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札幌のFMラジオにて発達障害や不登校の情報発信中|パーソナリティのゲルさんインタビューVOL.3

ゲルさん3

北海道札幌のFMラジオ局 FMアップル

 

そのFMアップルにて、毎週火曜日22時〜23時より放送されています『RADIO CONNECT 〜ラジコネ!〜』という番組があります。

 

ラジコネ!では、毎週不登校や発達障害について、当事者や支援者などの意見をまとめつつ、さまざまな視点から情報を発信されています。

 

最終回となります3回目のインタビューでは、番組のテーマである発達障害や不登校に対する想い、番組の今後などについて語っていただきました。 

 

ぜひ最後まで読んでいただき、ラジオを通じて不登校や障害に対する思いを伝えるゲルさんの活動について知っていただければと思います。

発達障害・不登校に対する思い

ジュン
番組のテーマとして取り上げられいます『発達障害』『不登校』についてゲルさんの個人的な思いを聞かせてください。

 

まずは発達障害についての想いをお願いいたします。

 

ゲル
【発達障害】という言葉、あまりにも大雑把なこの括りが問題の本質を見誤る一番の原因だと思っています。

 

後述する【不登校=闇鍋みたいな中身の分からない言葉】と共通する認識です。

 

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確かに、発達障害と一言でいっても様々な事例がありますし、すべて同じではないと感じますね。

 

ゲル

人の数だけその特性…ゲーム風に言えばパラメータが違っていて、それゆえに社会生活で抱える問題も様々。私はたまたま自分の特性…

 

多弁と折り合いがついているというか、逆手にとってこうしてラジオでもマシンガントーク(笑)していますが、全てのADHD/ASDな方がこんな芸当を出来るなんて話でもないですし、そもそも特性を活かして立ち回るような芸当が出来る人は果たしてどれくらいいるものか…。

 

ジュン

よく「発達障害に向いている職業はこれだ!」みたいな情報もよく耳にしますが、それ自体発達障害を抱えて生きてきた皆さん個人個人で特性は違いますし、一概に決めつける危うさはありますね。

 

ゲル

一番大切なことですが、発達障害=何か秀でた部分を必ず持っている、みたいな先入観は持たないでほしいな、と思うんです。秀でたものがあるとか無いとか、そんなことの前に「尊厳あるひとりの人間」なんです。

 

そして当事者の多くは社会と折り合いをつけるために必死に自分自身を【補正】しながら生活していたり、それに疲れ果ててしまって途方に暮れている…。

 

だから【発達障害】という括りでは到底見えてこない、それぞれの物語をちゃんと知ったうえで「自分という存在をねじまげてまで貴方の見ている社会に合わせようとしないでいいんだよ」って言えるような場所を作りたいです。

 

ジュン

発達障害があるとやはりその部分ばかり注目されますが、本当にみるべき部分は違いますね。大切なのは、一人の個人ですから。発達障害だけがその人ではないですね。

不登校についての想い

ジュン

そして、不登校についての想いもお願いいたします。

 

ゲル

【不登校】という言葉…単語は闇鍋のようなものだと思っています。今の在り方を表現しているだけで、どんな経緯でその在り方に至ったかが分からない。

 

そこには当事者の数だけ経緯…物語があって、それぞれの想いがあって…なのにそれらが全く見えないパッケージに詰め込んでしまう感じ。だから闇鍋。

 

ジュン

【不登校】というのは、あくまで事実の一端でしかないですからね。障害と一緒で、個人をまず見ていかないと本質を見誤りがちかと。

 

ゲル

【不登校】を何とかしましょう、なんて言ってても全然ピンとこない。だから、何とかすべきものを間違えないために…

 

この闇鍋みたいな言葉に惑わされて当事者の抱えているものと向き合うのを忘れてしまわないよう、知ることから始めたいなって思ってます。

 

子供の不登校を通じて気付いたこと、支えてくれた人たちの存在、フリースクールを通じて繋がった、当事者たる生徒さんやその親御さんたち…それぞれの見たこの言葉の中身を、番組を通じて発信していきたいです。

 

ジュン

不登校については、当事者やそれを経験した周り以外にはどうしてもステレオタイプ的な考えが浮かぶのかなと思います。

 

だからこそ、しっかりした情報が必要で、それを理解したからこそ個人の問題に向き合える。とても大切な事だと思います。

 

 

番組を通じてのエピソード

ジュン

ゲルさんの活動のお話を聞いて、家族や友人の方、リスナーさんなど様々な人からの支えがあるかと思いますが、特にありがたいなと感じたことはありますか?

 

ゲル

こうして番組を始めるにあたり、背中を押してくれた友人がいます。番組の立上げを祝って、応援してくれた会社があります。いっぱいご迷惑をおかけしてしまったけど、それでも続けさせてくれているラジオ局があります。

 

番組中や番組の後でも毎週メッセージを送ってくれるリスナーさんがいます。Twitterでも交流してくれるフォロワーさんがいます。今は何の収益も無い活動と知って、それでも応援して送り出してくれる妻がいます。自身の体験も紹介していい、不登校や発達障害などの当事者に役立つようにと言ってくれた長女がいます。

 

毎週ただでさえ家で過ごす時間が限られてしまってる中、ラジオで相手できないことを寂しがりながらも応援して見送ってくれる次女と長男がいます。地に足の着いた仕事とは程遠いこの活動を呆れつつも、毎週聴いてくれている親がいます。そういうたくさんの人の想いに支えられている…。

 

これが私にとって、何物にも代えられない本当に有難い支援です。

 

ジュン

支援と聞くと、どうしても物理的なものを想像してしまいますが、本当に支えてくれるという気持ちはなによりも代えがたいですね。

 

ゲル

それはそれとして…番組を継続していくためにはご支援をいただきたいのは本音です…。支援するに値する活動だと思っていただけたら是非ともご支援をお願いしたいです。

 

今までの配信アーカイブがこの番組の財産…是非お時間あるときに聴いていただいて、吟味いただけたら本当にうれしく思います。 

 

ぶっちゃけ話で、家族が安心して暮らせる収入を確保できればラジオ番組に専念できるのです。今はそのための価値をどうやって作り出すか…これが私の命題ですね。

 

ジュン

理想だけでは生活は出来ない。これは本当難しい問題だなと感じます。

 

少しでも発信力を強めて、多くのご支援を受けられるようそのお手伝いもさせていただきたいと思います。

 

当事者とその支援者の方へ

ジュン

ラジオでは色々リスナーの方に思いを伝えられていると思いますが、あらためて伝えたいということはありますか?

 

ゲル

【不登校】【発達障害】そして今年からは【引きこもり】というテーマを軸に、これらの単語では全く見えてこない【当事者の向き合っている問題や悩み】と【支援する側や家族の想い】などを伝えていきたいです。

 

ターゲットとしては当事者やその周りの方はもちろん、上記のテーマに全く触れたことが無い方に聴いていただきたいです。周りから見れば努力不足や怠慢などで片付けられてしまう在り方の裏に、文字通り必死に抗おうとしている人がいる…。理解しにくい世界が自分のすぐそばにはあるんだ、って知っていただけたら…。

 

ジュン

当事者以外ですと、なかなか偏見もあって理解されにくい事は多いですからね。

 

理解されないからこその辛い思いを少しでも理解してもらう重要さはあるかと思います。その情報がまだまだ少ないですから。

 

ゲル

身の回りで何度指摘しても改善できない…だけど決して不真面目に思えない人がいたとき、「すごくやりづらそうに見えるけど、何か悩んでることとかあるんじゃない?」みたいな言葉をもしかけてもらえたなら…

 

どれだけ救われることか。私は本当に救われたことがあります。だから、今度は私の番です。これ以上、その在り方に苦しんで自分自身を追い詰めるような方が増えないように…。

 

ジュン

『わかってくれる人がいる』。これだけで救われますね。自分自身だけでは解決できない問題はとても多いですから…。

 

ゲル

そして、その悩みを話していい場所があるんだよ、って伝えたいです。誰にも相談できずにこの世界から孤立してしまう前に、ひとりきりになってしまわないように繋ぎとめる場所になりたい。

 

だからRADIO CONNECT…これは【あなたと世界をもう一度繋がりあえるようにする】番組です。また、「頑張れなんていわないよ、もうこんなに頑張ってきた…傷だらけになってそれでも何とかしなきゃって自分で背負おうとしている貴方を、努力不足だの不真面目だの頑張ってないだの…

 

そんな暴力じみた言葉で弾き出したり追い詰めるような世界にしたくない」とも思っています。ぜひ、周りの方にも紹介してもらえたら嬉しいです。

 

ジュン

頑張れという言葉の重みにつぶされる方も多いですから。一人じゃない優しい世界がある事を知って欲しいですね。

 

リスナーと一緒に創っていきたい

ジュン

今後ですが、ラジオやその他でやりたい事などありますか?

 

ゲル

リスナー参加型の企画…12月にトライアルとして【番宣CMボイス募集企画】をやってみたのですが、思った以上に反応をいただけて嬉しかったです。

 

同時に「もっとリスナーが参加したくなる、聴きたくなるような企画をちゃんと継続していく…番組の柱を育てていきたい」という想いがあります。

 

ジュン

やはりラジオとなるとリスナーがあってこそですからね。どちらかが一方的でなく、お互いに参加して番組を作り上げる感じですね。

 

ゲル

それが例えば今後計画している2分PRボイス(仮)だったり、なんだったら番組をジャックするくらいの勢いで企画を持ち込んでくれるような…そんなちょっとしたお祭りのようなこともしていきたいです。

 

何より、当事者の方が伝えたいことや表現したいもの、支援する方や親御さんにもそんな様々な想いがあるはず…だったら、それをこの番組では胸を張って表現していいんだ!って思ってほしいんです。

 

ジュン
当事者の声を届ける場所に関しては、昔よりは増えているとはいえまだまだ表現しずらい分野ではありますからね。

 

届けたい声があってその場がある事がとても大切だなと思います。

 

ゲル

まったくテーマと接点が無いと思っていた方々にも、楽しく聞いてもらえる要素を作りながら、時には参加してみたりしながら、これらテーマを「実は身近なもの」と知ってほしい。

 

そんな双方向な企画を今年は試行錯誤しながら形にしていきたいです。併せて、札幌に限らず多くの方とお話をしてみたいです。様々な立ち位置の意見や見えるもの、感じること…それらを聞いてみたい。

 

当事者とそれ以外を隔てるシェルターみたいなものが作りたいんじゃないんです。分断されかかっているそれぞれの立場を、もう一度つなぎあわせていけるような番組にしたいんです。

 

ジュン

距離的な問題に関しても、どうしても普段は身近な人をしか見てないので見えている世界がどうしても狭くなっていますね。

 

日本国内だけでも色々な声がありますし、色々な方がいる事を是非知って欲しいなと思いますね。

 

最後に

ジュン

では最後に、この記事を読んでいらっしゃる読者の方、及びリスナーの方々へメッセージをお願いいたします。

 

ゲル

はじめましての方へ。ゲルと申します。しがない駆け出しラジオパーソナリティですがよろしくお願いいたします。いつも聞いてくれてる皆様、毎度ありがとうございます。こういう時くらいちゃんと挨拶するからチャチャ入れないでね(笑)

 

この番組はとても難しい…そして実は他人事では無いテーマを少しでも多くの方に知っていただいたり触れていただいて、時には交流していただける場所を作りたいと願って始めた番組です。

 

…が、本当のところを言えばそれらは後付けの大義名分だと思ってます。過去の自分が誰かに言ってほしかった言葉やしてほしかったこと、あったらいいなと願った場所…そういうものを今の今更必死になって叫んで伝えようとしている…

 

 

あの日の自分に届くわけはないのですが、それでも助けられるかも?みたいな…そんな自己救済にもならないような、言わば私自身への弔い合戦です。

 

でも、だからこそ手抜きなんて出来ない。

 

大義名分のためになにかを成せるような力は自分にはきっと無いし、仮にあったとしても続けていく日々の中でもしかしたらギブアップしてしまうかもしれない。ところがこれが自分自身のために、となると案外当たり前に続けられる。わが身可愛さ…ってこういう時に使う言葉じゃないですよね。でもきっとそれが一番私の中でしっくりくる。なので、是非聞いてみてください。

 

決してこれからの日々まで悲観するような、救いを見出せない中で縮こまるだけの番組じゃないです。ADHDとASDの診断がついているゲルがこれだけ活き活きと…

 

好き勝手やってる番組って、これはこれで割と面白いかもしれませんよ?だって面白おかしくしゃべり続けることにだけは自信がありますから!私の多弁は神様がくれた反則技…最近流行りの言い方をすればチートスキルですよ?(笑)

 

ジュン

本当に素晴らしいお話の数々ありがとうございました。私もあらためてしっかり応援させていただきますので活動がんばってください。

 

第3回インタビューを終えて

全3回となりました、ゲルさんのインタビュー。

 

ご自身の経験、そして様々な想いがあるからこその今の活動。多くのリスナーや周りの方の協力が、発達障害や不登校といった問題発信を後押ししてくれているのは間違いなくゲルさんの人柄、行動力の賜物だと感じさせていただきました。

 

パーソナリティのゲルさんインタビューVOL.1

 

パーソナリティのゲルさんインタビューVOL.2

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

ラジオパーソナリティ ゲルさん

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北海道札幌のFMラジオ局:FMアップル

 

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久田 淳吾

発達障害(ADHD・ASD)と吃音を抱える40代男性。今まで発達障害の事は知らずに生きてきたが、友人の話を聞いて自分にも当てはまる事が多すぎる事を実感し、病院にて診断を受けると見事に発達障害との認定を受ける。自分に何ができるかと考えた時、趣味の写真でプロの先生に話を聞く機会があり、吃音が強く出ていたことに気がついた先生が『君は吃音持ちだね。だったら吃音の方の気持ちがわかるはず。それを活かして吃音の方の気持ちがわかるカメラマンになったらどうか』という言葉を思い出し、発達障害者として同じ気持ち、舞台に立てる人間として趣味のカメラ、動画編集技術を活かして情報発信をする事を決意。
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