点字図書の作成や貸出、視覚障害者へのサポート業務などを行っている日本点字図書館の訪問記、第3回目となります。
今回の記事では、点字図書の貸し出しに関する事例や、点字図書館の抱える問題などについてお伝えしていきます。
点字図書の今の状況を紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
お好きなところからお読みください
録音図書の貸し出し方法
録音図書の中身はどういう物か。そして実際に貸し出す時の流れを説明してもらいます。
カードには切り欠きがあり、切り欠きの位置(届いた時は右上、返却の時は左上)でカードの裏表を確認できますし、点字でも「にってん」と打ってあります。
CDの盤面に記載している情報と同じです。また、図書の冒頭にも音声で書名・著者名を入れています。
視覚障害者の見え方
次の場所に案内してもらう途中、廊下に掲示してあった視覚障害者の見え方について説明していただきました。
視覚障害者に対し、目が不自由でない方を晴眼者(せいがんしゃ)と呼びますが、晴眼者が見ている状況をこのようなものだとします。
視覚障害者の見え方の事例
次の写真は目の中に光が多く入り、まぶしさを強く感じる場合です。
それぞれ見えにくさ違っていて、またいろいろな状況が組み合わさるので、「見えにくさ」は千差万別です。
私たちも、こういう状況の方がいらっしゃることを認識するのが大事だと感じます。
点字図書について
膨大な分量の点字図書
再び場所を移動し、点字図書の保管場に案内していただきました。保管場にはぎっしりとバインダー形式の点字図書が収められており、しっかりと管理がされています。
手元に何の図書が届いたのか、何巻目なのかがすぐわかるよう、点字図書の背表紙の脇には「書名・巻数、全巻数」を記した点字シールを貼っています。
本の状態確認と作成の制限
当館だけでなく全国どこの図書館でも制作されていないけれども、その本をお読みになりたい、その本が必要という方がいらっしゃいます。そのような場合、東京在住(在勤・在学)の方に限らせていただきますが、個人の方向けに本を点訳・朗読するサービスも行なっています。 新刊に関しては当館以外の点字図書館さんでも、制作される可能性は非常に高いのですが、例えば出版から何年たってもどこの図書館でも作られていない本もあります。 それでもその本がお読みになりたいというリクエストがあった場合、当館の蔵書として作るか、もしくはその方の個人的な依頼として作る場合があります。東京都にお住まいの方でしたら、その方から原本をいただいて、その方のためだけに点訳するようなサービスも行っております。
ボランティアと費用の問題
一時期はともに100名近い方がいらしたのですが、近年減少しており、ボランティアさんの確保も大きな課題です。
私たち晴眼者が公共図書館を利用するのと同様に、当館の利用は無料です。そのため、どんなに多くの本を作り、貸し出しを行なっても当館の収入には繋がらないのが現状です。
日本点字図書館訪問 第3回まとめ
日本点字図書館訪問第3回、図書の状態や視覚障害の方の見え方などについてお話を聞かせていただきました。
視覚障害といっても人それぞれであり、必要とされる事柄も違ってきます。点字図書館が担う役割はとても大きなものだと感じました。
▼日本点字図書館シリーズ▼
視覚障害者への歩行訓練やグッズ紹介で日常生活もサポート|日本点字図書館訪問記〜第2回〜
最後までお読みいただきありがとうございました。
日本点字図書館について
公式HP:日本点字図書館ホームページ
〒169‐8586
東京都新宿区高田馬場1‐23‐4
電話:03‐3209‐0241(代表)
FAX:03‐3204‐5641
アクセス
JR山手線、西武新宿線、東京メトロ 東西線 高田馬場駅
再最寄りは JRおよび西武新宿線 戸山口より徒歩5分
久田 淳吾
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