「障害者で働くことは、やはり無理なのでしょうか?」
私自身も面接を受けては落ちることを繰り返す、精神障害者の就職活動は、希望のない地獄のような日々を永遠と過ごすようなものでした。これを読んでいるあなたも就職活動で大変な経験をされたかもしれません。
ですが、現在の精神障害者雇用が飛躍的に上がり、就職がやりやすくなっていることをご存知ですか?つい最近のニュースでも「前回の13年度の調査よりも精神障害者の雇用が4倍に上がった」と厚労省が発表しております。(これについては、後述します)
今回は、精神障害者さんの好転した雇用事情を紹介していきます。障害者さんで就職を諦めてしまった方にとっても、希望を持つことができますので、参考にしていただければ幸いです。
お好きなところからお読みください
2018年から精神障害者雇用が義務化されている!?
まず、障害者雇用の近年の動きについて、お伝えします。2018年の3月末まで、私たち精神障害者は、企業の雇用義務に入っていませんでした。2018年まで、企業さんに雇用義務が課せられていたのは「身体障害者さん・知的障害者さん」だけでした。企業さんには「障害者雇用率」というものが設けられています。
これは、働いている従業員数の割合に応じて、障害者を雇用しなくてはいけないというものです。今までの、障害者雇用率に精神障害者はカウントされなかったため、企業さんは、身体・知的障害者さんを採用していれば問題はなかったのです。
これが、2018年4月以降は、障害者雇用率の算出方法はこのように変わるため、企業さんは精神障害者さんを雇用することでも、カウントされるようになったのです。
2018年から、障害者雇用率も上がる
2018年3月末まで、障害者雇用率は以下のようになっていました。
民間企業:2.0%→2.2%
国、地方公共団体等:2.3%→2.5%
都道府県などの教育委員会:2.2%→2.4%
民間企業を例に出せば、50人に1人の割合で障害者さんを雇わなければいけなかったのが「45.5人」以上で1人の割合に変更されたのです。厚労省が出している詳細も添付しておきます。
引用:厚生労働省
また、法定雇用率は5年ごとに見直されます。そのため、今後はどんどん障害者さんの雇用率が増えていくことが期待されます。
この法定雇用率の変更については、以前の記事でご紹介されておりましたので、詳細を知りたい方は、こちらをご参照ください。
「障害者の法定雇用率」という言葉は聞いたことがありますか?? 障害者関係の仕事をしている方や当事者にとってはよく耳にすることがあるワードかもしれませんが、普段はあまり耳にすることがない言葉かもしれません。 障害者雇用促進法によって、民間企業、国、地方公共団体は、その常時雇用している労働者数の一定の割合(法定雇用率)に相当する人数以上の身体障害者、知的障害者、精神障害者を雇用することを義務つけています。 つまり、一定数の障害者を雇用しなければいけないという法律があるのです。 ま... 2018年厚労省による法定雇用率が変更!企業は達成していないと公表される? - WelSearch ウェルサーチ|福祉の専門家や当事者たちが発信する福祉情報サイト |
東京オリンピックを機会に障害者雇用はさらに上がるかもしれない
2020年に、障害者雇用率が2.3%に引き上げられると言われています。その時は、ちょうど東京オリンピックが開催される年です。
それは、パラリンピックも開催されるということですから、日本で障害者さんが活躍する姿がたくさんの人に伝われば、雇用率も上がるかもしれませんね。
就職をあきらめた精神障害者さんもチャンスが増えていく
私は「解離性障害・発達障害」を抱えています。IT関係の専門学校に通っていた時、私も障害者手帳を取得し、就職活動をしていました。その時は2014~2015年の間でした。
精神障害者さんを募集する求人は確かにありましたが、面接が終わっても何度も再掲載が繰り返されていて、本当に雇うつもりがあるのか分からないようなものもありました。
障害者さん専用の合同就職説明会などにも参加しましたが、就職はとても難しかったです。精神障害を抱えている人にとって、この世はとても生きづらいものだと思います。
私のように、過去に就職活動を頑張った人たちの中には、就職をあきらめてしまった人も多いと思います。ですが、平成が終わり、令和の時代が始まっている今。私たち精神障害者さんの理解が凄く深まってきている状態です。
その理由ともいえるニュースを2つほどご紹介いたします。
障害者雇用が実は4倍にまで増えている!
冒頭で少しお伝えしたように、精神障害者さんの雇用が義務となってから、障害者雇用はすでに4倍まで上がっているんです。
『精神障害者雇用4倍に=民間企業、短時間増-18年度』
民間企業で働く精神障害者数は推計20万人に上り、前回調査を行った13年度の4万8000人から4倍超に増加した。13年の法改正により、18年度から精神障害者の雇用が義務付けられたことで、採用が急速に進んだ。
引用元:時事ドットコムニュース
これはとても嬉しいニュース。障害者雇用は、企業さんが障害者さんを理解し、共に仕事をしていかなくてはいけません。障害者さんが働きやすいよう、企業で働く従業員の皆さんに理解を求める必要があるのはもちろん、障害者さんとの円滑なコミュニケーションを取らなくてはいけません。
企業さんにとって、障害者雇用は1つの挑戦といっても間違いないでしょう。ですが、精神障害者さんの雇用が進むことで、日本の企業全体が、どのように障害者さんと付き合っていけばいいのかわかるようになれば、自然に精神障害者さんの雇用の敷居は低くなることでしょう。
仲の良い企業さんが障害者さんを雇用したと知れば、アドバイスをもらうことができるのはもちろん、精神障害者さんを雇用しようと意欲的になってくれるかもしれません。精神障害を抱えている人にとって、自分の病気や症状を企業さんや上司に理解してもらえるかという不安は、とても大きな問題です。
ですが、私たち精神障害者1人1人が、企業の健常者さんと共に働けるようになれば、それが新たな精神障害者さんの就職につながるかもしれません。精神障害者雇用が義務となった今、私たちも頑張って健常者さんと働く努力をしなくてはいけませんね。
高知労働局が7年連続で障害者雇用過去最多を更新
もう1つ障害者雇用について、嬉しいニュースをご紹介します。
高知労働局が、昨年度ハローワークが仲介した障がい者の就職状況などを発表しました。これによりますと就職件数は、7年連続過去最多を更新しています。
高知労働局によりますと、昨年度ハローワークが仲介した障がい者の就職件数は598件で、前年度と比べると5.5%の増加。全国平均を0.9ポイント上回りました。就職件数は、7年連続で過去最多を更新しています。また、解雇者数は14人で、前年度の37人から大幅に減少しました。
高知労働局は、「企業などへの地道な働きかけが影響した。今後も企業を対象としたセミナーを開催するなどして障害者雇用に対する理解の促進を図る」と話しています。
引用元:高知新聞
高知労働局は、7年間連続、障害者雇用を最多更新していると発表しました。全国平均ポイント0.9上回っており、これからもセミナーなどを通じて障害者雇用の促進を図るようです。
このように、障害者雇用に積極的に力を入れている場所も出てきていることから、日に日に私たちにも、たくさんのチャンスが巡ってくるようになるかもしれません。
もし、精神障害を抱えている人の中には、働くことを諦めてしまった人も多いと思います。ですが、日本全体は私たち精神障害者のために変わってくれています。
働くことを諦めてしまった人たちも、もう一度頑張ってみてください。
わたし自身も就職活動で大変な経験をした1人です。諦めている精神障害者さんに希望を持っていただきたいと思い、無料で相談にものっております。相談する人がいなくて、悲観的になっている方がいましたら、一緒に希望を切り開いていければ幸いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?このように2018年4月の精神障害者の雇用義務化にともない、精神障害者さんの就職もチャンスが広まってきました。紹介したニュース記事でも記載されていたように、実際に2013年度と比べると、障害者雇用が4倍にもなっております。
さらに今は、在宅での就労(リモート)でも多くの企業さんが障害者さんの求人をされております。すでに障害者雇用率のカウントに含まれなかった私たちは、いつの間にか必要とされる存在となっていました。
一度、就職をあきらめてしまった人達の中には、このことを知らない人が多いでしょう。ですが、今一度、就職に取り組んでみてはいかがでしょうか。
障害者フリーランス siki
最新記事 by 障害者フリーランス siki (全て見る)
- 解離性障害者を雇う人や接する人に知ってほしいこと・注意点まとめ~症状別の対策 - 2019年7月7日
- 精神障害者の雇用が4倍に!精神障害者の就職できない時代は終わる!~障害者雇用義務について - 2019年6月29日