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当事者が語る!物質・行為に対する依存症エピソード4選!八壁ゆかりの崖っぷちブルース 第8回

……依存と中毒……。

 

自分でテーマ決めといてアレなんすけど、これ、身に覚えがありすぎて正直どこから始めればいいのか俺には分からん……。

 

とりあえず当記事では、「物質・行為」への中毒・依存と、「人間」へのそれ、という風に分類して書いていこうと思う。本稿は、依存症に関する「物質・行為」篇だ。

 

意外なもの・行為・習慣が、案外あなたの「中毒」になってるかもしれませんよ……(脅すな)。良い習慣もあれば、実はそうでないものもある。かもしれません(だから脅すな)。

 

精神障害の私が体験した4つの依存症エピソードをもとに、公開できる範囲でお伝えしていきます。

物質・行為に対する依存症

言うまでもない大前提ですが、本稿で言う「依存と中毒」、もしくは「アディクション」は、

 

 

といったのものを扱います。ご留意ください。

 

いつも通り、私の経験と見聞きしてきたものからお話ししていこうと思います。

 

依存症4選

  • アルコール
  • 自傷行為
  • 薬物
  • タバコ

 

 

では、1つずつエピソードをお伝えします。

アルコール依存

はい、出ました。一番手は端的に言う「アル中」です。

 

ゆかり
これを言うとめちゃくちゃ驚かれるんですが、私はお酒が飲めません。非常に弱いです。

 

「ほろよい」という缶チューハイを半分飲んだだけで顔が真っ赤になり動悸を覚え、ぐらぐらして吐くか寝ます。

 

なんかね! この格好と性格のせいですかね?! みんな俺が「ウォッカとかガンガン飲んでそう」とかいう変な先入観持ってやがるんですよ!!

 

ゆかり
馬鹿にするな!

 

居酒屋でカルーアミルク三分の一飲んだだけでフラフラになって笑われるのが俺だ!!

 

だからアルハラは大嫌いだ!!!

 

……すみません、私情がうっかり出てしまいました。

 

そう、アル中、お酒への依存です。私は飲めませんので体験談ではありませんが、私の父方の祖父がかなりその、ええ、そんな感じでですね。

 

かすかな記憶を辿ると、お酒を飲んで酔っていない時の祖父があまり出てきません。ここであまり祖父の「伝説」というか「武勇伝」を書いてしまうとマズいのですが、ええ、相当な騒ぎを一度や二度ならず勃発させていたそうです。

 

しかし母によると、飲んでない時は非常に気弱な、おとなしい人だったそうです。祖父は案の定、若くして肝臓をやられ、私が小学校の頃に亡くなりました。

 

 

もちろん、この世の中には祖父とは比較にならないほど深刻なアルコール依存症の方々がいることを、私は知っています。「依存心」という意味では、つまり「辞めたいけど辞められない」という心中は、死ぬほど分かる、つもりです。

 

先日も、近しい友人が、鬱から逃げるためにお酒を飲むようになり、家族が必死で止めている、と聞きました。全部が全部とは言いませんが、「なりたくてなった中毒」というのは、あまりないのではないでしょうか。

 

というわけで、次は私自身の、「なりたくてなったわけではない依存」行為です。

 

(デリケートなトピックなので、苦手な方はスクロールか目次でスキップだ!!)

 

自傷行為への依存

私は10歳から自傷行為を始めました。カッターで膝を切ったのが最初です。中高生の頃は、まださほど深刻ではありませんでした。私の自傷は、いつも左腕の前腕で、カッターしか使いませんでした。

 

親にバレた時は殴られ、泣かれ、説教と懇願を受けましたが、それでも私は辞められませんでした。そして高校卒業後、単身ニューヨークに乗り込み、独り暮らしを始めてみると、当然のことながら、止める人がいません。

 

ゆかり
私の自傷は悪化しました。

 

この頃すでに、健忘が出ていたため、

 

「気づいたら左手が血まみれ」
「朝起きたらゴミ箱に赤いティッシュが山盛り」

 

といった現象が起こっており、私は、自分自身のことながら、

 

「知らない内に手首を切って死んでしまったらどうしよう」

 

と戦々恐々としていました。手首に、太い油性マジックで『NO』と書き、それでもそれ以外の箇所は切り続けていました。

 

ゆかり
辞めたかったです。痛いし、跡が残ります。半袖の時期はすれ違う人に見られるくらい傷がありました。

 

帰国して閉鎖病棟に入っても、辞められませんでした。

 

 

「辞めたい、したくない、だけど、これしか方法がない」

 

当時私は、こう思っていました。

 

私の場合は、自分自身や他者に対する怒りやネガティブな感情を、外にリリースできずに自分に向ける性質で、文章を書くことや他の発散方法を発見できてなかったから15年も自傷が続いたんだと思います。

 

自傷行為をやめたエピソードについては、こちらの記事で詳しく記載しております。

 

※注意※当記事には、自傷行為の詳細や用語、傷の話題などが含まれます。読んで気が滅入りそうだったり、刺激が自傷のトリガーになりそうな人はブラウザバックで逃ゲロ!! おはよーございます、寝起きでもないし芸能人でもないのに挨拶はいつも「おはよーございます」な八壁ゆかりです。 今回は連載「崖っぷちブルース」通称「崖ブル」ではなく、イレギュラーな登場であります。 テーマはズバリ、『自傷行為』について。 「八壁〜てめぇ〜この暗い世の中、絶望が蔓延する今、よりにもよって自傷なんて重いこと語り...
私が自傷行為をやめたキッカケ!原因や接し方を語りたい 〜自傷15年史から得たヒン... - WelSearch ウェルサーチ|福祉の専門家や当事者たちが発信する福祉情報サイト

 

薬物依存

物質への依存、ここで言う「薬物」は「麻薬」だけに留まりません。

 

とりあえずは「麻薬」のお話を少々。言うまでもなく違法ですし、中毒性が極めて高いものもあります。

 

ゆかり
私の経験からお話しすると、ニューヨーク時代にまた戻ります。大学でポット(マリファナ)をやってる連中はかなりいました。

 

一番の友人はとても優しく、私の精神状態や自傷を心配してくれる男の子でしたが、高校の頃から覚醒剤に手を染めていた、と言っており、休みの間にまたやるかも、と軽い口調で話していました。それだけが玉に傷の親友でした。

 

また、私のアパートの上の階の住人は騒音が酷く、四六時中爆音で音楽を鳴らしていて、私も負けじと好きなバンドの曲を流したりしていました。

 

するとある日、インターホンが鳴ったのです。誰かと聞くと、上の住人だ、との返答。騒音に文句もあったので、私はドアを開けました。

 

「なあ、さっきアンタが鳴らしてたのってWeezerの曲だろ? 俺、大好きだけど音源持ってねえんだよ。よかったらダビングしてくれないか?」

 

私はまず騒音に苦情を言い渡し、その後、彼が欲しいと言っていた曲をCD-Rに焼いて渡しました。すると、彼はお礼の言葉と共にこう言ったのです。

 

「マジでありがとう! LSDやりたかったらいつでも声かけて。サービスするよ」

 

実際、ニューヨークの日本人コミュニティで知り合った人によると、やはり留学生で、ポットから入ってクラック(コカイン)やもっと危険なドラッグに落ちていく学生が少なからずいる、と聞きました。

 

 

『もっと危険なドラッグ』

 

私自身、実際に使用している人物と接したことはありませんが、「King of Drugs」と呼ばれる麻薬があります。

 

それは、通称「スマック」と呼ばれる薬、ヘロインです。

 

私は中学の時分から、麻薬を憎悪していました。単純な理由ながら、私がロックを能動的に聞くようになったきっかけである人物が、ドラッグ中毒、特にヘロイン中毒になり、双極性障害とドラッグの影響で自殺したからです。

 

ですから、ポットですら、手を出しませんでした。大学の仲間には、「タバコなんかよりずっと健康的だよ!」なんて誘われましたが、私は「アホか!」ときっぱり断っていました。

 

薬物依存は麻薬だけではない

しかし、別視点で見れば、私も「薬物依存」な時代があったかもしれません。

 

というのも、私は以前、15歳の頃から飲んでいる薬、レキソタン(成分名「ブロマゼパム」)の5mg錠と、リスパダール液状2ml(成分名「リスペリドン」)がないと、外出するのが不安で恐かったからです。

 

もちろんこれは予期不安です。

 

「外出先でパニックを起こしたらどうしよう」

 

という不安から、

 

ゆかり
レキとリスパを持ってないと!

 

という強迫観念に囚われていました。

 

現在これはほとんどなく、ただリスパダールを忘れて外出先で幻聴に襲われて困る、といったことが起こる程度です(充分キツいですが)。

 

また、これも知識のみですが、合法ドラッグ、または脱法ドラッグの知識も、古い情報ですが、知っています。知っているだけで、試したことも、試そうと思ったこともありませんが。

 

しかし、「思い込み」ないし「固定観念」というものは恐ろしく、プラシーボ効果も相俟って、たとえば、

 

「アモバンを飲まないと眠れない」

 

と自己暗示をかけてしまったり、他の抗不安薬が手元にあっても、

 

「ソラナックスじゃないと効かない」

 

という風に、かたくなに特定の薬に拘泥していている人(含む俺)を知っています。これは、「依存」と言って差し支えないステイタスかと、私個人は考えます。

 

タバコ=喫煙

俺の話だ。

 

私は喫煙者です。紙タバコを吸います。レキソタンやリスパダール以上に依存し、中毒になっているのがこの「喫煙」という「行為」です。

 

ニコチンやタールだけへの物質的な中毒なら、努力したりして辞められることは知っています。しかし、私の場合、「喫煙という行為への精神的な依存」が強烈なのです。

 

ゆかり
もう激烈です。ヤバいです。

 

昔の主治医に、

 

「医者として喫煙は絶対に勧められないけど、あなたはタバコが安定剤代わりになっているから、いきなり禁煙しろとは言いにくい」

 

とすら言われました。私のタバコへの依存度を象徴する伝説的なエピソードがあります。

 

タバコ依存のエピソード

閉鎖病棟に入っていた時のことです。当時私は諸事情で喫煙を禁じられていたのですが、最初に入った男女混合病棟では、看護師が見回りに来ても、他の患者さんが私をかばい、

 

「八壁さんはお話ししてるだけですよ〜」

 

とそっと私のタバコを隠したりしてくれていました。しかしその病棟で色々ありまして、重症の患者の多い女子病棟に移されてみたらば、とんでもない地獄が私を待ち構えていました。

 

東京都内とはいえ山奥の、古い精神科病棟、しかも閉鎖病棟において、女性患者たちは、まるで中学校か高校のように群れ、グループを作っては勢力争いをしていたのです。

 

ゆかり
正直、驚きました。

 

私の不運は、その二大勢力の片方のリーダーに気に入られてしまったことでした。自然とそのグループの一員となってしまった私に、すぐさま敵対グループからの嫌がらせが始まりました。

 

 

別に所持品をどうされようと構わなかったのですが、

 

「喫煙をチクられる」

 

これだけは、文字通り生命線を切られるのと同義でした。すぐさま隠し持っていたタバコとライターは没収されました。

 

親に頼み込んで、差し入れの生理用品の中に一箱入れてもらったこともありましたら、それも荷物チェックでバレました。

 

ライターだけは、何とか持ち込めました。でもタバコは無理でした。喫煙所もナースステーションの斜向かいだったので無理です。

 

ここからが私の依存っぷりを遺憾なく発揮する話なのですが、私は、

 

1.敵対グループのメンバーではない喫煙者の患者から一本100円でタバコを買い、
2.就寝前に睡眠導入剤を筋肉注射で打たれヘロヘロになりつつも、
3.看護師の見回りが終わった後トイレに駆け込み、
4.個室の床に寝転がってタバコ吸っていました。
5.タバコのフィルターは水に流れないので、それはきちんと回収して。

 

ゆかり
うーん、完全にやべぇ奴ですね、ワタクシ。

 

昨今の喫煙者に対する迫害……いや、受動喫煙などの問題は先刻承知してはいるのですが、それでも、2020年4月から施行された、カフェやレストランでの完全禁煙条例(電子タバコはOK)には、正直心の底から困っています。

 

ごく稀に、分煙で紙タバコの喫煙が許されている店を見つけると狂喜乱舞するんですが、そんなお店もどんどん減るし、逆にタバコの値段は上がり続けます。

 

「だったら辞めろ」?

 

ゆかり
辞めたいですよ!!

 

お金もかかるしストレスもたまるし、友人とお茶しようにも店探しに苦労するし!!

 

今現在はVAPE(ヴェイプ=水蒸気タバコ)に少しずつ置き換えていっている段階ですけどね、私は「行為」としての喫煙に、「精神的に」依存しすぎているんです……。しかも、長期間。

 

嗚呼、また厭世的な気分になってきました……。ぴえん(←最近習った言葉)(古い)。

 

物質&行為への依存症まとめ

まだまだここに書き切れないくらい、物質・行為に対する依存は存在します。

 

爪を噛むとか(これは私の母・齢64歳)、過度な貧乏揺すりですとか(これはチックの可能性もありますね)。

 

全ての依存が有害であるとは言いません。ですが、ここまで長々と書いた通り、自分の身体的健康やメンタル面の健康に害を及ぼすものは、決して喜ばしいものではありません。

 

ゆかり
私自身、タバコを辞められないので、偉そうなことは何も言えません。

 

しかし今、私はとても困っています。喫煙依存のせいで。このコロナ禍において、糖尿病を患っている上に喫煙しているなんて、もう最悪のコンディションですから。

 

それでも、分かっていても、辞められません。

 

ついでに言うと歯も汚いです。これはタバコだけが原因ではないんですが、歯が黄色いとかのレベルではなく、もう茶色というか一部黒いです。一時期は笑う度に手で口を覆うほどでした。

 

ですから皆さま、今一度、ご自分の生活習慣を見直してみてください。案外、自分が中毒になっていないような「習慣」が実は有害だった、なんてことがあるかもしれません。

 

何事も、ほどほどに、ということですね。

 

では、次回は「人間への依存」について書ければいいなと思っていますがどうなるかは俺の体調次第だぜベイベ!

 

連載シリーズ:八壁ゆかりの崖っぷちブルース

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病歴25年目突入のパンク主婦、物書き。 精神疾患を抱えたまま、高校不登校時に「そうだ、ニューヨークに行こう(永住的な意味で)」と思い立ち、全日制高校から通信に移り英語学校へ。卒業後、単身ニューヨークに飛ぶものの、病状の悪化で帰国を余儀なくされる。今でも英会話は得意。 主たる精神疾患は解離性障害とそれに伴う解離性健忘、最近は統合失調感情障害も加わった。健忘が酷すぎるので、「記録魔」そして「保存魔」として首都圏で名を馳せつつある昨今。 幼い頃から小説を書いており、新人賞でもかすりはするが一歩とか二歩とか及ばないのでそろそろ及びたい次第。記事一覧はこちら→八壁ゆかり
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