2023年6月24日(土)に行われた今回が開催となる『第4回重度障害者社会支援フォーラム』。テーマは『グレーゾーン時代の「新・生きる力」』
グレーゾーンと呼ばれる方を取り巻く環境はどのようなものなのか?
フィナーレは、文部科学省の木村直人氏・人を大切にする経営学会会長の坂本光司氏による講演があり、障害者だけでなくグレーゾーンの方々を含めて、生きづらさを抱えている人たち、そして誰もが生きやすい社会にするためにはどうすればよいのかを語っていただきました。
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重度障害者社会支援フォーラムとは
重度障害者社会支援フォーラム実行委員長、北澤さんがフォーラムの目的を語られました。
生きていて楽しい、生まれて嬉しいそういうことを伝えられたらいいなと。 2019年からやってきまして、4回目なんですけどすごくこう感極まるものがあります。最後のフォーラムだから、思いを伝えたいと思っています。
そんな当たり前の社会を目指すためのフォーラム。その思いはとても気になりますね。
当日の動画は、下記からご覧いただけます。
開会の挨拶
フォーラム開催にあたり、副実行委員長の挨拶の後会場に来ている方からのお話です。
埼玉県衆議院議員 森田議員
それが色々なところで見方が違う訳ですから、1か100かに相当しますかっていうことではなくてですね、色々なベクトルがある中、複合的なその評価ということの中でその方はどうやって社会の中で活躍していただくのかっていうのを考える。 そういった段階に入ってきてるんじゃないかなという風に思っております。
第1回フォーラムゲスト 成澤俊輔氏
何かをやってみて思ったより難しかったな、思った結果が出なかったな、その時に我々は後悔という言葉を感じます。 後悔が多い人生というのは何かをやってみようとしたことが多かった、人生をそんな風に捉えることができるよということを将棋の羽生さんが言っていました。 いい後悔を持つ人生を歩んでいただけたらなという風に思っています。
何かしたということに意味を見いだせるのが人生の豊かさの一つだと思います。
そこの代表と話をしました。彼はコロナ禍、経営が大変だったんですね。 その時の代表の話は「コロナ禍で大変だった。どん底に落ちたら地に足が着いたよ」と言ってました。
潜水病というのは海に潜ったスピードよりも早く上がってきたら病気になってしまう言葉です。 僕らは海の深いところに落ちたとき、不安すぎて急いで上がってくることが多いんじゃないでしょうか。メディアが言うV回復みたいな言葉もあると思います。 でも彼はどん底に落ちた時、しっかり地に足を付けてそのどん底に落ちたことを味わいながらゆっくり上がって行くときにそれが血肉になっていったんじゃないか。
講演 木村直人氏
まず最初に講演なされたのが文部科学省30年。学校と地域のよりよい関係を探るために意見交換やワークショップを行ってこられました木村直人氏の講演から始まりました。
テーマは「ともにいきるということ」。
今回の第4回フォーラムについて
会社がどうやって歩み寄ってくれるか、オープンになってくれるか。 もしかしたら障害の持ってるお子さんを抱えるご家庭の中にも色々な課題があるのかもしれない。 なんとか解決していけるんじゃないかと思って始めていたんですけども、みんなで議論してるうちにこれは障害を持ってる人たちだけの話じゃないないよね、社会全体の話なんじゃないかなっていうことに気づいたんですよね。
教育や家庭だけでも問題解決できるものではない。強い人たちがね強さを輝かせる一方で、傷ついて怯えて暮らす人が増えている。 そんな現代社会の中で、目に見える形で障害を持っている人以上に障害者未満と呼ばれるグレーゾーンと呼ばれる人口が増えてきているのではないか。 今回のフォーラムの最後にふさわしいのではないか。
Society 5.0(超スマート社会)の時代
society(社会)のバージョンっていうことです。 今後来るSociety 5.0とはどんな社会なんだろうか。超スマート社会が来るだろうと言われています。
全ての人と物が繋がって新しい価値が生まれる。これからIoTという技術が進化してくれば、情報を正確に分析するっていうこともできるようになってくるかもしれません。
こういう部分でSociety 5.0は実現しています。
子供たちにこれから必要な能力。これは大人にも通じると思うんですけども職業能力と職業的態度に二つに分かれると言われています。
環境に適応していく力や好奇心自分をどれだけ信頼できてるかという職業的信念・当事者意識やこれをやりたいやってみたい達成したいっていうそういう欲求。 そのような部分はITでは代替できないといわれています。
大切なのは目的
学校というコミュニティで対話が行われているように、地域の人たちとの間、保護者の人たちとの間、教職員同士でもそうです。 対話が行われたとしても手段とか方法が中心になって、本質的なところにもう物事が行き着いていない。そもそも何でそれをやらなきゃいけないのか。 子どもたちの幸せにつながるんですか?地域の幸せ、地域の未来に繋がるんですか?そこが全く議論されていないところが非常に多いんですよ。
目標ができれば、自分たちこっちに向かえばいいんだな。じゃあ僕これはね、私これができる、自分たちができることで目標を何とか達成していこうというのがチームワークにも繋がってくる。 少しでも成功できればまだ次やってみようね、こんなうまいサイクルができていく訳ですね。
一緒にやろうって言った時に、貸し借りの関係になっちゃうことが多いですよ。やってもらったからやらなきゃいけないいけないじゃない。自分がやりたいと思ってるのか、問題はそこにあるんですよね。 こういう差があると最後は不平不満につながるわけです。やってあげたのに何で相手はやってくれねえのかみたいな感じで、これやってるといつまで経ったってでゴールにたどり着けないわけですよ。
そうしないためには、お互いにやっぱり当事者になって共通の目標に向かっていくっていうことが大事ですよね。誰かが何とかしてくれるんじゃない。みんなが当事者としてそのコミュニティを作っていく。 子どもたちが自分たちの夢を叶えていける。子どもたちが笑顔になる。そんな未来を学校と地域が一緒になって作り上げていこうということなんです。
ゴールのイメージの大切さ
これをするだけで皆さんの動き、活動の充実性っていうものは全然変わってきます。 よくその未来を見つめるのに使われてる方法が2つあるんですけども、未来を予測する方法ですね。バックキャスティングとフォーキャスティングの2つのやり方があります。
例えば子供で言えば、今小学校三年生でいるとしたら三年後には多分中学校に上がって、その三年後には高校に行って、そしてさらに大学行って社会人になって、今の延長線上で想像する未来を想定する未来の描き方っていうものょフォーキャスティングと言います。 だけどこれは今分かってるところからしか物事って見え見えないですよね。非常に狭いスコープの中でしか物が見えないまさに予測可能な未来な訳です。
自分はこんなことがやってみたい、20年30年後はこんな社会になればいいね。こんなコミュニティになればいいな。 こんな企業になればいいなということをまず設定した上で、そのためにじゃあ今からこういう未来になるためにははどうするのか。30年後にこういう未来になるために、10年後にはこうなってるべきだよね。 だったら今自分はこれをしなきゃいけないね。そうするとやっぱりモチベーションが違う訳ですよね。モチベーションも違えばこの未来を、どれだけ動かせるかっていう影響度も変わってくるんだという風に思います。 バックキャスティングってのは逆算ベースでやることを考えるということです。
基調講演|坂本光司先生
今回のフォーラムの基調講演として、人を大切にする経営学会会長、坂本光司先生の講演が続けて行われました。
テーマは「障害者の社会参加の促進のために」です。
障害者とのエピソード
坂本先生はまずご自身が体験り聞いたりしたいろいろなエピソードを交えてお話していただきました。かいつまんでレポートさせていただきます。
人間としての生き方、働き方みたいなことが今日のテーマ。目標や目的を常に持っていないとそのまま通り過ぎちゃう。
農業法人での話
一人が明らかにお母さん、もう一人が障害のある娘さんだった。面接で、「この子を採用してくれませんか。この子は農業が大好きできっとお役に立ちますので。」といいます。 農業法人の方では初めての正社員の募集でまさか障害のある方が来ると夢にまで思わなかったから「うちの仕事は障害のある方では難しい。他を当たってくれませんか」ときつく対応したみたいですが、最終的には採用することになったそうです。 そしてお母さんが言った言葉が「私も一緒に働きます。給料はいりません。だから娘を採用してください。」とのことです。
愛する人のために無償の奉仕をしたいというわけですから。人はお金のために働くんじゃない、大切な人を幸せにしたいために働くとことを初めて気が付いた訳ですね。 結果的にその女の子を採用するというのがこの会社で、今では農福連携のモデル中のモデルの企業と言われています。
メッキ会社の話
「あなたの会社はとてもいい感じですが、一つだけ問題がある。それは障害者雇用が不十分なことだ。今、障害者がやっている仕事も、一人の人間がやる仕事かどうかというと正直疑わしい。そこを直してくれ。」と。 そのやりとりのあと、結果的に今は福井のモデル的な会社になっています。
この他、多くのエピソードを坂本先生から語っていただきましたので、ご興味がある方は、先程ご紹介した動画をご覧ください。
障害者雇用促進のための課題
多くのエピソードを語っていただいた後、障害者雇用促進のためにそれぞれの分野で何が課題になってくるのかを語っていただきました。
それぞれが半分ずつ前に出ただけで多くの人が幸せになるんじゃないかと思います。
障害者雇用が未達成企業の問題
該当企業の規模も、43.5人以下の企業は除くとなっている。これもおかしいです。
障害者手帳がないと障害者として認められない
国からあまり補助を受けたくないとか、障害者で認められたくないとか、グレーゾーンだから障害手帳を持ちたくない。 誰が見ても障害者じゃないかって言っても本人は持ちたくない。あるいは本人がそう思ってても、お父さんお母さんがうちの子に限って障害ってことはあり得ないと言っている訳じゃないですか。
いい企業を創出するためのプラットホーム
障害者雇用をやっている会社。社員をリストラしない会社。高齢者を雇用している会社。女性の管理職。まともな給料を払っている会社。残業がほとんどない会社など。 日本では最もハードルが高いって言っている。
社員冷たくする会社でいい会社はありませんから。
この他にも、坂本先生は企業や国が抱える多くの課題について言及なされていました。それぞれ多くの課題がありますが、大切な事としては
- 法律があるから仕方なくやったり、助成金目当てにしている会社はいい企業とはいえない。いい企業とは、それらを関係なく雇用している会社である。
- 障害者雇用の目的は、働くことを通じて労働することの幸福を味わってもらうこと。それを企業や健常者が使命としてもたなければならない。
- 法律などがいろいろあるが、障害者雇用を進めるために必要なのは関係者の意識を高めていくこと。
- 意識や社会を変えていくのに大切なのは、教育をすることである。
とおっしゃっていました。
その現状を変えるにはまだまだ多くの課題がありますが、しっかりと地道に行動して促進していくのが必要だなと感じました。
第4回重度障害者社会支援フォーラムレポート
重度障害者社会支援フォーラムレポートを書かせていただきました。それぞれの立場の方からのお話から貴重なお言葉をいただきました。
それぞれが当事者としてどう考え、どう動いていくべきなのか。一人一人考えていく必要があります。
今回でフィナーレとなりますが、過去に開催したフォーラムのレポートなどもご紹介いたします。
第1回|働くって罪?
重度障がい者の働くがテーマ!重度障がい者社会支援フォーラムの全貌に迫る!
第2回|障害と教育
第3回|障害者と教育
法定雇用率100%!障がい者つくし更生会の障がい者雇用とは?
最後までお読みいただきありがとうございました。
久田 淳吾
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