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大人の発達障害とコンサータの効果|薬と向き合う私の選択

薬のシートとおくすり手帳が並ぶ背景に、「発達障害の治療法とは?」というタイトルと「コンサータと向き合う私の選択」という言葉が書かれている。

転んでけがをしたときは、消毒をして薬を塗る。風邪を引いたら、薬を飲んで暖かくして寝る。


大抵の人は、「治療」と聞くと、そんなイメージを持っているかもしれません。では、発達障害の「治療」とは、いったい何でしょう?

 

私自身、発達障害の診断を受けたとき、事前にネットでいろいろな情報を見ていたので、なんとなくそうだろうなと思っていました。だから診断が確定したときは、ショックよりも、少しほっとした気持ちのほうが大きかったです。

 

ですが、治療について話が進む中で「薬を使う」という選択肢が出たとき、正直ためらいを覚えました。世の中には、特に精神の薬に対してネガティブな情報が多く、できれば使いたくないという思いが強かったのです。

そんな私に対し、かかりつけの医師が丁寧に説明してくれたおかげで、発達障害の薬と向き合う決心がつきました。


今回は、そんな私自身の体験をふまえて、「コンサータ」という薬との付き合い方を紹介したいと思います。

 

ジュン
コンサータが何か知らない人にも知って欲しい内容です。

大人の発達障害と「コンサータ」

医師から発達障害の診断を受けた時、今後どうしていくのがよいかというアドバイスをいただきました。

 

主な項目としては…

 


「薬だけに頼るのではなく、日常の環境も大事にしていきましょう」と言われたことを覚えています。
その上で提案されたのが「コンサータ」という薬でした。

 

コンサータは、脳内の神経伝達物質(ドーパミンやノルアドレナリン)に働きかけ、注意力や集中力を高める効果が期待される薬です。処方にあたっては、医師だけでなく薬剤師さんからも丁寧な説明がありました。

 


当時の私は企業に勤めていて、日々の業務でミスを重ねていました。

「このままではいけない」という焦りもあり、少しでも状況を改善できるなら試してみたい。そんな気持ちから、コンサータの服用を決めます。

 

医師からは、ストラテラやインチュニブといった他の薬の存在があることも軽く説明を受けましたが、「コンサータで様子を見ましょう」という形で治療が進むことに。

 

カウンセリングなど他の治療法も必要だろうと考えていましたが、 まずは薬の力でどのように自分が変わるのか?それを見てみることにしました。

 

ジュン
薬の副作用なども人それぞれなので、薬の処方自体きちんと医師と話す必要があります。

 

コンサータと過ごす日々

コンサータを初めて飲んだのは、まだ企業に勤めていた頃のことです。


当時は工場勤務で、作業に集中し続けることができず、失敗が多く悩んでいました。薬を飲んで最初に感じたのは、「多少、集中力が上がったかな?」という微かな変化です。

 

正直、薬を飲んだからといって劇的に何かが変わったわけではありません。むしろ、「これってプラシーボ効果(思い込み)なのかな?」と思うくらいの小さな違いでした。

 

それでも、いつも頭の中にあったわずらわしさが治まり、作業に取り組みやすくなった感覚は確かにありました。初めてのコンサータ体験は、そんな「小さな違い」に気づくことから始まります。

 

ジュン
コンサータの効果自体、人によるところも大きいなとは思います。

 

日常生活で感じた変化

フリーランスとして在宅勤務に切り替わった現在では、より落ち着いた環境で仕事に取り組めるようになっています。コンサータを使ったことで特に変わったのは、集中力の持続です。

 

 

ただし、コンサータを飲んだからといって、すべての問題が解決するわけではありません。失敗が完全になくなるわけでも、苦手なことが突然得意になるわけでもないのです。

 

「薬が何でも解決してくれる」

 

 そんな理想を抱きたくなる気持ちはありますが、現実はそう甘くありません。それでも、コンサータは自分を支えてくれる存在になっています。

 

副作用や違和感について

コンサータによる副作用は、私の場合ほとんど感じることはありませんでした。ただし、薬の効果で脳が活性化していることを考慮して、危険な作業は避けるように意識しています。

 

特に注意しているのは、

 

 

副作用が出なかったからといって油断せず、安全第一で行動することを心がけています。

現在の服薬スタイル

今では、コンサータを「毎日飲む」のではなく、必要な日だけ飲むスタイルに落ち着きました。服薬のタイミングは、朝スケジュールを考えるときに決めています。

 

 

このように、自分自身で服薬のリズムをコントロールすることで、薬に振り回されず、無理なく生活できています。最近では、AIと会話しながら自分の頭の中を整理し、一日の流れを考えるなど、薬に頼りきらない工夫も取り入れています。

 

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医師との相談と支え

薬のコントロールは素人判断ではとても危険です。そのため、コンサータを服用するうえで、医師への定期的な相談を欠かしていません。

 

 

医師が生活面まで気にかけてくれることで、安心して薬を使うことができています。「薬を飲むか飲まないか」ではなく、「薬とどう付き合っていくか」を一緒に考えてもらえる環境は、私にとってとても心強いものです。

 

コンサータとの付き合い方|薬は万能じゃない

 

発達障害の診断を受けた当初、私は薬に対して強い抵抗感を持っていました。


特にネットの世界では、精神の薬についてのネガティブな情報があふれていて、 気づかないうちに、自分の頭の中にも偏見が根を張っていたのだと思います。

 

「本当に薬に頼っていいのだろうか?」
「飲んだら薬に頼りっきりになるのではないか?」

 

そんな漠然とした不安を、なかなか拭いきれずにいました。


よくある話ですが、家庭の医学書を読んだだけで素人判断をしてしまうことがあります。当時の私も、まさにそんな状態でした。

 

けれど、医師の話をしっかり聞き、何度か自分で薬を試してみるうちに、その不安は少しずつ和らいでいきました。

 

薬は敵でも味方でもない。あくまで、「うまく使えば助けになるツールのひとつ」だと、実感できるようになったのです。

 

ジュン
世の中の便利なツールも、ただ持っているだけでは宝の持ち腐れですね。

 

薬に頼らない工夫を日常に

コンサータを使い始めてからも、「薬さえあれば大丈夫」とは思わないように心がけています。薬はあくまで補助。自分の生活の土台を整えることが、何よりも大切だと感じています。

 

私が日常で意識しているのは、このようなことです。

 

 

薬だけに頼るのではなく、薬を使いながら、自分なりに暮らしやすい環境を作ることを大切にしています。

 

「頼る」から「活かす」への意識の転換

最初は、思うようにいかないと「薬が効いていないのでは」と考えてしまうこともありました。けれど、生活を見直していくうちに、薬の力をより実感できるようになったのです。

 

もし薬が即効性を持って、なんでもうまくできるようになっていたら?それこそ、薬に依存し、支配されていたかもしれません。

 

薬は魔法ではありません。

 

けれど、自分自身を整えることで、その効果を最大限に活かすことができる。そう気づいてから、私は「薬に頼る」から「薬を活かす」へと、意識を変えることができました。

 

治療とは、自分の生き方を見つけていくことかもしれない

薬による治療は、魔法でも奇跡でもありません。


でも、私にとってコンサータは、半分はお守りのような存在であり、もう半分は自分の中のスイッチを入れるきっかけでもあります。

 

薬を使ったからといって、すべてが劇的に変わるわけではありません。食生活や睡眠が乱れれば、どんな薬でも意味をなさなくなります。

 

だからこそ、薬をきっかけに生活を見直すことも、治療の大切な一部だと今では感じています。

 

コンサータを使うことで、私はチャレンジできるきっかけをもらいました。そして、「薬があるからこそ、自分の生活をしっかり整えていこう」という意識も持てるようになっています。

 

今の生活が安定しているなら、そのリズムを大切に続ける。さらに自分に合う方法が見つかるなら、他の可能性も少しずつ試していく。そんなふうに、一つの方法に固執せず、流れに身を任せながら自分の最適を見つけていく。それが、今の私のスタイルです。

 

ジュン
薬は、あくまで手段のひとつ。

 

もし今、薬に迷いや不安を感じている人がいたら、まずは医師や信頼できる人に相談してみてください。コンサータも、選択肢のひとつとして考えてみてほしい。あなたに合った方法が、きっとどこかにあるはずです。

 

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久田 淳吾

発達障害(ADHD・ASD)と吃音を抱える40代男性。今まで発達障害の事は知らずに生きてきたが、友人の話を聞いて自分にも当てはまる事が多すぎる事を実感し、病院にて診断を受けると見事に発達障害との認定を受ける。自分に何ができるかと考えた時、趣味の写真でプロの先生に話を聞く機会があり、吃音が強く出ていたことに気がついた先生が『君は吃音持ちだね。だったら吃音の方の気持ちがわかるはず。それを活かして吃音の方の気持ちがわかるカメラマンになったらどうか』という言葉を思い出し、発達障害者として同じ気持ち、舞台に立てる人間として趣味のカメラ、動画編集技術を活かして情報発信をする事を決意。
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