世の中の技術は日々追い切れないほどのスピードで進化していきます。
障害のある方が職につくためには技術が必要となり、技術を身につけることで選択肢が増えていきます。
今回は、東京都杉並区で2023年9月にIT技術の取得に力を入れているB型事業所「パパゲーノ Work & Recovery」を運営している田中さんにお話をいただきました。
ITで広がる可能性や、精神疾患を抱える人への支援についてのお話をいただいていますので是非最後までご覧いただければと思います。
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パパゲーノ Work & Recovery|杉並区のB型事業所
私自身、元々メンタルヘルスという分野に興味があり、この分野に貢献したいなという思いがありました。 社会人になってから、ヘルスケア系のベンチャー企業で働くようになり、そこで企業で働く人の健康管理やメンタルヘルスに関する事業を作ったりしています。 また、前職で介護領域に関わり、ご高齢の方が歩いている動画から骨格を解析して、その人の転倒のリスク、歩行状態がふらついてないかなどをチェックし、おすすめの運動を提案したりするアプリを作成し、介護施設さんに導入いただくというよう仕事に関わっています。 後、仕事とは別に大学院にも働きながら通い、大学院では公衆衛生学を専攻しておりました。
その前からも、いろいろとメンタルヘルスに興味を持つきっかけはありまして、例えば私自身も大学1年生から2年生の頃、大学生にはよくあることかもしれないのですが、結構なハードワーク。 色々予定を詰めすぎて学業も仕事もやりすぎてしまい、うつ状態の状態になってたり、朝起きれない時期が長かったりっていうので、大学ほとんど行けてない時期とかがあったんですね。
その中から、生きづらさであったり、色々辛い状況や環境の中でもどうやったらうまく幸せに生きていけるんだろうということを考えていて、それもきっかけの一つでもあります。
パパゲーノ Work & Recoveryについて
一番の特徴はパソコンを使ったIT系のお仕事を中心としたB型事業所であるというところです。
いわゆる一般的な企業さんのオフィスとかにかなり近い環境で、広くて明るいオフィスのビルでパソコン使って企業のお仕事をお手伝いするような仕事をやっていただくという形になってます。
それぞれ色々な境遇を抱えている方いらっしゃるのですが、自分らしい生き方というのを大切にする。 そのための一つの手段として、ITツールを使いこなすスキルを学んだりですとか、就労に向けたステップを挑戦してみたりとかそういうことをしていただくっていうような施設になってます。
その中で、デスクワークに力を入れていると。
一応できるけどメインではないというところもあったりという感じでほぼないに等しいので、実際3%という数字は地域での肌感としても合ってるなっていう感覚はあります。
B型事業所を立ち上げた経緯
その中で「飛べない鳥のかけるん」という絵本を統合失調症をお持ちの方と一緒に作ったんですけれども、その方がB型事業所に通所されている方でした。 毎週の企画会議の中で、その方自身のB型事業での体験談が色々聞く機会がありました。 家の近くでパソコンを使った仕事がしたかったけれども、それができるB型事業所が全然見つからなくて、そこまで希望してたわけではないが農作業系の事業所にずっといたという話。 ピアサポートなどに興味があってそういったお仕事したいと思っていても、スタッフの方にも取り合ってもらえなくて、求人に挑戦したいとか言っても就職の部分でうまくサポートしてもらえなかったという話など、福祉施設、福祉業界が抱えている課題というものが当事者さんの声の中から見えてきた部分がありました。
その経験と、精神障害をお持ちの方の意見を取り入れれば自分たちでB型事業所IT系の事業所を作れる。 そのような事業所があれば。業界にとっても地域のニーズにもマッチするのではないかという思いがっていうのが最初B型事業所をやろうかなと思ったきっかけとなります。
B型から就労移行施設に行こうとしても、就労移行側ではPCのスキルなどを求められているのに、B型では軽作業などがメインでPCスキルが養われていない。 もちろん軽作業が悪いというわけではないのですが、そこのギャップがすごく大きいなと。 世の中的にはパソコンを使った仕事が当たり前のように求められていて、実際就労移行にもそういった施設が多いのに、B型では昔からやっていた作業をそのまま続けているところが比較的多いという状況で、私達の経験を生かせば貢献できるという経緯です。
パパゲーノ Work & Recoveryの特徴
さらにその中でも一般的な事務仕事、企業で働くということを実践的に学べる環境かなと思っています。
例えばChatGPTというAI生成ツールやCanvaというデザイン系のツールなどゼロから勉強しても割と使いこなしやすく、できることの幅がものすごく広がる便利なツールが最近本当にたくさん増えてきています。
あとはGoogleスプレッドシートなどのツールを実践的に学べるのが大きな特徴ですね。
現在ですと、1日から2日ちょっと触ってみたら、意外と出来るというものが増えています。
私たちの事業所は基本的にはMacを使っていて、クリエイティブに色々なことををやってみるのに割とMacは適していたりする部分があるので、そこも一つの特徴かもしれないなと思います。
また大体Windowsの普及が多いのでMacに触ったことがない人も多いからこその需要ですね。
その中で最初のステップとして、自分らしい生き方を実現していくためにいろんなITツールの使いこなし方を実践的に学べる環境として使っていただいております。
精神障害がある方がメインのB型事業所
メインは精神障害をお持ちの方という形にしてるのですが、見学や体験の利用自体は他の障害の方をお断りしてるとわけでもないっていうのが現状です。 事業所としては、精神障害をお持ちの方に対してある程度専門の知識があったりとか対応の経験があったりとかという部分で精神障害の方を多めにしているという部分があります。
でもそのような方は一人で作業をするとか、パソコンで集中して作業するなどが得意という方も多くいらっしゃいます。 また勤怠が少し乱れてしまう。朝うまく起きれないという方も、パソコン使って在宅でもお家でもお仕事するとか、あるいは少しフレキシブルな制度。出勤の時間が11時から勤務でも大丈夫ですという会社に就職するのがあっている。 逆に例えば飲食店とかで朝9時出社ですとかいう定時通りの出勤が苦手な人でも、パソコンを使えれば選択肢が増えるという意味で精神疾患の方がITなどのスキルを学ぶのに適しているのかなと思います。
ITで障害がある方の就労の選択肢を増やす
統合失調症だからとか、双極性障害だからとかこれまで精神疾患をお持ちだからっていう理由でできていなかったこと。できないと思われていたことも技術の力、ITツールを使いこなすとできることってたくさんあると思います。 リカバリーという言葉を私達はよく使うのですが、自分らしい生き方を追求する、自分らしい生き方に挑戦していく。 そういったことを精神障害をお持ちの方にもできる世の中になっていってほしいなと思ってますし、そのために私たちも貢献していきたいなっていう事を思っております。
逆に技術はないが学んでITに進みたい方も事業所ではもちろん歓迎です。 私たちの事業所にはIT企業出身のスタッフが4人いますので、丁寧に最初のタイピングなどから始まり、Macの使い方を覚えたりとかショートカットキーの使い方を覚えるといったとろから、徐々にいろんなツールの使い方を覚えていってお仕事ができるようになっていくという風に教えていきます。 ちょっとでもパソコンを使ったお仕事興味ある方、はぜひ一度ご相談お問い合わせいただければ嬉しいです。
社内のコミュニケーションは対面でも取りますが、テキストのコミュニケーションはDiscordでとるようにしていています。 現在企業に就職すると何らかチャットツールで社内のコミュニケーションをとっていることも多いので
そういった人との関わり方の部分も含めて、いろんな方が自分らしく生きるご支援、応援していきたいなと思っています。
今後の活動を通して
短期的な部分で目指しているものとしては、9月に開所して以来、これまで十数名の方からお問い合わせいただいており、本当にお一人お一人いろんなご希望であったり強み苦手なことを抱えていて、その上でパパゲーノで働いてみたいっていうご要望をいただいています。 その一人お一人のリカバリーを最大限応援していくっていうことが一番実現していきたいことですね。 多くの課題もありますが、一つ一つ丁寧に向き合って、一人一人の利用者さんに伴奏していきたいなと思っております。
ITなどで精神障害に限らず、障害を持ちの方の可能性をもっと広げられると。
だからこそITツールを活用すれば事業所の運営より円滑にいきますよという部分や、お一人お一人の支援の質を高められますという提案をやっぱり業界全体にもしていければと思っていますね。 なので私たちが現場の最前線で実際に試行錯誤してみる中で、どのようにすればITツール活用するとうまくいくよというノウハウを他の事業者さんにも広めていく。 そんな役割を果たしていきたいなと思ってます。
最近ですとインクルーシブデザインなんて言葉もあったりしますが、何か新しいプロジェクトやりましょうとか新しい事業サービス作りましょうという時に、最初の企画段階からお客さんになりうる当事者の方。 何か困り事を抱えている方を巻き込んで、一緒に考えて企画して事業を作りサービスを届けていくっていうことが、本当に困っている人に届くいいサービスを作るためには大事だよねっていう考え方があります。 現状まさにそれができる環境だなと感じています。
そういった経験をお持ちの方と一緒に。こういったサービスが必要そうだなと考えて、それを実践していくっていうこともできる環境だなと思っています。
ITを使い「リカバリー」を広めていく
インタビューを終えて
パパゲーノ Work & Recoveryについて紹介をさせていただきました。
世の中の技術は進化する中、福祉関係者もそれに併せて日々知識などをアップデートしていく必要があるなと今回のインタビューで感じさせられました。
多くの課題を抱える中、少しでも障害を抱える人が望む職業につけるようになって欲しいですね。
最後までご覧いただきありがとうございました。
パパゲーノ Work & Recoveryについて
HP | |
住所 | 〒168-0074
東京都杉並区上高井戸1-13-1 ルート上高井戸ビル 2階A号室 |
電話番号 | 050-8888-7970 |
メールアドレス | info@papageno.co.jp |
久田 淳吾
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