の親が解説します!』
カナダには障害児を育てていくにあたって、嬉しい福祉制度があります。 6歳以下の自閉症児サポートとして、一年間に2万2千ドルの助成金をもらえるというものです。 日本円で約220万円ですね。 実際にそのような金額を一年間でどのように運用されたのですか? こういった質問を受けました。 そこで今回カナダで自閉症児を育てている自分が実際に助成金を受け取った際に、過去どのように助成金を運用してきたのか簡単に解説してみたいと思います。カナダの自閉症助成金って何?カナダでは医療専門家によるアセ... カナダの障害児サポート事情を自閉症児の親が解説します! - WelSearch ウェルサーチ|福祉の専門家や当事者たちが発信する福祉情報サイト |
余ったお金は返して、次の年間また2万2千ドルが渡されるという感じですね。
療育のために自分に本を買ったり、療育で使えるおもちゃを買いました。この福祉制度は障害児を持つ親としては凄く有り難い制度です。
親御さんの声で変わったカナダの福祉制度
このシステムが導入される前は、本当に自閉症児を持つ親御さん達っていうのがもう少ない助成金の中で限られた療育しか子供に受けさせれなくて、残りの療育費は自分たちで払っていたんですね。
国が子供たちを平等に守られる権利というのを怠っているんじゃないか!と訴訟を起こして、勝利しました。
そして、このシステムが導入されたんです。
これを聞いたときに、声を上げてくださった親御さん達にすごく感謝をしました。
経済効果も期待できる福祉制度
だからそれがいいなと思いました。
だからカナダみたいに国が直接障害当事者にお金を払うことで、そこで選択肢が生まれので、いろんな企業が自分を選んでくれということで企業努力をたくさんしてくれる。
素晴らしい仕組みだと聞いてて思いました。
最後に
ABAが主な療育というお話をしたんですけど、私たちが実際に受けた療育っていうのがABAの他にR&Rというのがありまして、リファレンス&リギュレットという療育で、それも出来たら後日シェアさせていただけたらと思います。
子供たちが守られる権利を持っていて、子供たちが親の物ではないというか……
子供は社会で育てるものというバランスが取れていて、カナダ社会からサポートを受けながら、子供たちはいろいろな人に育み育ててもらうのが大事だと、カナダ社会から教えてもらいました。
日野信輔
最新記事 by 日野信輔 (全て見る)
- 聴覚障害者とのコミュニケーションツールを学生が開発!ノートラブルとはどんな商品なのか? - 2022年8月2日
- TENGAの障がい者支援「able! project」に迫る!川越のB型事業所をインタビュー - 2022年6月29日
- バリアフリー映画を当たり前のものに|パラブラ代表の山上庄子さんインタビュー - 2022年3月17日