新型コロナウィルス感染症拡大防止対策で、全国でテレワークが一気に拡がりました。あらゆる職種・会社で在宅で勤務をされる方が増えたのではないでしょうか。
でも、福祉はどうなのでしょう…?
福祉の業務は「対人援助」といい、目の前の対象者といかに関わり、支えるか、が主となる業種で、そもそも対面での業務が中心。
だからか、現在でも連絡はメールではなく、FAXや電話、もしくは「あーもう連絡つかないなあ!今からちょっと行ってくる!」なんてことがよくある「昭和のお仕事」です(もちろん、事業所にもよります)。
「昭和のお仕事」の福祉業界が、withコロナの時代をどう過ごせばいいのか?福祉の現場で働いていて、激動の変化を体験している筆者がこれからの時代の福祉の働き方について、考察していきたいと思います。
福祉現場でwithコロナ時代の働き方の参考にしていただければ幸いです。
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福祉にもテレワークの時代がキタ━(゚∀゚)━!
筆者が所属するのは、そんな昭和の時代から都下で高齢者分野を中心に様々な事業を展開してきた法人。高齢者福祉の分野では、長い歴史と高いプライドで、地域を支えてきました。
さて、そんな法人に、筆者が入職したのは昨年のこと(つまりまだペーペーです)。
電話での相談が中心の業務ですが、併せて来所や訪問も。そこから相談者にとって必要な福祉サービスにつなげる役割です。
1分1秒を争い、時間勝負の時もある。テレワークとかリモートワークで業務なんてできない、というのが、口々に出る言葉でした。
そんな福祉の現場のテレワークとは?
緊急事態宣言が発令された4月7日の前後。国―都―基礎自治体と、対応策の決定はトップダウンで時間が掛かっていた一方、筆者の所属法人は、全体で先に対応策を練り始めていました。
この状況下でも地域の高齢者福祉の支えとして、どの部署も稼働を続けなければならない、という大前提で決定した対策は、以下の2つ。
withコロナの対策
- できる限りすべての部署で2班体制・分散勤務体制を取る(通所事業などは除く)
- 就学年齢の子供がいる職員、電車やバスなど公共交通機関で通勤する職員に在宅勤務・フレックスタイムを認める
タイミングがいいことに、新年度でリモートアクセスを導入し、先に管理職に認めたばかりだったのです。
この対象を拡げて、対応していくことになりました。昨年度からはコミュニケーションツールで「LINE WORKS」が導入されており、連絡はそちらを使用。
どこから感染者や濃厚接触者が出ても、部署全体に拡大し業務停止がないように、苦肉の策です。
具体的なwithコロナの働き方の事例
筆者の部署では、職員を2チーム体制・勤務場所に分け、フレックスタイムとするスプリット勤務を実施。ひとつのチームは法人内の違う施設に間借りして業務を行うことになりました。
- マスク着用
- 体温計測
- 手指衛生
- 環境衛生
はなおのこと徹底された職場で、動線を分け、間借り先の職員や利用者に会わないようにする徹底ぶり。
小さいお子さんがいるパパ・ママは、住む自治体により保育園や学童の対応が違い、それにより在宅か出勤かを選択していました。
緊急事態宣言解除以降、しばらくこの体制は維持する見込みです。
withコロナ時代の福祉の働き方まとめ
前述の通り、筆者は昨年まで一般企業勤務でした。今から8~5年くらい前、人事職だった時は、フレックス勤務。会社にMicrosoft Lyncが導入され、ちょっとした連絡はチャットで、地方での採用面接にはWeb会議を積極的に利用していました。
その後転職した会社では、勤務は時差出勤、コミュニケーションツールはG-MailとHangout、Google+で、チームの連絡はSlack。(専門的なツール用語が多く、すみません)
つまり、連絡や情報共有は文字が中心でしたし、業務中でも相手に話しかけるには事前にHangoutで「ちょっといいですか?」と一文入れてから。
業務時間で漏れたメールや社内ポータルのチェックは、リモートアクセスで帰宅してから、が一般的。というか、他の多くのオフィスワーカーも同じかと思います。
でも、対面で現場対応、連絡は直接か電話、書類はFAXで、というスタイル中心なのが福祉の現場。
2020年でもなお、メールはあまり好まれないのです。
福祉分野でもICT化は進んでいる
厚生労働省は、古くから福祉分野でのICT化を進めてきました。
現在も行われる介護業界でのロボットの開発・普及や、健康・医療・介護のデータを連携させる「データヘルス改革」は、2040年問題(日本の高齢者人口はピークになる一方、支える生産年齢人口が急減し、現役世代1.5人で1人の高齢世代を支える)を見据えているものです。
また、2018年には「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」を設置し、医療・福祉サービス改革プランでは生産性の向上やシルバー人材の確保についても言及されています。
日本の医療・福祉分野は、他国に比して生産性が低く、ICT・AIでの業務効率化は必須。
国は、2025年から始まる生産年齢人口の急速な減少と高齢化社会のピークに備え、福祉従事者のマンパワーを最大限に機能させ、同時に、医療・介護・福祉サービスの生産性改革を実施することを掲げています。
でも、そもそも福祉の世界は、対面以外での支援があまり行われてきませんでした。
その延長の職場。新型コロナウィルス感染症拡大が始まってから筆者の部署は、感染の不安に寄り添って、医療相談の窓口案内や自粛に伴い地域で宅配してくれる様々なお店等、街の生活情報を集め、地域に提供してきました。
併せて3月末から、部署で一度は支援をしたことがある方には、コロナ感染症拡大で生活に困りごとが出ていないか、職員が1件1件お電話し、追跡調査を行ってきました。
withコロナ時代は、福祉職員もITスキルが必要に
新しい生活様式・働き方が推進されるwithコロナの時代。ICT化できるコミュニケーション、テレワークが出来る業務の仕分けは、福祉業界でも今後さらに促進されるでしょう。
オフィスでできる業務ばかりでもなく、書類で管理できるでもない、可視化できない部分の方が多い、それが福祉でもあります。
リモートアクセスを少しづつ導入し、コミュニケーションにLINE WORKSをやっと使い始めた現場にも、今、withコロナの時代がやってきました。
進む時代に合わせて、1年後、何が産まれ、変わっているでしょうか。
N H
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- 福祉業界にもテレワークが!withコロナ時代の福祉の働き方とは? - 2020年6月1日