車椅子を使って生活すると言っても、障害の度合いは人それぞれです。
麻痺している部分がどこなのか(頚椎、腰椎、脊椎の何番か)、脳の障害なのか、私のように神経障害で感覚が鈍くなり、手足の末端中心に動かない場合もあります。加齢によって車椅子を使用使用している方もいますし、悪性骨形成性腫瘍による足の切断、ALSなど、障害も一括りにはできません。
一括りにできないということは、必要となる手助けが多様であるということです。
車椅子を使用している人のイメージには、お年寄りや、パラリンピックの選手などがまず思い浮かぶと思いますが、パラリンピックに出場できるような障害者はほんの一部です。
だからこそ、想像がつかないのです。
これはしょうがないものだと思っております。
ただ、車椅子ユーザーの気持ちを知ってもらうことはできると思っております。
そこで今回は車椅子ユーザーである私が感じる、車椅子用の多目的トイレの使いづらさについて、書いていきたいと思います。
多目的トイレがあることにより、車椅子ユーザーでも外出のハードルが下がりました。
しかし、まだまだ車椅子ユーザーの声が届いていない多目的トイレが多いので、ぜひ一つの意見として参考にしていただければ幸いです。
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車椅子用の多目的トイレは使いづらいところが多い
冒頭でもお伝えしましたが、車椅子用の多目的トイレといっても、使いづらいところがまだまだ多いのが現状です。
特に私が住んでいる秋田に関しては、バリアフリーの環境が整っていない場所もとても多いです。
どのようなところが使いづらいかを説明していきますね。
使いづらさ1:手すり
まず多目的トイレに設置してある手すりが役に立たないところもあるということです。
まず、こちらの写真を見てください。
これは例として、自宅のトイレなのですが、私が座っている状態から撮影しました。
これでは使いようがありません。
高さも私が着座した状態で地面から肘まで70センチあるのです。それには到底届かないので、かなり低めです。
次にこちらのケース。
これは何が使いづらいのかと言いますと…
非常時用のベルが手すりのすぐ隣。
ちょうどパンツの上げ下ろしをする時に、肩や腕がぶつかってしまう位置に設置してあることが多々あるため、非常に気を使います。
理想的なボタンの配置は、このような事例です。
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使いづらさ2:自動ドア
次に、自動で戻るスライドドアの使いづらさ。
ゆっくり開閉するものは使いやすいのですが、開けた際にすぐ閉まるドアは、車椅子や手、足がぶつかり、危険です。
使いづらさ3:洗面台
手を洗う洗面台も、使いにくい所が多いです。
車椅子で入りにくい高さの洗面台では、低くても遠くて使いにくいです。
また、鏡が設置してあっても、車椅子の高さにあっておらず、本当に鏡があるだけ。という場合があります。
手を拭くペーパーの位置や高さ、ごみ箱の種類、位置、高さにも配慮が必要です。
いくら車椅子用のトイレであっても、トイレというものは狭いものです。車椅子で動きにくくないよう、水回りの動線には最大限の気配りが必要だと思います。
トイレに関しては、実際に車椅子を使っている人、介助している人の意見を参考にしてほしいものです。
理想的な洗面台は、このような配置です。
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使いづらさ4:トイレの鍵
車椅子に乗って鍵をかける場合、大抵はトイレのスペースの都合上は後ろを振り向きます。
ところが、車椅子に乗って後ろを振り向いて鍵を閉めるのは、実はけっこう大変なんです。なぜかと言いますと、普段、体を支えてくれる背もたれが邪魔をするのです。
鍵が高すぎても届かなかったり、低すぎても届かないことがあります。
【こんな車椅子トイレがあったらいい】
また、トイレ構造ではなく、モラルの問題もあります。
車椅子ユーザーのトイレに関する本音
ここまでは、車椅子用の多目的トイレの使いづらいところについて、車椅子ユーザーの私が感じるところをお伝えしていきました。
他にもちょっと本音を漏らしたいと思います。
それは健常者の方に、ぜひ知っていただきたいことです。
車椅子ユーザーから健常者の方へ
せっかく車椅子用の多目的トイレがあったとしても、健常者の人が普通に使っている場合も困るケースが多いです。
車椅子の人は、普通の人よりトイレに時間もかかりますし、早めに動いているとはいえ、ふさがっていると焦ってしまうものです。
できるだけ使わないようにして欲しいのですが、もちろんお子さん連れの方が、並ぶのが嫌で使用されることもあります。
これに関しては、
と言うことはありません。
ただ、信じられないことに、車椅子の私が前で待っているのに、割り込んで使おうとした人がいたこともあります。
(もちろんすべての方がそうではないですが)
多目的トイレは、車椅子ユーザーだけのものではありません。
オムツの交換が必要なお子さんを連れたお母さんのために。
そして、私たち車椅子の人のために、多目的トイレはできれば譲ってほしいものです。
車椅子ユーザーにヒアリングしてわかったこと
私だけではなく、何人かの車椅子ユーザーに質問して分かったこともたくさんあります。
それは車椅子になると、目線が以前の約半分になるということ。
椅子に座った自分の目線をイメージしてもらえれば、それに近いと思います。
これの何が不便になるのかと言いますと、目線に配慮された場所がいかに少ないかということです。
また、足が両足動かなくなると、ふんばりが効きにくくなるため、前に転倒しやすくなるということ。
車椅子は、汚れた床でも手でこぐので手が汚れます。
ですので、私は、手ピカジェルや消毒用エタノールの常備を常備しています。
このような感じで、車椅子ユーザーになって初めてわかることがたくさんありました。
ぜひ車椅子ユーザーがどんなことで悩んでいるのかの1意見として、参考にしていただければ幸いです。
追記
Twitterでも重度障害者の
親御さんからこのような
ご意見をいただきました。
我が家の息子 重度障害者(脊髄性筋萎縮症)なのですがトイレには座って用がたせます 多目的トイレは
私が表に出て閉めると中の電気が消える 中から閉めると外から開かない 私は横にいるしかないのです。
障がい者の物バリアフリー化するのに健常者の意見 設計は入らない 障がい者がするべき。— 俊介 父ちゃん (@shunsuketouchan) 2018年8月27日
このようなご意見もあることを
参考にしていただければ幸いです。
佐藤広子
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