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テクノロジーを使った福祉機器で障害をなくす社会へ|株式会社アップイット様インタビュー

uptiサムネ

福祉用具にもさまざまな種類がありますが、まだまだ一般の方には認知されていない現状。特に海外の進んだテクノロジーを使った福祉用具について知っている方はごく一握りかと思います。

 

今回は、主に海外の福祉用具を取り扱う株式会社アップイットの長尾様にインタビューをさせていただきました。

 

海外で作られている福祉用具はどのような物なのか?日本の福祉の現状などについて詳しく聞いていきます。

 

ジュン
福祉用具といえば車椅子や杖などといった印象がありますが、今回の取材でこんなにもたくさんの物があるのかと感じました。

 

進んだ福祉器具について知っていただければと思います。

アップイットについて

ジュン
まずはアップイット様の概要についてご説明をお願いします。

 

福祉事業

長尾さん
弊社は主にコミュニケーション機器や療育機器/リハビリ機器を取り扱っている販売店です。

 

日本製品はもちろんですが、日本より発展している海外の福祉機器を積極的に取り入れております。

 

ジュン
海外の方が進んでいる現状ですか。

 

長尾さん
特にヨーロッパで福祉機器が発展しているのですが、そういったヨーロッパの福祉機器や療育機器などを探し出し、日本の障害のある方の QOL を向上できればとの思いから日本に輸入しています。

 

ジュン
海外の福祉機器などは、普通に暮らしているとなかなか触れる機会がないですね。

 

eスポーツサポート/ゲーミングPC販売

長尾さん
イギリス製品ですとか、アメリカ製の福祉やコミュニケーション機器の取り扱いの他、他事業でゲーミングPCの販売などもしております。

 

 

ジュン
ゲーミングPCですか。

 

長尾さん
ゲーミングPCに関しましては、現在 e スポーツ事業に力を入れております。


後ほど詳しく紹介させていただきますが、コントローラー操作やマウス操作が難しい方でも
視線やスイッチだけでゲームが簡単にできるようなセッティングや身体評価を行っております。


今までやってみたかったけど難しかったゲームができるようになり、施設や個人宅等で大変盛
り上がっていただいています。

 

オンライン対戦で遠くにいる同じ障害の方と対戦をしたり、家族一丸になって一つのゲームをクリアするなど、ユーザー様によってゲームのやり方は様々です。


それ以外にも近年
e スポーツの需要はとても高まっており、弊社のゲーミング PCX AID』を使って e ポーツ大会を行ってらっしゃる事業所様もいらっしゃいます。

 

ジュン
障害がある方でもゲームが楽しめるという意味では、ゲーミングPCも福祉として重要な役割を果たしますね。

 

滑り止め施工/ハウスクリーニング事業

長尾さん
福祉には直接関係ないですが、滑り止め施工やハウスクリーニング事業も行っております。

 

こちらは一般的なご家庭はもちろん、支援学校や福祉施設、高齢施設などの滑りやすい場所に滑り止め剤を塗り、転倒防止のための施工を行います。

 

特に身体障害をお持ちの方やご高齢の方の場合お風呂場や雨の日の入り口等での転倒が起こりやすいので、事故の未然防止に有効です。

 

ハウスクリーニング事業では、エアコンの清掃やお風呂場/トイレ/レンジ等の清掃も手がけています。

 

ジュン
障害がある方がケガをしにくいようにすることや、清掃などなかなかできないという方に向けてのサービスとしては、福祉的な意味も持ちますね。

 

その中でも、メインは福祉事業部ということで。

 

 

『美観はそのままに、抜群の防滑力』クリアグリップの紹介動画

 

「できないをITでできる」に

ジュン
アップイット様のビジョンとして「できない を IT で できる」というものを掲げられておりますが、どのような取り組みをなされていますか?

 

長尾さん
ゲームの場合、細かいコントローラ操作ができない。

 

本当はやってみたかったけど自分は難しいだろうなと思っていたゲームを支援機器を通してできるように手助けする。

 

コミュニケーションの場合

 

  • 「誰かが来た時しか透明文字盤やうなずきで発信できない」から「支援機器を使って自発的な発信ができる」
  • 「タッチ操作が難しく操作ができない」から「タッチの代わりに自分が押せるスイッチで操作ができる」

 

等、「できないをできるように」というのを重視して日本海外で機器を探したり販売をしています。

 

ジュン
とても素晴らしい理念と活動だと思います。

 

福祉機器紹介

ジュン
たくさんの福祉機器を取り扱っていらっしゃいますが、その中で代表的なものをいくつか紹介していただきたいと思います。

 

無線感圧式スイッチ/療育スイッチ『COSMO』

ジュン
こちらは、スイッチですね。

 

長尾さん
はい、こちらは COSMO スイッチといい、コミュニケーションにも使えて、療育/リハビリにも使えるスイッチです。

 

ジュン
コミュニケーションにも療育にもですか、多機能ですね。

 

現行の入力スイッチ

長尾さん
スイッチには様々な種類があります。

 

物理的にカチカチと押す接点式スイッチから、人の静電気を感知して触るだけで反応する帯電式スイッチ、息を感知して入力する呼気スイッチなどさまざまです。

 

ジュン
スイッチというと、通常やはり押して使うものをイメージしがちですが、本当に色々あるのですね。

 

新ジャンル『感圧式入力スイッチ』

長尾さん
そしてこちらの製品は「COSMO」といいまして、感圧式のスイッチという新しいジャンルのスイッチとなります。

 

 

長尾さん
スイッチに触っていただいたら分かるのですが、圧力を感じて反応します。

 

ジュン
たしかに、押す力によってボタンの色や濃さが変わりますね。

 

長尾さん
特徴としては感圧式であり、なおかつ Bluetooth で接続されるスイッチという点です。


有線で接続するスイッチが主流ですが、感圧式無線スイッチは日本で COSMO だけです。

 

COSMOでできること-療育/リハビリとして-

長尾さん
COSMO は二通りの使い方ができるスイッチになっています。

 

一つ目は、専用の療育トレーニングアプリを使って、楽しく遊びながら因果関係や社会性、身体調整や五感刺激の療育/リハビリをする使い方です。

 

ジュン
遊びながら療育というのは、お子さんに取って集中しやすい題材ですね。

 

長尾さん
専用アプリのアクティビティは 30 種類ほどあります。
たとえば因果関係の練習アクティビティ。

 

アプリの一つ、「雪の魔法」では、光っているボタンを押すとそれぞれ何かしらの事柄が画面の中起こります。

 

 

ジュン
たしかに、ボタンによって画面の反応が変わりますね。

 

長尾さん
緑に光るスイッチを押すと雪だるまが出たり、オレンジのスイッチを押すと雪が降ったりと、ボタンを押すと何かが起こります。

 

これは何かすると何かが起こるという原因と結果、つまり因果関係の療育となります。


スイッチを押すと電気がつく、アクセルを踏むから進む等の基本的な因果関係の基盤を訓練します。

 

 

みんなで楽しめる療育にも

長尾さん
また、アクティビティの一つ「演奏」ですと、一つ一つのスイッチを押すとドレミの音が鳴ります。


一人で演奏してもいいですし、一人一個持ってみんなでハンドベルのように演奏をしても楽しいです。

 

ジュン
療育施設などではたしかに一人の子だけではなく、みんなで楽しみながら療育トレーニングが必要になるという面ではこの機能はいいですね。

 

長尾さん
施設など大勢のお子さんなどがいるところでは、みんなで演奏会とかで使っても面白いですね。

 

ジュン
楽しめるだけではなく、大勢で協調性やコミュニケーションも学べますね。

 

長尾さん
そういった協調性なども学ぶこともできます。

 

複数人で声を掛け合って行うと協調性やコミュニケーション能力、社会性の療育リハビリにもなります。


例えば「演奏」では、誰がドの音、誰がレの音などを決め、その後一人先生でも利用者でもよいので指示役を指定し、誰々ちゃんドを押して!誰々君の番だよ!などと声を掛け合いながら使うとよいです。

 

ジュン
役割分担、声かけ。COSMOとアプリ一つでさまざなことを学べますね。

 

 

会話の補助機器としても使える

長尾さん
他にも、会話補助機器としても使用できます。
『サンプル』というアクティビティでは、ボタン 1 個 1 個に音声を吹き込むことができます。


たとえば、緑色のところに「おはよう」と録音します。黄色には「お腹空いた」と録音します。


その後、対応する緑色のボタンを押すと「おはよう」。

黄色いスイッチを押すと「お腹空いた」とアプリから発声されます。 

 

ジュン
吹き込んだままの声がそのまま発生されましたね。

 

長尾さん
音声はなんでも登録できるので、自分がやって欲しいことや食べ物飲み物、自然の音や親御さんの声をスイッチを登録すると使い方の幅が広がります。

 

ジュン
何かを伝えるのが苦手という子でも安心ですね。

 

長尾さん
中には発声に対して消極的な子や、喉の筋力が弱く大きな声の発生が難しい方もいらっしゃいます。

 

そのような方にも発生練習や喉の筋肉のリハビリに効果的です。

 

身体の療育/リハビリのアプリ

長尾さん
身体の療育/リハビリ向けのアプリもあります。


その一つに「もぐら叩き」というのがありまして、6 つあるスイッチの中で 1 個だけ光るので、その光が消える前にスイッチを押すものです。

 

ゲーム感覚で光を見つける『視覚刺激』と『反応速度』の療育リハビリに使えます。

 

 

ジュン
これこそ、楽しく覚えるという感じですね。

 

これはお子さんだけではなく、高齢の方の訓練にも使えそうですね。

 

長尾さん
そうですね、高齢者の方の施設のレクリエーションに使うのもよいかと思います。


光が消える速度も変えられるので、使う方のレベルや状態に合わせた使い方ができます。

 

ジュン
その人のレベルに合わせたセッティングができるのはいいですね。

 

専門家が共同開発

長尾さん
アプリは30種類程あると説明しましたが、COSMOを作ったのは、

 

  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士
  • 学校の先生

 

が200人程集まって共同で開発したものです。

 

その為、これは因果関係の練習だよとか、これは身体のリハビリだよとか、これは発声練習だよというアクティビティ毎の根拠付けがしっかりと行われています。

 

ジュン
専門家の意見の裏付けがあるからこその機能ですね。

 

COSMOでできること-外部入力スイッチとして-

長尾さん
2つ目の使い方として、COSMOスイッチ1個だけでipadやパソコンの操作ができる外部入力スイッチとして使用できます。

 

ジュン
スイッチ1個のみですか。

 

長尾さん
例えばipadでは、スイッチコントロールという機能を使います。

 

それを使うと画面のスキャンが始まり、カーソルが出てきますので、そこで自分が使いたいアプリにカーソルが来たらスイッチを押します。

 

youtubeのアプリを使いたい場合は、YouTubeのアプリ上にカーソルが来た瞬間にスイッチを押すことでYouTubeアプリを選択し使いたいアプリが使えるといった感じですね。

 

ジュン
ボタン一つで操作できるのは便利ですね。

 

長尾さん
パソコンの場合はスイッチを複数使い、青のスイッチはSpaceキー、緑のスイッチはEnterキーといった設定をして操作をすることができます。

 

パソコンのゲームもサポートできますし、マリオ等のゲームも一人がジャンプ、一人が進む担当とすると、家族や兄弟で一丸となって一つのゲームをするということも可能です。

 

 

ジュン
簡易キーボードのような形ですね。

 

長尾さん
そうですね、細かいキーボード操作が苦手な方でも、簡単に大きなスイッチで操作ができる仕組みです。

 

アームサポート『MOMO』

長尾さん
次に、アームサポート「MOMO」を紹介します。


MOMO は、肩や腕の筋肉が弱く、上肢の垂直運動や水平運動が難しい方のサポートをしてくれる機器です。

 

 

ジュン
腕を乗せて使う機器ですね。

 

長尾さん
使い方は機器に肘を乗せて動かすだけと、簡単な造りとなっています。

 

ジュン
実際に使用させてもらいましたが、ほんの少しの力でスムーズに腕を動かすことができました。

 

これは本当に腕を動かすのが楽ですね。

 

筋力が弱ってる方に最適だと思います。

 

長尾さん
MOMOを使用することによって、ipadやキーボード等の細かいデバイス操作や飲食、読書や勉学がしやすくなります。

 

ユーザー様の中には、MOMOを使って楽器の演奏をしている方もいらっしゃいます。

 

ジュン
腕のサポート力も調整できる感じですね。

 

長尾さん
サポートの力はスプリングで調整していて、その人に合わせて調整することが可能です。


他にもアームレストにはフックがついており、使い終わったら自身でフックに引っ掛け収納することも可能です。

 

アームサポート『スプリングバランサー』とアームサポート『MOMO』

 

長尾さん
似たような製品でスプリングバランサーというものがありますが、こちらは上から腕を吊り下げる形となります。


スプリングバランサーはどちらかというと垂直の移動が安定しますが自身での装着が難しく、介助が必要です。

 

装着後は腕全体が包まれているので非常に安定し、フックが付いており、自身で使う前/使った後の装着脱が介助無しで簡単に行えます。

 

装着後はレストの上に置く形ですが、別途バンドなどを使用すればより安定した使用が可能です。

 

ジュン
アームサポートは本当に用途によって使いわけできますね。

 

長尾さん
MOMOは上肢装具という分類で補装具での申請が出来ます。

 

先ほど紹介させていただいたCOSMOは、日常生活用具の情報通信支援用具という項目で補助金での取得が可能です。

 

各製品補助金での申請ができますが、申請方法が分からないという方はお気軽にご相談いただけたらと思います。

 

ジュン
福祉機器は結構なお値段しますから、そういった補助申請できるのはありがたいですね。

 

マウス/タッチ代替操作『ジョイスティックボタン』

長尾さん
次は「ジョイボ」という、ジョイスティックボタンとなります。


これはipadやパソコンをジョイスティックとボタンだけで操作できる機器です。

 

 

ジュン
見た目は、ゲームでよくみるゲームコントローラーみたいな形ですね。

 

長尾さん
ジョイボ以外にも、様々なタイプがあります。

 

付属のボタンを押すのが難しければ、先ほど紹介した他の外部入力スイッチに切り替えて使用することもできます。

 

ジュン
障害の具合によって使い分けができる感じですね。どのような種類が他にあるのでしょうか?

 

長尾さん
今お見せしているのは『ジョイボライト』といい、ジョイスティックと1つのボタンだけのものです。

 

  • サイズが倍で4つのボタンで構成される『ジョイボ』
  • ジョイスティックの代わりに硬いレバーになっている『レバボ』
  • 手のひらサイズの『ハンドポッチ』
  • あごで操作する『チンマウス』

 

等、お好みで8種程から選択できます。

 

ジュン
細かいレバー操作ができない人にとって、色々な方法で操作できるのはよいですね。

 

長尾さん
組み合わせにより、その方にあわせた使い方ができる部分は大きいと思います。

 

パソコンゲームなどにも使えますので、今まで障害でゲームなど出来なかった方でも、専用のジョイボやスイッチを使うことで遊ぶことができます。

 

ジュン
操作性もよいですが、頑丈という部分もすごいですね。

 

視線入力と意思伝達装置

長尾さん
こちらが視線入力装置になります。

 

 

ジュン
こちら以前展示会で少しだけ拝見させていただいたのですが、本当に目の動きだけで入力できるということに驚かされました。

 

長尾さん
視線入力装置には Windows 用と iPad 用ございます。実際に Windows 用の方で説明させていただきます。

 

視線入力でできること

長尾さん
機器自体の内容は名前の通りシンプルで、視線だけでコミュニケーションやパソコン操作ができる機械です。

 

ジュン
その視線だけで操作というのが、かなりすごいですよね。

 

長尾さん
機械をセットしたら、まずは位置合わせを行います。

 

角度や距離を調整して使用する方の黒目を認識します。

 

大体60〜70cm 位離れて使う感じですね。使う方の視線を見ながら調整して、その方にあった設定を行います。


その後、使う方の精度にピントを合わせるキャリブレーションという作業を行います。


これを行うことで、ポインターが視線の先にしっかりとはまるようになります。

 

ジュン
視線の動かし方なども人それぞれですからね。

 

長尾さん
あとは画面を見続けるだけで操作可能です。

 

例えば50音が表示された画面に自分が打ち込みたい文章を視線入力する場合、「こんにちは」であればまず「こ」の部分に視線を合わせます。設定した秒数視線を合わせると「こ」が入力されます。

 

そのように見続ける、若しくは見たところでスイッチを押すことで、文章の作成が可能です。

 

ジュン
実際に試した所、視線以外何も動かさないで、文字入力ができました。

 

簡単に入力できて、精度もいいですね。

 

Windows用意思伝達装置『TCスキャン』

長尾さん
意思伝達装置は 7 種類位あるのですが、こちらの TC スキャンと呼ばれる機種は PC のスペックが一番高く、視線操作に特化しています。

 

 

ジュン
なるべくなら、やはり簡単で性能がいいものを選んだ方がいいですね。

 

 

長尾さん
視線での文字入力方法についても様々な入力方法があります。

 

普段使い慣れている透明文字盤のように50音が表になって並んでいるものや、「あかさたなはまやらわ」のみ表示されたものなど、使う方によって変更ができます。

 

ジュン
使う方によって使い勝手はかわりますからね。

 

長尾さん
その他にも、毎回文字入力をするのに手間を感じる方に向けて定型文を設定して、定型文を視線で選択してそれを読み上げるということもできます。

 

これであれば、自分がして欲しいこと、やりたいことを事前に登録しておけますのでより簡単にコミュニケーションが取れるようになります。

 

ジュン
普段して欲しいことはある程度決まってることが多いですからね。

 

長尾さん
今までは自分からの発信が困難で周りの方が透明文字盤を持ってきた時にだけ発信できたのを視線入力装置を使うことによって、今まで困難だった自分からの主体的な発信をすることができるようになります。

 

ジュン
スムーズな意思伝達ができるのは大きいですね。

 

長尾さん
眼振により視線が揺れてしまう方でも、横に揺れるなら枠を横長にしたり、縦に揺れるなら縦長にカスタマイズができますので、確実に入力することが可能です。

 

このカスタマイズ機能も TC スキャンならではの機能となります。

 

 

視線ゲーム

長尾さん
この装置をお子さんや脳性麻痺をお持ちの方が使う場合ですと、興味が色々な場所に移ってしまい画面を注視するのが難しい場合があります。

 

ジュン
たしかに、お子さんとかですとそういう問題はありそうですね。

 

長尾さん
そういった方向けには視線のゲームも色々と入っています。

 

まずはゲームを通じて画面に注目する練習や、対象物を見続ける訓練を行うことができます。

ジュン
お子さんですと、まずは興味をもってもらうことから始めるのが重要ですね。

 

長尾さん
画面への注目の段階までいけば、次はお母さんとお父さんの2択からお母さんを選択する練習や「はい/いいえ」の選択練習等、段階的にできることを増やしていくことを目指しております。

 

ジュン
段階を踏めることで、その人にあった対応ができますね。

 

長尾さん
様々な障害があり同じ障害でも個人差があるので、いかに誰にでも対応して使えるものかというのが意思伝達装置に求められることだと思っております。

 

iPad用視線入力装置『TDパイロット』『Hiru』『Skyle』

長尾さん
iPad用の視線入力装置に関しては現在日本には

 

  • TDパイロット
  • Hiru
  • Skyle

 

の3種類あります。

 

それぞれ価格は約140万円、50万円、30万円ですが、視線の精度もそれぞれ変わってきます。

 

ジュン
それでしたら、補助を考えれば手が届く位ですね。

 

長尾さん
近年はプライベートでも仕事でも、Windows より iPad/iPhone に慣れている方が大半ですので、どうしても Apple 製品じゃなきゃという方は iPad 用視線入力装置を推奨します。

 

障害を持つ方に向けて

さまざまな福祉支援機器を見させていただきましたが、どれも多機能で使い勝手よく、本当に驚かされました。

デモやレンタルでのお試し

ジュン
これだけの支援機器がありますと、どれにしていいか迷いますね。

 

長尾さん
実際に試してみないとわからないという部分はあるかと思うので、そういった方のために全国全域でデモやレンタルを行っています。

 

ジュン
試してみないと、自分の本当に必要かわかりませんからね。

 

補助金での取得

長尾さん
紹介したもの全て国の補助金で導入ができますので、まずご連絡いただき試していただきたいと思っています。

 

ジュン
そういった事業を通じて障害のある方と触れあう機会が多いかと思いますが、障害のある方と直に触れあって感じることなどありますか?

 

長尾さん
障害をお持ちの方にも先天的な方や後天的な方、様々な理由の方がいらっしゃいます。

 

障害の内容や理由に関わらず、その方のやりたいこと/今までは少し難しかったことを、支援機器を通じてできるように、そして日常生活の中で楽しさや笑顔を少しでも増やしてもらいたいと思っています。

 

ジュン
できないをできるに。本当に素晴らしいことだと思います。

 

長尾さん
これらの製品は展示会等のイベントでまとめて体験できますが、ご都合やご体調により参加することが難しい方もいらっしゃると思います。


ご自宅でゆっくりとお試しいただけますので、ぜひご体験いただければと思います

 

今後のアップイット

ジュン
今後のアップイット様はどのような方向に進まれるのでしょうか?

 

長尾さん

私は海外製品を担当しておりますが、海外ではまだまだ日本では見たこともないような支援機器があります。

 

最先端の支援機器を日本に増やすことで選択できる機器の幅を広げ、 QOL を向上できるきっかけになればと思っています。

 

会社としては障害関係もそれ以外にも様々な事業展開をしていきますが、最終的には障害のある方が個人でも家族でも楽しめる『インクルーシブ遊園地』を創りたいですね。

 

ジュン
本当に便利なものがいっぱいありますし、インクルーシブ遊園地は本当に素敵な夢だと思います。

 

長尾さん
海外でこんな便利な機器があったよという情報も、利用者様からもぜひ仰っていただければと思います。


それを導入したいと思われる方がいらっしゃれば弊社の方で輸入することも場合によっては可能ですので、日本にないから諦めるのではなく、一度ご連絡いただければ試せる機会もつくれます。


ユーザーさんと販売店、支給を行う国が一丸となり、日本の福祉をよりよいものにできればと思っております。

 

ジュン
ありがとうございました。

 

取材を終えて

世の中にはさまざまな便利な物が数多くありますが、今回アップイット様を取材させていただき、まだまだ知らない世界、知らない機器があることを感じさせられました。

 

世の中がより進化していく中、こういった機器を使って今までできなかったこと、難しかったことに障害がある方でもチャレンジできる世の中になっていければと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

株式会社アップイットについて

HP 株式会社アップイット
Instagram https://www.instagram.com/upit.nagao/(@upit.nagao)
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Twitter https://twitter.com/UPIT_Inc(@UPIT_Inc)
住所 東京都中央区銀座 1 丁目 22 番 11 号銀座 大竹ビジデンス 2 階
電話番号 03-6820-1544
メールアドレス info@upit.co.jp

 

 

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久田 淳吾

発達障害(ADHD・ASD)と吃音を抱える40代男性。今まで発達障害の事は知らずに生きてきたが、友人の話を聞いて自分にも当てはまる事が多すぎる事を実感し、病院にて診断を受けると見事に発達障害との認定を受ける。自分に何ができるかと考えた時、趣味の写真でプロの先生に話を聞く機会があり、吃音が強く出ていたことに気がついた先生が『君は吃音持ちだね。だったら吃音の方の気持ちがわかるはず。それを活かして吃音の方の気持ちがわかるカメラマンになったらどうか』という言葉を思い出し、発達障害者として同じ気持ち、舞台に立てる人間として趣味のカメラ、動画編集技術を活かして情報発信をする事を決意。
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