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TENGAの障がい者支援「able! project」に迫る!川越のB型事業所をインタビュー

able!projectの建物

突然ですが、あなたはTENGAをご存じでしょうか?

 

株式会社TENGAは性についての商品を多く世に送り出しているのですが、その一方で福祉事業もされております。

 

埼玉県川越市にable! FACTORYを立ち上げ、障がいがある方に働くやりがいを提供し、賃金(工賃)を引き上げようと活動されています。

 

【就労支援施設自体が寄付をする】そんな仕組みを作りだして、多くの方に現状を知っていただこうとしています。

 

日野
そんなTENGAから、本日は木村施設長にお話を伺ってまいりました!

able! projectとは?

インタビューは動画でも視聴可能です。

 

 

 

日野
木村さん、よろしくお願いします。では、早速ですが、able! projectについて教えてください。

 

木村
able! projectは「就労支援施設を創る」ことと、「able! TENGA」を製造販売して、1個販売すると100円の寄付が生まれ、その寄付をプールすることで日本中の特別支援学校や福祉施設などに寄付をするプロジェクトです。

 

 

 

 

木村
例えば今子ども食堂ってあるじゃないですか?そういうところにも食材を寄付したりもしています。

 

日野
色んな必要としているところに物品やお金を提供していこうということでしょうか?

 

木村
そうですね。福祉施設は寄付をもらうのが通例ですけれど、貰うだけじゃなくて、自分たちが寄付するという新しい発想です。

 

それでみんながハッピーになればいいと思っています。

 

 

able! TENGAはどこで買えるの?

日野
able! TENGAは、一般のTENGAショップにも置いているんでしょうか?

 

木村
最終的には広く展開できたら嬉しいのですが、まずはここ、able! FACTORYで運営予定のオンラインストア、TENGAの常設展(フラッグシップストア TENGA STORE TOKYO)、TENGA 公式オンラインストア。

 

この3箇所で販売していきたいと思います。

 

日本の平均工賃はわずか15000円

日野
障がいのある方の高工賃を目指していらっしゃるとお聞きしました。

 

木村
はい。今、就労継続支援B型事業所というのは全国にたくさんあるんですが、障がいのある方がB型事業所でもらえる工賃は、月1万5~6000円が全国平均なんです。

 

日野
そうですね。かなり低いと思います。

 

木村
TENGAとしてはそれを大幅にアップする事によって地域の活性化に繋げていきたい。

 

障がいのある方のやりがいに繋げたいということで、ここでは平均5万円を目標にしています。

 

1日5時間・月20時間作業を行なった場合)

 

日野
1万6000円と5万だとかなり違いますね。やる気に繋がりそうです。

 

木村
そうですよね。ですが、平均1万5~6000円を行ったり来たりで、2万円の壁というのはなかなか破れないのが日本の現状です。

 

松本社長は「工賃をグッと上げていきたい」と「自分もそうしたい」と思ったので、是非そこは実現していきたいところです。

 

そういった「トータル的に障がい福祉全体を底上げしよう」というのが「able! project」の全体像なんです。

 

 

 

able! projectを立ち上げたキッカケ

日野
木村さんが福祉業界に入ったキッカケはそもそも何だったのですか?

 

木村
私はもともとエンジニアになりたくてエンジニア系の大学に行きまして、16年くらいコンピューターの開発をずっとしていました。

 

そんな中であるときコンピューターできるなら福祉施設でパソコンのボランティアをやってほしいと頼まれたのがきっかけで福祉と出会ったんです。

 

日野
そこが木村さんの福祉の原点なのですね。

 

木村
なんとなくボランティアに行っているうちに全く興味がなかった福祉になんとなく魅力を感じてきて、気が付いたらエンジニアの仕事を辞めて福祉の仕事をしていたんです。

 

そこから日本福祉事業大学に通って、社会福祉学を学んで、最終的には自分でNPO法人を作って、自分で福祉施設を作るってところまでやったんです。

 

TENGA松本社長との出会い

日野
ご自身でNPOまで作られてたんですね。

 

木村
はい。でも、ある時障がいのある方や相談支援専門員方から障がいのある方の性についての相談を受けたんです。

 

そうなってくると福祉の知識だけではいかないし、コンピューターの知識だけでは済まないし、どうしても性に関する知識が必要になる。

 

日野
障がいがある方の性の情報って中々ないですからね。

 

木村
これどうしたもんかなって考えた時に、たまたまネットニュースでTENGAが「TENGAヘルスケア」というブランドを立ち上げた時期だったんです。

 

それをネットニュースで見てすぐに松本社長にお電話いたしまして、色々お話をする中で協力関係を結びましょうとなりまして、それがきっかけですね。

 

TENGA松本社長

 

 

able! projectの前衛

木村
そこから私もNPO法人の理事長を引退しまして、しばらくしてからTENGAの松本社長から電話がありました。

 

「木村さんちょっと相談したいことがあるんだけど」と。

 

日野
どんな相談だったんですか?

 

木村
今の「able! project」がまだ「able! project」という名前になる前の今の仕組みの最初のプロトタイプ版を社長が熱心に話してくれたんですよ。

 

確かにこの事業は日本ではまだまだやってない事業ですし、就労支援自体はやっているけど、就労支援施設自体が寄付をするというのはないんですよね。

 

日野
確かに。他に聞いたことないですよね。

 

 

木村
あとは高い工賃を障がいがある方たちに払うシステムも、まだまだ出来あがっていないので、そこに私は感銘を受けました。

 

日野
工賃の低さの課題は、うちも取り組んでますので、私も感銘を受けます。

 

木村
あとは障がいがある方の性の問題をどう解決していくのか。

 

現状、行政とか既存の施設ではできることも限られるので、「これはTENGAだからできることだな」というのを私も感じました。

 

数時間ほど色々思いを巡らせて参加をする決意をしました。

 

 

able! FACTORYの仕事紹介

日野
able! FACTORYでは、いくつかの作業が用意されています。

 

1つずつお伺いしてさせていただきます。

 

able! TENGAの制作

日野
able! TENGAは、先ほどおっしゃっていた100円が支援されるというものかと思いますが、どのような作業をされていらっしゃるのですか?

 

木村
able! TENGAを製造するうえでの最終工程である

 

  • シュリンクフィルムの包装作業
  • 検品
  • 梱包

 

を行います。

 

 

木村
こちらは、able! TENGAの包装をする機械です。

 

機材詳細は企業秘密なのですが。

 

日野
企業秘密、とても気になります(笑)

 

そのような重要な作業も担えるのですね。

 

able! TENGAのシュリンクフィルム

 

衣料品の製作

日野
こちらにもすごい機械がありますが、何をされているのでしょうか?

 

 

木村
こちらでは、Tシャツやバッグなど、衣類のシルクスクリーン印刷を行う場所になります

 

日野
オリジナルのTシャツを作りたい時は、ご依頼もできるのですか?

 

木村
はい。データを作成いただければ、こちらでプリントし、製作することができます。

 

日野
それはすごいですね!

 

ウェルサーチのTシャツも作ってみたいです(笑)

 

パソコン修理・販売

木村
こちらでは、使用済みのパソコンを修理しています

 

 

日野
修理したものは、どうされているのですか?

 

木村
修理したパソコンは寄付や販売用として、提供予定です。

 

 

able! CAFEの接客

 

日野
このオシャレなカフェの調理や接客も利用者の仕事のひとつなのですか?

 

木村
はい。入口にable! CAFEという素晴らしいカフェがあります。

 

実はワンちゃんも入れるドッグカフェになっていまして、そのガラスの内側はワンちゃんOKというところが非常に特徴的です。

 

able! CAFEの様子。ワンちゃんとぜひ♪

 

 

木村
メニューも全部オリジナルメニューで、ここのシェフがいろんなものを工夫しながら作っています。

 

もう土日は駐車場がいっぱいになって、満車なのでテイクアウトをされる方も多いですね。

 

日野
すごい大盛況ですね。

 

able! CAFEのドックランで遊ぶワンちゃん達♪

 

ワンちゃん用のお菓子もあります♪

 

通販サイトの運営

木村
まだ準備中ですが、通販サイトの運営も構想しております。

 

日野
オリジナル商品もありますし、ネット販売は相性がよさそうですね。

 

木村
はい。日々の商品管理や発送業務などをこちらで行う予定です。

 

 

able! FACTORYってどんなところ?

日野
いろいろと施設の紹介ありがとうございました。

 

木村さんにとって、この事業所はどういった存在ですか?

 

木村
そうですね…。

 

大体B型事業所は1個の作業に追われてしまうことが多いんですが、ここは本当に広い空間を贅沢に使って様々な仕事を用意しております。

 

障がいのある方に多種多様な作業を選んでいただけると思っています。

 

障がい種別によって受け入れを制限しているわけではないので、施設が可能な限りどんな方でも通うことができます。

 

日野
休憩室があったり、オールジェンダーのトイレもありましたよね。

 

 

木村
ここは許す限り、だれでも「ウェルカム」です。どうぞ見学していってほしい。

 

だから地域の人はカフェを利用するだけでなく、ワークショップなどを通して、この施設でどんな作業をしているか見ていただけると嬉しいです。

 

休憩室

 

オープンな福祉施設

日野
福祉施設は閉鎖的になりがちですが、それを一般の方とも関われる機会があるというのは他にはない魅力の一つですよね。

 

木村
そうですね。ゴールデンウィークの初日にプレオープンをやったんですけど、歩いてすぐのところの住宅の子供たちが来てくれて、次の日にはまた友達が友達を連れてきてくれて。

 

 

木村
どんどん子どもたちの繋がりが広まっています。

 

色々買ってくれたり食べてくれたりするので、臨時ワークショップをやったり、シルクスクリーンで子供たちのバッグを作ったり、パソコンリペア室で子供たちのメダルを作ってみたりしました。

 

 

シルクスクリーンに挑戦する子供たち

 

 

日野
それは子どもたちもとても楽しかったでしょうね。

 

木村
楽しんでくれたみたいです。

 

そうすると、子供たちも昼間この辺で遊ぶようになりますから、またその時にワークショップを考えて大人も子どもも来れる。来て楽しめる空間が出来たらと思っています。

 

パソコンの修理体験も!

 

 

利用者とのエピソード

日野
ハローパーティと言うオープニングセレモニーを開催したとお聞きしました。

 

木村
スタッフさん(able! FACTORYでは利用者をスタッフと呼称)何人かに手伝ってもらったんですが、ハローパーティの当日、みなさん普段は障がいがあるのでなかなか体力的に1日仕事が難しいんですけど、その日だけ朝から夕方までやってもらったんです。

 

すごい忙しくて。

 

木村
息子さんは休憩も取らずに集中して仕事をしていたので、私の所に「休憩とってもいいですか?」って確認しに来たんです。

 

日野
はい。

 

木村
「すぐに休憩とってください」って言ったんですが、私の隣にその子のお母さんがいたんです。

 

でも気付かないぐらい仕事に集中していて、お母さんから「あの子私に気づいてませんでしたね」って言われて。

 

日野
それくらい仕事に熱中してたんですね。

 

木村
はい。それは社長も喜んでいたんですけども、私もすごい嬉しかったです。

 

市長も参加!ハローパーティの様子

Tシャツを持つ川越市の川合市長

 

 

カフェ自慢のケーキ!おいしいな♪

 

たくさんの方に来ていただきました!

 

 

見学者の80%が「利用したい」

日野
他にも活動していて嬉しかったことはありますか?

 

木村
そうですね。ここに見学に来る方はけっこう増えているんですけど、見学に来た方の8割方はここを利用したいと言ってくださるんです。

 

それは嬉しいですね。

 

日野
8割もですか?やっぱり皆さん惹かれるものがあるのですね。

 

木村
「来てくれるかな」って心配もあったんですが、遠いところだと東京の東村山市からここまで通ってくれる方もいます。

 

川越の方が多いけど所沢市からもたくさんの問い合わせの電話が来るので、それは非常にありがたいことだなと思っております。

 

 

able! FACTORYの建設ストーリー

日野
事業所の建設場所を決めるまでにご苦労があったと伺いましたが?

 

木村
そうなんです。実は、ここの場所に決めるまでに2年以上かかってるんです。

 

日野
そんなに!?

 

木村
はい。大家さんが理解してくれないと土地を貸してくれないので…。

 

ですが、大家さんが理解してくれても地域の方の反対があれば工事できない。

 

逆に言うとこの地域の方や大家さんが「うん」と言っても行政が「うちの地域はダメ」と言ったらやっぱりダメなんです。

 

日野
壁を乗り越えたら、また壁があるのですね。

 

木村
そうなんですよ。

 

 

地域の重要性

日野
この場所に決まった理由はなんですか?

 

木村
川越に決まったのは、大家さんが非常に理解のある方なのと、地域性ですね。

 

日野
地域性?

 

木村
自治会長さんにも挨拶して、商店街の会長さんにも挨拶して、地元の一番近い議員さんにも挨拶しました。

 

みなさん非常にいい感触を持っていただいて、最終的に川越市長さんも会ってくださって。

 

日野
なるほど。福祉に積極的な市だったんですね。

 

 

木村
はい。ありがたいことに。あとは行政ですね。

 

川越市障害福祉課の方も「TENGAさんがB型事業所を創るのはいいことですね」とこの計画を最初に障害福祉課に説明した時に反対がおきなかったんです。

 

日野
そうだったんですね。

 

木村
あとは地域の福祉施設の集まりがあるんですけど、そこでも「TENGAさんが今度新しいB型事業所を創る」と告知してくれて。

 

本当に地域性に助けられていると思うので、ここに来てよかったなと思っています。

 

地域の方に愛されながらやれるこの場所は結果的ですけど、ベストな場所だったとみんなも思っています。

 

日野
隣が川越で小江戸とかもありますもんね。

 

木村
そうですね。小江戸もあるので、観光ついでにable!CAFEに寄っていただきたいです。

 

やっと近所の方とかワンちゃん連れの方に知られてきた「川越」=「小江戸」というイメージがありますけど、小江戸の次にable!って思ってもらえたら嬉しいなと思っています。

 

 

 

able! project編集後記

TENGAのホームページに、こんな言葉がありました。

 

英語で障がい者を表す言葉「disabled people」 disableは、できる(able)に否定のdisがくっついた「できない」という意味の言葉です。

 

このプロジェクトの目的は、「障がい者=できない(ことがある)人々」から、この否定の「dis」を取り払いひとつでも多くの「able」をつくっていくことです。そして、「できる」という「喜び」を広げていきます。

 

日野
able! projectにはそんな意味が込められているんですね。

 

理解のある地域の方々に支えられながら、少しでも工賃の向上を図っているTENGAのお話をお聞きして、福祉の枠を広めることができました。

 

見学も随時、承っていらっしゃるので、興味を持った方はぜひお問い合わせから連絡してみてください。

 

able! project

 

公式HP:https://able-project.com/

見学などのお問い合わせ:https://able-project.com/contact/

 

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日野信輔

株式会社Nextwel代表取締役。Welsearch編集長。ソーシャルビジネスに特化したWebマーケター。障害者プロデュース・福祉事業所やNPOの伴奏支援などしております。得意分野:工賃アップ/障害者の仕事づくり/集客。詳しいプロフィールはこちら→日野信輔
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