忘れたころにやってくる災害への備え。
災害には備えが肝心!障害や病気を抱える方への災害避難マニュアルシリーズとして、お届けしております。
第2回目の今回は、いざ災害が起きた時にどうすればいいのか。一般的な初期行動や、障害者や病気の方がいる方に向けての注意などを紹介します。
災害時に重要なのは冷静さを保つ
自然災害が発生した際、最も重要なのは冷静さを保つことです。
パニックに陥らないためには、以下のポイントを意識しましょう。
特に障害者や病気を持つ人々、その介護者にとっては、冷静さが安全確保の鍵となります。
深呼吸で落ち着く
緊急な災害発生時には、驚きや恐怖心が先行しやすいですが、深呼吸をすることで心を落ち着かせることができます。
ゆっくりと息を吸って、ゆっくりと吐き出すことで、冷静さを取り戻す手助けになります。
まずは、落ち着きを取り戻してから、慌てず次の行動に移りましょう。特に介護者は、介護対象者に対しても深呼吸を促し、共に落ち着きを取り戻すことが重要です。
周囲の状況を確認する
落ち着いて周囲を見渡し、現在の状況を確認しましょう。現在の場所は危険ではないか、安全な場所はどこにあるかなどを確認します。
現在の状況を把握することで、次に取るべき行動を冷静に判断することができます。
障害者や病気を持つ人々は、避難ルートが適しているか、補助具が使えるかなどを確認し、迅速かつ安全な避難を目指しましょう。
事前の準備と計画を思い出す
災害時に冷静に行動するためには、事前の対策が不可欠です。避難訓練や防災マニュアルを再確認し、自分に何が求められるかを確認します。
すべてが完璧ではないかもしれませんが、しっかりとした避難マニュアルに従って行動すれば、より安全に避難できます。
特に障がいを持つ方や病気を抱える方は、必要なサポートや手助け方法を家族や介護者と共に確認しましょう。
焦らず、落ち着いて行動する
災害時には、できるだけ早く安全な場所へ移動したくなり焦ってしまいがちです。しかし、その焦りが危険を引き起こすことがあります。
たとえば、地震の際に慌てて外に出ると、落下物の危険性が高まります。冷静に状況を判断し、適切なタイミングで行動することが極めて重要です。
障害を持つ方や病気を抱える方は特に、焦らずに安全を確保しながら、必要な支援を受けながら行動しましょう。
周囲とコミュニケーションを取る
災害時には、周囲の方々との協力が不可欠です。現場にいる皆さんと声を掛け合い、状況を共有することで、冷静さを保つことが重要です。
お互いの安全を確認し合い、安心感を共有することで、安全に行動できます。特に障がいを持つ方や病気を抱える方々とその介護者は、近隣のサポートを受けることで、素早くかつ安全に避難できます。
災害時に配慮が必要な点を事前に周囲に共有しておくことで、万が一の際に円滑なサポートを受けられます。
正確な情報を確認する
災害発生時には、信頼できる情報源からの最新情報を収集することが重要です。
以下の方法を参考に、正確な情報を確認しましょう。特に障害者や病気を持つ人々、その介護者にとっては、迅速かつ確実な情報収集が必要です。
テレビやラジオ
災害時におけるテレビの情報は非常に役立ちます。災害の規模や影響、政府や自治体からの公式発表などは、ニュース番組を通じて素早く提供されます。
特に、災害専用のチャンネルや番組がある場合、そちらを視聴することでより詳細な情報を入手できます。
さらに、テレビ放送は視覚的情報も提供しており、被害状況や避難経路の確認が容易になります。音声解説がある場合は、視覚障害者にとっても貴重な情報源となります。
ラジオも災害時において非常に重要な情報源です。
停電や通信障害が生じた場合でも、電池式ラジオは情報を受信するための有効な手段となります。ラジオは、リアルタイムでの最新情報や避難指示、緊急連絡などを提供し、視覚に頼らずに聞くことで情報を得ることが可能です。
携帯性の高さも、災害時には大きな利点となります。聴覚障害者にとっては、テキスト情報が表示されるタイプのラジオが便利です。
スマートフォンの緊急警報
地震や台風などの災害が発生した際、スマートフォンに緊急警報が表示されます。これにより情報を迅速に入手し、素早く避難することが可能です。
地震の緊急速報(EEW)では、揺れが発生する前にアラートが鳴り響き、貴重な数秒から数十秒の時間を得て身の安全を確保できるでしょう。スマートフォンの設定で緊急警報を有効にしておくと、重要な情報を確実に受信できます。
地域ごとに具体的な避難指示や注意事項が提示される場合もあり、その通りに行動することが極めて肝要です。特に障害を持つ人や病気を抱える方々は、避難の準備に多少時間がかかることがあるため、早めの行動が求められます。
緊急警報設定例
機種によって設定は異なりますので、お持ちの機種の説明書をご確認ください。
気象庁ウェブサイト
気象庁の公式ウェブサイトは、最新の天気予報や災害情報を提供する信頼性の高い情報源となっています。気象警報や注意報、地震情報、津波情報など、詳細なデータを確認できます。
そして、リアルタイムで更新される情報を活用することで、将来の天候変化や災害の進行状況を予測することができ、適切な避難計画の策定に役立ちます。特に介護者は、気象庁の情報を元に、障害を持つ人や病気を抱える方々向けの具体的な対応策を計画しておくことが非常に重要です。
地方公共団体の公式ウェブサイト
地方公共団体の公式ウェブサイトには、各地域の避難所情報や緊急連絡先、避難指示などが提供されています。地域独自の情報を入手するためには、日常的に地方公共団体のウェブサイトを定期的にチェックしておくことが肝心です。
特に障害を持つ方や疾病を抱える方々は、避難所のバリアフリー情報や医療施設の状況を事前に確認しておくことが安心につながります。
災害情報提供アプリ
さまざまな災害情報を提供するアプリをスマートフォンにインストールしておくことも有効です。気象庁公式アプリや防災速報アプリなどがありますので、最新の災害情報をプッシュ通知で受け取り、迅速に対応することができます。
自分の居住地や興味のある地域をアプリ内で登録することで、関連する情報を優先して受け取ることも可能です。特に障害を持つ方や疾病を抱える方々は、緊急時に必要な支援情報を含むアプリを活用すると良いですね。
防災アプリ例
SNSの活用
SNSを通じて、地域の最新情報や他の方々の状況を把握することは有益です。特に、気象庁や自治体、消防庁などの公式アカウントをフォローすることで、信頼性の高い情報を迅速に入手できます。
公式アカウントからの情報は正確性が保証されており、避難指示や救援活動に関する重要な情報が含まれています。さらに、特定のハッシュタグを使用して情報を取得することも可能です。
例えば、#地震速報や#台風情報などのハッシュタグを検索することで、最新の状況や他の方々の経験を確認できます。ただし、SNS上では誤報やデマが流布される可能性があるため、情報の信憑性を確認するために、公式アカウントや信頼できる情報源からの情報を優先するようにしましょう。
障害者や病気を抱える方々は、信頼性のある情報に基づいて行動することが重要です。
地域コミュニティの利用
地域のSNSコミュニティやグループに参加して、迅速な情報共有やお互いの支援を手助けすることは大変有益です。地域独自の詳細な情報や地域の状況をリアルタイムでつかむことができ、連帯や協力が促進されます。
特に障害をお持ちの方や病気を抱える方は、地域のコミュニティと連携することで、素早いサポートを受けることができるでしょう。事前に地域の防災計画や支援策を確認し、万が一の際に備えましょう。
安全な場所への避難
災害発生時には、安全な場所に避難することが最優先となります。
以下のポイントを参考に、適切な避難行動を心がけましょう。特に障害者や病気を持つ人々、その介護者にとっては、事前の準備と確認が重要です。
自宅や職場での避難
地震の際には、家具が倒れにくい場所を確認し、地震が発生したら速やかにその場所に移動してください。特に、頑丈な机やテーブルの下に身を隠し、頭や体を守ることが重要です。
机の下に避難できない場合は、クッションや毛布などで頭を覆い、壁際に身を寄せてください。窓やガラスから離れ、落下物から身を守るために低い姿勢を保ちましょう。
視覚障害者や移動が困難な方は、普段から安全な場所を確認し、すぐに避難できるようにしてください。
台風や洪水による場合では、高い場所に避難することが最優先です。洪水の際は、浸水が予想されるエリアや低地には近づかないでください。
2階以上の高い場所や建物の高層階に移動し、川や海、下水道から離れた安全な場所に避難しましょう。
強風が予想される場合は、窓やドアを確実に閉め、飛散物に備えて安全な場所に身を置くようにしてください。障害者や病気を持つ方々は、避難時に必要な補助具や医薬品を準備し、常に手元に置いておくことが重要です。
避難経路の確認
非常時には、事前に避雄経路や避雄場所を確認しておくことが不可欠です。自宅や職場、学校の周囲に地図を準備し、最適な避難経路をチェックしておきましょう。夜間や悪天候時の避難も考慮し、複数の避難経路を事前に計画しておくと安心です。
特に視覚障害者や移動が困難な方は、避難ルートの障害物や段差を事前に確認し、必要なサポートを受けられるよう準備しておきましょう。
避難経路には、通常の道路だけでなく、非常時に有用な裏道や非常口も含めることが大切です。避難時には、エレベーターの利用は避け、階段を使用するのが基本となります。
避難訓練に参加し、実際に避難経路を歩いて確かめることで、非常時に冷静に対応できるようになるでしょう。介護者は、介護対象者の避難経路を共に確認し、必要な介助方法を習得しておくことが肝要です。
避難所の利用
ご自宅が危険な場合や避難指示が出された際には、指定された避難所に速やかに移動しましょう。避難所の所在地は、自治体のウェブサイトや防災マップにて確認できます。
避難所のリストを印刷しておくと移動時にスムーズに移動可能です。障害をお持ちの方や病気をお持ちの方は、事前にバリアフリーの避難所や医療支援が受けられる施設を確認することも重要となります。
緊急持ち出し袋の準備
緊急時には最低限の物品を持ち出すことが必要です。前回の記事では、障害者や病気を抱える方に向けての必須グッズを紹介しましたが、その他にも多くの必需品があります。
食料と水
人間が水の摂取を怠ると、数日で生命の危機にさらされる可能性があるため、適切な飲料水を確保することが最優先です。1人当たり最低3日分(1日に3リットル)の水を準備しましょう。
ペットボトルや水の備蓄容器を利用し、常に賞味期限をチェックして定期的に入れ替えることが肝要です。特に障害を持つ方や病気の方は、脱水症状を避けるために、余裕をもって水を準備しておくことが重要です。
食料に関しては、缶詰や乾パン、エネルギーバーなど、長期保存が可能で、加熱調理が不要な食品を備えます。
これらの食品を選ぶ際には、栄養バランスに留意しましょう。たんぱく質やエネルギーを摂取できる食品を中心に選び、それに加えてお気に入りの食べ物や子供向けの食材も準備すると良いでしょう。
賞味期限を定期的に確認し、効果的に交換することが不可欠です。障害をお持ちの方や病気の方の中には、食事制限やアレルギーを抱える方もいますので、彼らのニーズに適した食品を準備することが必要です。
例えば、無糖食品やグルテンフリー、アレルギーのない食品を加えるとよいでしょう。
常備薬と救急用品
持病のある方は、絶対に緊急用の薬を用意しておきましょう。薬のリストを作成し、医師の連絡先も添えておくと心強いです。
災害時に薬が足りない場合に備えて、予備の処方箋も用意しておくと安心でしょう。特に障害を持つ方や病気の方々は、定期的に服用する薬が必要なケースが多いため、十分な量を用意することが重要です。
怪我や体調不良に備えて、絆創膏、消毒液、包帯、ガーゼ、痛み止め、抗生物質軟膏などの救急品も揃えておくとよいでしょう。
使い捨て手袋やピンセット、ハサミなどの医療器具も準備しておくと便利です。救急用品を整理して取り出しやすくし、障がいを持つ方や病気の方々の怪我や感染症リスクに備え、医療用品を十分に準備することがおすすめされます。
懐中電灯とラジオ
停電時に備えて、強力な懐中電灯を用意しましょう。LEDタイプの懐中電灯は、明るさが強く、バッテリーの持ちが良いのでおすすめです。
また、予備の電池も忘れずに用意しておきましょう。ヘッドランプも両手を使えるため便利です。視覚障害者がいる場合、点字ラベルを貼った懐中電灯を用意すると、使いやすくなります。
災害時の情報収集に役立つラジオも重要です。電池式または手回し式のラジオを選び、常に動作確認をしておくことが必要です。
防水機能付きのラジオや、スマートフォンの充電もできるタイプを選ぶと、より便利に使用できます。聴覚障害者の方は、テキスト情報が表示されるタイプの防災ラジオもありますので、そちらを選ぶと良いでしょう。
携帯電話の充電器
通信手段を確保するためには、スマートフォンの充電器やモバイルバッテリーを準備することが必要です。モバイルバッテリーは、容量が多く、複数回充電できるものを選ぶと安心でしょう。
そして、ソーラーチャージャーもあれば、長期間の停電時に便利です。緊急時に備え、バッテリーの充電状態を常に確認しておくようにしましょう。
特に、障害を持つ方や病気の方々は、緊急時に連絡が必要なケースが多いため、充電器をしっかりと用意しておくことが大切です。
衣類等
天候や季節に応じた服を用意しましょう。寒さ対策用の服や雨具も必ず持参してください。
下着や靴下など、快適に過ごせるよう心がけましょう。特に、障害を持つ方や病気の方は、肌に優しい素材の服を選ぶと良いですね。
そして、何かと便利なタオルは必需品です。体を拭くだけでなく、包帯代わりや保温用にも使えます。特に、体温調節が難しい方々にとっては、保温効果の高いタオルが欠かせません。
トイレットペーパー、ティッシュペーパー
衛生用品として、トイレットペーパーやティッシュペーパーを用意しましょう。災害時には手に入りにくくなることがあるため、多めに準備しておくと安心です。
特に消化器系に問題がある方は、必要な量を確保しておくことが重要となります。
現金
災害時には、ATMやクレジットカードが使用できないことがあります。つり銭や千円札など、細かいお金を用意しておくことが大切です。
公共料金や食料品の買い物に備えて、一定額を緊急用の入れ袋に用意しておきましょう。特に障害を持つ方や病気の方々は、予備の医療費や特別なニーズに対応するため、余分な現金を用意しておくと安心です。
身分証明書と重要書類のコピー
運転免許証や保険証、パスポートなどの身分証明書のコピーを準備しましょう。また、重要な契約書や保険証券のコピーも用意すると安心です。
これらは防水ケースに入れて保存します。障害を持つ方や病気の方々は、医療情報や緊急連絡先を明記した書類を追加で用意すると良いでしょう。
連絡手段の確保
災害時には通信が混雑することが多いため、家族や友人との連絡手段を確保することが重要です。特に障害者や病気を持つ人々、その介護者にとっては、迅速かつ確実な連絡手段が生命線となります。
事前の連絡計画
家族や友人と予め連絡方法を決めておくことは非常に重要です。災害が発生した際、どのようにお互いにコンタクトを取るかを具体的に話し合いをしましょう。
特に障害を持つ方や病気を患っている方々は、緊急時にスムーズに連絡を取るために、複数の連絡手段を考えておく必要があります。事前に集合場所や緊急時の連絡先を決めておくことで、災害時の混乱を避けることが可能です。
視覚障害や聴覚障害のある方々にとっては、分かりやすい方法で集合場所や連絡先を伝えておきましょう。(点字や大きな文字、簡潔な指示など)
連絡方法は定期的に再確認し、家族や友人と共有することが必要です。特に介護者は、介護を受ける方の状況に合わせて計画を柔軟に変更することが求められます。
連絡手段の多様化
携帯電話はメインの連絡手段ですが、通信が混み合う可能性があるので、他の手段も用意しておきましょう。障害を持つ方や病気を患っている方は、音声通話だけでなく、テキストメッセージやビデオ通話など、状況に応じて使いわけられる機器を備えることが大切です。
携帯電話以外にも、メールやSNSを活用することで、複数の連絡手段を確保します。特に聴覚障害者にとっては、メールやテキストメッセージが重要なコミュニケーション手段となります。TwitterやFacebookなどのSNSは、緊急時に情報を共有するのに効果的です。
携帯電話の通信が途絶えた場合に備え、固定電話も利用できるようにしておきます。介護施設や病院などでは、固定電話を使った緊急連絡体制の整備が重要です。
通信が完全に途絶えた際に備え、無線機やトランシーバーも準備しておくとさらによいでしょう。これらの機器は特に地域コミュニティや避難所での連絡手段として役立ちます。
緊急連絡先の共有
近隣の友人や職場の同僚と緊急時の連絡先を共有しておくと安心です。障害や病気を抱える方々のケア担当者は、緊急連絡先リストを作成し、関係者全員に共有することをお勧めします。
このリストには、医師や病院、介護施設の電話番号などが含まれると良いでしょう。お互いに助け合えるよう、地域やコミュニティ内で連絡網を築くことも有効です。
特に非常時に支援が必要な障害者や高齢者の情報を把握し、適切な援助が行えるように準備しておくことが大切です。地域の防災訓練に参加し、お互いに顔見知りで連携を深めておきましょう。
障害や病気を抱える方々は、医療情報や緊急時に必要なケア情報を共有しておくことが肝心です。これには、持病やアレルギー、服用している薬のリストなどが含まれます。
これらの情報をカードやノートに記載し、常に携帯するようにしましょう。また、ケア担当者や家族とも情報を共有し、緊急時にスムーズに対応できるようにしておきましょう。
いざという時に備える
障害者と防災面について、今回は災害時の初期行動について焦点を当てて紹介させていただきました。
災害時には、素早く行動することが身の安全を守ることになりますが、焦りなどで思わぬケガをする場合もありますので、安全と迅速の両立ができるように本記事が役立てば幸いです。
障害者と防災、3回目は避難所での生活をテーマに紹介いたします。
災害には備えが肝心!障害や病気を抱える方への災害避難マニュアルシリーズ
最後までお読みいただきありがとうございました。
久田 淳吾
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