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NPO法人とは?ボランティアとの違い・「非営利」の意味を分かりやすく解説

「NPO法人とは?」という見出しとともに、N・P・Oの文字の上に人の模型が立つイメージが配置されたスライド。 非営利やボランティアとの違いを、やさしく伝えようとする導入ビジュアル。

ニュースや自治体の広報で「NPO」という言葉を目にする機会が増えました。

福祉サービスを調べていたら運営元が「NPO法人」だった、求人を見たら「NPO法人」が出てきた。

そんな経験はありませんか。

 

けれど、「名前は聞くけど、実際どんな組織なの?」と感じている方は多いのではないでしょうか。

 

ネット上では「怪しい団体では?」「公金が絡むと不透明そう」といった声も見かけます。一部の不正事例が報道される影響もあり、真面目に活動している団体まで同じ目で見られてしまうことがあるのも現実です。

 

ただ、福祉の現場を知る立場から言えば、こうした誤解はとてももったいないと感じています。地域の中で静かに誰かの生活を支えているNPO法人は、たくさんあるからです。

 

NPOとは実際にはどんな存在でしょうか。ボランティアの延長なのか、それとも行政や企業とは別の役割を担う組織なのか。

 

まずはNPO法人の基本から、よくある誤解を解きほぐしていきましょう。

NPO法人とは何か──まず押さえたい3つのポイント

この章で分かること

 

ニュースや自治体の話題で出てくる「NPO」の多くは、制度上はNPO法人(特定非営利活動法人)を指しています。

 

まずは「NPO法人って結局なに?」という疑問から始めましょう。

「NPO」と「NPO法人」の違い

 

「NPO」という言葉は、実は2つの意味で使われています。混乱しやすいので、最初に整理しておきます。

 

「NPO」は非営利団体の総称で、届出をしていない団体も含みます。たとえばサークルや自治会、有志の集まりなども広い意味ではNPOです。

 

一方、「NPO法人」は法律に基づいて正式に認められた団体です。届出と審査を経て、法人格を取得しています。

 

この記事では、NPO法人を中心に説明します。

 

 NPO法人を理解する3つのキーワード

 

キーワード ひとことで言うと
① 法人格 「団体として正式に認められた存在」ということ
② 非営利 「儲けてはいけない」ではなく、「利益を分け合わない」
③ 情報公開 活動やお金の流れを、誰でも外から確認できる

 

この3点を押さえると、NPO法人への「よく分からない」がかなり解消されます。

 

ポイント① 法律で認められた団体──「法人格」とは

 

NPO法人は、〈法律に基づいて都道府県などに申請し、審査を経て正式に認められた団体〉です。

 

では「法人格がある」と、具体的に何ができるのでしょうか。

 

 

法人格がない場合、契約や口座は代表者個人の名前で行います。代表者が変わるたびに手続きが必要になり、組織として続けにくくなります。

 

ポイント

NPO法人は、法律で認められた「ちゃんとした組織」です。

 

ポイント② 「非営利」の本当の意味──利益を分け合わない

 

「非営利」という言葉は誤解されやすいポイントです。

 

NPO法人の「非営利」は、「儲けてはいけない」という意味ではありません

 

正確には、「利益が出ても、それを関係者で分け合ってはいけない」というルールです。株式会社が株主に配当を出すような仕組みが、NPO法人では禁止されています。

 

ここで大事なのは、「給与」と「利益の分配」はまったく別のものだということです。

 

項目 意味 NPO法人での扱い
給与 働いた人に払う「労働の対価」 ✓ 払える
利益の分配 儲けを出資者や関係者で分け合うこと ✗ 禁止

 

たとえば、株式会社では利益が出ると株主に「配当」を出します。これが「利益の分配」です。NPO法人では、この仕組みが禁止されています。

 

一方、働いている人に給与を払うのは「労働の対価」であり、利益の分配ではありません。会社員が給料をもらうのと同じです。NPO法人でも、職員として雇用されている人には当然給与が支払われます。

 

「非営利なのに給料をもらっているのはおかしい」という声があります。これは「給与」と「利益の分配」を混同した誤解です。

 

 

ポイント

「儲けてはいけない」ではなく、「儲けを分け合わない」。それが非営利の意味です。

 ポイント③ 誰でも活動や財務を確認できる──情報公開の仕組み

NPO法人には、活動内容やお金の使い方を公開する仕組みがあります。

 

NPO法人は毎年、「どんな活動をしたか」「お金をどう使ったか」をまとめた書類を都道府県などに届け出ます。そして、これらの書類は一般に公開されます。

 

確認できる主な内容

 

公開期間

 

過去5年分の書類が閲覧の対象です。

 

確認する方法

 

つまり、NPO法人は「中身が見えない組織」ではなく、外から確認できる仕組みがある組織です。

 

「怪しいかどうか」をイメージだけで判断するのではなく、公開情報を見て確認できる。この仕組みを知っておくだけでも、NPO法人への見方が変わるのではないでしょうか。

 

ポイント

NPO法人の活動やお金の使い方は、誰でも確認できます。

気になる団体があったら──確認のポイント

 

NPO法人に関わる機会があったとき、次の3点を見ると判断材料になります。

 

 

内閣府のNPO法人ポータルサイトでは、団体名で検索してこれらの情報を確認できます。

 

内閣府NPO法人ポータルサイト

https://www.npo-homepage.go.jp/npoportal/

 ボランティアとNPO法人の違い──混同しやすいポイントを整理

この章で分かること

 

「NPO=ボランティア団体」と思っている方は多いかもしれません。

 

しかし実は、ボランティアとNPO法人は、比べる対象がそもそも違います

 

ボランティアは「個人がどう関わるか」という参加の形です。NPO法人だけでなく、行政や企業でもボランティアは活動しています。

 

一方、NPO法人は「組織の形」です。NPO法人の中には、ボランティアとして関わる人もいれば、給与をもらって働く人もいます。

 

この違いを押さえておくと、混乱しにくくなります。

 

ボランティアとは──「参加のしかた」を表す言葉

 

「ボランティア」には、よく参照される4つの考え方があります。

 

 

つまりボランティアは、「組織の種類」ではなく「関わり方」を表す言葉です。

 

なお、「有償ボランティア」という形もあります。交通費や活動費などを受け取りながら活動するもので、福祉の現場では広く行われています。

NPO法人とは──「組織として続ける」ための器

 

一方のNPO法人は、組織として継続的に活動を行うための器です。

 

前章で説明したとおり、法人格を持つことで契約や雇用が可能になり、活動を長く続けやすくなります。

 

福祉の現場では、継続性や専門性が求められる場面が多いため、NPO法人という形が選ばれることがあります。

 

 ボランティアとNPO法人の違い

 

観点 ボランティア NPO法人
何を指すか 個人の参加のしかた 組織の形
お金 基本的に無償(交通費などが出ることも) 給与を払って人を雇える
続きやすさ 個人の都合で変わりやすい 組織として続けやすい

 

 よくある誤解Q&A

 

Q:NPO法人で働いている人=ボランティアなの?

 

A:いいえ、必ずしもそうではありません。

 

NPO法人には、給与をもらって働いている人がいます。もちろん、ボランティアとして関わっている人もいます。

 

多くのNPO法人では、給与をもらうスタッフとボランティアが一緒に活動を支えています。

 

 福祉の現場で見る具体例

 

同じ「支援」でも、ボランティアとNPO法人では役割が違います。

 

 例1:高齢者の見守り・訪問

 

形態 内容
ボランティア 地域の住民が登録して、安否確認や話し相手をする。交通費程度が出ることもある
NPO法人 行政から仕事を受けて、専門のスタッフを雇い、継続的に支援を行う

 

例2:子ども食堂

 

形態 内容
ボランティア 地域の人が協力して、調理や運営を担う
NPO法人 助成金や寄付を集めて運営体制を整え、継続的に活動する。活動報告も公開する

 

 例3:居場所・サロン活動

 

形態 内容
ボランティア 地域の有志が集まり、高齢者サロンやコミュニティカフェを開催。手弁当で運営されることも多い
NPO法人 法人として施設を借り、スタッフを配置。助成金などを活用して継続的に運営する

 

この章のまとめ

前編のまとめと後編の予告

ここまで、NPO法人の基本を見てきました。

 

前編で押さえたこと

 

ただ、こんな疑問が残るかもしれません。

 

 

後編では、「NPOが怪しいと誤解されやすい理由」と「福祉の現場でNPOが必要とされる理由」を取り上げます。

 

〈後編はこちら〉 NPOは本当に怪しいのか?誤解の構造と、福祉に必要な理由

 

参考情報

 

 

※リンクは2025年2月時点のものです。

 

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久田 淳吾

発達障害(ADHD・ASD)と吃音を抱える40代男性。今まで発達障害の事は知らずに生きてきたが、友人の話を聞いて自分にも当てはまる事が多すぎる事を実感し、病院にて診断を受けると見事に発達障害との認定を受ける。自分に何ができるかと考えた時、趣味の写真でプロの先生に話を聞く機会があり、吃音が強く出ていたことに気がついた先生が『君は吃音持ちだね。だったら吃音の方の気持ちがわかるはず。それを活かして吃音の方の気持ちがわかるカメラマンになったらどうか』という言葉を思い出し、発達障害者として同じ気持ち、舞台に立てる人間として趣味のカメラ、動画編集技術を活かして情報発信をする事を決意。
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