今回、点字や録音による本の貸し出しや作成、視覚障害の方へのサポートなどを行なっている「日本点字図書館」を訪問させていただき、視覚障害の方への活動内容を伺って参りました。日本点字図書館の訪問記、第2回目となります。
今回の記事では、視覚障害の方への自動販売機の表記や、点字図書の作成状況、視覚障害の方への歩行訓練の内容などをお伝えいたします。
第一回目はこちらです。
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視覚障害者への自動販売機の工夫と問題
館内を案内していただいている途中、館内の休憩場所を通りかかります。その際、設置してある自動販売機についての説明をしていただきました。
自動販売機自体は街中にある自動販売機と同じなのですが、商品説明の点字シールが貼られています。
2行目以降は商品名、この商品は「さらさら とまと」、そして「かん ぷるとっぷ」、「350g」、最後に「110えん」と金額を記しています。 缶入り飲料もプルトップ缶のほかボトル缶などもありますので、その違いも記載しています。
同じ缶入り飲料でも缶の口が閉まるボトル缶なのか、閉まらないプルトップ缶なのかは知りたい点だと思いますし、容量も気になると思いますので、こちらも記載しています。
こういった自動販売機の表記ですが、街中ではあまり見ないですね。
点字図書制作の流れ
次の案内場所として、点字本制作について紹介いただきます。
以前は1点1点手作業で点字を打っていたのですが、現在はパソコン点訳です。
1人は実際に点字図書を読むように、点字用紙に打ち出したものを触って読み上げ、もう1人は読み上げられたものと原本が一致するかどうか活字を見ながら校正します。
完成データを点字専用のプリンタで印刷し、連続用紙を切り離した後、バインダーに綴じ、装丁を行ないます。 完成した点訳データは全国の点字図書館や公共図書館、ボランティア団体などが加盟しているサピエ図書館にアップしています。
販売している点字図書など背表紙をつけ製本したものもあります。
視覚障害者への訓練
点字図書の作成について一通り説明を受けた後、今度は点字図書館の事業の一つである視覚障害者への訓練について説明を受けました。
白杖の使い方と歩行訓練
当館1階の「わくわく用具ショップ」で白杖を取り扱っていますが、正しく・安全にお使いいただくために歩行訓練士がマンツーマンで訓練を行ないます。
スマートフォンの訓練もお問い合わせが非常に多いです。
「自宅から職場まで1人で歩けるようになりたい」とか、「音声パソコンを使ってインターネットを使えるようになりたい」とか、訓練を受ける方それぞれ目指すものが違うので、その方に応じた訓練内容になります。
歩行以外の訓練やグッズ
「この手順なら安全に調理ができる」とか「このグッズを使ったら調理しやすい」などをお伝えしながら訓練を行ないます。
何度も申し上げてますが、やはり人によって状況は千差万別なのでその方にあったやり方が大事であると。
通常のお財布は硬貨が混ざってしまうので、視覚障害者には使いにくいのですが、このように分けて収納できると出したい硬貨をスムーズに取り出すことができます。
例えば館内にはディズニーランドの触地図の元になるものを展示していますが、完成までには多くの視覚障害者に実際に触れていただき、わかりやすさ、使いやすさを確認しながら製作しました。
点字ブロックの問題
続いて、普段街中でもよく見かける点字ブロックについての説明を聞かせていただきました。点字ブロックについては視覚障害の方への物とは理解していますが、それでも話を聞いて、実際に理解しきれていなかった点が多くありました。
「黄色でなければならない」という決まりはないのですが、黄色は他の色とのコントラストが高いので周囲の色と区別しやすく、弱視の方でも見えやすいため、大半の点字ブロックには黄色が使われています。
しかし、景観の問題なのか、残念ながら路面と同じような色の点字ブロックが敷いてある所もあります。また、せっかく敷いてあっても配置に問題があり、意味をなさない場合もあります。
本来の点字ブロックの意味を考えると、正しく色などを配慮していただきたいなという思いは出てきますね。
視覚障害者からのお願い
高田馬場駅から当館まで、点字ブロックが敷いてあるのですが、駅に近く商店も多いため、点字ブロック上に駐車・駐輪されていることが度々あります。
他の地域でも同様のことは多々あるなとは感じています。
そのため、点字ブロック上だけでなく周囲にも気を配っていただければと思います。
日本点字図書館訪問 第2回まとめ
日本点字図書館訪問第2回、点字図書作成の流れや、視覚障害者への訓練などについてお話を聞かせていただきました。
視覚障害者が生きていく上で必要なこと、そして周りの方が考える配慮などもいろいろ重要だなと感じた第2回。
日本点字図書館訪問、第3回では点字図書の保管場所についてや、点字図書の抱える問題などを紹介いたします。
▼日本点字図書館シリーズ▼
最後までお読みいただきありがとうございました。
日本点字図書館について
公式HP:日本点字図書館ホームページ
住所:〒169‐8586 東京都新宿区高田馬場1‐23‐4
電話:03‐3209‐0241(代表)
FAX:03‐3204‐5641
アクセス
JR山手線、西武新宿線、東京メトロ 東西線 高田馬場駅
再最寄りは JRおよび西武新宿線 戸山口より徒歩5分
久田 淳吾
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