私は、アートセラピーによって精神的に安定するようになった1人です。
私の助けとなったアートセラピーのことを考えいると、ふとこの疑問が浮かんできました。
そこで今回の記事では、アートセラピーの歴史について触れていきたいと思います。アートセラピーの歴史について知ることで、芸術療法の意味とその役割について一層理解が深まると思います。
現代での芸術療法がどのように形成されていったのか、是非ともご覧ください。
お好きなところからお読みください
アートセラピー(芸術療法)とは
アートセラピー(芸術療法)とは、絵や造形・踊りなど芸術を使ったの表現手段を使って、メンタルにもいい影響を与えていくという治療法です。
芸術療法といっても、いろいろな手段があります。
例えば、
- 絵画療法
- 音楽療法
- 心理劇
- 箱庭療法
- 舞踏療法
etc…
『精神疾患の当事者が語る芸術療法とは?12つの種類と活用する目的まとめ』
精神疾患の当事者の夏目と申します。 筆者は、芸術療法が精神疾患にも効果があるということを知り、自分でも取り入れながら過ごしております。 ただ、芸術療法といっても多種多様なものがあり、「何を選んでいいかわからない…」といった声も多いです。 そこで今回は、芸術療法の種類をまとめ、活用する目的を1つずつ紹介していきます。 芸術療法は、ご自身に合った方法で楽しみながら進めていくことがベストです。 ぜひあなたに合った芸術療法を見つけていただく「きっかけ」になれば幸いです。芸術療法を活... 精神疾患の当事者が語る芸術療法とは?12つの種類と活用する目的まとめ - WelSearch ウェルサーチ|福祉の専門家や当事者たちが発信する福祉情報サイト |
今回は、そんな芸術療法がどのように生まれ、どう現代に伝わっていったのか歴史を紐解いていきます。
アートセラピー(芸術療法)の歴史
旧石器時代のアートセラピー
まず、絵が始まったと言われている旧石器時代。
旧石器時代には洞窟壁画がありました。洞窟壁画は、狩りの成功を願う祈りや宗教的な意味があったなど、いろいろな説があります。
中近世のアートセラピー
中近世では、キリスト教の絵画が発達しました。王様の祈りの奇跡体験の夢を絵画で表現したのが、画家のフラ・アンジェリコという作家です。
19世期のアートセラピー
19世期になると、象徴主義が発達し、この時代からより内面や思考状態を表現する時代になりました。精神医学者のジークムント・フロイトやカール・ユングの影響を得たダスタフ・クリムトという作家が登場し有名になったのがこの時期です。
また、19世期には後期印象主義が発達しました。
ゴッホ が神経発作のために精神病院入院中に描いた「星月夜」は稀代の名作と言われています。「星月夜」は芸術療法から生まれた作品と言えるかもしれません。
20世期のアートセラピー
20世期になると超現実主義、シュルレアリスムが発達し、スペインの有名な画家「サルバドール・ダリ」もフロイトに影響を得た
夢を絵画化したとも言われています。より抽象的で複雑で深遠な表現が発見されました。
芸術療法にとっても、直接的でない表現が発達してきたと言えるでしょう。
1920年代のアートセラピー
1920年代になると、正式に美術教育を受けていない人々や障害のある人たちが、活躍しはじめました。
ルイス・ウェインや山下清などが有名です。
現代のアートセラピー(芸術療法)への変遷
では、絵画などの芸術がどのようにしてアートセラピーとなったのか?
そこを考えるにあたり、この3人に行き当たりました。
アートセラピーの先駆者として、
- マーガレット・ナウムブルグ(米国)
- エイドリアン・ヒル(英国)
- エドワード・アダムソン(米国)
の名が挙げられるでしょう。
マーガレット・ナウムブルク
マーガレット・ナウムブルクは、1940年代から1950年代にかけて活躍し、精神医学と芸術療法のかかわり合いのなかで、アートセラピーを見出しました。
エイドリアン・ヒル
エイドリアン・ヒルは、自らが結核患者でしたが、他の患者にも絵画活動を促し、そこから芸術療法が隆盛しました。
このエイドリアン・ヒルが絵を描くことによって、治療にも繋がるといった説明をする際に「アートセラピー」という用語を最初に使用した人だと言われております。
アートセラピーによって、患者が「不運に対する強い防御を確立することができる」と言っていたのです。
エドワード・アダムソン
エドワード・アダムソンは、1946年に、ロンドンの精神病院で、オープンスタジオ形式のグループアートセラピーを解説しました。
それが、多くの精神病院で行われるようになりました。
エドワード・アダムソンは、より多くの人が参加できるようにオープン・アートスタジオを設立して、アートセラピーを広めていた人物。
とても厳しい時代だったのですね。。。
そのような状況の中、オープン・アートスタジオの活動は、急進的なものだったと言われてます。
エドワード・アダムソンは、このように語っております。
「芸術を通して自己を表現することで”癒された。重要だったのは、創作するという行為だった。」
アートセラピーの領域
アートセラピーは、教育領域と医療領域で発展しました。
教育領域では、子供たちが、医療領域では、兵士や監獄の囚人たちの更生のために用いられました。
1960年代には、米国英国で芸術療法学会が設立されました。
アメリカでは、1971年には3カ所だった養成コースが、現在は30カ所以上、米国では10カ所以上の大学院で学べ、政府認定の資格の取得ができるようになったのです。
そして、1969年には日本芸術療法学会が設立。
このようにしてアートセラピーは、日本にも入ってきたのです。
日本での問題点は、養成コースのある高等教育機関は少なく、民間企業開設の養成コースでの資格取得が一般的で、普及が遅れている点です。
アートセラピー(芸術療法)の歴史まとめ
いかがでしょうか?
絵画の歴史をアートセラピーという観点からお伝えさせていただきましたが、「アートセラピー」という言葉が生まれたのは最近のことで、まだ100年も経っていないのです。
以前の記事でもアートセラピーの種類をお伝えさせていただきましたが、アートセラピーは本当にいろいろな手段があります。
あなたの趣味や好きなことに合ったアートセラピーが見つかり、少しでもメンタルが安定することを祈っております。
夏目作弥
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